ヒューリスティック分析とは?効果的なやり方やポイント、事例を紹介
ヒューリスティック分析は、Webサイトやアプリのユーザビリティを評価する上で欠かせない手法です。
専門家の経験と知見を活かし、ユーザーの視点に立って使いやすさや効率性を定性的に分析します。
本記事では、ヒューリスティック分析の概要や重要性について解説するとともに、効果的な実施方法やポイントを紹介します。
サイト改善に強みを持つ弊社CXO事業部が実際に取り組んだ結果から、「実践すべきテストの切り口」を整理しまとめました。
本資料では、過去7,500回以上の事例のうち、厳選した事例17選をご紹介しています。各テストの背景・内容・結果・考察まで記載しておりますので、こちらからダウンロードください。
目次
ヒューリスティック分析とは
ヒューリスティック分析は、Webサイトやアプリのユーザビリティを評価するための重要な手法です。
専門家が自らの経験や知見を基に、ユーザーの体験や感情を考慮しながら、使いやすさや効率性を定性的に分析します。
数値化が難しいデザインや構造、コンテンツの質などを評価することで、ユーザーの視点に立った改善点を見出すことができます。
デジタル時代において、ユーザーエクスペリエンスは購買行動に直結する重要な要因です。
ヒューリスティック分析を通じてユーザビリティを向上させることで、顧客満足度やコンバージョン率のアップにつながります。
また、定量的なデータ分析と組み合わせることで、ユーザーの深層心理や感情的な反応までを理解し、より効果的なマーケティング戦略を立案できます。現代のマーケターにとって、ヒューリスティック分析は必須のスキルといえるでしょう。
ヒューリスティック分析の目的
ヒューリスティック分析の主な目的は、Webサイトのユーザビリティを向上させることです。
使いやすく直感的なWebサイトを提供することで、ユーザーの満足度を高め、離脱率を減らし、より長い滞在時間を促進可能です。これは、検索エンジンの順位にも好影響を与え、オーガニック流入の増加にもつながります。
また、ヒューリスティック分析を通じて明らかになった問題点を改善することで、コンバージョン率の向上も期待できるでしょう。ユーザーがスムーズに目的の作業を完了できるようになれば、購入やお問い合わせ、会員登録などの目標達成率が上がり、売上やリード獲得の増加につながります。
ヒューリスティック分析とほかの分析手法との違いとは
本章では、マーケティング戦略におけるヒューリスティック分析とほかの分析手法との違いを解説します。
- アクセス解析との違い
- ユーザビリティテストとの違い
それぞれ解説します。
アクセス解析との違い
ヒューリスティック分析は、専門家の主観的な評価に基づく定性的な手法で、ユーザーインターフェースがインタラクションデザインの原則に沿っているかを判断し、改善点を指摘します。
一方、アクセス解析は、ユーザーの実際の行動データを定量的に分析する手法です。離脱率の高いページやコンバージョンに至る流れなどを明らかにできます。
両者は互いに補完的な関係にあり、ヒューリスティック分析で発見された問題点がアクセス解析のデータでも裏付けられることで、より確実な改善策を導き出せるのです。また、アクセス解析で明らかになった課題をヒューリスティック分析の視点で掘り下げることで、根本的な原因を特定できます。
ユーザビリティテストとの違い
ヒューリスティック分析が専門家の主観的な評価に基づくのに対し、ユーザビリティテストは実際のユーザーの行動や反応、意見を観察・収集することで、ユーザー体験に基づいた評価を行います。
ユーザビリティテストには、タスクベースのテストやインタビュー、アイトラッキングなどさまざまな手法がありますが、いずれもユーザーの視点で問題点や改善点を発見することが目的です。
専門家の評価では見落としがちな、ユーザーが直面する実際の課題や要望を把握できるため、ヒューリスティック分析を補完する重要な役割を果たします。
ヒューリスティック分析とユーザビリティテストを組み合わせることで、専門家の知見とユーザーの実体験の両方を考慮した、より効果的なユーザビリティ評価が可能になります。
