リスティング広告の基礎知識|Webディレクターが知らなきゃまずい8つのポイント

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2014/06/11

LPO研究所所長の鎌田です。

「Webディレクターが、Web広告の知識を持たなくなってきている」

近頃、こんなことを耳にすることがあります。

  • スマホ対応、はやくしないと…
  • ソーシャルとかも考えなきゃ…
  • Google アナリティクスの勉強も…

こんな感じで、Webディレクターの仕事というのは近年増えるいっぽうです。そのため、Web広告の学習まで手がまわらない人が出てきてしまっているのです。

実際、私も以前はリスティング広告の管理画面を自分で触ったりしていたのですが、今は基本、運用に関しては専門のスタッフに任せています。

しかし、だからと言ってリスティング広告の知識が “ゼロ” の状態では、仮にクライアントから相談を受けたときに、「成果に繋がる説明」をきちんと行うことができないでしょう。 

クライアントの売上を左右するWeb広告の基礎知識は、Webディレクターが「成果に対して責任を持つ」ポジションにいる以上、必ず持たなければならないのです。

そこで今回は、Web広告の中でも最も費用対効果が高い「リスティング広告」に絞り、最低限知っておかなければいけない基礎知識を8つご紹介します。

なお本記事は、弊社新卒スタッフ向けに伝えたいことをまとめたものです。内容はかなり基礎的なものになっていますので、すでに経験のある方は、ぜひ復習のつもりで読んでみてください。

それではいってみましょう。

目次

知らなきゃまずい、リスティング広告8つのポイント

  1. まずは目標を明確に設定する
  2. 検索ボリュームが十分にあるかどうかを確かめる
  3. リスティング広告の種類を知っておく
  4. 出稿が難しい業種・業界を押さえる
  5. タグの種類を覚えておく
  6. タグが正常に動いているかどうか確認する
  7. 掲載開始までのスケジュールを押さえる
  8. レポートで最低限見るべきポイントを押さえる

1.まずは目標を明確に設定する

リスティング広告を打つ上ではじめに行うべきことは、明確な目標を設定することです。

なぜなら、目標を曖昧にしたままリスティング広告の運用を開始した場合、「キーワードの数を増やすこと」や「予算を使い切ること」など、クライアントの利益につながるとは言えないものを追ってしまうケースが少なからずあるからです。

必ず、クライアントの利益につながる明確な目標を設定してください。

では、具体的にどのように設定すれば良いのでしょうか? 分かりやすく説明するために、例としてまずは下の図をご覧ください。これは、一般的な2ステップビジネスで売上が発生するまでの流れを図示したものです。

一般的な2ステップビジネスで売上が発生するまでの流れ

目標は、基本的に「最終ゴールからの逆算」で設定します。まず最終的なゴール数値である “売上” の目標を設定します。今回、仮に売上目標が150万円で、商品単価が25万円の場合、6件の受注が必要になります。

まずは最終的なゴール数値である「売上」の目標を設定

次に、クロージング率、商談率、コンバージョン率 の想定数値を用いて、必要なコンバージョン数と訪問数を逆算します。

ビジネスモデル全体の目標値の設定が重要

上図の例では、

  • クロージング率 20%、商談率 40%だと
  • コンバージョンは 75件 必要で
  • コンバージョン率 0.5% と想定した場合
  • Webサイトへの訪問数は 15,000 必要

このような試算をまず行っています。
そして、

  • 目標が高すぎないか?
  • あるいは、低すぎないか?
  • 数字を甘く見積もっていないか?
  • 利益率はどうか?

