2025年10月最新!ECサイト表示速度ランキング – Amazonを上回る83サイトから見るパフォーマンス改善のヒント
Googleが推奨する表示速度(LCP)2.5秒以内―国内大手ECサイト272サイトを対象とした今回の調査で、この基準を達成しているのは74.6%(203サイト)に上ります。さらに注目すべきは、Amazon(1.697秒)をも上回る83サイトの存在です。売上高上位かつ月間10万PV以上の主要ECサイトから見えてきた、表示速度改善の最新トレンドと具体的な施策を解説します。
目次
LCPとは何か?なぜ重要なのか

LCP(Largest Contentful Paint)とは、Googleが定めたCore Web Vitals(ウェブの重要指標)の1つで、ページを開いてから主要コンテンツ(通常は最大の画像やテキスト)が表示されるまでの時間を指します。LCPが小さいほど、ページの主要部分が素早く表示され、ユーザーは読み込み速度が速いと感じます。
Googleは、良好なユーザー体験のためにLCPを2.5秒以内とすることを推奨しています。4秒を超えると、ユーザーの満足度が大きく損なわれるとされています。また、ルノー社の改善事例によるとLCPは1 秒未満までその改善効果が得られることがわかっています。
ECサイトにとってLCPが重要な理由は以下の3点です。
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- ユーザー体験の向上:ページが速く表示されることで、ストレスのないスムーズな閲覧が可能に
- コンバージョン率の改善:表示速度の向上はユーザーエンゲージメントを高め、購入などの目標達成につながる
- SEOへの影響:GoogleはLCPを含むCore Web Vitalsの指標を検索順位のランキング要因の1つとしている
つまり、LCPの改善は、ユーザー満足度とコンバージョンの向上だけでなく、自然検索でのサイト流入増加にも寄与するのです。
2025年10月 日本の通販サイトLCPスコアランキング
TOP10サイトの詳細
| 順位 | サイト名 | URL | LCP (秒) |
| 1 | ムラウチドットコム | https://www.murauchi.com | 0.714 |
| 2 | あみあみオンラインショップ | https://www.amiami.jp | 0.81 |
| 3 | BAYCREW’S STORE | https://baycrews.jp | 0.941 |
| 4 | 郵便局のプリントサービス | https://print.shop.post.japanpost.jp | 1.013 |
| 5 | くらしと生協 | https://www.e-kurashi.coop | 1.014 |
| 6 | 資生堂パーラー | https://parlour.shiseido.co.jp | 1.065 |
| 7 | EPSON | https://shop.epson.jp | 1.092 |
| 8 | Chacott | https://shop.chacott.co.jp | 1.097 |
| 9 | ROYCE’ | https://www.royce.com | 1.111 |
| 10 | JaDoRe Jun Online | https://www.junonline.jp | 1.117 |
注目すべき傾向
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- 1秒の壁を突破する重要性:今回の調査で特筆すべきは、トップ10のサイトすべてがLCP(Largest Contentful Paint)1.2秒以下を達成していることです。特に、「ムラウチドットコム」、「あみあみオンラインショップ」、「BAYCREW’S STORE」は1.0秒の壁を突破しており、表示速度に関しては最適な状態と言えます。
- 全体的な状況:調査対象となった272サイトのうち、約74.6%(203サイト)がLCP2.5秒以内を達成しています。この結果は、多くのECサイトが表示速度の重要性を認識し、積極的な改善に取り組んでいることを示しています。
- 今回のデータ取得した272サイトを調べてみると、中央値が約2.02秒、平均値が約2.13秒という結果になります。多くの上位ECサイトがGoogle推奨の2.5秒以内を達成している一方で、1秒を切る“超高速”なUXを実現しているサイトはごくわずかであることが分かります。つまり、国内大手でも表示速度においてはまだ最適化の余地が大きく、LCPのさらなる短縮はユーザー体験の向上だけでなく、売上成長や競争優位の獲得にも直結する重要な取り組みといえます。
また、前述のルノー社のケースのように2.5秒より先の改善にこそ大きなビジネスインパクトを出せる可能性を秘めています。
※参照:https://web.dev/case-studies/renault?hl=ja
Core Web Vitalsの新指標!INPで優秀なTOP5サイト
2024年3月より導入されたINP(Interaction to Next Paint)についても、特に優れた成績を収めたサイトを紹介します。
