SimilarWeb PRO(有料版)(シミラーウェブ) でライバルサイトを丸裸にする4つの方法
LPO研究所の奥原です。
あなたは SimilarWeb(シミラーウェブ)というツールをご存知でしょうか?
SimilarWeb とは、他人のサイトのアクセス数や流入元など、普通はサイト管理者でなければ知り得ないデータの概要を簡単に見ることができる無料ツールです。過去にブロガーのあいだで何度か話題になっているので、一度は見たことがある方が多いと思います。
しかし、SimilarWeb に “ 有料版 ” が存在することはあまり知られていません。
実はこの有料版、無料版とは比較にならないほど高い精度で競合サイトを「丸裸」にできてしまうすごいツール なのですが、日本ではまだ、実践的に活用しているマーケターがほとんどいないようなのです。
もしあなたが「競合対策、そろそろ真剣にやらないとなぁ…」と考えているならば、有料版 SimilarWeb PRO はとても強力な武器になるはずです。
今回はこの SimilarWeb PRO を使って “ 一歩踏み込んだ ” 競合分析をおこなう方法を4つ、具体例を交えてご紹介します。あなたのライバルサイトを思い浮かべながら、すぐに使えそうな部分がないかどうかチェックしてみてください。
それではいってみましょう。
目次
■ SimilarWeb PRO (有料版) の活用法
■ SimilarWeb のデータは正確なのか?
1. 競合サイトの流入キーワードを丸裸にする
“ あの競合サイトは、どんなキーワードでどれくらいアクセスを集めているんだろう? ”
サイトオーナーなら誰でも1度は気にしたことがあると思いますが、有料版 SimilarWeb PRO を使えば、競合サイトの検索流入をかなり細かいところまで明らかにすることができます。
まずは分かりやすく比較するために、当サイト「 lpo.gaprise.com 」を SimilarWeb 無料版 を使って調べてみました。下記の画像はその結果の一部「流入キーワード」の項目をキャプチャしたものです。しかし・・・
残念ながらこれはあまり役に立たないでしょう。
なぜなら、どれもサイトの内容をパッと見ればすぐに思いつくようなものばかりだからです。たったこれだけの情報では、具体的で確度の高い施策を発想することはできません。
では今度は、同じ項目を 有料版 SimilarWeb PRO を使って見てみます。
なんと 1,670個 もの流入キーワードが検出されました。これだけ数が多いと、3, 4 単語の複合キーワードや、訪問数が 10未満のロングテールキーワードまで拾われることになります。またキーワードそのものだけでなく、各キーワードごとに
① 検索流入全体に占める割合
② 自然流入・広告流入の割合
まで細かい数値として算出されます。
これはどういうことかというと、早い話、SimilarWeb PRO を使うと競合サイトの検索流入がキーワード単位で訪問数まで含めて丸分かりになる ということです。
なお、この数値には SimilarWeb の仕組み上、Google 検索におけるいわゆる「not provided」キーワードからの訪問も含まれます。ですので場合によっては、Google Analytics よりもSimilarWeb のほうが実際の値に近い可能性もあります。
では、この調査結果を活用して具体的にどんな施策が打てるのでしょうか?
