競合分析をする前に知っておくべき「基本姿勢」と「競合を読む2つの問い」
Webを中心としたデジタルマーケティング戦略を考えるとき、その打ち手は多種多様を極めています。SEO対策やオウンドメディア施策、各種のメディアバイイング、ソーシャルへの対応など、どこから手をつけるべきか悩みの種になっている方は少なくないでしょう。
そこで、必要になってくるのが、オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディアと呼ばれるトリプルメディアのプランニングです。この時のプランニングとは「自社にとっての顧客を定義し、その顧客に対して、いつ、どういう文脈で、どんなメッセージを伝えるかを計画すること」と言い換えられます。
このプランニングの精度を高めるためには、プランニングの最初のフェーズにある自社のマーケティング戦略を取り巻く環境を分析において、精度の高い分析を行うことです。特に3C分析でもよく知られる「顧客を知ること」「競合を知ること」が重要になってきます。
目次
「顧客を知る」「競合を知る」
この「顧客を知る」「競合を知る」というのはマーケティングを担ったことのある方なら多くの人が当たり前の概念でしょう。このブログ内でも3C分析については取り上げてあります。
ただ「3Cを意識して分析を行っている」ことと、きちんと精度高く顧客や競合を知ることができること、効果の高い自社の施策を判断できることとは決してイコールではありません。当然ですが、3Cは調査や分析の対象をヌケモレなく考えるための枠組みであって、実際にどんな思考過程を経て、洞察(ここでは「次の施策を選定するための判断基準を与えるもの」という意味合いで捉えてください)を導くかを教えてはくれません。
では、顧客や競合を精度高く知り、そこから意味のある洞察を導くためにはどうすればよいのでしょうか?
顧客・競合を精度高く知るコツは「仮説→検証→仮説の再構築」を繰り返すこと
この記事を読んでいる方は「顧客を知る」「競合を知る」と言ったとき、少なからず自社の顧客、競合の特徴などはある程度は予想がついているのではないでしょうか?
- 自社の顧客はこのような人たちだから、きっとこう思っている
- うちの競合はこことここの会社で、こんな特徴があるから、こんな点で自社は優位になっているだろう
しかし、実際にはあなたの見立ては現実とは大きく異なっている可能性があります。なぜなら、変化の早いデジタル環境では、あっという間に顧客も競合も変化してしまうからです。顧客を取り巻くメディア環境は日々アップデートされ、競合は日々新たな取り組みを行っています。
このようにあなたが考えている顧客像、競合像はあくまで実際の像とはかけ離れている場合がありただの仮説でしかありません。
だからこそ、その仮説を実際のデータと照らし合わせ、検証することが肝要です。この検証というプロセスによって、実際の顧客像、競合像により近い仮説を再構築できるのです。
より深い分析のための2つの問い
さて、顧客分析、競合分析は「仮説→検証→仮説の再構築」ことが重要であることを述べましたが「そこで問題になるのが最初の仮説をいかに思いつくか」です。目の前に競合に関する貴重なデータがあっても、そこから思いつく仮説は人によって異なります。それはそのデータをどういう視点で見ているかが人によって違うからです。
それでは、競合データをどういう視点で見ていけばいいのでしょうか?
このときに『なぜ「戦略」で差がつくのか。―戦略思考でマーケティングは強くなる』(音部大輔著、宣伝会議社)にある、競合の戦略を予測するための2つの問いというものが参考になるでしょう。
その問いというものが以下です。
- 「なぜ、そんなことをするのか?」=競合の目的を理解する
- 「なぜ、そんなことができるのか?」=競合の資源を理解する
まずこの問いを考える前提として、戦略の捉え方を定義する必要があります。
詳しくは著書を読んでいただくとわかると思いますが、著者である音部氏は、戦略とは「目的達成のための資源利用の指針」と定義しています。
この前提をアタマに置いて「なぜこの2つ問いを考えるのか?」ということの答えが見えてきます。
「なぜ、そんなことをするのか?」という問いは開示されていない競合の「目的(動機)」を理解することができ、「なぜ、そんなことができるのか?」という問いはまだ秘匿されている競合の「資源」を発見することに役立つのです。
目的と資源さえわかれば、そこから資源をどう活用するか、という他社の戦略が浮き彫りになり、それをもとに競合に先んじる次の一手を考えられるというわけです。
例えば、以下はオンラインでシューズを販売しているZappos.comのディスプレー広告からの流入アクセスの推移を表していますが、このグラフだけでも以下の図のように推察して仮説を立てられることができるでしょう。
まとめ
競合分析や顧客分析は様々なフレームワークが用意されていますが、すべての会社が同じような競合を持ち、同じような顧客を持っているわけではありません。
そのため、分析において重要なのは、今回ご紹介した仮説とその検証というプロセスを何度も繰り返し、2つの問いについて思考を巡らせてみることです。
今回お伝えしたことを意識し、今後の競合分析、顧客分析を活かしてみてください。
photo by Stewart Butterfield – Library
最終更新日:2020/9/16
MarTechLab編集部
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