【2025年1月版】ECサイト表示速度ランキング – 上位279サイトの最新情報と改善事例

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インターネットショッピングが日常生活に不可欠となる中、ECサイトの表示速度は事業成功の鍵を握っています。特に、モバイルデバイスの普及により、ページの表示速度が顧客の満足度や購入意欲に与える影響はますます大きくなっています。

この記事では、通販新聞社が発表した第83回通販・通教売上高ランキング上位300社のうち、月間トラフィックが100K以上の日本国内サイトを対象に、2025年1月時点でのECサイト表示速度ランキングを発表します。

また、表示速度の重要な指標であるLCP(Largest Contentful Paint)の意義と、その改善によるメリットについても解説します。

LCPとは何か?なぜ重要なのか

LCP(Largest Contentful Paint)とは、Googleが定めたCore Web Vitals(ウェブの重要指標)の1つで、ページを開いてから主要コンテンツ(通常は最大の画像やテキスト)が表示されるまでの時間を指します。LCPが小さいほど、ページの主要部分が素早く表示され、ユーザーは読み込み速度が速いと感じます。

Googleは、良好なユーザー体験のためにLCPを2.5秒以内とすることを推奨しています。4秒を超えると、ユーザーの満足度が大きく損なわれるとされています。また、ルノー社の改善事例によるとLCPは1 秒未満までその改善効果が得られることがわかっています。

ECサイトにとってLCPが重要な理由は以下の3点です。

    • ユーザー体験の向上:ページが速く表示されることで、ストレスのないスムーズな閲覧が可能に
    • コンバージョン率の改善:表示速度の向上はユーザーエンゲージメントを高め、購入などの目標達成につながる
    • SEOへの影響:GoogleはLCPを含むCore Web Vitalsの指標を検索順位のランキング要因の1つとしている

つまり、LCPの改善は、ユーザー満足度とコンバージョンの向上だけでなく、自然検索でのサイト流入増加にも寄与するのです。

2025年1月 日本の通販サイトLCPスコアランキング

TOP10サイトの詳細

順位 サイト名 URL LCP (秒)
1 AEON https://www.aeon-nenga.jp 0.823
2 あみあみオンラインショップ https://www.amiami.jp 0.838
3 資生堂パーラー https://parlour.shiseido.co.jp 1.005
4 SHOPLIST.com https://shop-list.com 1.014
5 Chacott https://shop.chacott.co.jp 1.036
6 ROYCE’ https://www.royce.com 1.037
7 快活生活 https://www.kensei-online.com 1.071
8 くらしと生協 https://www.e-kurashi.coop 1.077
9 ライフネットスーパー https://www.life-netsuper.jp 1.082
10 タマゴ基地 https://shop.tamagokichi.com 1.090

注目すべき傾向

    1. 全体的な状況:調査対象となった279サイトのうち、約72.4%(202サイト)がLCP2.5秒以内を達成しています。この結果は、多くのECサイトが表示速度の重要性を認識し、積極的な改善に取り組んでいることを示しています。
    2. トップ10の特徴:上位サイトは全てLCP値が1.1秒以下と、Googleの推奨値である2.5秒を大きく下回る優れたパフォーマンスを示しています。
    3. Amazonより速いサイトの増加:今回の調査では、Amazon(1.776秒)より速い国内サイトが101存在することが判明しました。

また、前述のルノー社のケースのように2.5秒より先の改善にこそ大きなビジネスインパクトを出せる可能性を秘めています。

※参照:https://web.dev/case-studies/renault?hl=ja

Core Web Vitalsの新指標!INPで優秀なTOP5社

2024年3月より導入されたINP(Interaction to Next Paint)についても、特に優れた成績を収めたサイトを紹介します。

順位 サイト名 INP (秒)
1 タマゴ基地 0.091
2 あみあみオンラインショップ 0.095
3 北の快適工房 0.095
4 ムラウチドットコム 0.095
5 ディーライズ 0.084

ランキングの意義

ECサイト運営者にとって、このランキングは自社サイトのパフォーマンスを業界内で比較し、改善目標を設定するための重要な指標となります。また、消費者にとっても、快適なショッピング体験を提供するサイトを見極める参考になるでしょう。

ランキングの決定方法

このランキングは、通販新聞社が2024年12月に発表した第83回通販・通教売上高ランキング゙TOP300社のうち、月間トラフィックが100K以上の日本国内サイトを対象に、2025年1月の最新CrUXデータを調査して作成されました。調査には、Google社のChrome ユーザー エクスペリエンス レポートの公式データセットを使用し、各サイトのドメインレベルで4G回線かつモバイルデバイスのLCP(最大コンテンツの描画)を比較しました。全279サイトのランキングをダウンロードする

成功企業のLCP改善事例

デジタルマーケティングの世界では、LCPの最適化に成功している企業は、その努力により顧客満足度の向上と収益の増加を実現しています。ここでは、そのような企業の事例をいくつか紹介し、彼らがどのようにしてこの重要なパフォーマンス指標を改善したのかを見ていきましょう。

事例1: Amazon

      • 改善策: Amazonは、画像と動的コンテンツのロード時間を短縮することに重点を置いています。具体的には、画像の遅延ロード、圧縮された画像フォーマットの使用、およびCDN(コンテンツ配信ネットワーク)の効率化により、ページのロード時間を大幅に短縮しました。
      • 成果: これらの改善により、AmazonのLCPスコアは大幅に向上し、顧客体験の質が高まるとともに、ページビューとコンバージョン率が増加しました。

