【株式会社ゲームエイト】SimilarWebを用いて感覚値ではなく”明確に”市場を捉える解析手法
「重要なのは、気づいた時に調査ができる基盤を組織において構築しておくこと。」
月間1000万人以上が訪れる日本最大級ゲーム・アプリの総合攻略サイト「game8.jp」にて、ゲーム攻略コンテンツ全般の統括を一任されている平井一輝氏。
今回、独特な特徴を持つゲーム攻略市場をマーケット・インテリジェンス・プラットフォーム SimilarWebを用いて解読している同氏にインタビューを実施。
話は市場/競合調査手法に始まり、データによる意思決定を基軸としたチーム文化、昨今のゲーム市場概況、そして今後市場のゲームチェンジャーとなりうる存在の実態と、幅広く伺いました。
今後、何がゲーム市場を動かしていくのか。二回にわたってご紹介いたします。
目次
感覚値ではなく、明確に市場と競合を捉える
──平井様の具体的な業務とミッションを教えてください。
Game8.jpのゲーム攻略コンテンツ全般の統括を任されております。主に攻略するゲームタイトルの決定、Game8.jp全体の施策改善、新規企画のプロジェクト管理などが具体的な業務となります。
攻略情報の発信を通じて、ユーザーのゲーム体験をもっと楽しくする手助けを行い、ゲーム好きなユーザーさんにとって当たり前となれるようなメディアを目指しています。
株式会社ゲームエイト
「ゲームを通して”楽しい”を共有する」をビジョンに、ゲームに関連するインターネットサービスの提供を行なっています。
同社が運営しているgame8.jp(ゲームエイト)は月間1000万人以上が訪れる日本最大級のゲーム・アプリの総合攻略サイトです。
──平井様の業務において、SimilarWebをどのように活用していますか?
大きく2つの使い方があります。
1つ目は、攻略しているゲームタイトルごとのオーガニックトラフィックシェアの確認。
ゲームタイトルごとキーワードグループを作成し、競合と比較して流入が取れているのかを週に一度確認しています。
「今、自社のシェアは競合に取られていないだろうか?」「新たに伸びている競合サイトはないだろうか?」と、アラートの役割としてSimilarWebを活用することにより、スピーディーな改善点への着手を実現します。
また、気になったキーワード群や「最近〇〇ってゲーム流行っているらしいよ」といった情報があればテストでキーワード群を作り、適時チェックしています。
2つ目は、日次の競合分析。
SimilarWebを活用し、ベンチマークにしているサイトを常に監視しています。「この競合サイトはダイレクトからの流入が多いぞ」「こっちのサイトはSNSからの流入が強い。自社はSNSで取れているのか?」等、競合比較から導き出した要素を元に改善点を洗い出し、PDCAを回しています。
──1つ目の使い方、キーワードグループに関してですが、キーワード群はどのように作っていますか?
Googleサジェスト、Yahooサジェスト、あとはキーワードプランナーを活用しています。キーワード群を大量に抜き出したあと、使わないキーワードを抜いてグループを作成します。
抜き出したキーワードの中には、自社サイトを求めていないユーザー層が用いるクエリもあります。このクエリを用いてコンテンツを作ってもユーザーは来ませんし、来たとしても満足させられないため、キーワードは微調整しています。
SimilarWeb導入以前、どの辺りにある程度の需要があるのかを考えていましたが、感覚値な部分がありました。
SimilarWebを活用すると、「キーワードごとにどのサイトがシェアを取っているのか」、「このキーワードはアプローチしないといけないボリュームだよね」、というように、ただの感覚値ではなく、「数値」によって可視化された市場および競合情勢を把握することができます。ここがSimilarWebの良いところです。
また、このキーワード群のシェアは毎週の社内定例会でも活用しています。
──会議の資料としてSimilarWebのデータを使って下さっているんですか?