ヒューリスティック分析で特定された問題点がユーザビリティテストでも確認されれば、優先的に改善すべき点として扱えるでしょう。
ヒューリスティック分析のメリットとは
本章では、ヒューリスティック分析を行うメリットを3つ紹介します。
- 定量分析では見えない改善点が明確になる
- 分析ツールを使わず低コストで実施できる
- アクセス数が少ない段階でも実施できる
それぞれ見ていきましょう。
定量分析では見えない改善点が明確になる
ヒューリスティック分析の大きなメリットの1つは、アクセス解析などの定量分析では見えない改善点を明らかにできることです。
定量分析は数値データに基づいているため、ユーザーの行動パターンや問題のある箇所を特定できますが、なぜそのような行動をとるのか、どのような点がユーザーにとって使いづらいのかといった深層的な理由までは分かりません。
一方、ヒューリスティック分析では、専門家の視点でWebサイトを評価するため、問題点を具体的に指摘できます。たとえば「重要な情報がわかりづらい場所に配置されている」「エラーメッセージが曖昧で適切な対処法が示されていない」といった、定量データからは読み取れない詳細な改善点を洗い出せるのです。
また、ヒューリスティック分析では、ユーザーの感情面に着目できます。
「この手順は面倒で、ユーザーにストレスを与えるかもしれない」といった、数値では表せない定性的な評価を行うことで、ユーザー体験の向上につながる気づきを得られるでしょう。
分析ツールを使わず低コストで実施できる
ヒューリスティック分析は、専門家が自らWebサイトを利用しながら、チェックリストに基づいてユーザビリティを評価する手法です。アクセス解析ツールの導入コストがかからないため、低予算で迅速に実施できます。
たとえば、新規サービスのリリース前に開発者自身がヒューリスティック分析を行うことで、ユーザビリティの問題点を早期に発見し、改善することが可能です。
また、予算や時間の制約から、大規模なユーザビリティテストの実施が難しい場合でも、ヒューリスティック分析なら少人数で短期間に実施できます。専門家の知見を活用することで、高価なツールや大規模なテストを使わずとも、Webサイトの使いやすさを評価・改善できるのです。
アクセス数が少ない段階でも実施できる
ヒューリスティック分析は、Webサイトのアクセス状況に関係なく実施できる手法です。
アクセス解析では、一定数の訪問者データが集まらないと有意義な分析ができませんが、ヒューリスティック分析はアクセス数に左右されません。
専門家が自らサイトを利用して評価するため、アクセス数が少ない段階でもユーザビリティの問題点を発見できます。また、リニューアル前のWebサイトや開発中の新機能についても、ヒューリスティック分析を活用できます。
実際のユーザーデータがない状況でも、専門家の知見に基づいて潜在的な問題点を洗い出し、事前に改善することが可能です。リリース前やリニューアル前の段階で、ヒューリスティック分析を実施することで、ユーザビリティの問題を早期に発見・改善し、スムーズなローンチにつなげることができるでしょう。
ヒューリスティック分析のデメリットとは
本章では、ヒューリスティック分析のデメリットを3つ紹介します。
ヒューリスティック分析の効果を高めるうえで、デメリットを知っておくことは重要なため、チェックしておきましょう。
分析者の主観が入り込みやすい
ヒューリスティック分析は、分析者の知見や経験に基づいて行われるため、評価結果にバラつきが生じやすいというデメリットがあります。標準的なチェックリストを使用しても、分析者の主観的な判断が入り込むリスクがあるため、結果の信頼性に影響を与える可能性があります。
このため、ヒューリスティック分析の結果は、複数の分析者による評価や、ユーザビリティテストなどの他の手法と組み合わせて検証することが重要です。
一般ユーザーの意見を反映しにくい
ヒューリスティック分析は、専門家によるトップダウン式の評価であるため、実際のユーザーの声や意見を反映しにくいというデメリットがあります。
分析結果は専門家の知見に大きく依存するため、ユーザーが直面する新たな問題や、革新的な解決策を見出すことが難しい場合があるでしょう。また、ユーザーの実際の行動や感覚を直接観察しないため、ユーザー体験全体を捉えきれない可能性も否定できません。
