Cloudflare(クラウドフレア)活用メリットや注意点、使い方も紹介
Webサイトを管理する担当者の方なら、瞬間的なアクセス増加によるサーバーダウン回避やサーバー保護のために導入できる施策はないのだろうかと悩むことが多いのではないでしょうか。
本記事では、Cloudflareの特徴や導入メリット、デメリットなどを解説します。
ぜひ、Cloudflareを導入・活用して、Webサイトの高速化と安全性を高めましょう。
目次
Cloudflare(クラウドフレア)とは
Cloudflare(クラウドフレア)とは、Webサイトへのあらゆる攻撃を防御しながら、リクエスト処理を最適化できるCDNサービスの1つです。
CDNとは「Content Delivery Network」の略で、Webサイトへアクセスする際のリクエスト処理を最適化する仕組みのこと。
CDNはキャッシュを利用して負荷を分散できるため、大量のアクセスでもサーバーダウンせずWebサイト自体を高速化できます。
CDNのサービスはさまざまありますが、Cloudflareは世界シェア1位、CDNの市場の83.1%を占めるといわれています。(2024年1月31日時点)
参照:Usage of reverse proxy services broken down by JavaScript content delivery networks|W3C Tech
Cloudflareの歴史
Cloudflareは2004年に開発された「Honey Pot」というスパムメールの追跡システムから始まりました。
Honey Potは185か国以上、数千のWebサイトに導入され好評でしたが、ユーザーから「スパムメールの追跡だけではなく、犯罪を阻止するシステムが欲しい」との意見が多く上げられていました。
そのため、Honet Potを進化させてインターネットの脅威を追跡するだけでなく阻止する目的で作られたのが「Cloudflare」です。
Cloudflareの理念は「より良いインターネット環境の構築をサポートする」ことで、Webサイトの最適化・表示スピードにおける「より良いインターネット環境」と、だれもが安心安全にインターネットを使える「より良いインターネット環境」の2つの意味があります。
参照:Cloudflareの歴史|Cloudflare
Cloudflareの特徴とメリット
Cloudflareは多くのWebサービスで導入されていますが、その特徴とメリットはどういったものがあるのでしょうか。
以下にCloudflareの特徴とメリットをまとめました。
ページ表示速度を改善できる
Cloudflareを導入すると、Webサイトのページ表示速度が速くなるメリットがあります。
ページの表示速度は、Webサイトにとって非常に重要で、SEOやユーザー満足度、コンバージョン率に大きく影響します。
例えば、Webサイトの稼働監視ツールを提供するPingdom社は2018年に「Webサイトの読み込み時間は3秒が限界で、5秒以上になるとユーザーの直帰率が38%まで上昇する」と発表しています。
参照:Browser Usage|Pingdom
他にも、2018年Googleからは「表示速度が1秒から3秒に落ちると、直帰率は32%上昇する。表示速度が1秒から5秒に落ちると、直帰率は90%上昇する」と発表されました。
参照:Find out how you stack up to new industry benchmarks for mobile page speed|Google
Cloudflareでページ速度を高速化することで、離脱率を防ぎコンバージョン率の向上が期待できるでしょう。
セキュリティ対策の強化につながる
Cloudflareの導入でセキュリティ対策が強化できる点も大きなメリットです。
その理由は、WAF機能が搭載されているため。
WAF(Web Application Firewall)は、Webサイトの脆弱性に対する攻撃や、DDoS攻撃(分散型サービス妨害攻撃)、悪質なbotによる攻撃などさまざまなサイバー攻撃からWebサイトを守るセキュリティの1つです。
Cloudflareでは、WAFが標準搭載されているので、難しい設定をしなくてもさまざまな攻撃からWebサイトを保護してくれます。
設定が簡単に行える
Cloudflareは簡単に導入・設定ができることもポイントです。
