データカタログ「Collibra」とは?活用メリットや機能、導入事例を紹介
膨大なデータを効率よく管理してビジネスに活用したいが、どのようにしたらいいかわからない。このような悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
本記事では、データを管理分析して資産としてビジネスに活用するためのデータカタログツール「Collibra」の活用メリットや機能、導入事例を解説します。
ぜひ参考にしてCollibraを活用し、組織内データを効率的に活用しましょう。
目次
Collibraとは
引用元:https://www.collibra.com/us/en
Collibra(コリブラ)は、データガバナンス、品質管理、データプライバシー、データカタログなど、データ管理のクラウドベースのプラットフォームです。Collibraによって、データの整理や品質管理、アクセス、共有、分析を簡単に行えます。
また、Collibraはデータプライバシーとセキュリティ管理を強化する機能も備えています。
そのため、組織はプラットフォームを利用して、個人データ保護に関する規制要件に対応し、データアクセス権の適切な管理もできるのです。
協働機能により、IT部門とビジネス部門の間のコミュニケーションが改善され、データを活用したプロジェクトの効率が向上します。
Collibraにより、データインテリジェンスの実現を推進し、データの戦略的資産として活用が可能になります。
Collibraの主な特徴
Collibraの主な特徴として、データカタログが挙げられます。
本章では、データカタログの概要と重要性について解説します。
データカタログとは
データカタログとは、組織や企業内のデータを中央で管理し、データを可視化し体系的に整理した総合リストを作成することです。
データカタログにより、データの位置、特性、使用方法などの情報が一元化され、データの可視性とアクセス性が向上します。
データカタログの重要性
データカタログの重要性は、データの透明性とアクセスの簡易化を支援することです。
データカタログは、組織が保有するデータ資源を集中的に管理し、ユーザーが必要とする情報を迅速に発見できるようサポートします。
そのため、データの品質と精度を保証し、信頼できる情報に基づく意思決定が可能です。
Collibraの主な機能6つ
引用元:https://www.collibra.com/us/en
Collibraの活用により、データを可視化して管理、効率的な活用や業務効率化が可能です。
本章では、Collibraの主な機能を6つ紹介します。
- データガバナンス
- データの品質と観測
- データリネージ
- 統合プラットフォーム
- データプライバシー
- AIガバナンス
それぞれ見ていきましょう。
データガバナンス
データガバナンスは、データに関連する統一された言語を検索、解釈、作成するためのプラットフォームです。組織全体で信頼性の高いデータを供給する役割を果たします。
データガバナンス機能により、ビジネスに不可欠な用語や規則、規制を定め、組織内での共通理解を促進するためのビジネス用語集を構築できます。
また、データポリシーの作成、レビュー、更新を通じて、すべてのデータ操作にプライバシーを組み込むことで、コンプライアンスの維持を支援します。
データスチュワード(データの管理者)には、特定の役割と責任が与えられ、データ資産の共有、保護、改善を行えます。
また、正確なレポーティングと分析を実現するため、異なるシステム間のデータを調整し、データの移動時に欠落や破損が発生した場合は、関係性を特定することも可能です。
メタデータの形式、用途、構造、および他のデータとの関連性について詳細に記録しドキュメント化します。
データの品質と観測
データの品質と観測の機能は、データ品質とデータパイプラインの信頼性を監視し、問題が発生した際に迅速に対応できる機能です。
業界特有の検証ルールが利用可能なリポジトリから、自動的に機密データを識別し、品質を保証し、不良データに対処します。また、任意のデータソースに短時間で接続し、数千もの監視コントロールを作成することも可能です。
結果として、トレンドの変動をすぐに察知し、不正なデータが下流への流入を防止できることがポイントです。従来の手動のコーディングよりも、より効率的かつ迅速な対応ができます。
データリネージ
データリネージとは、トラブル発生時にデータが受ける影響やトラブルの原因を特定し、漏洩などのセキュリティリスクを把握、運用設計や事前対策を立てることができる機能です。
自動リネージ抽出機能により、データリネージを自動的に抽出し維持できます。
