テクニカルSEOとは?コンテンツSEOとの違いや具体的な施策について解説
「テクニカルSEOって何?」「テクニカルSEOはやったほうがいい?」と、WebサイトのSEO対策をするなかで疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
テクニカルSEOとは、Webサイトを検索エンジンに正しく理解してもらうための技術的な施策です。コンテンツSEOとは異なり、サイトの構造や設定に着目します。
本記事では、テクニカルSEOについて解説します。正しく取り組むことで、効率的にSEO成果を最大化できるでしょう。
目次
テクニカルSEOとは
- テクニカルSEOの定義と目的
- テクニカルSEOがWebサイトのパフォーマンスに与える影響
- テクニカルSEOとコンテンツSEOの違い
それぞれ解説します。
テクニカルSEOの定義と目的
テクニカルSEOとは、Webサイトの技術的な側面を最適化する施策のことです。検索エンジンにコンテンツを正しく理解してもらい、クロール(Webサイトの巡回・チェック)およびインデックス(Webサイト情報のデータベース登録)を促進し、検索順位の向上を目指します。
具体的には、サイトの構造や内部リンク、ページの表示速度、モバイルフレンドリー化(スマートフォンやタブレット端末などの閲覧に適した設計)を改善することで、検索エンジンがサイトを効率的に読み取れるようにします。これにより、ユーザーにとっても利便性の高いWebサイトを作れます。
テクニカルSEOがWebサイトのパフォーマンスに与える影響
テクニカルSEOを適切に実装することで、検索エンジンのクローラーがWebサイトを効率的に巡回できるようになり、インデックス率の向上につながります。また、サイトの表示速度を改善し、モバイルフレンドリーな設計を行うことで、ユーザーエクスペリエンスも向上するでしょう。
これにより、離脱率の減少やコンバージョン率の上昇などのポジティブな効果が期待できます。結果として、検索順位の上昇やオーガニックトラフィックの増加といったWebサイトのパフォーマンス向上にも寄与します。
テクニカルSEOとコンテンツSEOの違い
テクニカルSEOは検索エンジンを意識し、サイトの技術的な最適化に注力するのが目的です。一方、コンテンツSEOはユーザーを意識し、有益で自社サービスとの関連性の高いコンテンツの作成に重点を置きます。両者はSEOにおいて相互に補完的な関係にあり、どちらも欠かせない要素です。
たとえば、ECサイトや求人サイトなどのデータベース系サイトではテクニカルSEOにより注力し、ブログやメディアなどのテキスト系サイトではコンテンツSEOを重視するなど、最適なバランスを見出すことが求められます。
テクニカルSEOのメリット
テクニカルSEOを施すことで、Webサイトにはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下で詳しく解説します。
検索エンジンからのクロールとインデックスの改善
テクニカルSEOを適切に実施することで、検索エンジンのクローラーがWebサイト内を効率的に巡回できるようになります。サイトマップ(Webサイトの構造を示す一覧)の最適化やクロールバジェット(Webサイトをクロールできる上限)の管理などにより、重要なページが確実にインデックスされる環境を整えられます。
その結果、検索結果での表示機会が増加し、オーガニック流入(検索エンジン経由の自然なアクセス)の増加が見込めるでしょう。また、インデックスされるページ数が増えることで、ロングテールキーワード(検索ボリュームが少ない具体的なキーワード)での検索流入も期待できます。テクニカルSEOは、検索エンジンからの評価を高め、サイトの検索パフォーマンスを向上させる上で欠かせない取り組みといえます。
ユーザーエクスペリエンスの向上
テクニカルSEOの施策は、ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上にもつながります。サイトの表示速度を改善したり、モバイルフレンドリーな設計を行ったりすることで、ユーザーがストレスなくWebサイトを利用できるようになるためです。
また、サイト内の階層構造を最適化し、内部リンクを適切に配置することで、ユーザーが目的のコンテンツにたどり着きやすくなります。UX改善により、サイト直帰率の減少やコンバージョン率の上昇が期待でき、サイトのパフォーマンス向上につながるでしょう。
サイトの運用効率化とSEOパフォーマンスの可視化
テクニカルSEOの施策を通じて、サイトマップの最適化やクロールエラー(クローラーがページを読み取れない状態)の解消など、サイトの運用効率を高められます。これにより、サイト管理者の工数削減や、サイトの信頼性向上が期待できます。
