【2024年版】ウェブ解析だけでは見えない!デジタル顧客行動の変化に適応するためのデータ活用戦略

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デジタル顧客体験の重要性が高まる2024年

2024年、ECサイトを取り巻く環境は大きな変化に直面しています。コロナ禍を経て、オンラインショッピングはより日常的なものとなりましたが、その一方でトラフィックの減少とコンバージョンコストの上昇という新たな課題が浮上しました。ウェブ解析の枠を超えて、サイト訪問者一人ひとりにとって価値ある体験を提供し、訪問あたりの価値を最大化することが求められるのです。

そこで注目したいのが、Contentsquare社が発表した「2024年デジタルエクスペリエンス・ベンチマークレポート」です。全世界のサイト訪問者約430億人、15ヶ月分ものデータを分析し、デジタル顧客体験に関する最新トレンドを明らかにしています。本記事では、このレポートから読み解く顧客行動の変化と、それに適応するためのデータ活用戦略について解説します。

直近1年で見られた顧客行動の傾向と変化

ベンチマークレポートによると、直近1年で以下のような顧客行動の傾向が見られました。

訪問あたりのコストが高騰

2023年は、トラフィックが3.6%減少しただけでなく、広告費の増加もあいまって、訪問あたりのコストが9.4%上昇しました。Googleで17%、Metaプラットフォーム全体で13%と、最も重要な顧客獲得チャネルで広告費が大幅に増加。しかし、集客できる訪問者数は減少しました。より少ない訪問者を集めるために、より多くのコストが必要になっているのです。

フラストレーションの悪影響

2023年には、5セッションのうち2セッション(39.6%)がフラストレーションに遭遇し、2022年から3.9%上昇しました。ページの読み込み遅延やレイジクリックといった主要因の割合は減少したものの、新たな要因としてJavaScriptのエラーが浮上。ウェブサイトのスピード改善と並行して、新たなフラストレーション要因への対策が急務です。

コンテンツ消費の縮小

訪問者のエンゲージメントの低下に伴い、ウェブサイトにおけるコンテンツ消費量も減少しました。閲覧ページ数やスクロール数は、訪問あたりで3.0%、ウェブサイトの総トラフィックを考慮すると全体で6.5%減少。特にモバイルにおける訪問時間は2.5分未満と、引き続き消費を下押ししています。画面サイズだけでなく、ジャーニー全体を考慮したモバイル最適化が求められます。

2つのペイドメディア

ペイドソーシャルは、2023年にトラフィック成長を示した2つのマーケティングチャネルの1つであり、獲得チャネルのトップ5に入りました。しかし、有料検索(広告)と比べると見劣りします。検索広告のコンバージョン率はソーシャル広告の4倍で、より意図的な訪問者に有効。一方、ソーシャル広告経由の訪問者は、検索広告に比べて直帰率が41%高いことも判明しました。

コンバージョンの低迷

訪問者のエンゲージメント低下とフラストレーションの増加に伴い、コンバージョン率は5.5%減少。コンバージョンの低いペイドソーシャルと広告にトラフィックがシフトしたことも一因となっています。

従来の集客手法や顧客体験の延長線上に、もはやブレイクスルーの余地はありません。デジタル顧客の行動変容をリアルタイムで捉え、一歩先を見据えた打ち手が求められます。コスト効率を意識しつつ、フラストレーションを解消し、コンテンツ消費を促進する。それがCX向上と業績改善につながる鍵となるでしょう。

小売業界に見る特徴的な顧客行動トレンド

ベンチマークレポートでは10業界を横断的に分析していますが、中でも変化の振り幅が大きかったのが、カテゴリーの複雑さゆえにCX向上が追い付いていない小売業界でした。

    • ブランドやカテゴリーを超えた比較検討が活発化。一気通貫の顧客体験と、競合を意識した差別化が重要に。
    • 購入判断におけるレビューやおすすめ機能の影響力がさらに増大。透明性の高いレビュー運用と、行動データに基づくレコメンドの最適化がカギ。
    • 在庫切れや配送遅延を懸念したサイト離脱が増加。リアルタイムな在庫情報の可視化など、店舗とオンラインの連携強化が不可欠に。

この傾向は、他業界にも共通するものです。業界の垣根を越えて、トレンドに機敏に対応できる組織・システムへの変革が急務と言えるでしょう。

Koala Sleep Japanに学ぶ訪問価値の最大化事例

そうした中、デジタル顧客行動の理解に基づき、訪問価値の最大化を実現している企業もあります。家具・インテリアのECサイト運営で注目を集めるKoala Sleep Japanです。

同社の平松氏によると、行動データ分析により顧客の課題を特定し、UI/UXを継続的に改善。離脱の原因となっていたフラストレーションポイントを次々に解消したことで、直帰率の低下とコンバージョン率の向上を実現したと言います。

また、属性や行動履歴に基づくセグメンテーションを行い、パーソナライズされたコンテンツ・レコメンドを提供。サイト内検索の精度を高めることで、エンゲージメントの向上にもつなげたとのことです。

同社の取り組みに共通しているのは、仮説検証のサイクルを高速で回しながら、顧客視点での課題発見と解決策の立案を繰り返している点です。システム・組織の垣根を越え、全社でその意識を共有することが成果の源泉になっているようです。

顧客行動の変化に適応し成果を上げるポイント

ここまで見てきたように、デジタル顧客行動の変化に適応し、成果を上げるためには、以下のような戦略が欠かせません。

    1. オンライン・オフラインの垣根を越えた行動データ収集と統合的な分析
    2. サイト内の動線やUI/UXの改善による顧客体験価値の向上
    3. セグメント別のパーソナライズ施策立案と、PDCAサイクルの高速化
    4. 部門間連携の強化とカスタマーセントリックなマインドセットの醸成
    5. CXOプラットフォームなどのテクノロジー活用による、データ活用の効率化・自動化

もはや、従来のウェブ解析だけでは、このスピード感についていくことはできません。サイロ化された組織を解体し、全社でデータドリブンな意思決定を実践する。それが、激動の時代を勝ち抜くための必須アプローチなのです。

ベンチマークウェビナーのご案内

本記事で紹介した「2024年デジタルエクスペリエンス・ベンチマークレポート」の詳細について、2024年4月18日にContentsquare社主催のオンラインウェビナーにて解説されます。

講演では、Contentsquare社のシニアソリューションコンサルタント、沖本篤史が登壇。各業界の最新動向と示唆に富んだ分析結果が学べる機会となっています。

さらに、特別ゲストとしてKoala Sleep Japan、平松美帆氏のご登壇も決定しているようです。CX改善の実践ノウハウについて、具体的な事例をもとにお話しいただけるとのことです。

質疑応答の時間もあるようですので、ぜひご参加ください。

また、ウェビナーに先立ち、レポートの全文をダウンロードいただけます。本記事で触れられなかった業界別の詳細分析や、戦略立案に役立つフレームワークなども収録されています。

変革の時代を迎えたEC業界で勝ち残るためのヒントが、ここにあります。

ウェビナーへのご登録は、以下より無料でご登録いただけます。

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今本 たかひろ/MarTechLab編集長(仮)

料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。

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