抽出は、ソースシステム、SQLダイアレクト、ETLツール、BIツールから可能です。
リネージの文書化と維持に通常必要な手作業での時間を大幅に低減できます。
データリネージは、データ資産間の間接的なデータフローとの関係も表示し、データ関係の全体像の明確化が可能です。
また、ソースから宛先までのデータフローを追跡するインタラクティブな系統図を用いて、組織内のすべてのメンバーがデータリネージにアクセスできるようにします。
さらに、技術面でのテーブル、列、変換、そしてSQLクエリのレベルでのリネージにも対応しています。
統合プラットフォーム
Collibraの統合プラットフォームは、データアクセスポリシーを1つの画面から一括管理できる機能です。データ、プライバシー、ビジネスチームの関係者全員が参加する共同作業とレビュープロセスを促進します。
また、データカタログからデータ資産情報を取得し、ポリシー設定を自動化することも可能です。
また、統合プラットフォームでは、データのアクセス制御と管理も一元化も可能です。
たとえば、部門またはドメインを越えて組織の機密データを一元管理したり、列と行レベルでのアクセス制御が可能です。
さらに、データの保護においても、データの内容と機密性を自動的に識別し、大量のデータに適した保護策を拡張できます。
データプライバシー
データプライバシー機能により、機密データを効率的に分類し、正確かつ信頼性の高いデータへ容易にアクセスが可能です。
また、評価ツールを使用してデータプロセスのリスクを迅速に識別・評価し、リスク評価を自動化します。
さらに、2018年6月にカリフォルニア州で成立した、米国で初めての包括的なプライバシー保護法「CCPA」や、2018年5月に施行されたヨーロッパのプライバシー法「GDPR」など、重要なプライバシー法規にも準拠しています。
AIガバナンス
AIガバナンス機能は、AIの学習に必要なデータを収集・蓄積・モデリングし、業務支援できるプラットフォームを構築する「AIユースケース」を、体系的に整理し、定期的な検証により、価値あるAI開発を可能にする機能です。
また、Google Vertex AIとの連携も可能で、AIプロジェクトの効率を高められます。
さらに、機密データを特定し、適切なデータアクセスポリシーの適用により、データの管理を強化し、責任あるAI開発の実現を支援します。
Collibraを活用した事例紹介
引用元:https://www.collibra.com/us/en
本章では、Collibraを活用した事例を5例紹介します。
主な事例は以下のとおりです。
- ロッキード・マーティン
- フレディマック
- ハイネケン
- エンビジョン・ヘルスケア
- Axa XL
それぞれ詳しく解説します。
ロッキード・マーティン|豊富なデータ資産を有効活用
ロッキード・マーティン(Lockheed Martin Corporation)は、アメリカ合衆国の航空機・宇宙船の開発製造会社です。同社における課題は、保有する豊富なデータの管理と、データへのアクセス性の向上でした。特に、多岐にわたって蓄積された豊富なデータ資産の価値を高めることを目標としていたのです。
しかし、ビジネスアナリストたちは、分析に利用するデータの品質や新しさに関する知識、理解が少なく、データを探すのに多くの時間を費やしていました。
解決策として、データガバナンスとデータカタログを推進するチームが「Collibra」と提携し、社内の情報マーケットプレイスを構築、データを整備していきました。
結果として、ビジネスアナリストは迅速にデータへアクセス可能になり、情報資産へのアクセスとデータの活用が容易になりました。また、平行してデータガバナンス戦略を実行し、情報資産に対する信頼性の構築を実施しています。
この取り組みで、航空部門を含む同社の主要事業部門に多大な利益をもたらし、ガバナンスの向上や、重複作業の低減、手動作業の削除に成功しています。
フレディマック|ビジネス用語集の構築でデータ資産を有効活用
フレディマック(連邦住宅金融抵当公庫)は、アメリカの金融機関です。
同社は、2019年に約48万の住宅購入者への支援を目標に掲げたため、広範囲にわたるデータの収集と分析が必要な状況だったため「Collibra」をデータ管理の集中ハブとして導入しました。
結果として、2,000名以上のデータユーザーがビジネス用語集にアクセスできるようになり、組織全体のデータ統治とメタデータの管理が強化されました。
また、データの複雑さに対応するために、複数のデータソースを統合し、大量のデータを複数のマシンに分散して処理できるHadoopを基盤とする分析プラットフォームを導入するなど、クラウドベースへの移行を進めたことにより、セキュリティやスケーラビリティが向上したのです。
