Akamaiとは?サービス概要やメリットなどをわかりやすく解説

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Amazonによると、サイト表示が0.1秒遅くなると、売り上げが1%減少し、1秒高速化すると10%の売上が向上すると言われています。現代のECサイトにおいて、表示速度はまさに生命線と言えるでしょう。

しかし、自社だけでサーバーを管理し、高速なサイトを実現するのは容易ではありません。そこで注目を集めているのが、CDN(コンテンツデリバリネットワーク)と呼ばれるサービスです。本記事では、CDN業界の先駆け的存在であるAkamai(アカマイ)について詳しく解説します。

さらに、CDN導入後もさらなる改善の余地があることをご存知でしょうか?ページスピード改善は継続的な取り組みが重要です。記事の後半では、CDN導入後の最適化についても触れていますので、ぜひ最後までお読みください。

Akamai(アカマイ)とは

引用元:https://www.akamai.com/ja

Akamaiとは世界135ヵ国以上に分散配置されたCDNネットワークを活用した、世界最大規模のグローバルプラットフォームを運営する会社です。130を超える国の2万台以上のサーバ群によって構成される「Akamai Intelligent Platform™」を提供しています。このグローバルプラットフォームを活用することで、インターネット上の高速配信を実現できます。

Akamaiは1998年に米国で創業した企業ですが、現在は日本法人があり、国内に多くのパートナー企業を有しています。LINEやGoogleなどの大手サイトを筆頭に、世界中の企業を顧客に抱え、2023年の年間収益は38億ドルとなっています。

Akamai が提供するサービス

引用元:https://www.akamai.com/ja/resources/product-brief/akamai-cloud-computing

Akamaiが提供するサービスは大きく以下の3つに分けられます。

  • クラウドコンピューティング
  • セキュリティソリューション
  • コンテンツ・デリバリー・ソリューション(CDN)

それぞれについて解説します。

クラウドコンピューティング

クラウドコンピューティングとはサーバー、ストレージ、ネットワーク、ソフトウェア、 分析などのサービスをインターネット経由で取得し、活用する機能です。仮想化によって実現されたクラウドコンピューティングは世界中に分散された物理サーバーからリソースをプールして、スケーラブル(拡張性のある)サービスとして顧客やユーザーに提供します。

クラウドコンピューティングを活用すれば、自社でサーバーを設置する必要や独自のソフトウェアを実行する必要がなくなり、管理が容易になるのが利点です。

専用CPU

ビデオエンコーディング、機械学習、データ分析処理など、CPU集中型アプリケーションに適した「Dedicated CPU」や、個人のプロジェクトから企業のアプリケーションまで幅広くインフラを強力にサポートする「Shared CPU」などのサービスがあります。

ブロックストレージ

最大10TBサイズの高速なボリュームを追加して、インスタンスのストレージ容量を増やすことができます。1つのコンピュートインスタンスに最大8つのボリュームをアタッチ可能で、データは消去符号化により複製できます。

データベース

Akamaiのデータベースはシンプルかつスケーラブルで、信頼性に優れています。新しいデータベースを迅速に導入できるうえ、設定やバックアップ、災害復旧といった管理タスクを安心して任せることができます。

セキュリティソリューション

昨今、CDNからセキュリティーへと事業の軸足を移しつつあるAkamai。経験豊富なセキュリティ専門家チームと実績のあるオンライン防御を組み合わせ、セキュリティ管理ソリューション、監視、緩和を単一のフルマネージドサービスで提供しています。

ゼロトラスト・セグメンテーション

Akamai Guardicore PlatformはマイクロセグメンテーションやDNSファイアウォール、脅威ハンティング、AIなどを組み合わせて、ゼロトラスト・セキュリティを実現します。ほぼリアルタイムのフォレンジック分析をおこなえるうえ、コスト削減にも貢献します。

クライアントサイド・プロテクション

Client-Side Protection & Complianceは悪性スクリプトの動作を検知し、リアルタイムでWebサイトの整合性を担保します。具体的にはJavaScriptやウェブスキミングの脅威、フォームジャッキング攻撃から保護することが可能です。また、PCI DSS v4.0 へのコンプライアンスに対応できる機能もあります。

ボットマネージャー

Akamai Bot Managerはボットがアプリケーションやデータセンターへとたどり着く前にボットを検知・識別して対処するサービスです。Akamaiリサーチャーが1日あたりTB規模の新規攻撃データを分析し、発見が困難なボットを的確に判断します。