また、Google Search ConsoleやGoogle Analyticsなどを活用することで、SEOパフォーマンスを可視化できます。キーワードごとの検索順位やオーガニック流入数の推移、ユーザーの行動分析など、データに基づいてSEO施策の効果を測定し、改善点を見つけやすくなります。こうしたPDCAサイクルを回すことで、継続的にSEOパフォーマンスを向上させられるでしょう。
テクニカルSEOのデメリット
技術的な知識とリソースの確保
テクニカルSEOの施策の中には、HTMLやサーバー設定などの専門的な知識が必要となるものがあります。社内にこうした知識を持つ人材が不足している場合、外部のSEO専門家やデベロッパーに協力を仰ぐ必要が出てくるかもしれません。
また、サイトの規模や複雑さによっては、テクニカルSEOの実施に多くの工数を要する場合があります。その際、社内リソースの確保が難しければ、外部委託などの追加コストが発生する可能性があります。
サイトの構造や規模によっては対応が困難な場合がある
Webサイトを構築する際に利用するCMS(コンテンツ管理システム)やサーバーの種類によっては、一部のテクニカルSEO施策が実装できない場合があります。たとえば、特定のCMSではURLの柔軟な設定ができなかったり、サーバーの設定変更に制限があったりするケースです。
また、Webサイトの規模が大きく、ページ数が多い場合やサイト構造が複雑に入り組んでいる場合は、テクニカルSEOの対応に多くの工数を要する可能性があります。サイトマップの作成やリダイレクト(URLの転送)の設定、ページ速度の改善など、サイト全体に及ぶ施策は、規模に応じた時間と労力が必要となるでしょう。
コンテンツ品質への依存
テクニカルSEOは、検索エンジンに対してWebサイトを最適化するための土台となる取り組みです。しかし、いかに技術的な部分を整えても、サイト上のコンテンツ品質が低ければ、検索順位の向上は望めません。
ユーザーにとって価値のある情報を提供し、検索意図(ユーザーが検索する目的)に合致したコンテンツを作成することが、SEOにおいて最も重要な要素だといえるでしょう。したがって、テクニカルSEOとコンテンツSEOのバランスを保ちながら、包括的なSEO戦略を立てる必要があります。
クローラー向けのテクニカルSEO施策
テクニカルSEOでは「クローラー向け」と「インデックス向け」の施策にわけて実行します。以下では、クローラー向けのテクニカルSEO施策について解説します。
- サイトのパフォーマンス改善
- HTTPS化
- モバイルフレンドリーなWebサイト設計
- サイトマップとrobots.txtの最適化
- URL構造の最適化とcanonical設定
- サイト内リンクの最適化
サイトのパフォーマンス改善
サイトの表示速度は、ユーザーエクスペリエンスと検索順位に大きな影響を与えます。Google PageSpeed Insights(ページの読み込み速度を分析するツール)やGTmetrix(ウェブパフォーマンス測定ツール)などを活用し、サイトのパフォーマンスを定期的に測定・改善することが重要です。
具体的な施策として、画像ファイルの圧縮・最適化、ブラウザキャッシュ(一時的なデータ保存)の活用、CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)の導入などが挙げられます。また、Core Web Vitals(ウェブページのユーザーエクスペリエンスを評価する指標)にも注目し、LCP(最大コンテンツ描画時間)、FID(初回入力遅延時間)、CLS(累積レイアウトシフト)の改善に取り組むことで、ユーザー体験の向上を図りましょう。
HTTPS化
HTTPSとはインターネット上でデータを暗号化し、安全に通信を行うためのプロトコル(通信手順)です。HTTPS化とは、Webサイトの通信をHTTP(暗号化なしの通信手順)からHTTPSに切り替えることを指します。
常時SSL(Secure Socket Layer)化をし、サイト全体をHTTPS化することで、ユーザーのセキュリティとプライバシーを保護できます。また、Googleをはじめとする検索エンジンは、HTTPS化を重要な評価指標の1つとしています。
加えて、サイトの脆弱性を定期的にチェックし、セキュリティ上の問題を未然に防ぐことも欠かせません。包括的なセキュリティ対策を講じることが、ユーザーと検索エンジンの両方から信頼されるWebサイトづくりには大切です。
モバイルフレンドリーなWebサイト設計
近年、スマートフォンやタブレット端末からのインターネット利用が増加しており、Googleではモバイルファーストインデックスを導入しています。こうした状況を踏まえ、モバイルデバイスに最適化されたサイト設計を行うことが重要です。
レスポンシブWebデザイン(画面サイズに応じたレイアウトの自動調整)や動的サービング(デバイスごとに異なるHTMLを用意する方法)などを用いて、モバイルユーザーに快適な閲覧体験を提供しましょう。具体的には、ページの読み込み速度の向上やタップターゲット(クリック可能な要素)のサイズ拡大、フォントの可読性の確保などに取り組みます。
