STPPフレームワークを活用したCX改善:ギャプライズの実践的アプローチ
デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する現代において、顧客体験(CX)の重要性はかつてないほど高まっています。多様化し、高度化する顧客ニーズに対応し、効果的なCX戦略を立案するためには、従来のマーケティング手法をさらに発展させる必要があります。
本記事では、長年マーケティングの基礎として活用されてきたSTP(Segmentation、Targeting、Positioning)フレームワークを進化させた、STPPフレームワークについて解説します。このアプローチは、従来のSTPにペルソナ分析(Persona)を加えることで、より深い顧客理解と効果的なCX改善を可能にします。
ギャプライズが提案するこの新しいフレームワークを通じて、デジタル時代における顧客中心のマーケティング戦略の立案方法を探っていきましょう。
目次
STPPフレームワークとは
STPPフレームワークは、従来のSTPマーケティングにペルソナ分析(Persona)を加えた、より包括的なマーケティングアプローチです。このフレームワークは以下の4つのステップから構成されています。
- Segmentation(セグメンテーション):市場を意味のある顧客グループに分割します。
- Targeting(ターゲティング):分割されたセグメントの中から、最も魅力的で収益性の高いセグメントを選択します。
- Persona(ペルソナ分析):選択したターゲットセグメントの代表的な顧客像を作成します。
- Positioning(ポジショニング):作成したペルソナに基づいて、製品やサービスの独自の価値提案を決定します。
STPPフレームワークの特徴は、ターゲティングとポジショニングの間にペルソナ分析を挿入することで、より具体的かつ詳細な顧客像に基づいたマーケティング戦略の立案を可能にする点です。この追加ステップにより、顧客のニーズや行動パターンをより深く理解し、それに基づいたきめ細かなCX戦略を展開することができます。
次のセクションでは、STPPフレームワークの各ステップについて詳しく見ていきましょう。
STPPフレームワークの各ステップ
Step1 セグメンテーション(Segmentation)
セグメンテーションは、多様な顧客群を共通の特性や行動パターンに基づいて、より小さな同質的なグループに分割するプロセスです。効果的なセグメンテーションを行うことで、各グループの特性やニーズをより深く理解し、それぞれに適したマーケティング戦略を立てることが可能になります。
主なセグメンテーションの方法には以下があります。
- デモグラフィック・セグメンテーション:年齢、性別、収入、職業などの人口統計学的特性に基づく分類
- ジオグラフィック・セグメンテーション:地理的な位置や特性に基づく分類
- サイコグラフィック・セグメンテーション:ライフスタイル、価値観、興味関心などの心理的特性に基づく分類
- 行動的セグメンテーション:製品の使用頻度、ブランドロイヤルティ、購買行動などに基づく分類
デジタル時代においては、これらの従来の方法に加えて、オンライン行動データやソーシャルメディアの活動など、より詳細で動的なデータを活用したセグメンテーションも可能になっています。
Step2 ターゲティング(Targeting)
ターゲティングは、セグメンテーションによって特定された市場セグメントの中から、自社が注力すべき最適なターゲット市場を選定するプロセスです。全てのセグメントに対してマーケティング活動を行うのは非効率的であり、経営資源の有効活用の観点からも、最も魅力的で収益性の高いセグメントを選択することが重要です。
ターゲティングの際に考慮すべき主な要素には以下があります。
- セグメントの規模と成長性:現在の市場規模と将来の成長potential
- セグメントの収益性:予想される利益率や投資回収率
- 競合状況:既存の競合企業の数と強さ
- 自社の強みとの適合性:自社の能力やリソースとセグメントのニーズとの整合性
- アクセス可能性:セグメントへのマーケティングや製品提供の容易さ
これらの要素を総合的に評価し、最適なターゲットセグメントを選定します。
Step3 ペルソナ分析(Persona)
ペルソナ分析は、選択したターゲットセグメントの代表的な顧客像を作成するプロセスです。このステップは、STPPフレームワークにおいて新たに追加された重要な要素です。ペルソナを作成することで、ターゲット顧客の具体的なニーズ、行動パターン、価値観を深く理解し、より効果的なマーケティング戦略を立案することができます。
典型的なペルソナには以下の要素が含まれます:
- 基本情報(年齢、職業、家族構成など)
- 目標と課題
- 行動パターン
- 情報源と影響要因
- 価値観と信念