エッジDNS

エッジDNSはAkamaiの強力なプラットフォームを使用して、大規模かつ悪質な攻撃からクラウド、オンプレミス、ハイブリッドのDNSインフラのセキュリティを強化します。また世界中に分散されているプラットフォームがオリジンの負荷を軽減し、24時間の可用性を実現します。

24時間体制のマネージドサービス

Akamai Managed Security Service を導入すれば、Akamaiの専任セキュリティ・エキスパート・チームが、潜在的な脅威を24時間体制で監視してくれます。Akamaiの豊富な実績と予測的な知見により、ダウンタイムやデータ窃盗のリスクを緩和するだけでなく、脅威が特定されると重大なインシデントに発展する前に迅速に阻止できるでしょう。

コンテンツ・デリバリー・ソリューション(CDN)

CDNは地理的に分散されたサーバーグループを通じてコンテンツをユーザーの所在地に近づけることで、Webコンテンツの配信を高速化する仕組みです。CDNはオリジンサーバー、エッジサーバー、DNS サーバーの3種類のサーバーを活用します。レイテンシーの低減やユーザーの顧客体験向上、サーバーへの負荷軽減などのメリットがあり、昨今のインターネットコンテンツの配信において必要不可欠なソリューションです。

クラウドテスト

CloudTestは変動するトラフィックの中で、コンテンツが稼働する準備が整っているかを迅速に検証するパフォーマンス解析サービスの一種です。テスト中に負荷を調整したり、プロモーションや障害をシミュレートするなど、あらゆる操作をすべてリアルタイムで分析できます。

メディアデリバリー

Adaptive Media DeliveryはABRストリーミング向けに最適化された高品質な動画を、大規模かつ安全に提供できるサービスです。動画視聴の信頼性やスケーラビリティ、セキュリティの強化につながります。

イメージ&ビデオマネージャー

Image and Video Managerは、あらゆるデバイスおよびブラウザーに合わせて品質、形式、サイズが最適な組み合わせになるよう画像を最適化する機能です。インタラクティブなズームやパン、色と透明度の変更、透かし、サイズ変更、トリミングなど、30 種類以上のアーティスティック変換の適用をおこないます。

Akamaiのメリット

Akamaiを導入するメリットには、以下の2点が挙げられます。

  • パフォーマンスの向上
  • セキュリティの強化

それぞれについて解説します。

パフォーマンスの向上によるCVR改善やSEO効果

Akamaiは世界各地に大規模なサーバーを構築しています。そのため、地球の反対側にあるかもしれないオリジンサーバーにリクエストを送信せずとも、ユーザーの近くにあるサーバーにあらかじめ保存されているコンテンツを配信することができます。 遅延時間を最小化することでユーザーの待ち時間を最小限に短縮し、その結果としてパフォーマンスの向上を実現します。

ユーザビリティの向上によりCVRの改善やSEOへの影響が見込めます。

セキュリティの強化

Akamaiはその膨大なネットワークを活用して、攻撃や脅威に対する防御を強化し、Web サイトのセキュリティを向上させることもできます。具体的にはインターネット上のトラフィックをモニタリングして、不正なアクティビティを検出し、迅速に処理します。Akamaiの豊富な防衛実績と知見を持つセキュリティチームだからこそなし得る防御です。

Akamaiの導入により、大幅なパフォーマンス向上が期待できます。しかし、最適なユーザー体験を提供するには、CDN導入後も継続的な改善が必要です。ギャプライズでは、CDN導入済みのサイトに対しても、さらなるパフォーマンス向上のための分析と最適化を提供しています。

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Akamaiの導入事例

引用元:https://www.akamai.com/ja/partners/overview

Akamaiはこれまでに多くの導入実績があります。最後にその中から事例をいくつか紹介します。

ANA

世界中を混乱させた新型コロナウイルス感染症のパンデミックを乗り越え、2022年12月に70周年を迎えたANAは70周年キャンペーンを実施し、「国内どこでも7,000円」という破格の運賃で航空券を販売すると、通常時の10〜15倍という急激なスパイクアクセスが発生しました。そこで同社は予約アクセスの制御を喫緊の課題とし、Akamaiに相談。仮想待合室ソリューション「Queue-It」を導入しました。