などの吟味をおこなった上で、正式にプロジェクトの目標として設定します。

もちろん、想定通りの数値になるかどうかは分かりません。特に、過去にやったことのない新サービス・新商品を販売する際のシミュレーションでは、粗い想定になってしまうこともあります。しかし、それでも目標を設定しておけば

「なぜ想定と違う結果になったか?」

を振り返ることができ、次の施策に活かすことができます。

どんな時でも、必ず、明確な目標を設定してください。

2.検索ボリュームが十分にあるかどうかを確かめる

さて、目標を決めたらいきなりリスティング広告を出せるかというと、そうではありません。案件によってはリスティング広告が向いていないことがあるからです。

ケースとして一番多いのは、検索ボリュームが少なすぎる場合です。

たとえば、売ろうとしているサービスを象徴的に表すキーワードが世の中に存在しないか、あったとしてもほとんど検索されていない。あるいは、売ろうとしている商品がニッチすぎる。すると、そもそもリスティング広告だけに頼っていては目標の獲得件数に全く届かないことがあります。

こういう場合は、メール広告やテレアポなどいわゆる「プッシュ型」の獲得手法も合わせて検討することになりますが、まずは、ツールを使って「検索ボリュームが十分にあるかどうか?」を簡単に確認する方法を覚えましょう。

ツールは以下のものを使用します。それぞれ登録が必要です。

以下の画像は、Google キーワードプランナーで「住宅ローン」というキーワードの検索ボリュームを調査した結果です。「住宅ローン」に関連するキーワードが、月間135,000回検索されているという結果が出ています。

キーワードプランナーで「住宅ローン」を調査した場合

たとえばクライアントが住宅ローン関連の商材を扱っている場合、この検索ボリュームなら、獲得件数を十分にまかなえる見込みがあると言えます。

このように、販売しようとしている商品に関連する「コレだ!」というキーワードを軸に調べて、だいたいどのくらいの検索ボリュームがあるのかを調べます。この時点ではまだ、細かいシミュレーションまで出す必要はありません。

感覚値ですが、私はふだん数値の目安として

  • 低単価サービス
    ⇒ 月間検索ボリューム 10,000件
  • 高単価サービス、BtoB
    ⇒ 月間検索ボリューム 1,000件

この程度の検索ボリュームがあれば、リスティング広告で攻められるだろうと判断します。

なお、このようなシミュレーションツールは決して正確ではないため、参考程度に考えましょう。実際に出稿してみると分かりますが、ツールで調べた検索数と実際の検索数に前後10倍以上の開きがあることがあります。また、ツールで調べた検索ボリュームが0の場合でも、クリックが発生することはありますので注意してください。

3.リスティング広告にも多様な種類があることを知っておく

一言にリスティング広告といっても様々な種類があります。詳しい設定については専門スタッフに任せつつも、Webディレクターとしてはそれぞれ、どの種類の広告で何ができるのかを最低限、覚えておく必要があります。

まず、リスティング広告でよく使われる代表的な3種類の広告について覚えましょう。

 

(1) キーワード広告

検索エンジンでキーワード検索をしたときに、検索結果の上下右側に表示される広告です。使い方は、例えば「水道 修理」など、キーワード検索に含まれるユーザーの「検索意図」に対してアプローチし、獲得を狙います。

(2) ディスプレイ広告

ニュースサイト等でよく見られる広告です。通常、Google, Yahoo! などの企業によって膨大な量のサイトの広告枠が束ねられ、広告主は、サイトの属性やユーザーの属性などに応じて細かく出し分けることができるようになっています。例えば化粧品など、画像を使って印象に訴えるタイプの広告を出したいときなどに有効です。

(3) リマーケティング広告

一度サイトに訪問したユーザーに対して配信する広告です。サイトに過去に訪問したことがあるということは、そうでないユーザーに比べて、その商品やサービスに対して何らかの興味関心を持っている割合が大きいと考えられます。例えば、問合せフォームまで行ったけれど離脱してしまったユーザーのみを追いかける、といった形で使います。

 

以上が、代表的なリスティング広告の種類になります。

次に、いま日本で最も代表的なリスティング広告サービスである「Google Adwords」「Yahoo!プロモーション広告」について、どんな広告メニューがあるかをそれぞれ簡単に紹介します。上記3つに当てはまらないものもあり、事業者によって特徴がありますので、覚えておきましょう。