専門知識が必要
ヒューリスティック分析を効果的に実施するには、UI/UXの原則、ユーザー行動の理解、特定の業界やコンテキストに関する深い知識が不可欠です。
しかし、これらの専門知識を持つ適切な分析者を複数人見つけることは困難な場合があります。専門知識が不足していると、重要な問題を見落としたり、的外れな改善提案をしてしまうリスクがあるといえるでしょう。
ヒューリスティック分析におけるユーザビリティの定義
ヒューリスティック分析を行う際、ユーザビリティの定義について理解しておかなければ、十分な効果を見出せない可能性があります。ここでは、2つの重要な定義について紹介します。
SO 9241-11規格の定義
ISO 9241-11は、ISO(国際標準化機構)により1998年に定められた国際規格です。
この規格では「ユーザビリティ」をユーザーがある製品を利用する際の「有効さ」「効率」「満足度」「利用状況」の度合いとして定義しています。
有効性(Effectiveness) | ユーザーが目的の作業を的確に完了できる度合い |
効率性(Efficiency) | ユーザーが目的を達成するまでに要した時間や労力 |
満足度(Satisfaction) | 製品を使用する際のユーザーの心理的な快適性や好感度 |
利用状況(Context of use) | 製品が使用される際のユーザーの特性、タスクの内容、利用される機器や環境などの状況 |
たとえば、あるユーザーがオンラインショップでプレゼント用の商品を探しているケースを考えてみましょう。もし、目的の商品になかなかたどり着けなかったり、誤った商品を購入してしまう確率が高いようであれば、そのサイトは「有効性」に問題があるといえます。
また、無事に目的の商品を購入できたとしても、商品を見つけ出すまでの検索プロセスや、購入時の情報入力などに過剰な時間を要しているようでは「効率」の面で課題があるでしょう。
さらに、サイトを利用中に、操作性の悪さやページの読み込み遅延、商品説明の不備などにストレスを感じてしまうようでは「満足度」を損ねていることになります。
加えて「利用状況」も重要な要素です。
たとえば、ユーザーがスマートフォンで利用する場合と、デスクトップPCで利用する場合とでは、サイトに求められるユーザビリティは異なります。また、ユーザーの年齢層や職業、サイトを利用する目的などによっても、最適なユーザビリティは変化するでしょう。
ISO 9241-11では、上記4つの観点からユーザビリティを評価することを特徴としています。
ヒューリスティック分析を行う際にも、この国際規格の定義を念頭に置くことで、より体系的で網羅的な評価が可能になるでしょう。
ヤコブ・ニールセンの定義
ヤコブ・ニールセンによって定義された10のヒューリスティックスは、ユーザビリティの評価基準として広く認知されており、直感的で使いやすいインターフェースを設計するための重要な指針です。
これらの原則を理解したうえで適切に応用することが、ユーザーにとっての満足度の高い製品やWebサイトを開発するために必要です。
システム状態の視認性 | ユーザーがシステムの現在の状態を常に把握できるようにする。 |
システムと実世界の一致 | システムの言葉や概念を、ユーザーにとって身近なものに置き換える。 |
ユーザーの制御性と自由度 | 誤操作をした際に、簡単に元の状態に戻れるようにする。 |
一貫性と標準性 | 同じ機能や操作は、システム全体で統一された方法で提供する。 |
エラー防止 | ユーザーのミスを未然に防ぐ設計を心がける。 |
思い出さなくてもわかる | ユーザーの記憶負荷を最小限に抑え、直感的に操作できるようにする。 |
柔軟性と効率性 | 初心者から上級者まで、幅広いユーザーが効率的に使えるようにする。 |
美しくミニマルなデザイン | 必要な情報のみを表示し、シンプルで洗練されたデザインを目指す。 |
ユーザーがエラーを認識、診断、回復しやすい | エラーが発生した際に、明確なメッセージと解決方法を提示する。 |