Queue-Itはアクセス集中が発生した場合に訪問者を仮想待合室にオフロードさせ、先着順に目的のサイトにリダイレクトします。トラフィックの流入を適切かつ公平に管理できるうえ、待機中は待ち時間や待ち人数などの情報が表示されるため、顧客のストレスを軽減し、顧客体験を向上できます。AkamaiはQueue-Itと商業パートナーシップ契約を締結しており、AkamaiのEdgeWorkersを利用すれば、コードに触れることなくQueue-itの仮想待合室機能を既存のサイトに統合することが可能です。

参考:全日本空輸株式会社 ANA │ Akamai お客様事例

関西電力株式会社

関西電力は、2019年のG20大阪サミット開催にそなえてセキュリティ対策の強化を検討していました。当然ながらファイアウォールやDDoS対策など基礎的な対策は実施していたものの、進化を続けるサイバー攻撃への対策不足が懸念されていたのです。大がかりな組織改変を控え時間的にも人的にもリソースが不足していた中、Akamaiのマネージドサービスを知り、導入を決定。導入の決め手となったのは運用負荷が小さく、膨大なアクセスにも耐えうる技術を持ち得ていたこと、そして何よりサービスの信頼性が高かったことだと同社は述べています。

関西電力がサイバー攻撃を防ぐWAFおよびDDoS対策として導入したのは「Akamai App & API Protector(導入当時は Kona Site Defender)」です。最初の約1カ月はモニタリングモードで運用してデータを分析し、その結果を受けて遮断モードの本番運用を開始しました。同社は「大量の不審なアクセスがあってもオリジンサーバーを保護し、サイトの閲覧障害を防ぐことができている」とサービスを評価し、次いで「Bot Manager Premier」も導入・運用しています。

参考: 関西電力株式会社 │ Akamai お客様事例

今回ご紹介した事例は大規模なものですが、サイトの表示速度改善によって得られるメリットは規模は関係なく同様のメリットを得ることができます。

CDN導入後の更なる最適化:ページスピード改善の次なるステップ

AkamaiのようなCDNの導入は、ウェブサイトのパフォーマンス向上に大きく貢献します。しかし、最高のユーザー体験を提供するには、CDN導入後も継続的な最適化が必要です。

CDN導入だけでは解決できない課題

    1. フロントエンド最適化
      • JavaScriptやCSSの最適化
      • 画像の最適化とレスポンシブ対応
      • レンダリングブロッキングリソースの削減
    2. サーバーサイドの処理速度
      • データベースクエリの最適化
      • アプリケーションロジックの効率化
      • キャッシュ戦略の最適化
    3. Third-party scriptsの管理
      • 外部スクリプトの影響分析と最適化
      • 非同期読み込みの実装
    4. パフォーマンスモニタリングと継続的な改善
      • リアルユーザーメトリクス(RUM)の活用
      • 定期的なパフォーマンス監査と改善

ギャプライズのページスピード改善ソリューションは、CDN導入後のこれらの課題に対して包括的なアプローチを提供します。当社の専門家チームが、お客様のウェブサイトを詳細に分析し、CDNの効果を最大限に引き出しつつ、さらなるパフォーマンス向上を実現するためのカスタマイズされた戦略を提案いたします。

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まとめ:Akamaiは世界最大規模のクラウド・コンピューティング・プラットフォーム

昨今、市場が激化しているインターネットコンテンツの配信において、CDNなしに顧客体験を向上させることは難しいのが現状です。そのような中、Akamaiは世界各国にサーバーを持つ大規模クラウドプラットフォームであり、インターネットコンテンツ配信におけるそうした課題を一気通貫で解決してくれます。

しかし、ページスピード改善にはCDNの導入だけでなく、継続的な最適化が重要です。ギャプライズでは、Akamaiなどの大規模CDNを導入済みの企業様に対しても、さらなるパフォーマンス向上のための分析と最適化サービスを提供しています。

当社では、お客様のサイトに合わせたカスタマイズ可能なソリューションを通じて、中小企業から大企業まで、あらゆる規模の企業のウェブサイトパフォーマンス向上をサポートしています。

さらに、業界別の表示速度ランキングを通じて、競合他社との比較や具体的な改善点の発見にも役立つ情報を提供しています。

ぜひ、以下のリンクから無料サイトスピード診断をお申し込みいただくか、表示速度ランキングコンテンツをダウンロードして、あなたのサイトの潜在的な改善点を発見してください。

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今本 たかひろ/MarTechLab編集長

料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。

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