色々と考えられますが、もっとも分かりやすいのはやはり「競合サイトの “売れる” キーワード探し」でしょう。なかでもすぐに使えるのは下記の2つです。
(1)競合サイトのリスティング出稿キーワードを抜き出す
最もおすすめなのは、キーワード一覧から “ リスティングのみ ” を抜き出してみることです。競合サイトが「どのキーワードがどれくらい売れると考えているか?」が分かりますし、場合によっては、これまで予想もしなかった突飛なキーワードに出稿しているのを発見できるかも知れません。
SimilarWeb PRO では下記のように、流入キーワードの中から「リスティング流入のみ」を表示したり、条件を絞ったデータをエクセル形式で出力したりすることができるようになっています。
(2)競合サイトのロングテールキーワードを見る
同じジャンルで、一番大きい競合サイトのロングテールキーワードを見てみるのもおすすめです。自社の顧客になりうるユーザーが実際にどんな検索行動をしているのか、こと細かに把握することができるはずです。
また、もしもそこから「売れそう」なキーワードが見つかった場合、今度はそのキーワードを狙ってリスティング広告を出したり、ブログ記事を書いたりしてみても良いでしょう。おそらく、すぐにコンバージョンの増加につなげることができます。
なお、1つのサイトから一度に抽出できるキーワード数はプランによって上限があり、
- ベーシック版:上位 50件
- アドバンスド版:上位 500件
- ウルティメイト版:上位1000件
- エンタープライズ版:無制限
となっています。
売れるキーワード探しをするには、ベーシック版だとちょっと物足りないですね・・・リスティングをやっているサイトならどこでも、リスティングのキーワードだけでだいたい100個は出てくるからです。なので最低でも、上位500件が取れるアドバンスド版は欲しいところです。
「ウルティメイト版」以上のプランは、本格的な活用を検討する大手企業向きですね。実際、有名大手サイトが調査対象の場合、調査結果が1万キーワードを超えることもざらにあります。従って、まずはウルティメイト版を使ってみて、キーワード数が足りないと感じた場合にエンタープライズ版を検討してみるのが良いでしょう。
2. 競合サイトのリスティング広告を丸裸にする
前項で、“ SimilarWeb PRO を使えば、競合サイトのリスティング出稿キーワードを丸裸にすることができる ” と説明しました。しかしリスティング広告に関してはキーワードだけでなく、「広告文」や「バナークリエイティブ」まで丸裸にすることができます。
PRO版で実際にどのような結果が表示されるのか、見てみましょう。
まず「広告文」ですが、下記は Google社自身が出稿している広告文を SimilarWeb PRO を使って調べたものです。123パターンの広告文が抽出されています。また、広告文ごとにどのキーワードで出稿されているかも表示されています。
次に、ディスプレイ広告の「バナークリエイティブ」です。下記のように、どんなパターンのバナーが使われているかを知ることができます。
以上のように、競合サイトのリスティング出稿状況がほとんど丸分かりになってしまうわけですが、さて、これを実際の施策に活かすには具体的にどうすればよいでしょうか?
最もおすすめなのは、競合サイトのリスティング広告を時系列で追って見てみることです。
例えば、ここに複数のバナーを使って A/B テストを行っている競合サイトがあったとします。このサイトの6ヶ月前のバナー出稿状況を見てみると、どうやら X・Y・Z の3パターンのバナーを使っていることが分かりました。
次に4ヶ月前を見てみると、パターンX が出稿されなくなっていました。そして2ヶ月前を見てみると、今度はパターンZ が出稿されなくなりました。よって、このサイトでは A/Bテストを行った結果、Y > Z > X の順番でパフォーマンスが良かったのであろうと推測できます。
実際にはここまで単純なケースは少ないですが、時系列で追って見てみることによって、ただ1つの期間だけで見ているよりもずっと意味ある情報を得られるようになることがお分かりになるかと思います。
なお SimilarWeb 無料版は、直近 6ヶ月固定のデータしか見ることができません。それに対して SimilarWeb PRO では、最大 24ヶ月のあいだ1ヶ月区切りで、好きな期間のデータを見ることができるようになっています。
24ヶ月も前のデータを一体何に使うのかというと、「競合サイトが1年前と2年前の同時期にどんな広告を出していたか?」を見たい場合に使います。たとえば、
“ 宿泊施設の予約サービスをおこなう、とある競合ポータルサイトが、1年前と2年前、ゴールデンウィークの直前2ヶ月間にどんなリスティング広告を出していたか? ”
ということも、SimilarWeb PRO なら分かるのです。
プランによる機能の違いですが、まず出稿キーワードについては先述のとおり、自然検索とリスティングを合わせたキーワード数で上限が定められています。
広告文とバナークリエイティブには、表示数の上限はありません。ただし、出稿キーワード・広告文・バナークリエイティブ等すべてにおいて、下記の通り、プランごとに「データの保持期間」が決められています。
- ベーシック版:6ヶ月
- アドバンスド版:12ヶ月
- ウルティメイト版:18ヶ月
- エンタープライズ版:24ヶ月
先ほど説明したような “ 1年前と2年前の状況を比較して見たい ” という場合は、エンタープライズ版を選択する必要があります。しかしそこまで必要ないなら、まずはベーシック版またはアドバンスド版から始めてみるのでも良いと思います。
3. 競合サイトの人気コンテンツを丸裸にする
SimilarWeb 無料版では、競合サイトの「PVの概算」を知ることができますが、サイト全体ではなく「どのページが人気なのか?」を知りたい場合もあります。エンタープライズ版限定ですが、これも SimilarWeb PRO を使えば知ることができます。
さて、ここで1つクイズです。
Wikipedia 日本語版 において、トップページ等をのぞいて過去6ヶ月間で最も閲覧数の多い項目は何でしょうか?
