ABテスト勝率を50%へ引き上げる17の切り口【サイト改善百科事典つき】
こんにちは。コンサルティング部の石山 資(たすく)です。
ABテストの平均勝率は、ABテストツールを提供するOptimizely社によると約25%といわれています。
つまり4回に1回だけテストが勝つ計算です。
一方弊社コンサルティング部は、昨年度約1,600本のABテストを実施し、約51%と高い勝率を維持しました。
なお、勝ちテストの平均改善率も約122%と勝率・改善率ともに高いテストを実施するチームと自負しています。
膨大な数のテストを実施する中で、ABテストには改善効果が高い切り口があるとわかってきました。
本記事では、どういった切り口が改善効果の見込めるのか、テストの背景・仮説をまじえた事例をご紹介します。
記事の最後に全17つの切り口と事例をセットにしたサイト改善百科事典の抜粋版をダウンロードいただけます。
サイト改善の効率化にぜひご活用ください。
1.ABテストの切り口と一部事例のご紹介
まずはじめに、全17つの切り口をご紹介します。
上にあるものほど重要性が高く、サイト改善が伸び悩んでいるときにぜひ考慮してほしい切り口です。
こちらから2つ例にとり、実施の背景・結果とともに事例を見ていきましょう
切り口と事例① ターゲットにあわせた訴求軸でCVR110%改善
どんなターゲットに向けてサービスを訴求するかでコンバージョン率(CVR)が大きく変化します。
適切なターゲットへ的確な訴求をおこなえば高いCVRを実現できますが、
訴求軸がぶれてしまうとユーザーは「自分が望んでいるサービスではないな」と感じ、
せっかく訪問してくれたにもかかわらず離脱してしまいます。
エンジニア養成スクールサイトを例にとってみます。
こちらのサイトでは「受講生の満足度」「オリジナルのサービス開発が出来る点」をメインに魅力を訴求。
しかし直帰率が高く、思うようにCVRが伸びないという課題をかかえていました。
そこで、エンジニアになりたいユーザーはどういったサービスを望んでいるかに立ち戻り、
トップページのメインビジュアルコピーを「最短1ヶ月でフリーランスになれる点」を軸に内容を変更。
未経験者でもスキルアップから仕事の獲得まで一貫してサポートできる訴求文に変更しました。
結果として、申し込み率は約110%改善。
ヒートマップツールClicktaleで分析すると、ページ内のコンテンツへの注目度(Engagement Time)も
向上していたため、訴求を変えたことでユーザーの心を掴むことに成功しました。
ターゲットに対し的確な訴求を行うことで、部分的な変更でもCVRをのばすことができます。
思うようにCVRが伸びていないときこそ、ニーズを外したうたい文句となってしまっており、
ターゲットユーザーを入口で門前払いしてしまっている可能性があります。
まずは適切なメッセージでターゲットを気持ちよく出迎えられているか検討ください。
ターゲットへ何を伝えるか明確化した後は、「どのように伝えるか」という観点から文章をより洗練させましょう。
切り口と事例② どんな価値が提供できるか伝えることでCVR123%改善
訴求軸をあわせる点と同じくらい重要なのが、どんな付加価値を提供できるか伝える点です。
自社サービスの強みを伝えるという視点はサイト改善でよくいわれる定石ではあります。
ただし、強みを伝えるという意識で訴求すると企業が主語となりがちです。
結果として、企業側が伝えたい情報ばかり訴求して、ユーザーがコンバージョン(CV)にあたり
必要としている情報を適切に届けていない、というリスクがあります。
強みを伝えることは非常に重要ですが、あくまでユーザー目線でその強みに意義はあるのか、
ひいてはユーザーにとって価値があるか再考する必要があります。
上記をふまえ、例をみてみましょう。
こちらの留学サポートサイトでは、ターゲットにあわせシンプルかつ洗礼されたサイトデザインを採用し、
Webサイトとして雰囲気の醸成には成功していました。
ただし、他のサイトと比べてどんな留学サービスを提供できるのかに焦点を当てた訴求が不足しており、
メインビジュアル下部の料金シュミレーターからシュミレーションだけして離脱する、
という課題を抱えていました。
ここで、注目が集まりやすいメインビジュアルと料金シュミレーターの間に料金が低価格に抑えられ、
なおかつ年間利用者数も5,000人を超えている訴求を追加しました。
結果、資料請求率が約123%改善。
料金をシュミレーションした後の資料請求フォームからのCVが大幅に向上しました。
仮に年間利用者数のみ訴求した場合だと、企業寄りの訴求となってしまうため効果が今ひとつの可能性もあります。
今回はメインの訴求をユーザーが気になっている料金にすえるだけでなく、
利用者数をサブコピーとして訴求し、「料金が安ければサービスとして質はどうなの?」という
疑問を先回りして解消しています。
繰り返しになりますが、ユーザーが欲している情報はあくまで自分にとって価値があるかです。
企業目線での情報提供は意欲向上へ多少寄与する可能性はありますが、CVまでつながるか疑問が残ります。
訴求がユーザーの満足を満たす情報になっているかを切り口にコンテンツを考案することが重要です。
2.まとめ・事例ダウンロードリンク
どんな切り口で実施するのか、しっかり意識することでテストを考案しやすくなるだけでなく、
高い勝率・改善効果の見込めるABテストを実施することができます。
下記より、全ての切り口のABテスト事例集をダウンロードいただけます。
サイト改善のさらなる向上のため、ぜひご活用くださいませ。
また、今回ご紹介した事例は全108の事例のうち、ほんの一部に過ぎません。
ブログではお伝えすることが難しい非公開事例もございます。
貴社にあわせた切り口や、ご要望にそってお話しますので、
サイト改善にお困りでしたらお気軽にこちらからお問い合わせくださいませ。
石山 資 コンサルタント
2018年ギャプライズ入社。入社以来LPを中心に、70以上のWebサイトの改善に従事。Google Analyticsによる定量分析・サイト改善だけでなく、GoogleデータポータルやTableauといったBIツールを用いたKPI可視化にも強みを持つ。 趣味はものを限りなく減らすこと(=ミニマリスト)