 

Google Adwords

Google が提供している広告サービスです。最近では、TrueView動画広告や、Gmail広告などの独自路線の手法がリリースされ始めています。

 

Yahoo! プロモーション広告

Yahoo! が提供している広告サービスです。検索段階でのターゲティングができるサーチターゲティングが特徴的です。

 

さらに詳細に見ると、デバイスターゲティングなど様々なターゲティング配信に分かれていきますが、まずは最低限、上記のような配信方法があることを覚えておきましょう。

4.広告出稿が難しい業種・業界を押さえておく

リスティング広告には、広告表現が法律で規制されており、出稿が難しい業界があります。

例えば、健康食品であれば「○○に効く!」といった表現は薬事法に触れるので言えませんし、パチンコであれば大当たり確率、確変突入率など、賭博性を感じる表現は一切使えません。表現の制限が厳しい業界ほど、審査を通すのは難しくなります。

場合によっては、薬事法に詳しい専門家にランディングページや広告文をチェックしてもらうなどの必要が生じることもあります。いざというときに手間取らないよう、どの業種・業界で広告出稿が難しいのかは事前に押さえておきましょう。

広告出稿が難しい業種・業界の例

  • 貸金業
  • 金融商品取引業、商品先物取引業
  • 旅行業
  • オンラインゲーム
  • 人材派遣業
  • 留学サービス業
  • パチンコ、マージャン
  • 占い
  • 結婚紹介、お見合いパーティー業
  • 出会い系サイト、結婚紹介
  • アフィリエイトサイト
  • 健康食品
  • 化粧品

なお、Yahoo! と Google で基準が異なりますので、それぞれ確認をしておきましょう。下記ページにガイドラインが定められていますので、必要になったときに参照するようにしましょう。

5.タグの種類を覚えておく

リスティング広告を実施する上で、必ず行う作業に「タグの設置」があります。

「タグ」とは、リスティング広告の効果を測定したり、一度サイトに訪問したユーザーを追跡したりするのに必要な JavaScript のコードのことです。リスティング広告を出稿する前に、集客を実施する WebサイトのHTMLコード内に挿入しておく必要があります。

今回、実務でどのようなタグを扱うことになるのかをひと通り押さえましょう。

タグには、主に「コンバージョンタグ」「リマーケティングタグ」があります。Google Adwords と Yahoo! プロモーション広告を両方実施する場合、導入するタグは以下の5つです。

 

コンバージョンタグ

問合せフォームのサンクスページなど、「このページを通過したらコンバージョン」と定義しているページに設置するタグです。

  • Google Adwords コンバージョンタグ
  • Yahoo! プロモーション広告 スポンサードサーチ コンバージョンタグ
  • Yahoo! プロモーション広告 YDNコンバージョンタグ

 

リマーケティングタグ

リマーケティングのリストを集めるためのタグです。基本的にサイト内全ページに設置します。

  • Google Adwords リマーケティングタグ
  • Yahoo! プロモーション広告 YDNリターゲティングタグ

 

以上の5種類になります。

なお、タグを扱う際の注意点として、うっかり設置し忘れてリスティング開始後に「タグが入ってなかった!」となるケースをときどき見かけますので注意してください。コンバージョンタグを設置し忘れると、その間の効果測定が正しく行えなくなってしまいます。

特に「YDNコンバージョンタグ」を忘れやすいため、気をつけてください。Google のタグが2種類なのに対して、Yahoo! は3種類のタグが必要、と覚えておきましょう。

また、JavaScript タグはリスティング広告だけでなく、アフィリエイト広告や、アクセス解析ツールを扱う際にも設置することになります。今後の効率的な運用を考え、タグを一括で管理できる「タグマネージャー」の導入を検討するのも良いでしょう。