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答えは下記の画像をご覧ください。これは、Wikipedia 日本語版 の直近6ヶ月間の「人気ページ」を SimilarWeb PRO を使って調べたデータです。
正解は「ラブライブ!」でした。
ちなみに、2位は「魔法科高校の劣等生」、3位は「野々村竜太郎」です。
なお「ラブライブ!」のページは、いいね!数 = 7、ツイート数 = 101 と、ソーシャルメディア上ではほとんど話題になっていません。にも関わらずアクセスが多いということは、検索からの流入が多いか、編集で同じユーザーが何度もアクセスしている可能性があるということです。
この機能は、新しい商品の開発や、新規事業を行う場合のシミュレーションの精度を上げる のに特に有用です。
たとえば数千万円、数億円という大きな予算を投じて新しい事業をおこなう場合、本当にうまくいくのかどうか事前に詳細なシミュレーションをしておくことが極めて重要です。
その際、競合サイトで実際にどんな商品が人気なのか、どんなコンテンツに注目が集まっているかという「トレンド」を把握することができれば、多額の予算を投じる前に、シミュレーションの精度をさらに上げることができるというわけです。
またそれ以外にも、
- ソーシャルで話題になっていないが、検索で流入が多いコンテンツを見つける
- 競合のWebサービスでどんな機能が多く使われているかを知る
というように、想像力を働かせれば実に多くの施策に活用することができるのが、この「人気コンテンツ」という機能です。
サイトの内容に応じて使い方が変わってくるものですので、エンタープライズ版をご検討の方はまずはお問合せいただければ、効果的な活用方法を別途ご案内します。
4.「比較」レポートで自社サイトの現在地を知る
SimilarWeb PRO の「競合比較」機能を使うと、他社サイトと比較したときの自社サイトの現状を、理解しやすくなります。また、まわりのスタッフや関係者、クライアントの決裁者にも、あなたが提案する施策の必要性を理解してもらいやすくなります。
これはチームで動いている Web 解析担当の方や、代理店の営業の方などにとくにおすすめの使い方です。
下記の画像をご覧ください。これは、弊社運営の「クリックテール」サービスサイトと、同業他社3サイトの検索流入状況を比較したものです。(紫色がクリックテール)
ご覧のとおり、検索流入シェアにおいては過去1年間、他社サイトを上回っていることが分かります。ひとまず安心ですね。
では次に、クリックテールの最重要キーワードである「ヒートマップ」というキーワードに絞って、シェア率を見てみましょう。
なんと、今度は他社のサイトよりもキーワードシェア率が低いことが分かりました。
細かく見てみると、「ヒートマップ」というキーワードだけでなく、「ヒートマップ 無料」「ヒートマップ解析」などのミドルワード毎でも他社サイトをかなり下回っています。よってこの場合、「ヒートマップ」関連ワードでの SEO対策やリスティング広告出稿がまだ足りていないのではないか? という仮説が立ちます。
このように、自社サイトと他社サイトの状況を俯瞰して見ることによって、自社サイトに何が足りていないのかをあぶり出すことができるのです。
アクセス解析担当の方は身に覚えがあると思いますが、毎日毎日、解析ソフトの管理画面とばかりにらめっこをしていると、現在の自社サイトが業界の中でどのくらいの立ち位置にいるのか? がだんだん分からなくなってきます。
そんなときに、単純に他社サイトの現状と比較することによって、自社の弱み、欠点、まだ手の付けられていないところを見直すきっかけを作ることができるのです。
なお、比較機能自体は SimilarWeb 無料版 でも使えますが、キーワードごとのシェア率を見る、リスティング広告だけのシェア率を見るなど細かい部分まで見たい場合は、やはりPRO版が必要になります。また、無料版は1度に1つの競合としか比較できないのに対し、PRO版では4つの競合と同時に比較できるようになります。
PRO版でのプランごとの差は、キーワード数、データ保持期間を除けばとくに無く、最下位の「ベーシック」プランでも比較機能は十分に使うことができます。
SimilarWeb のデータは正確なのか?