ヘルプとマニュアル | ユーザーがサポートを必要とする時に、適切な情報を提供する。 |
上記の原則は、ユーザー中心設計の考え方に基づいており、ユーザーの目的や行動パターンを深く理解する必要があることを示唆しています。ヒューリスティック分析の際には評価基準として活用することで、ユーザビリティの問題点を特定できます。
ヒューリスティック分析のやり方・手順
本章では、ヒューリスティック分析のやり方・手順を解説します。
下記の5つのステップ順に実施しましょう。
- 目的の設定
- 評価指標の設定
- ヒューリスティック分析の実施
- 課題の洗い出し・解決策の立案
- 改善策の実行
それぞれ解説します。
目的の設定
ヒューリスティック分析を行う際、最初に取り組むべきことは分析の目的設定です。
ヒューリスティック分析において目的設定は、分析対象となるWebサイトの具体的な改善ポイントを絞り込むために不可欠なプロセスです。
たとえば「ランディングページのコンバージョン率を向上させる」といった具体的な目標を設定することで、分析の方向性が明確になります。この目的に沿って、ランディングページの構成やデザイン、コピーライティングなどを重点的に評価し、改善策の検討ができるでしょう。
一方、問題点が明確でない場合は、事前にアクセス解析を実施し、流入数や離脱率などのデータを分析をしてから、改善すべきポイントを特定することも有効です。
データに基づいて問題のある箇所を洗い出し、その原因をヒューリスティック分析で深く掘り下げることで、より効果的な改善策を導き出すことが可能になります。
評価指標の設定
目的を設定したら、評価指標についても設定しましょう。
ヒューリスティック分析における評価指標は、ユーザーがストレスなくサイトを利用できるかどうかを判断するための基準となります。
具体的には「必要な情報にすぐにたどり着けるか」「コンテンツが分かりやすく表現されているか」といった観点から、サイトの使いやすさを評価します。ユーザーが目的を達成するまでの過程で、混乱や迷いが生じていないかを詳細にチェックすることが重要です。
評価指標を設定する際は、ヤコブ・ニールセンが提唱したユーザビリティの10原則やISO 9241-11規格などの汎用的な原則を参考にすると効果的です。もちろん、分析対象となるサイトの特性に応じて、独自の評価指標を設定しても良いでしょう。
ヒューリスティック分析の実施
目的・評価指標設定後は、UI・UXの専門家が分析対象のサイトを実際に操作・閲覧しながら、設定された評価項目に基づいて使いやすさを評価していきます。
たとえば「このボタンの配置は直感的に理解できるか」「このコンテンツの表現は明確で分かりやすいか」といった観点から、サイトのユーザビリティを詳細にチェックしましょう。
評価の過程で発見された問題点や改善点は、具体的な根拠とともに記録していきます。
単に「使いづらい」というだけでなく「なぜ使いづらいのか」「どのように改善すべきか」といった具体的な指摘を行うことが重要です。ヒューリスティック分析の質は、専門家の知見とスキルに大きく依存します。
豊富な経験を持つ専門家は、ユーザーの行動パターンや心理を深く理解しているため、的確な問題点の指摘と改善提案が可能です。
また、複数の専門家が分析を行い、それぞれの結果を持ち寄ることで、より多角的な視点からサイトのユーザビリティを評価できます。各専門家の知見を集約し、優先順位の高い問題点から改善策を実行に移していくことが、ヒューリスティック分析の成果を最大化するためのポイントとなります。
課題の洗い出し・解決策の立案
ヒューリスティック分析を通じて得られた結果をもとに、Webサイトの具体的な課題を特定し、それらを解決するための方策を立案します。発見された問題点を明確に定義し、各課題に対する具体的かつ実行可能な解決策を検討することが重要です。
たとえば、問い合わせフォームの送信ボタンに課題が見つかった場合、以下のような解決策が考えられます。
1 | フォーム送信ボタンのラベルを具体的な内容に変更する。 「無料で登録する」や「見積もりを取得する」など。 |
2 | ボタンを目立たせるために、背景色と対比の高い色に変更する。 サイズは十分に大きくし、モバイルユーザーでも簡単にタップできるようにする。 |