また、Search Consoleのモバイルユーザビリティレポートを活用し、モバイルフレンドリー性の問題点を特定・修正することも効果的です。
サイトマップとrobots.txtの最適化
XMLサイトマップとは、Webサイトに含まれるURLの一覧を検索エンジンに提示するファイルです。XMLサイトマップを検索エンジンに作成・送信することでサイト構造を明示的に伝えられ、クロールを効率化できます。
また、robots.txt(クロールの許可・拒否を指示するファイル)を活用することも重要です。重複コンテンツや非公開ページなど、インデックスに不要なURLへのクロールを制限することで、クロール効率をさらに高められます。
サイトマップとrobots.txtの最適化により、クロールバジェットを管理し、重要なページにクローラーのリソースを集中させることが可能です。ただし、robots.txtによる過度なクロール制限は逆効果となる場合もあるため、慎重に設定する必要があります。
URL構造の最適化とcanonical設定
WebサイトのURL構造は、ユーザビリティと検索エンジン最適化の両面から重要な要素です。URLの階層を論理的に設計し、キーワードを含む簡潔で説明的なURLを作成することで、ユーザーと検索エンジンの双方にとって理解しやすいサイト構造を実現できます。
また、Webサイト内で重複するコンテンツが存在する場合、検索エンジンがどのページをインデックスするべきか判断できず、SEOに悪影響を及ぼす可能性があります。この問題を解決するために、正規化(canonicalization)の設定を行います。
具体的には、「rel=”canonical”」タグを使用して、重複コンテンツの中で最も優先させたいページ(正規URL)を指定します。これにより、検索エンジンは正規URLをインデックスに選択し、重複コンテンツによるSEOの悪影響を回避できます。
サイト内リンクの最適化
サイト内リンク(内部リンク)は、ユーザーのナビゲーションを助けるだけでなく、検索エンジンがサイトの構造を理解するうえでも重要な役割を果たします。サイトの重要なページ、たとえばカテゴリーページやコンバージョンにつながるページへ、適切に内部リンクを配置することで、サイト内のリンク構造を最適化できます。
パンくずリストを導入し、ユーザーが現在位置を把握しやすくするのも効果的です。一方で、内部リンクの設置は適度な数に留め、アンカーテキストは自然な文脈の中で使用することが求められます。
また、定期的にサイト内のリンク切れをチェックし、発見された場合は速やかに修正しましょう。リンク切れはユーザーと検索エンジンのサイト巡回を妨げ、サイトの信頼性を損なう要因となります。
インデックス向けのテクニカルSEO施策
- タイトルタグとメタディスクリプションの最適化
- 構造化データの実装
- 重複コンテンツとシンコンテンツの管理
- 画像の最適化とalt属性の設定
- インデックスステータスのモニタリング
タイトルタグとメタディスクリプションの最適化
タイトルタグとメタディスクリプションは、検索結果ページにおいてユーザーが最初に目にする要素であり、クリック率(CTR)に大きな影響を与えます。各ページの内容を的確に表現し、ユーザーの検索意図に合致した魅力的なタイトルとディスクリプションを設定することが重要です。
ただし、タイトルタグとメタディスクリプションを詰め込みすぎるのは逆効果です。適切な文字数を守り、読みやすさと明瞭さを優先しましょう。
構造化データの実装
構造化データとは、Webページ上のコンテンツに特定の意味合いを付与するためのマークアップ(タグ付け)です。Schema.orgなどの語彙体系に基づいて、コンテンツの種類や属性を明示的に記述することで、検索エンジンにページの内容や文脈を正確に伝えることができます。
構造化データを適切に実装することで、検索結果ページ上のリッチリザルト(リッチスニペット)への表示が期待できます。たとえば、製品ページにスキーマを適用すれば、検索結果に価格や在庫状況、レビュー評価などが表示されるようになります。これにより、通常の検索結果よりも視認性が高まり、ユーザーの関心を引き付けやすくなるでしょう。
重複コンテンツとサイト外コンテンツの管理
クローラー施策と同様、インデックス施策においても重複コンテンツのチェックは必要です。rel=”canonical”タグの設定やURLパラメータの正規化、重複ページの統合などの対策を行います。
また、自サイトのコンテンツが他サイトに無断で転載されている場合、オリジナルコンテンツとしての評価が分散し、検索順位に悪影響を及ぼすことがあります。サイト外の重複コンテンツについても定期的に監視し、発見した際はコンテンツの削除要請などを行いましょう。
画像の最適化とalt属性の設定
サイト上の画像ファイルは、適切な圧縮を行うことでデータ容量を減らし、ページの読み込み速度を改善しましょう。画像の品質を維持しつつ、フォーマットの選択やサイズの縮小、圧縮ツールの活用などを通じて最適化を図ります。
