「目的脳」の男性と、「共感脳」の女性! 男女のズレをWEBサイトに応用する!
皆さんこんにちは。ギャプライズ鎌田(@kamatec)です。
これまで、成功と言われた製品におけるマーケティングは、どれもがそれを使用するカスタマーやユーザーの視点からマーケティングを考え尽くして生み出されたものと言えます。そのような人間中心デザイン(User-centered design)は、ユーザーに対して製品を使うよう変化させる試みを否定し、使う人間の立場や視点に立って製品を最適化することを考えます。
最適化をするためには、まず最初にユーザーの理解が必須といえるでしょう。今回はそのユーザー理解のひとつの助けとなる”男女の違い”に注目したいと思います。
ユーザーの中で最も顕著な差が現れるのが、男女の違いです。脳科学の研究から男性と女性の認識的違いは生まれつき異なっているといわれています。つまり男女によって、考え方や感じ方に特徴的な違いがあるのです。
(※2020/8/21更新)
表情に反応する女の子、モノを気にする男の子
イギリスの発達心理学者サイモン・バロン=コーエンによれば、生まれたばかりの赤ちゃんが男の子と女の子で明白な違いがあるといいます。そのひとつが興味の対象です。
男の子は対物志向が強く、女の子は対人志向と強いというのです。実際、男の子は乗り物やロボットなどのおもちゃで空想的な遊びをしたがったり、女の子は人形遊びやままごとといった社会性のある遊びが好む傾向があります。
また、例えば母親が携帯電話でメールを打っているのを見た場合に、女の子はその母親の表情などに注目するのに対して、男の子は持っている携帯電話に注目してしまうのです。
「目的脳」の男性と、「共感脳」の女性
このような男女の違いを脳科学の視点から見ると、男性は「目的脳」、女性は「共感脳」と言われています。
早稲田大学の森川友義教授はこちらの記事で、男女の脳の違いをこう語っています。
我々の遺伝子の進化は非常に遅く、狩猟採集時代の遺伝子を引きずっています。農耕社会から産業社会になるまでの期間が大変短かったため、遺伝子が追いついていないのです。狩猟採集時代においては、男性は、狩猟している最中に会話をしていたら獲物が逃げてしまうので、必要最低限の目的のある会話しかしなくなり、その結果、「目的を解決するための解決脳」になっています。一方の女性は、いつ獲物に襲われるか分からないので、声をだすことで互いの存在を確認しなくてはいけませんでした。そのため、目的がなくても会話をする必要があり、女性の脳は、声を出して共感し合う「共感脳」というものに進化しました。
ここでは会話の例が挙がりましたが、他にも男性はモノゴトを体系的に考えるシステム思考が得意であり、女性は人のわずかな表情や声のニュアンスを読み取ることが得意であるなどの違いがあるという研究結果もあげられています。
男女の脳の違いはサイト行動にも反映されるのか?
では、このような脳の違いというのは、サイトの行動でも現れるのでしょうか?
あるレシピサイトを、Clicktaleで男女がそれぞれどう行動するかを分析してみました。
以下はマウスクリックヒートマップから、ウェブサイトの訪問者がページ内でどの部分をクリックしているかを示したものです。男性は左で、女性は右です。
これを見ると、女性ユーザーはトップメニューバーにかなり注目していることがわかります。異なる食べ物のレシピを見るために、様々なカテゴリーをクリックしているのです。女性はまた、レシピよりも左サイドの画像をクリックする割合が高く、多くのページを回遊していることがわかります。
男性はそれに対して、クリック自体が女性と比べてほとんどありません。これは男性が検索したものを閲覧した後に、「レシピを知る」という目的のことが完了したため、そのままサイトから離脱していっていることを示しています。「目的脳」の顕著な側面が垣間見える結果となりました。
また、次の画像はアテンションヒートマップでの分析画像です。(赤くなっているところがより注目されている箇所となります)こちらも、男性は左で、女性は右です。
ページの中央に赤い帯が見て取れるように、男性はレシピの原料と、どのようにして調理するかにマウスが集中しています。
対して、女性はヒートマップの赤くなっている部分がページ全体に広がっていることから、ページの上下をブラウジングして、あまり集中してコンテンツを見ていません。目的のレシピや調理法以外にも、様々な画像や情報に反応する傾向があるのでしょう。
この2つのヒートマップからわかることは、男性は目的の情報を得るためにWEBサイトを訪れるのに対して、女性は目的をより深く知ろうとブラウジングを行うという傾向があるということです。
男女行動の違いをWEBサイトに応用する
男女の行動の違いに目を向けるようになれば、自ずとビジネスのやり方も変わってくるでしょう。
男女の購買行動の違いを明らかにした論文「Men Buy,Women Shop」を執筆したウォートン大学のステファン教授によれば、
「女性は人間関係や流行によって購買を考えるが、男性は自分にとって役立つもの・目的を達成するものを買おうとする傾向がある」
と述べています。
では、どのようにしてこの知見をWEBサイトデザインや、ユーザー体験に生かしていけばいいのでしょうか?以下にその3つのヒントを紹介します。
■男性には目的の達成を、女性には回遊プロセスを楽しませることを
今まで述べてきたように男性はある目的を達成しようとする志向性が高く、女性はそのプロセスを楽しむ傾向があります。そのため、男性にはより目的の情報を明確に配置するようにして、女性にはブラウジングを楽しめるように幅広いコンテンツを配置することが効果的です。
■WEBサイトのタイプ
女性はWEBサイトに対してコミュニケーションを求めます。例えば、チャットであったり、SNSなどには女性のほうが多くの時間を費やしています。対して、男性はWEBサイトを一つの「ツール」として考えているため、その機能面に着目します。男性向けWEBサイトならば、仕事や生活に役立つ情報などを発信することが効果的と言えます。
■注目するコンテンツの違いを応用する
女性は男性よりも多くの細かいところに注意を払っています。そのため、購買の決定を下すのにも色の違いや・コピー・細かい製品情報・値段など多くの情報を求めます。実際、Clicktaleでの分析でも男性よりも女性のほうが1回の訪問で閲覧するページ数が多いという結果になることがわかっています。
対して、男性は衝動的に購買をしてしまう傾向があります。大きなキャッチコピーや見出しに強く反応し、購入を決めてしまいます。
以上より、女性向けサイトであれば細かい丁寧なサイトにすることが必要ですが、男性向けサイトは注目を引く大きなキャッチコピーや画像を魅せていくのが効果的と言えるでしょう。
まとめ
これまで見てきたことを考えると、もしあなたが自分のWEBサイトの訪問者数を増やし、最終的に利益を増加させたいと考えているなら、男女によるのセグメント分けは重要な視点と言えます。
ただ、これはWEBサイトを男性用、女性用にしなければいけないということではありません。重要な事は、自分のWEBサイトの訪問者の男女比がどれくらいであるのかを分析し、その比率に合わせたWEBデザインを提供していくことでしょう。
※ClicktaleはContentsquareへ統合され新たなプラットフォームとして生まれ変わりました。
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