【2024年4月版】ネット通販事業者の表示速度ランキング

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2024/03/30

インターネットショッピングが日常生活に欠かせないものとなる中、ウェブサイトの表示速度は事業成功の鍵を握っています。特に、オンラインショッピングの世界では、ページの表示速度が顧客の満足度や購入意欲に大きな影響を与えます。

この記事では、2024年2月時点の日本のネット通販事業者のECサイト表示速度ランキングを発表します。また、表示速度を測定する指標である「最大コンテンツの描画(Largest Contentful Paint:LCP)」の重要性と、その改善によるメリットについても解説します。

LCPとは何か?その重要性を解説

LCPとは、Largest Contentful Paint(最大視覚コンテンツの表示時間)の略で、Googleが定めたCore Web Vitals(ウェブの重要指標)の1つです。

ウェブページを開いてから、画面の主要な部分(通常は一番大きな画像や見出しのテキスト)が表示されるまでの時間をLCPは測定します。つまり、LCPの値が小さいほど、ページの主要コンテンツが素早く表示され、ユーザーにとって読み込み速度が速く感じられるということです。

Googleは、LCPの基準値を定めています。ページの読み込み開始から2.5秒以内にLCP要素が表示されればユーザー体験は良好で、4秒を超えるとユーザー体験が低いと判断されます。またルノー社の改善事例によるとLCPは1 秒未満までその改善効果が得られることがわかっています。

なぜLCPがECサイトにとって重要なのか

なぜLCPが重要かというと、ユーザー体験に直結するからです。ページを開いてすぐに主要な情報が表示されると、ユーザーはストレスを感じずにサイトを閲覧できます。逆に、真っ白な画面がしばらく続くと、読み込みが遅いと感じてイライラしたり、せっかく訪問したのにすぐに離脱したりするユーザーが増えてしまいます。

サイト運営者にとっては、LCPのスコアが良好だと、ユーザーのエンゲージメントが上がり、コンバージョン(購入や会員登録などサイトの目標達成)につながりやすくなります。また、2021年以降、GoogleはLCPを含むCore Web Vitalsの指標をサイトの検索順位に反映させています。つまり、LCPを改善することは、SEO対策としても効果があるのです。

2024年2月LCPスコアランキング

ここでは、2024年2月の日本国内ネット通販事業者の表示速度スコアランキングを発表します。このランキングは、各サイトがどれだけ迅速に重要なコンテンツをユーザーに提供できているかを示すものです。

ランキングの意義

ECサイト運営者にとって、このランキングは自社サイトのパフォーマンスを業界内で比較し、改善目標を設定するための重要な指標となります。また、消費者にとっても、快適なショッピング体験を提供するサイトを見極める参考になるでしょう。

ランキングの決定方法

このランキングは、日本ネット経済新聞社が発表した通販売上高ランキングTOP530社のうち上位100社を対象に、2024年2月のデータを調査して作成されました。調査には、Google社のChrome ユーザー エクスペリエンス レポートの公式データセットを使用し、各サイトのドメインレベルで4G回線かつモバイルデバイスのLCP(最大コンテンツの描画)を比較しました。複数のECサイトを運営している場合はいずれか一つのみを対象としています。

ランキング発表

順位 企業名 サイト名 URL LCP(sec)
1 大網 あみあみ https://www.amiami.jp/ 1.007
2 夢グループ 夢グループ https://yumeg.com/ 1.056
3 ジェイオーディ メルシー オンラインショップ https://www.jod.co.jp/ 1.085
4 ファーマフーズ タマゴ基地 https://shop.tamagokichi.com/ 1.087
5 エーツー 駿河屋 https://www.suruga-ya.jp/ 1.109
6 日本生活協同組合連合会 くらしと生協 https://www.e-kurashi.coop/ 1.244
7 サウンドハウス サンドハウス https://www.soundhouse.co.jp/ 1.397
8 アズワン AXELショップ https://axel.as-1.co.jp/ 1.447
9 ニトリ ニトリネット https://www.nitori-net.jp/ 1.451
10 ヨドバシカメラ ヨドバシドットコム https://www.yodobashi.com/ 1.482

ランキングからの洞察

ランキングを見ると、特定の商品ジャンルに特化したECサイトが上位に目立ち、総合ECサイトは2秒前後のLCPスコアが多く見られました。業態別では、家電や化粧品、健康食品などを扱うECサイトのLCPスコアが良好な一方、アパレルや総合ECサイトはばらつきが見られました。商品点数やサイト構造の複雑さが、表示速度に影響を与えている可能性があります。

全体として、100サイト中85サイトがLCPスコア2.5秒以内を達成しています。2.5秒以内に収まることが理想的とされていますが、さらなる高速化を目指すことで、ユーザー体験と売上アップが期待できるでしょう。

ECサイトの表示速度は、ユーザー体験と売上に直結する重要な指標です。今後も継続的な最適化への取り組みが求められます。サイト構造の見直しやページ内容の最適化など、様々な角度からアプローチすることで、LCPスコアの改善と高速表示を実現していくことが期待されます。