| 順位 | サイト名 | INP (秒) |
| 1 | タマゴ基地 | 0.075 |
| 2 | イケベ楽器店オンラインストア | 0.075 |
| 3 | エレコムダイレクトショップ | 0.08 |
| 4 | ディーライズ | 0.081 |
| 5 | ギャレリアモール | 0.086 |
今月のトップ5には、これまで常連の企業に加えて「イケベ楽器店オンラインストア」が同率1位でランクインしました。「イケベ楽器店オンラインストア」は、LCPが先月2.399秒から今月2.200秒に改善され、INPも先月0.129秒から0.075秒へと大幅に向上しています。
INPは、ユーザーの操作に対するウェブページの応答性を測定する指標であるため、LCPと併せて分析することで、より総合的なサイトパフォーマンスの評価が可能となります。自社サイトのパフォーマンス改善を検討する際は、INPとLCPを含むすべてのコアウェブバイタルの指標を総合的に分析し、改善策を立案することが重要です。
各企業のスコア改善は、以下のような取り組みによって実現されていると考えられます。
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- JavaScriptの実行最適化
- イベントハンドラーの効率化
- レンダリングパフォーマンスの向上
このように、LCPだけでなくINPにおいても、継続的な改善と新たな技術導入の重要性が浮き彫りになっています。
ランキングの意義
ECサイト運営者にとって、このランキングは自社サイトのパフォーマンスを業界内で比較し、改善目標を設定するための重要な指標となります。また、消費者にとっても、快適なショッピング体験を提供するサイトを見極める参考になるでしょう。
ランキングの決定方法
このランキングは、通販新聞社が2024年12月に発表した第83回通販・通教売上高ランキング゙TOP300社のうち、月間トラフィックが100K以上の日本国内サイトを対象に、2025年10月の最新CrUXデータを調査して作成されました。調査には、Google社のChrome ユーザー エクスペリエンス レポートの公式データセットを使用し、各サイトのドメインレベルで4G回線かつモバイルデバイスのLCP(最大コンテンツの描画)を比較しました。
成功企業のLCP改善事例
現代のECサイトが抱えるジレンマ
表示速度の改善は年々難しさを増しています。その主な要因は、現代のECサイトに求められる高度なマーケティング機能の実装にあります。
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- リアルタイムパーソナライゼーション
- 詳細な行動分析とヒートマップ計測
- 多角的なリマーケティング施策
- 継続的なA/Bテスト実施
- マーケティングオートメーションとの連携
これらの機能は、よりパーソナライズされた顧客体験の提供に不可欠である一方で、JavaScript実行やAPIコール、外部リソースの読み込みなど、サイトの表示速度に大きな影響を与えます。
業界トップ企業の取り組みから見る解決への道筋
このジレンマを解決するため、業界トップ企業は様々なアプローチを展開しています。
事例1: Amazon
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- 改善策: Amazonは、画像と動的コンテンツのロード時間を短縮することに重点を置いています。具体的には、画像の遅延ロード、圧縮された画像フォーマットの使用、およびCDN(コンテンツ配信ネットワーク)の効率化により、ページのロード時間を大幅に短縮しました。
- 成果: これらの改善により、AmazonのLCPスコアは大幅に向上し、顧客体験の質が高まるとともに、ページビューとコンバージョン率が増加しました。
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事例2: アスクル
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- 改善策: アスクルでは、モバイルファーストのアプローチを採用し、特にスマートフォンユーザー向けのページパフォーマンスの最適化に力を入れています。これには、クリティカルなCSSのインライン化やJavaScriptの非同期ロードが含まれます。
- 成果: これらの技術的最適化を通じて、アスクルのサイトはより迅速にコンテンツをユーザーに届けるようになり、モバイルユーザーからの肯定的なフィードバックが増加しました。
事例3: BMW
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- 改善策: BMWでは、対象ユーザーに面白いストーリー、ビデオ、画像を提供する、高性能でモバイルファーストのアプローチを実現するため、AMPを使用して新しいモバイル BMW.com をゼロから構築しました。
- 成果: BMW.comからBMW販売サイトをクリックする人の割合は8%から30%に急増し、以前の4倍近くになっています。