事例2: アスクル

    • 改善策: アスクルでは、モバイルファーストのアプローチを採用し、特にスマートフォンユーザー向けのページパフォーマンスの最適化に力を入れています。これには、クリティカルなCSSのインライン化やJavaScriptの非同期ロードが含まれます。
    • 成果: これらの技術的最適化を通じて、アスクルのサイトはより迅速にコンテンツをユーザーに届けるようになり、モバイルユーザーからの肯定的なフィードバックが増加しました。

事例3: BMW

    • 改善策: BMWでは、対象ユーザーに面白いストーリー、ビデオ、画像を提供する、高性能でモバイルファーストのアプローチを実現するため、AMPを使用して新しいモバイル BMW.com をゼロから構築しました。
    • 成果: BMW.comからBMW販売サイトをクリックする人の割合は8%から30%に急増し、以前の4倍近くになっています。

これらの事例から学べること

これらの事例から明らかなように、LCPの改善には複数のアプローチが存在します。最適な戦略は、特定のサイトのニーズ、ターゲットオーディエンス、および利用可能なリソースによって異なります。しかし共通しているのは、ユーザー中心の設計思想を持ち、技術的な最適化を積極的に追求することの重要性です。これらの成功事例は、LCPの改善が直接的なビジネス成果に結びつくことを証明しています。

LCPを最適化することは、顧客満足度の向上、SEOランキングの改善、そして最終的には収益の増加に直結します。これらの事例を参考に、自社サイトのLCP改善に向けた第一歩を踏み出しましょう。

参照:
https://president.jp/articles/-/54736
https://xtech.nikkei.com/it/article/COLUMN/20130602/481363/
https://www.thinkwithgoogle.com/intl/en-emea/marketing-strategies/app-and-mobile/bmws-journey-fast-smooth-and-reliable-mobile-website/

LCPを改善するためのテクニカルヒント

サイトのロード時間を短縮し、ユーザー体験を改善することは、現代のウェブサイト運営において重要な課題です。最大コンテンツの描画(LCP)の改善は、この目標を達成するための鍵となります。以下に、LCPを効果的に改善するためのいくつかのテクニカルヒントを紹介します。

1. 画像の最適化

    • 遅延ロード: 画面外の画像のロードを遅らせることで、初期ロード時のデータ量を削減し、LCPを改善します。
    • 適切なサイズの画像提供: デバイスの画面サイズに合わせて、適切なサイズの画像を提供することで、不必要なデータのロードを防ぎます。
    • 次世代フォーマットの利用: WebPやAVIFなどの次世代画像フォーマットを利用することで、画像のファイルサイズを削減しつつ、品質を維持します。

2. CSSとJavaScriptの最適化

    • クリティカルCSSのインライン化: ページの初期表示に必要なスタイルのみをHTMLにインラインで記述し、余分なスタイルのロードを遅らせます。
    • 不使用のJavaScriptの削除: ページロードに影響を与える不要なJavaScriptファイルやコードの削除を行います。
    • 非同期ロード: スクリプトを非同期にロードすることで、ページのレンダリングをブロックすることなく、JavaScriptファイルの読み込みを行います。

3. サーバー応答時間の改善

    • 高速なホスティングサービスの選択: サーバーの応答時間に大きな影響を与えるため、信頼できる高速なホスティングサービスの選択が重要です。
    • キャッシュの利用: ブラウザやサーバーのキャッシュを適切に設定することで、繰り返し訪問するユーザーのロード時間を短縮します。

4. レンダリングの最適化

    • サーバーサイドレンダリング(SSR)または静的サイト生成: 特に動的なコンテンツを多く含むサイトでは、SSRや静的サイト生成を利用することで、ブラウザがコンテンツをより迅速に表示できるようになります。
    • クライアントサイドレンダリングの最適化: 必要なデータのみを最初にロードし、残りはユーザーのアクションに基づいて動的にロードすることで、初期ロード時間を短縮します。

これらのテクニカルヒントを適切に実装することで、LCPの大幅な改善が期待できます。しかし、サイトごとに最適な戦略は異なるため、実際にはこれらのテクニックを組み合わせてテストし、最も効果的な組み合わせを見つけ出すことが重要です。継続的な監視と最適化を通じて、ユーザーに最高の体験を提供しましょう。

まとめ

今回のランキングから、多くの日本の通販サイトが表示速度の重要性を認識し、積極的な改善に取り組んでいることが分かります。特に上位サイトは、世界的に見ても優れたパフォーマンスを示しており、日本のEC業界全体の技術力の高さを示しています。

自社サイトの表示速度改善に取り組む際は、このランキングを参考に、競合サイトとのベンチマークを行いながら、具体的な改善目標を設定することをお勧めします。

貴社サイトの速度診断のススメ

ECサイトの表示速度は、ユーザー体験と売上に直結する重要な指標です。自社サイトのLCPを把握し、改善することが競争優位につながります。

ギャプライズでは、お客様のサイトのLCPを含むパフォーマンス指標の無料診断を行っています。診断結果をもとに、サイト高速化のためのアドバイスもさせていただきます。

貴社ECサイトにおけるスピード改善のポテンシャルや、業界内でのポジション把握にご興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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今本 たかひろ/MarTechLab編集長

料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。

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