3 | ボタンの位置を最適化する。 フォームの最後にボタンを配置し、ユーザーがフォームの入力を完了した直後に次のステップに進めるようにする。 |
上記のような課題に対する具体的な解決策が、Webサイトのユーザビリティ改善に向けた明確なロードマップ作成につながります。導き出された解決策は、優先順位をつけて段階的に実装していくことが重要です。
改善策の実行
改善策を立案できたら実際のWebサイトに適用しましょう。
ヒューリスティック分析で最終的に重要なのは、具体的な改善プランを着実に実行し、サイトのユーザビリティを向上させることです。
改善策の実装には、デザインの調整やコンテンツの修正、ナビゲーションの最適化など、さまざまな作業が含まれます。
これらの変更は、優先順位に基づいて段階的に行うことが重要です。
一度に大規模な変更を加えるのではなく、ユーザーの反応を見ながら徐々に改善を積み重ねていくことで、安定的なユーザビリティの向上が期待できます。
また、改善策を実行した後は、その効果を検証することが大切です。
アクセス解析ツールを用いてユーザーの行動を追跡し、改善前後のデータを比較することで、施策の有効性を定量的に評価しましょう。
ヒューリスティック分析は一回きりの取り組みではなく、継続的に行うことで真価を発揮します。
Webサイトを取り巻く環境は常に変化しているため、定期的に分析と改善を繰り返すことが求められます。
ヒューリスティック分析の効果を高めるポイントとは
ヒューリスティック分析では、ただ手順通りに施策を進めても高い効果は期待できません。
本章では、ヒューリスティック分析の効果を高めるためのポイントを3つ紹介しました。
- 専門性の高い評価者の確保
- 多面的な分析指標の採用
- ユーザビリティテストと併用する
それぞれ解説します。
専門性の高い評価者の確保
ヒューリスティック分析では、UI/UXの専門知識と経験を持つ評価者を確保しなければなりません。
ただし、評価者の主観に影響を受けやすいという特性があるため、異なるバックグラウンドを持つ複数の評価者を起用することが推奨されています。
5人程度の評価者を用意し、それぞれが独立して分析を行うことが望ましいでしょう。
異なる知識や経験を持つ専門家がサイトを評価することで、個人の主観に偏ることなく、バランスの取れた客観的な分析が可能になるでしょう。
なお、最終的な分析結果のとりまとめは、チーム内で最も経験豊富なUI/UXの専門家が行うことが望ましいです。各評価者から出された意見を整理し、優先順位をつけ、具体的な改善策を提案するためには、高度な専門性と豊富な経験が必要不可欠なためです。
多面的な分析指標の採用
ヒューリスティック分析の効果を高めるには、多面的な分析指標を採用することが重要です。
単一の観点からの評価だけでは、Webサイトのユーザビリティを包括的に評価することが難しい場合があります。
そのため「視認性・可視性・操作性・導線・ストレス要素」など、さまざまな角度から分析を行うことが推奨されています。多様な指標を用いることで、デザインやナビゲーションに関する問題点を網羅的に特定し、効果的な改善策を立案できるでしょう。
たとえば、デザインの一貫性を評価することで、サイト全体の統一感やブランドイメージの伝達力を判断できます。また、読みやすさや使いやすさの観点からは、テキストの可読性やフォームの直感性を評価します。ナビゲーションについては、ユーザーが目的のページに迷わず到達できるかどうかを重視します。
さらに、ユーザーのストレスを引き起こす要素の有無も重要な指標です。読み込み速度の遅さや、煩雑な手続きの存在は、ユーザーの離脱につながる可能性があります。
このように、多面的な分析指標を用いることで、Webサイトのユーザビリティを多角的に評価し、具体的な改善点を明確にできるでしょう。
ユーザビリティテストと併用する
ヒューリスティック分析とほかのユーザビリティテストを併用することで、効果を高めることが期待できます。ヒューリスティック分析は専門家の知見に基づく評価であるため、実際のユーザーの感覚や行動と乖離がある可能性があります。
