ABテストで男の本能がむき出しになった件
ABテストは良い時も悪い時も、数字で明確な結果を得ることができます。しかしこの数字結果に満足して、「ユーザー心理がどう変化したか?」を分析することがおろそかになってしまうことがあります。
そこで今回は、我々が実際に行ったメールでのABテストをもとに、ユーザー心理の分析がなぜ大事なのか?どのような手法で解き明かすのか?をご紹介します。
さらに今回はよりわかりやすいユーザー心理を浮き彫りにするために、人間の3大欲求のうちの一要素をテスト内容に加えて、「男の本能がむき出しになった」事例をお見せします。
それではいってみましょう。
ABテスト内容:セミナー集客メールテスト
これから読んでもらうのは、オプティマイズリーのセミナー集客を目的とした2つのメール文面で、今回は2種類のABテストを行いました。以下がそのメール文面です。
■メールA
Title:【無料セミナー】CVR10倍事例から学ぶ「ヒートマップ」☓「ABテスト」活用方法
■メールB
Title:【無料セミナー】なぜ私はCVR10倍を達成できたのか。~美人PMがその裏側を全て語る~
おわかりの通りメールBには「元外資系コンサルファーム出身の美人トリリンガル」という要素を加えて、メールAとの違いを出しました。このABテストの結果は以下の通りです。
メールA | メールB | |
開封率 | 20.1% | 22.8% |
クリック率 | 1.1% | 2.1% |
CV率 | 1.08% | 0.66% |
CV数 | 12件 | 14件 |
メールBのほうがクリック率は2倍になったものの、CV数はそこまで差がでませんでした。
さて、この数字から仮説をたてると、男性ならばおそらく皆さん考えるのが、
“「美人」のキーワードに釣られてクリック率高くなった。セミナー内容ではなく美人が誰なのか見たかったのでは?”
と考えるのが自然な流れでしょう。しかし、ABテストによって、より効果の高い知見を得るにはここで思考を止めてはいけません。ここから、よりユーザーの心理を見抜き、知見を得て、それを元に次の施策の仮説へと繋げられるかが次のABテストの質に関わるからです。
そこで、ここからはより数値結果を掘り下げていきましょう。
ABテストの数字をさらに掘り下げる
まず、さきほどの数字結果から想像されるのは“「美人」というワードに引っかかった男性が、どんな美人が出るのか気になってクリックしたのでは”という点までです。
では、ここからさらにクリックからの訪問者がどのような行動をWebページ上でとったのかを詳しく見てみましょう。
以下はA、Bそれぞれのメールから流入してきたアクセスを、セグメント別に比較したヒートマップです。
メールを見てページに訪れたユーザが何をしているかというと、明らかに女性の「名前」をマウスでなぞっています。
おそらく名前をコピペしているのだと想像出来ます。ちなみにこの女性社員の名前で検索すると、弊社スタッフページが上位に来るのですが、該当ページへのアクセスは通常の3倍程度に跳ね上がっていました。
つまり、このABテストから得られたユーザー心理は以下のように整理することができます。
場面 | 心理 | 数値結果 |
メールを読んでいる時 | 「この『美人トリリンガル』が気になる!」 | クリック率上昇 |
URL先のランディングページを読んでいる時 | 「この『美人トリリンガル』をもっと知りたい!名前で検索してみよう!」 | 社員ページのアクセス数が3倍 |
このように数字解析から一歩踏み込んだ形で、ユーザーの心理を把握出来れば次のテストをより具体的に考察することができるのです。
ABテストでわかったユーザー心理を施策に活かす
ちなみにこのユーザー行動を見て、具体的に施策として我々が思いついたアイデアは
【案1】名前と写真の部分をリンクにしてフォームに飛ばす
【案2】女性の名前と写真をファーストビューに持ってくる
【案3】女性社員と「Facebookで友達になれる」をセミナー特典にする
というものでした。
あくまでアイデアですので実施するかは別として、、いずれの施策にしてもただ数字分析から得られた結果から考えるよりも、ユーザーの行動心理に沿った改善内容になっているかと思います。
まとめ
今回はあくまでわかりやすい例として大胆なABテストを実施しましたが、皆さんのビジネスでも同じプロセスでのテスト、検証は自体は可能です。
ABテストとヒートマップを利用した分析については、以下も合わせて読むとレベルの高いABテストを行うことができるでしょう。
*『ABテストとヒートマップ分析を組み合わせて爆速でテストを回す方法』
ぜひトライしてみてください。