Cloudflareの設定画面は日本語表示が完備されているため、専門用語がわからなくても簡単に設定が行えます。
登録から設定まで数分から10分ほどで完了するので、利用開始までのハードルが低い点もメリットといえるでしょう。
さまざまな機能が充実している
Cloudflareには「画像変換」「オンライン待機室」などさまざまな機能が充実しています。
画像変換機能は、Cloudflare内で画像のリサイズや最適化を手軽に行える機能です。
一方のオンライン待機室は、Webサイトへのアクセスが過多になった場合に、別にオンライン上の待合室を設けユーザーに順番待ちをしてもらうシステムです。
予約開始時などのパンクを防ぎ、ユーザーもアクセスを運で繋ぐのではなく、順番待ちという公平な方法で接続できます。
無料プランで導入ハードルが低い
Cloudflareは無料で導入できます。
そのため、試しに使用してみたい場合には、ハードルも低く導入しやすいでしょう。また、後に有料プランへ切り替えることも可能です。
Cloudflareは有料プランに引けを取らない高機能さですが、すべてのユーザーにとって安全で高速なWeb体験を守りたい理念のもと無料で公開されています。
Cloudflareの使命は、より良いインターネット環境の構築をサポートすることです。Webはオープンで無料であるべきだというのが当社の信条で、規模の大小を問わず、すべてのWebサイトとWebユーザーにとって安全でセキュアで高速なWeb体験を確保する必要があると考えています。
引用:Why is our free plan so good?|Cloudflare
Cloudflareのデメリットと注意点
無料で便利な機能が使えるCloudflareですが、導入にはデメリットもあることを押さえておきましょう。
以下でCloudflareのデメリットと注意点を解説します。
Cloudflareがダウンするとサイト利用が不可
Cloudflareを導入すると、Cloudflareを経由してすべてのサイトが表示されることになります。
万が一Cloudflareに障害が発生しダウンすると、サーバー側に問題がなくてもWebサイトの閲覧ができなくなる恐れがあります。
特に近年で最も大きかった障害は、2022年6月21日。
主要な19つのデータセンターで障害が発生し、DiscordやPixivなど複数のサイトにアクセスできない問題が発生しました。
障害が発生した時間は約2時間ほどでしたが、影響が及んだのはネットワーク全体の4%を占めるほどに。
Cloudflareでは「今後このようなことが二度と起こらないよう努力し続けます」とコメントしています。
参照:Cloudflare outage on June 21, 2022|Cloudflare
Cloudflare自体のダウンは頻繁に起こりはしませんが、障害が起こるリスクは事前に把握しておきましょう。
WordPressへの導入は注意
CloudflareはWorsPressでも使用可能ですが、導入する際には注意が必要です。
ページルール(Page Rules:Webサイト内の個URLに基づいてCloudflare側で行う何らかのアクションのこと)設定を適切に行っていないと、キャッシュ事故という不具合を招く可能性があります。
例えば、WordPressの管理画面のメニューなどは、本来ログインユーザー(管理人)にしか表示されません。
しかし、キャッシュ事故を起こしている場合には管理画面がユーザーから見れたり、編集できたりしてしまいます。
CloudflareをWordPressで使用する場合はキャッシュ事故を防ぐため、キャッシュのルール設定を確実に行うようにしましょう。
適切な運用には知識が必要
Cloudflareは専門的な知識がなくても簡単に導入・設定ができますが、適切に運営していくためには最低限の知識が必要です。
WordPressでのキャッシュ事故なども、最低限の知識がないことで起こってしまうトラブルといえるでしょう。
管理画面で設定の編集は簡単に行えますが、その設定内容がどのような結果を招くのか理解している必要があります。
設定ミスから大きな不具合に繋がるので、テスト環境で十分にテストし、メールやチャットでのサポートも活用して適切に運営していきましょう。
Cloudflareを導入すべきサイトとは?