また、クラウドサービスや利用を前提としたシステムへの移行をサポートするため、Collibraを利用したサポートサービスの実施、データパイプラインの最適化を行っています。
豊富なデータを統合し、一元的に管理アクセスできるようになったことで、データ資産をビジネスにより役立てることに成功した例です。
ハイネケン|断片化されたデータの整備を解決
ハイネケン(Heineken)は言わずと知れたオランダ・アムステルダムで誕生した、ビール醸造会社です。同社は、80以上の事業会社と複雑なIT環境を統括しており、データの断片化が大きな課題でした。特に、データの不一致と透明性の欠如が効率的な運用を阻害していたのです。
この問題に対処するため、Collibraを導入。
データの可視性とアクセスを改善し、組織全体のデータガバナンスを強化することに成功しています。また、データの集中化と標準化を促進し、他のビジネスシステムとの連携も可能にしています。
Collibraの導入により、以前は約1週間かかっていたデータチェックを1日で完了できるようになったのです。また、多くの既存データガバナンスツールを削除して、ITサポートの必要性を減少し、コスト削減にも成功しています。
こうした改善により、ハイネケンはデータを活用して迅速かつ正確なビジネス判断を行うことが可能になり、企業全体の業務効率が向上しました。
エンビジョン・ヘルスケア|効率的なデータガバナンス体系を構築
エンビジョン・ヘルスケア(Envision Healthcare Corporation)は、アメリカで事業展開している外科、薬局、医療・救急医療、その他関連医療サービスを提供する医療サービス会社です。
同社は、全米規模の医療企業のため、日々の医療業務でやり取りするデータの品質と管理の改善が大きな課題でした。
この課題に対応するため、同社では50以上のデータ収集システムを整理し、効率的なデータガバナンス体系を再構築するため「Collibra」を導入しています。
Collibraの導入により、データの一貫性を保ちながら自動化を進め、医療の効率化とデータに基づく意思決定の促進を実現しました。結果として、経営や現場の問題点を明らかにし、請求関連や保険請求の業務の精度を向上させています。
さらに、医療データの透明性を高めるために、51の品質指標を定義し、それに基づいて治療成果を評価しています。データガバナンスを通じて、医療提供者はデータを活用して迅速かつ精確に対応できるようになり、患者の治療結果の最適化に寄与しているのです。
データ中心のアプローチは、医療の質の向上に寄与するだけでなく、経営効率の改善にもつながっている好例といえるでしょう。データガバナンスの取り組みは、エンビジョンにとって、より良い業務運営と高品質なケアの提供を可能にしています。
Axa XL |データ透明性の向上をCollibraにより実現
Axa XLは、コネチカット州スタンフォードに本社を置く企業向けにカスタマイズ可能な保険ソリューションを提供している保険代理店です。
Axa XLは、保険に関する重要情報を扱うため、データ管理を強固に実行する必要がありました。また、個人情報保護法などの新しい規制への適応と共に、データの透明性の強化が課題でした。
そこで「Collibra」を導入し、データ管理の安全性や透明性を向上させました。
また、データ透明性を向上させるための取り組みでは、データカタログとデータ品質の情報を融合させ、ビジネスユーザーにとって必要なすべてのデータ情報を一目で確認できるようにした点が大きなポイントです。
ユーザーがデータを信頼し、安心して使用できる環境を実現しています。
まとめ:Collibraを活用して、組織内のデータを効率的に管理しよう。
引用元:https://www.collibra.com/us/en
Collibraは、さまざまなデータに対して、概要や特徴、関連性などをまとめて一覧化できるデータカタログツールです。Collibraの活用により、社内の膨大なデータを一元的に体系立てて管理し、効率的にデータ資産の分析や活用ができます。
ユーザーデータが多く処理に時間がかかっている場合や、情報が錯綜しているケースなどでは、Collibraが大いに活躍するでしょう。Collibraを活用して、社内のデータを体系的に整理し、データの可視化と検索の容易性を向上させましょう。
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今本 たかひろ/MarTechLab編集長
料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。