【大日本印刷株式会社:加藤 綱貴】歴史ある技術の先に生じたデジタルシフト
明治9年、東京銀座に秀英舎が発足。
あれから4度もの改元を迎えた令和元年10月、DNPこと大日本印刷株式会社の加藤綱貴氏は危機感と共に、歴史ある企業の新たな”変革”について語りました。
「4度の改元を迎えましたが、紙の需要は段階的に減少しました。しかし、アナログとデジタルの融合に新たな施策に有効性を覚えています。」
加藤氏はSimilarWeb等を活用したデジタルマーケティング支援に従事されています。また、企業全体ではアナログとデジタルを融合させた独自のデジタル戦略を構築。
2019年に行われたマーケット・インテリジェンス・サミットにおける基調講演を元に、4度の改元を経て、さらなる高みを走るDNPのデジタルマーケティング事例をご紹介します。
目次
デジタルシフトへの課題
DNPの歴史
「我々の創業は明治時代にも遡ります。あれから4度もの改元を経ましたが、その間、紙の需要は段階的に減少しました。」
1876年に秀英舎を創業後、1935年に日清印刷と合併し、大日本印刷株式会社は誕生しました。
DNPは印刷業はもちろんのこと、高度なセキュリティ技術を応用したデジタル製品、アニメ文化の発信・育成を目的とした日本動画協会/東京アニメセンターの運営、またパリのルーブル美術館ではマルチディスプレイの展示など、事業は多岐に渡ります。
デジタルシフトによる課題
「印刷から始まり、色んな技術に発展しました。そして、デジタルマーケティング分野に関しても注力しています。」
印刷から派生したデジタル技術を元に、DNPではデジタルマーケティング分野においても高いパフォーマンスを出しています。
ただ、その裏側にある課題も赤裸々に語られました。
「創業から143年。ありがたいことに、お取引させて頂いている企業様は30,000社を超えます。その中で、デジタル広告の運用も行なっていますが、課題も多々あります。」
加藤氏が掲げた課題は、大きく3つ
- デジタルマーケティングツールの活用
- 人材不足
- リソースがない中提案の質を上げる
このような状況下でも、顧客に寄り添った提案を行い、効率的なセールスモデルを構築し、受注率の向上を図る。
これらを成せるものはないかと模索してる中、解決策として講じたのがSimilarWebでした。
はたして、SimilarWebは加藤氏の課題をどのように解決したのか?
マーケット・インテリジェンス・サミット2019当日に話された、実際に行なった提案事例からその真髄をご紹介していきます。
SimilarWebをどのように活用しているのか?
地方銀行事例:訪問者数をどのようにして増やすか?
「デジタル広告を受注したものの、置かれた状況は非常に複雑でした。時代の流れからWebにおけるサービス強化は必須な上、メディアに取り組むにしても改修なのか?SEOの強化か?など、何から手をつければいいのか不透明な状況でした。」
とある地方銀行の課題。
それは単にサイトへの集客を行うだけでなく、店舗不要論が叫ばれる時代背景や、競合との差別化など、様々な課題が絡み合っていました。
同氏はベンチマーク先との流入分析をSimilarWebで実施。
ここから現状のギャップを把握し、どのようにしたらギャップは埋まるのか、施策考案へと移っていきます。
「調べてみると、Webサイトへの流入チャネルにおいて競合と違いがあった。この気づきから仮説を構築。これにより、競合はアプリによる集客と顧客リレーションを築いているのではないか?という考えの元、SimilarWebでさらに調査を続けた。」
結果、同氏はWebサイトの施策だけでなく、アプリ制作の打ち手も提案。
課題に対して、自社データのみだと気づかなかった重要な点を、SimilarWebを使うことで競合データを取得し、客観的に状況を鑑みることで鋭い提案へ繋げました。
スポーツジム:新施策を上申したい
もう一つ、面白い事例を紹介されました。
「スポーツジム業界は非常に伸びています。競合は増加の一途を辿り、これに応じて集客チャネルも多角化。集客が容易でない状況にあります。」
提案先のお客様には、一つ、難しい課題がありました。
それは、上申。
現場はSNSを活用した集客施策を行いたいが、会社としては炎上リスクもあることから安易に承諾できない状況にありました。
今回着目したデータは、デバイス別流入分析。
スマホの普及に伴い、誰しも下調べの際はパソコンではなく、スマホで検索することが増えました。
とはいえ、デスクトップとモバイルの流入割合はどれくらいなのか?割合によっては、デスクトップにおける施策も有効になるのではないか?
こういった仮説を検証すべく、SimilarWebで上申資料作成に向けた調査を実施しました。
SimilarWebのデータから正確に現状把握を行い、定性的判断ではなく、データに基づいた定量的判断を基盤とした提案を実施しました。
結果、SNS広告施策は実施されたとのことです。
令和における、DNPのデジタルマーケティング
「様々な会社と協力し、包括的なデジタルマーケティングの支援を実施しています。」
明治創業の日本を代表する老舗企業、大日本印刷株式会社。
その姿は今、培った経験とデジタル技術の発展を掛け合わせ、幅広いデジタルマーケティングの実施へと繋げています。
さらに、同氏はアナログとデジタルを掛け合わせた特異な施策を講じています。
「印刷業界ならではの取り組みを行なっています。Webサイト動向をトリガーに、ダイレクトメッセージを自動的に行うフローを作りました。SalesForceのマーケティングクラウドを基盤に自動で向上に連携する仕組みを構築。Webサイトを閲覧したユーザーが見た商品やクーポンが紙で届きます。」
ただ、紙で届けずとも、メールやSNSで顧客にアプローチした方がリーチするのでは?と考える方もいるかと思います。
この点に関して、同氏はデータを元に、ダイレクトメッセージの強みを解説しました。
「Eメールの開封率は平均して6~10%くらいです。ところが、ダイレクトメッセージの開封率はなんと81%。ただし、だからといってダイレクトメッセージのみ行うべき、というわけではありません。Eメールとの組み合わせ、つまり、アナログとデジタルの融合によって施策の効果が出ることが証明されています。」
「チャネルの一つとして、ダイレクトメッセージは有効です。様々な取り組みを行なっていますが、今後もデジタルマーケティングに注力し、お客様の下支えをしたいと考えています。」
まとめ
デジタルの波に乗り切れず、世界中で多くの歴史ある企業が徹底を余儀無くされている現代。
このような時代において、DNPは4度もの改元を経てなお、日本を代表する企業として最前線を走り続けています。
そして、デジタルシフトの荒波に対応するだけでなく、アナログを融合して新たな付加価値を見出し、独自の事業モデルを創出しています。
日本は新たな時代、令和へと移りました。
DNPに倣い、デジタルシフトに対応するだけでなく、これまで培った技術や経験を掛け合わせたシナジーを生み出すことが、新たな時代で勝ち抜く術となりうるかもしれません。
DNPのデジタルマーケティング詳細はこちら
▼DNPのデジタルマーケティング
https://www.dnp.co.jp/biz/st/digital-marketing/index.html ▼DNP パーソナライズドオファーサービス(DPO)
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MarTechLab編集部
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