タグマネージャーは現在、下記の2つが広く使われていますので、押さえておきましょう。

6.タグが正常に動いているかどうか確認する

当たり前なのですが、これも忘れがちなことです。タグを設置したら、必ずクリック、コンバージョンまでテストして、タグが正常動作をしているか確認しましょう。

リスティング広告経由でテストしなければならないので、クリックのお金がかかりますが、結果が測定できないリスティング広告などなんの価値もありません。特にYDNはテストをさぼりがちなのできっちり確認しておきましょう。

Webディレクター自身がタグのCVテストを行うことは稀ですが、正常に動いていることを把握していることは必要です。必ずチェックするようにしましょう。

7.掲載開始までのスケジュールを押さえる

タグを設置し、キーワードと広告文を設定して、さあ出稿開始…というわけにはいかないのがリスティング広告です。設定完了後には「審査」があります。はじめにスケジュールを引く際、専門のスタッフと相談しながら、余裕を持ったスケジュールを引きましょう。

特に Yahoo! プロモーション広告の審査は厳しく、早くても約5営業日。商材によってはもっとかかる場合もあると認識しておきましょう。

リスティング広告=スグにできるというイメージが強いのですが、実際はそうではありません。特にキャンペーンなどで出稿開始日がずらせない場合は、事前に仮のページを上げて審査を通しておくなどの準備が必要となります。

ちなみに、審査はページがないと通せません。またページの内容も媒体社側がチェックし、内容に即しているか、おかしな表現がないかなどをチェックしています。いいかげんなページを上げて審査を通すことはできませんので、注意しましょう。

8.レポートで最低限見るべきポイントを押さえる

ここまでやってやっと広告を出稿できるわけですが、ここで終わりではありません。スタートしてからの運用が肝心です。

運用状況によって見るべきポイントは変わってきますし、CV、CPAなど毎日でもチェックして欲しいポイントは多々あるのですが、今回はWebディレクターとして、必ず見て欲しい部分であるにも関わらず、あまり着目されていないレポートがあるのでそれをご紹介します。

それは「検索クエリ」です。

listing-05

参考:Google Adwords 広告表示につながった検索語句を確認する

キーワードのレポートというのは見られているケースが多いのですが、「検索クエリ」は見られていない場合が多く、代理店のレポートにもないケースが多いです(検索クエリを全て印刷すると膨大な量になってしまうので)。

キーワードと検索クエリ、何が違うかというと、「キーワード」はこちらが入札設定したキーワードが出てくるのに対して、「検索クエリ」はユーザーが実際に検索したキーワードが出てきます。

例:ダイエットサプリの場合

  • キーワード:ダイエットサプリ
  • 検索クエリ:ダイエットサプリ 痩せたい 絶対

このようなキーワードは、通常のキーワードレポートには出てきません。しかしながら、検索クエリには、出稿した者が想定もできないような「ユーザーのニーズ」が内包されているケースが多々あります。Webディレクターは必ずチェックするようにしましょう

またもし、管理画面を確認できない場合には、Googleアナリティクスなどのアクセス解析で流入キーワードを確認しましょう。

まとめ

以上、Webディレクターとして最低限押さえておきたいリスティング広告のポイントでした。

Webマーケティングを実施する上で、リスティング広告を外すケースはほぼないと思います。ただ、昨今のリスティング広告は非常に複雑化しているので、もちは餅屋、細かい所はプロにまかせましょう。

概要を知っておく、そして、何かあったときに適切に相談できるようにしておくということが重要です。

今回は新卒向け記事のため、基本的な部分に幅広く触れました。リスティング広告の配信手法やタグマネージャーの効果的な使い方など、今回深堀りできていなかった部分はまた別の記事にてご紹介したいと思います。

それではまた次回。

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鎌田 洋介 CXO事業部/CSM

2009年ギャプライズ入社。当初は主にランディングページ構築の企画に携わる。LP制作本数は延200本超。 その後はUX再現ツール(Contentsquare)やABテストを活用し、グロースハックの仕組みをチーム内に根付かせるコンサルタントとして、多くのチームビルディングに携わる。 ABテスト実績は累計7,500回以上。

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