以上のように、競合サイトを信じられないほど詳しく調べ上げることができる SimilarWeb PRO ですが、「データの精度」については疑問に思う方が多いと思いますので、簡単に説明します。
データのズレはどれくらい出るのか?
サイトや業界によってまちまちですが、弊社で確認したところによると、モバイルデバイスからの流入を除けば SimilarWeb 上に表示されるデータは実測値と比較しておよそ 80% 〜 90% ほどの精度 という声が多いです。よって、SimilarWeb はいわゆる一般的なネット視聴率調査ツールと比較すれば精度は高い方だと思います。
しかし、基本はやはり統計データですので、「競合の Googleアナリティクスデータが丸見えになる!」というほどの精度は期待できません。(当たり前ですが・・・)
冒頭で説明した「流入キーワードのリスト」についても、収集したデータをそのまま表示しているわけではなく、複数のデータの組み合わせを行った上で出力されているようです。
また、SimilarWeb に表示されるデータは全て「PCのみ」のデータで、スマートフォンやタブレットなどの情報は一切含まれません。よってスマートフォンやタブレットからのアクセスが中心のサイトでは、それらを抜いた数字が表示されているようです。(スマートデバイスの解析については、現在β版が開発中です)
また、無料版ではデータの反映が少し遅くなるため、無料版だと表示されないサイトでも有料版だと出てきたり、より正確なデータが表示されることがあるようです。
最後にブログのご紹介ですが、「はぴらき合理化幻想」の はぴらき様が 今年6月の記事で、いくつかのブログの実測値と、SimilarWeb のデータを比較して、どの程度のズレが生じているのかを検証する取り組みをしていただいていますので、ぜひご一読をおすすめします。多くのブログで SimilarWeb のデータのほうが1.5倍ほど大きくなったという結果になったようです。
また、「9ineBB」様が 今年3月の記事で、Yahoo! JAPAN の SimilarWeb 調査結果と Yahoo! の IR情報を比較する取り組みをしていただいていますが、大変興味深い結果が出ていますので、こちらもぜひご一読をおすすめします。
データのズレが少なくなるケースとは?
人気ブログ「More Access! More Fun!」の永江様が 今年7月の記事 で言及されていますが、
「サイトA・サイトBで、どちらが PV が多いか?」
といった、サイト同士を「比較」する場合、特に、属性が似たサイトを比較する場合は、ズレがあまり起こらないことが多いです。これは、サイトAとサイトBのユーザー属性が似通っていることで、SimilarWeb が収集するデータの「ズレの程度」も似るからではないかと考えられます。
なおこれを応用すると、自社サイトにおける「実測値」と「SimilarWeb のデータ」のズレの比率を使って、属性が似通っている競合サイトの「SimilarWeb のデータ」を逆算すれば、競合サイトの「実測値」をある程度正確に割り出すことができます。
とはいえ、重要な判断については SimilarWeb のデータに頼り切るのではなく、必ず複数のソースからの情報を加味した上で行いましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という有名なことわざがありますが、Webマーケティングにおいても、競合サイトをツールで調べて施策を検討することは、いまや無くてはならないものになっています。
うちもそろそろ真剣に競合対策に取り組みたい・・・とお考えの方は、本記事を参考にしていただき、ぜひ SimilarWeb PRO の利用を検討してみてください。
なお、弊社ギャプライズは現在、SimilarWeb社のオフィシャルパートナーとして日本での販売・サポートを行っています。SimilarWeb PRO に関する詳しいお問合せは、こちらの問合せフォーム よりお気軽にご連絡ください。
SimilarWeb PRO 機能説明会のご案内
最後にご案内になりますが、9月12日(金)14:00 より、ギャプライズオフィス(東京・御茶ノ水)にて、SimilarWeb PRO 機能説明会(無料) を開催いたします。
参加費は無料です。今回ご紹介できなかった機能や、さらに一歩踏み込んだ活用方法について紹介いたしますので、ご興味がありましたら、下記フォームからぜひ振るってお申込みください。お申込いただき次第、担当より詳細のご案内をさせていただきます。
→ 9月12日(金)SimilarWeb PRO 機能説明会・参加申込フォーム