はい、各ゲームタイトルごとにデータを出しており、各タイトルリーダーにも共有できる会議資料として利用しています。
キーワード群ごとのトラフィックシェアを画面に反映し「徐々にシェアを伸ばしている競合がいるけどどんな状況だろうか?」「このキーワードのシェアはどうして落ちているのだろうか?」、とデータから課題を抽出し、各自ヒアリングを行います。
そして、伸びている新たなサイトを見つけたら、成長要因を探ります。どうして伸びているのか?どういうジャンルで流入を取っているのか?ゲームキャラクターのキーワードで上位に入っているのか?等の点を洗い出し、自社で対応策を検討します。
データを元にした意思決定を下す組織文化
──次に2つ目の使い方、日次の競合分析についてもう少し詳しく教えてください。
ベンチマークにしている競合サイトを10社くらいほど抽出し、それを5個ずつ比較したグループを作ります。
これをカスタムレポートとしてダッシュボードで管理し、毎日確認しています。
具体的には、大手競合の比較と、規模は小さいけど伸びそうなベンチマークの2種類に分けて管理しています。
「どのサイトがどの程度トラフィックを得ているのか?」「大きな変動はないか?」「1日の平均セッションはどれくらいか?」と、日々確認しています。
毎日見ているので大きな変化はありませんが、このサイトはなぜページパーセッションが高いのか?なぜスマホではなくパソコンからの流入が増えているのか?といった「毎日の気づき」のために使っています。
ページパーセッションや直帰率は他社がデザイン変わった瞬間にメモしておき、1週間くらいでどのような変化があったか、SimilarWebを使って確認しています。
重要なのは、気づいた時に調査ができる基盤を組織において構築しておくことだと考えています。
──SimilarWebを日々ご利用頂き、またメリットをご共有頂き嬉しく思います。一方で率直にお聞きしたいのですが、SimilarWebの悪い点はどういったところでしょうか。
要望に近いのですが、情報の更新速度が早ければ早いほど、自社にとってありがたいです。
というのも、ゲーム攻略サイトにとって、リアルタイム性が重要になってきます。ゲームイベントが始まったその瞬間から検索が一気に増えます。
検索が始まった瞬間からは求めすぎかもしれませんが、2時間後にデータが反映されるようなことがあれば、また違った活用方法があると考えています。
SimilarWeb導入前は手動でキーワードを打ち込んで競合情勢を調べていると言いました。これは非常に工数がかかりますが、今も続けています。理由は、イベントの瞬間的な検索概況を調べるためです。
アラートとして機能してくれるSimilarWebでは長期的な目を持って競合調査を実施する。一方、リアルタイムにおける調査は手動で行って補完しています。
──キーワードグループの使い方を含め、お話を伺っていると、チーム全体でデータを元にした意思決定を下す文化が根付いているように見えます。データを見る文化を根付かせるためにどのような運営を行いましたか?
文化を根付かせることは非常に難しいです。
私の場合、以前チームにいたコンテンツリーダーが数字にコミットした人で、彼がきっかけでこのような文化が生まれました。
「この記事すごく盛り上がったんですよ!」と伝えると「すごく盛り上がったって何PV?」と。そこから慌ててGoogle Analyticsのデータを見たり。
施策改善においても「このページすごく人気あるんです!」、と言っても「人気のページだとはわかるけど、このページ、ページパーセッション低くない?なんで?」のような意見が返ってきます。
今は説明できますが、当時は意見に対して即座に答えられませんでした。
人気のページなのに、なぜ離脱するのだろう?内容が薄い記事なのに、なぜページパーセッション高いのだろう?といった疑問が生まれるようになりました。
チームにおいて、根拠となる数字をしっかりアウトプットできる状況となっている環境を求められました。
その環境が浸透したところ、メンバーはデータを信頼し、かつ確認するような文化が根付いたと考えています。
──なるほど、データを元にした意見交換から根付いた文化なんですね。SimilarWeb以外にも、データ分析関連のツールは検討されたことはありますか?
似たようなツールの導入検討はしていました。
──なぜ、SimilarWebを導入して頂けたのでしょうか?
これには、ゲーム市場の変動が関与しています──(第二弾に続く)
MarTechLab編集部
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