ペルソナ分析は、ユーザーを深く理解するための重要なステップです。効果的なペルソナを作成するには、単なる統計データだけでなく、ユーザーの感情や行動パターンを深く掘り下げる必要があります。
ギャプライズでは、ユーザーの感情に深く寄り添うための独自のアプローチとして、「ユーザー感情を憑依させるための9ステップ」を開発しました。このアプローチは、ペルソナ分析をより深化させ、真に顧客中心のマーケティング戦略を立案するための強力なツールとなります。
「ユーザー感情を憑依させるための9ステップ」の詳細については、こちらの記事をご覧ください。このアプローチを活用することで、より精度の高いペルソナを作成し、STPPフレームワークの効果を最大化することができます。
Step4 ポジショニング(Positioning)
ポジショニングは、作成したペルソナに基づいて、製品やサービスの独自の価値提案を決定し、競合との差別化を図るプロセスです。効果的なポジショニングは、ターゲット顧客の心の中に明確で独自の位置を確立し、競合他社との差別化を図ることを目的としています。
ポジショニング戦略を立てる際の主なステップは以下の通りです。
- 競合分析:主要な競合他社の強みと弱み、市場でのポジションを分析します。
- 自社の強みの特定:自社の製品やサービスの独自の価値提案を明確化します。
- ターゲット顧客のニーズ分析:作成したペルソナを基に、ターゲット顧客の具体的なニーズや欲求を理解します。
- ポジショニング・ステートメントの作成:自社の製品やサービスがどのように顧客のニーズを満たすかを簡潔に表現します。
- マーケティングミックスの調整:製品、価格、流通、プロモーションなどのマーケティング要素を一貫したポジショニングに合わせて調整します。
ペルソナ分析を経たポジショニングは、より具体的で顧客中心の価値提案を可能にし、効果的なCX戦略の基盤となります。
STPPフレームワークの利点
STPPフレームワークを活用することで、以下のような利点が得られます。
- より深い顧客理解:ペルソナ分析を通じて、統計的なセグメントデータを超えた、顧客の具体的な動機、行動パターン、ニーズを理解できます。
- エンパシーの向上:ペルソナを通じて、マーケターやプロダクトチームが顧客の視点に立つことができ、より共感的なアプローチが可能になります。
- コミュニケーションの一貫性:組織全体で共通のペルソナを参照することで、顧客中心のアプローチを一貫して維持できます。
- ターゲット戦略の精緻化:ペルソナに基づいて、より具体的かつ効果的なマーケティング戦略を立案できます。
- CX改善への直接的貢献:顧客の具体的な期待や痛点を理解することで、より的確なCX改善策を講じることができます。
これらの利点により、STPPフレームワークは従来のSTPアプローチよりも、より顧客中心で効果的なマーケティング戦略の立案を可能にします。
STPPフレームワークの実践
STPPフレームワークを実践する際は、以下のステップを踏むことをお勧めします。
- 市場調査とデータ収集: 幅広い市場データを収集し、顧客の特性、ニーズ、行動パターンを把握します。
- セグメンテーションの実施: 収集したデータを基に、意味のある顧客グループに市場を分割します。
- 最適なターゲットセグメントの選定: 各セグメントの魅力度を評価し、自社にとって最適なターゲットを選びます。
- 「ユーザー感情を憑依させるための9ステップ」を活用したペルソナ作成: 選定したターゲットセグメントに対して、ギャプライズの独自アプローチを用いて詳細なペルソナを作成します。
- ペルソナに基づいたポジショニング戦略の立案: 作成したペルソナの特性やニーズに基づいて、製品やサービスの独自の価値提案を決定します。
- 統合的なマーケティング戦略の展開: ポジショニングに基づいて、一貫性のあるマーケティングミックスを展開します。
これらのステップを丁寧に実行することで、より効果的で顧客中心のマーケティング戦略を立案し、実行することができます。
まとめ
STPPフレームワークは、従来のSTPアプローチにペルソナ分析を加えることで、より深い顧客理解と効果的なCX改善を可能にします。特に、ペルソナ分析の段階で「ユーザー感情を憑依させるための9ステップ」を活用することで、より精緻で実効性の高いマーケティング戦略を立案することができます。
デジタル時代において、顧客の期待はますます高度化・多様化しています。STPPフレームワークと「ユーザー感情を憑依させるための9ステップ」を組み合わせることで、これらの期待に応え、真に顧客中心のアプローチを実現することが可能となります。
マーケティング戦略の立案や改善に取り組む際には、このSTPPフレームワークを活用し、より深い顧客理解に基づいたアプローチを試みてみてはいかがでしょうか。顧客との強固な関係構築と、持続可能な事業成長への道が開けるはずです。

今本 たかひろ/MarTechLab編集長
料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。