成功企業のLCP改善事例

デジタルマーケティングの世界では、LCPの最適化に成功している企業は、その努力により顧客満足度の向上と収益の増加を実現しています。ここでは、そのような企業の事例をいくつか紹介し、彼らがどのようにしてこの重要なパフォーマンス指標を改善したのかを見ていきましょう。

事例1: Amazon

    • 改善策: Amazonは、画像と動的コンテンツのロード時間を短縮することに重点を置いています。具体的には、画像の遅延ロード、圧縮された画像フォーマットの使用、およびCDN(コンテンツ配信ネットワーク)の効率化により、ページのロード時間を大幅に短縮しました。
    • 成果: これらの改善により、AmazonのLCPスコアは大幅に向上し、顧客体験の質が高まるとともに、ページビューとコンバージョン率が増加しました。

事例2: アスクル

    • 改善策: アスクルでは、モバイルファーストのアプローチを採用し、特にスマートフォンユーザー向けのページパフォーマンスの最適化に力を入れています。これには、クリティカルなCSSのインライン化やJavaScriptの非同期ロードが含まれます。
    • 成果: これらの技術的最適化を通じて、アスクルのサイトはより迅速にコンテンツをユーザーに届けるようになり、モバイルユーザーからの肯定的なフィードバックが増加しました。

事例3: BMW

    • 改善策: BMWでは、対象ユーザーに面白いストーリー、ビデオ、画像を提供する、高性能でモバイルファーストのアプローチを実現するため、AMPを使用して新しいモバイル BMW.com をゼロから構築しました。
    • 成果: BMW.comからBMW販売サイトをクリックする人の割合は8%から30%に急増し、以前の4倍近くになっています。

これらの事例から学べること

これらの事例から明らかなように、LCPの改善には複数のアプローチが存在します。最適な戦略は、特定のサイトのニーズ、ターゲットオーディエンス、および利用可能なリソースによって異なります。しかし共通しているのは、ユーザー中心の設計思想を持ち、技術的な最適化を積極的に追求することの重要性です。これらの成功事例は、LCPの改善が直接的なビジネス成果に結びつくことを証明しています。

LCPを最適化することは、顧客満足度の向上、SEOランキングの改善、そして最終的には収益の増加に直結します。これらの事例を参考に、自社サイトのLCP改善に向けた第一歩を踏み出しましょう。

参照:
https://president.jp/articles/-/54736
https://xtech.nikkei.com/it/article/COLUMN/20130602/481363/
https://www.thinkwithgoogle.com/intl/en-emea/marketing-strategies/app-and-mobile/bmws-journey-fast-smooth-and-reliable-mobile-website/

LCPを改善するためのテクニカルヒント

サイトのロード時間を短縮し、ユーザー体験を改善することは、現代のウェブサイト運営において重要な課題です。最大コンテンツの描画(LCP)の改善は、この目標を達成するための鍵となります。以下に、LCPを効果的に改善するためのいくつかのテクニカルヒントを紹介します。

1. 画像の最適化

    • 遅延ロード: 画面外の画像のロードを遅らせることで、初期ロード時のデータ量を削減し、LCPを改善します。
    • 適切なサイズの画像提供: デバイスの画面サイズに合わせて、適切なサイズの画像を提供することで、不必要なデータのロードを防ぎます。
    • 次世代フォーマットの利用: WebPやAVIFなどの次世代画像フォーマットを利用することで、画像のファイルサイズを削減しつつ、品質を維持します。

2. CSSとJavaScriptの最適化

    • クリティカルCSSのインライン化: ページの初期表示に必要なスタイルのみをHTMLにインラインで記述し、余分なスタイルのロードを遅らせます。
    • 不使用のJavaScriptの削除: ページロードに影響を与える不要なJavaScriptファイルやコードの削除を行います。
    • 非同期ロード: スクリプトを非同期にロードすることで、ページのレンダリングをブロックすることなく、JavaScriptファイルの読み込みを行います。

3. サーバー応答時間の改善

    • 高速なホスティングサービスの選択: サーバーの応答時間に大きな影響を与えるため、信頼できる高速なホスティングサービスの選択が重要です。
    • キャッシュの利用: ブラウザやサーバーのキャッシュを適切に設定することで、繰り返し訪問するユーザーのロード時間を短縮します。

4. レンダリングの最適化

    • サーバーサイドレンダリング(SSR)または静的サイト生成: 特に動的なコンテンツを多く含むサイトでは、SSRや静的サイト生成を利用することで、ブラウザがコンテンツをより迅速に表示できるようになります。
    • クライアントサイドレンダリングの最適化: 必要なデータのみを最初にロードし、残りはユーザーのアクションに基づいて動的にロードすることで、初期ロード時間を短縮します。

これらのテクニカルヒントを適切に実装することで、LCPの大幅な改善が期待できます。しかし、サイトごとに最適な戦略は異なるため、実際にはこれらのテクニックを組み合わせてテストし、最も効果的な組み合わせを見つけ出すことが重要です。継続的な監視と最適化を通じて、ユーザーに最高の体験を提供しましょう。

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今本 たかひろ/MarTechLab編集長(仮)

料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。

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