また、画像に対してalt属性を設定し、画像の内容をテキストで説明することが重要です。alt属性は画像が表示されない環境や、スクリーンリーダーを使用するユーザーのために用意されたものですが、検索エンジンもこの情報を画像認識に活用しています。
インデックスステータスのモニタリング
Google Search Consoleを活用し、定期的にサイトのインデックスステータスをモニタリングすることが重要です。Search Consoleのレポートでは、インデックスされているページ数やインデックスされていないページ、エラーが発生しているページなどを把握できます。インデックスされていないページがある場合は、サイトマップの登録漏れやクロール障害などの原因を特定し、速やかに対処しましょう。
テクニカルSEOのポイント
本章では、テクニカルSEOのポイントを6つ紹介します。
- クローラー向けのテクニカルSEOから着手する
- サイトの規模と特性に合わせた施策の優先順位付け
- インデックス状況を確認しながら施策を実施する
- テクニカルSEOのチェックリストを作成する
- コンテンツSEOとのバランスを考慮する
- 定期的な効果検証とモニタリングを行う
それぞれ見ていきましょう。
クローラー向けのテクニカルSEOから着手する
テクニカルSEOを進めるうえで重要なのは、まずはクローラー向けの対策から始めることです。検索エンジンのクローラーがサイトを巡回し、ページの情報を収集できなければ、インデックスされる機会を逃してしまいます。
サイトの表示速度改善やサイトマップの最適化、リンク構造の整理など、クローラーが効率的に巡回できる環境を整えましょう。
サイトの規模と特性に合わせた施策の優先順位付け
すべてのテクニカルSEO施策を一度に実施するのは難しいため、サイトの規模や特性に合わせて優先順位を付けることが重要です。サイトの課題や目標を明確にし、最も効果が見込める施策から着手しましょう。また、サイトの成長に合わせて、継続的にテクニカルSEOの施策を見直し、改善を重ねていくことが求められます。
インデックス状況を確認しながら施策を実施する
Google Search Consoleを活用し、サイトのインデックス状況を定期的に確認します。インデックスされていないページがある場合は、原因を特定したうえで、インデックス向けのテクニカルSEO施策を実施しましょう。施策の効果を検証しながら、段階的に改善を進めていくことが重要です。
テクニカルSEOのチェックリストを作成する
テクニカルSEOには多岐にわたる施策があるため、抜け漏れなく対応するために、チェックリストを用意することをおすすめします。サイトの規模や特性に合わせてチェックリストをカスタマイズし、定期的に見直しを行いましょう。これにより、テクニカルSEOの進捗管理がスムーズになり、効率的に作業を進められます。
コンテンツSEOとのバランスを考慮する
テクニカルSEOはサイトの技術的な土台を整えるための施策ですが、それだけでは十分な検索順位の向上は望めません。ユーザーにとって、魅力的で価値のあるコンテンツを提供するためのコンテンツSEOとのバランスを考慮し、両者を並行して進めていくことが重要です。テクニカルSEOとコンテンツSEOを適切に組み合わせることで、相乗効果を生み出せます。
定期的な効果検証とモニタリングを行う
テクニカルSEO施策の効果を定期的に検証し、PDCAサイクルを回すことが重要です。Google Search ConsoleやGoogle Analyticsなどのツールを活用し、サイトのパフォーマンスを継続的にモニタリングします。改善の機会を見逃さないよう、データに基づいた意思決定を心がけましょう。
まとめ
テクニカルSEOは、サイトの表示速度や構造、インデックス状況など、技術的な側面からWebサイトを最適化する取り組みです。クローラー向けとインデックス向けの施策を適切に実施することで、検索エンジンからの評価を高め、検索パフォーマンスの向上につなげることができるでしょう。
サイトの規模や特性に合わせて優先順位を決め、PDCAサイクルを回しながら継続的にテクニカルSEOを強化していくことが重要です。
しかし、専門的なツール利用や、施策の実行にハードルの高さを感じるマーケターの方も多いのではないでしょうか。そのような方は、ぜひマーケティングテクノロジーに精通した企業サポートもご検討ください。
WebマーケティングやWebサイト改善、Webサイト集客など、さまざまな課題や悩みに対応したビジネスを展開しています。
One to Oneマーケティングをはじめとしたコンサルティングに関するご相談にも、対応可能です。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
今本 たかひろ/MarTechLab編集長
料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。