これらの事例から学べること
これらの事例から明らかなように、LCPの改善には複数のアプローチが存在します。最適な戦略は、特定のサイトのニーズ、ターゲットオーディエンス、および利用可能なリソースによって異なります。しかし共通しているのは、ユーザー中心の設計思想を持ち、技術的な最適化を積極的に追求することの重要性です。これらの成功事例は、LCPの改善が直接的なビジネス成果に結びつくことを証明しています。
LCPを最適化することは、顧客満足度の向上、SEOランキングの改善、そして最終的には収益の増加に直結します。これらの事例を参考に、自社サイトのLCP改善に向けた第一歩を踏み出しましょう。
参照:
https://president.jp/articles/-/54736
https://xtech.nikkei.com/it/article/COLUMN/20130602/481363/
https://www.thinkwithgoogle.com/intl/en-emea/marketing-strategies/app-and-mobile/bmws-journey-fast-smooth-and-reliable-mobile-website/
LCPを改善するためのテクニカルヒント
サイトのロード時間を短縮し、ユーザー体験を改善することは、現代のウェブサイト運営において重要な課題です。最大コンテンツの描画(LCP)の改善は、この目標を達成するための鍵となります。以下に、LCPを効果的に改善するためのいくつかのテクニカルヒントを紹介します。
1. 画像の最適化
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- 遅延ロード: 画面外の画像のロードを遅らせることで、初期ロード時のデータ量を削減し、LCPを改善します。
- 適切なサイズの画像提供: デバイスの画面サイズに合わせて、適切なサイズの画像を提供することで、不必要なデータのロードを防ぎます。
- 次世代フォーマットの利用: WebPやAVIFなどの次世代画像フォーマットを利用することで、画像のファイルサイズを削減しつつ、品質を維持します。
2. CSSとJavaScriptの最適化
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- クリティカルCSSのインライン化: ページの初期表示に必要なスタイルのみをHTMLにインラインで記述し、余分なスタイルのロードを遅らせます。
- 不使用のJavaScriptの削除: ページロードに影響を与える不要なJavaScriptファイルやコードの削除を行います。
- 非同期ロード: スクリプトを非同期にロードすることで、ページのレンダリングをブロックすることなく、JavaScriptファイルの読み込みを行います。
3. サーバー応答時間の改善
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- 高速なホスティングサービスの選択: サーバーの応答時間に大きな影響を与えるため、信頼できる高速なホスティングサービスの選択が重要です。
- キャッシュの利用: ブラウザやサーバーのキャッシュを適切に設定することで、繰り返し訪問するユーザーのロード時間を短縮します。
4. レンダリングの最適化
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- サーバーサイドレンダリング(SSR)または静的サイト生成: 特に動的なコンテンツを多く含むサイトでは、SSRや静的サイト生成を利用することで、ブラウザがコンテンツをより迅速に表示できるようになります。
- クライアントサイドレンダリングの最適化: 必要なデータのみを最初にロードし、残りはユーザーのアクションに基づいて動的にロードすることで、初期ロード時間を短縮します。
これらのテクニカルヒントを適切に実装することで、LCPの大幅な改善が期待できます。しかし、サイトごとに最適な戦略は異なるため、実際にはこれらのテクニックを組み合わせてテストし、最も効果的な組み合わせを見つけ出すことが重要です。継続的な監視と最適化を通じて、ユーザーに最高の体験を提供しましょう。
まとめ
今回のランキングから、多くの日本の通販サイトが表示速度の重要性を認識し、積極的な改善に取り組んでいることが分かります。特に上位サイトは、世界的に見ても優れたパフォーマンスを示しており、日本のEC業界全体の技術力の高さを示しています。
自社サイトの表示速度改善に取り組む際は、このランキングを参考に、競合サイトとのベンチマークを行いながら、具体的な改善目標を設定することをお勧めします。
貴社サイトの速度診断のススメ
ECサイトの表示速度は、ユーザー体験と売上に直結する重要な指標です。自社サイトのLCPを把握し、改善することが競争優位につながります。
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MarTechLab編集部
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