メリットやデメリットを考慮したうえで、自社サイトへのCloudflare導入を迷っている方も多いのではないでしょうか。
特に、Cloudflareを導入するべきWebサイトは、画像や動画、プラグインなどの容量の大きいデータを使用しているサイトが適しています。
- 画像や動画を多用しているサイト
- 商品紹介に多くのデータがある通販サイト
- 予約などで一時的にアクセスが集中するサイトなど
最近のほとんどのサイトは画像や動画などを使用しているので、Cloudflareの導入でスピードアップやセキュリティー強化などの恩恵を受けられます。
Cloudflareの料金プラン
Cloudflareには無料から有料までさまざまな料金プランがあります。
以下にCloudflareの料金プランを紹介します。
Free | Pro | Business | Enterprice |
無料 | 20ドル/月 (年払い240ドル、月払い25ドル) |
200ドル/月(年払い2400ドル) または月払い250ドル |
要相談(年払いのみ) |
個人的な趣味サイト向け | 本格的な個人的サイト向け | 小規模企業のビジネスサイト向け | 大企業の世界へ展開するサイト向け |
基本機能はFreeプランでも使用可能です。
また、後からプランの変更も可能なため、まずは無料のFreeプランから始めて様子を見るのがおすすめです。
Cloudflareの使い方
ここからは実際にCloudflareの登録方法や使い方を解説していきます。
アカウント登録
Cloudflareの使用には、まずアカウントの登録が必要です。
アカウントの登録方法は以下の通りです。
- Cloudflareの公式サイトにアクセスし、画面右上の「サインアップ」をクリックします。
- メールアドレスとパスワードを入力し「サインアップ」をクリックします。(※画面右上の「English▼」から日本語が選択可能です)
- メールアドレスに届いた認証リンクからCloudflareのページへ行き「ダッシュボードに進みます」をクリックします。
以上でアカウントの登録は完了です。
初期設定
ここからは初期設定の方法を解説します。
- ダッシュボードから「サイト追加」をクリックします。
- 自分のサイトドメインを入力し「続行」ボタンをクリックします。
- 料金プラン選択画面になるので、任意のプランを選択し「続行」をクリックします。
- DNSレコードの確認画面で問題がなければ「続行」をクリックします。
- ネームサーバー変更の画面になるので、この画面を開いたまま自分のドメイン管理サイトへログインし、ネームサーバーを先ほどのネームサーバー変更画面に表示された指示の通りに削除と追加をします。
- 「完了しました。ネームサーバーをチェックしてください」ボタンをクリックします。
以上で初期設定は完了です。
そのまま続けてクイックスタート設定を行います。
クイックスタート設定
初期設定の最後にクイックスタートの画面に飛びますのでそこからクイックスタートを行います。
- 「始める」ボタンをクリックしてクイックスタートを開始します。
- 「HTTPSの自動リライト」とはhttpから始まる画像などがあった場合httpsに自動変換してくれる機能です。「ON」にして「保存」をクリックします。
- 「常にHTTPSを使用」とは常時SSL接続の設定です。特に問題がなければ「ON」にして「保存」をクリックします。
- 「Auto Minify」はサイト表示の最適化です。選択項目を圧縮してサイトの表示を高速化します。すべての項目にチェックを入れて「保存」をクリックします。
- 「Brotli」はコンテンツの圧縮機能のことです。こちらも「ON」にして「保存」ボタンをクリックします。
- これまでの設定内容が表示されるので確認して「終了」ボタンをクリックします。
クイックスタートは以上で完了です。
ネームサーバーの反映までの間「(ドメイン)はCloudflareでまだアクティブではありません」と表示されますが、しばらく時間をおいてから確認し、ドメインが「アクティブ」になっていれば、問題なく設定できています。
まとめ:Cloudflareの導入前に!Webサイトの無料診断でサイト最適化を
Cloudflareは導入・設定が簡単で、無料プランもあるため手軽にWebサイトの高速化とセキュリティ強化を実現できるサービスです。特に画像や動画を多用したサイトや、一時的にアクセスが集中するサイトにおすすめです。
しかし、実際に自社のWebサイトでCloudflareを活用するには、現状の課題を的確に把握し、最適な設定を行う必要があります。そこで、ギャプライズでは無料でWebサイトの診断を行うサービスをご用意しました。
Webサイトの表示速度や、セキュリティ面の課題、改善ポイントなどを専門スタッフが詳しく分析・レポートいたします。診断結果をもとに、Cloudflareを含めた最適なツールのご紹介、設定やその他の施策についてもアドバイスさせていただきます。
Webサイトのパフォーマンス改善やセキュリティ対策は、ユーザー満足度とコンバージョン率アップに直結する重要な取り組みです。この機会に、ぜひ無料診断サービスをご活用ください。お客様のサイトの課題発見と、ポテンシャルを最大化するための最適化の第一歩を、ギャプライズにお手伝いさせてください。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください。Webサイトの理想の姿の実現に向けて、全力でサポートいたします。
今本 たかひろ/MarTechLab編集長(仮)
料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。