そこで、ユーザビリティテストを併用することで、ヒューリスティック分析の結果が実際のユーザー体験とどの程度一致しているかを検証可能です。テストではユーザーにタスクを与え、その達成度や満足度、困難点などを観察・分析します。
たとえば、ヒューリスティック分析で「購入ボタンが見つけにくい」と指摘された場合、ユーザビリティテストで実際にユーザーがボタンを探す様子を観察することで、問題の重大さや改善の優先度を判断できるでしょう。
また、ユーザビリティテストを通じて、ヒューリスティック分析では発見されなかった問題点が明らかになることもあります。ユーザーの生の声や行動を直接観察することで、より具体的で実践的な改善点を特定できるでしょう。
ただし、ユーザビリティテストは時間とコストがかかるため、すべての問題点を検証することは現実的ではありません。ヒューリスティック分析で優先度の高い問題点を絞り込み、それらを中心にユーザビリティテストを実施することが効果的です。
ヒューリスティック分析の事例
本章では、ヒューリスティック分析の事例を紹介します。自社に取り入れる際の参考にしてみてください。
問い合わせフォームのヒューリスティック分析事例
ある企業のWebサイトでは、問い合わせフォームからのリード獲得率が競合他社と比較して低いことが課題となっていました。この問題を解決するために、自社と競合他社の問い合わせフォームを対象にヒューリスティック分析を実施。
デザインの一貫性、ユーザビリティ、入力項目の数、フォームの長さなどの観点から評価を行いました。
分析の結果、競合他社との差異が明らかになり、ユーザーフレンドリーなデザイン要素の導入、不必要な入力項目の削減、フォーム完成までのステップの簡素化、明確なエラーメッセージと修正指示の提供などの改善策が提言され改善しています。
ランディングページ(LP)のヒューリスティック分析事例
新しいキャンペーンのために設計されたランディングページ(LP)が、期待されたクリック率やコンバージョンを達成できていないという課題がありました。
分析の際には、視認性と階層性、コンテンツの説得力、CTAの明確さ、ユーザーエンゲージメント、ナビゲーションとユーザビリティなどの観点から評価を行いました。
分析の結果、競合他社とのコンテンツ差異を明確にし、ターゲットオーディエンスに響くメッセージングを強化することや、CTAをより際立たせユーザーが次に取るべき行動を明確に示すことが改善策として実行されています。
また、緊急性を示す要素を追加し、ユーザーの行動を促すことも加味され、問い合わせフォーム改善へつなげています。
まとめ:ヒューリスティック分析を実施してサイトの質を向上させよう!
ヒューリスティック分析は、専門家の知見に基づいてWebサイトのユーザビリティを評価し、改善点を見出す手法です。複数の評価者による多面的な分析を行い、ユーザビリティテストと組み合わせることで、より効果的な改善策を導き出せるでしょう。
ヒューリスティック分析を通じて、問い合わせフォームやランディングページなどの重要な要素を最適化し、ビジネス目標の達成につなげることが可能です。
しかし、自社内でヒューリスティック分析の実践が難しい場合もあるかもしれません。そのような場合は、ユーザビリティ分析の専門企業であるギャプライズにご相談ください。
ギャプライズでは、Webサイトの運用で改善したい課題がある、集客効果を最大化したい企業様に向けて、的確なユーザーセグメントの実施はもちろん、分析・改善、最適化までを一気通貫で支援いたします。
改善・分析のプロが、自サイトを分析し、最適なソリューションを導き出します。ヒューリスティック分析の実施に不安がある場合や、専門的なサポートが必要な場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
Webサイトの質を向上させ、ユーザーエクスペリエンスを高めるために、ヒューリスティック分析を活用し、必要に応じてギャプライズにご相談ください。
今本 たかひろ/MarTechLab編集長
料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。