『競合分析』フレームワークでWeb戦略を練る6つのステップ

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2015/07/27

Webを使ったマーケティングにおいて、競合優位性を保ち続ける。

本当の意味で成果を出し続ける組織になるには中長期的な戦略が欠かせません。そこで、今回は中長期的に成果を出すための『競合分析』に必要となるフレームワークとその使い方を紹介しようと思います。

競合がいる企業でかつWEBサイトで収益を出している企業なら、BtoBやBtoCであっても当てはまる手法なので、ぜひご覧ください。

 

競合分析の6ステップ

 

ステップ1.現状把握

まず自社が現状どのような状態で、業界内での立ち位置はどのあたりなのかを明確にしましょう。競合分析ツールなどを利用し、自社と競合となる企業のWebサイトの各指標を調査するのです。

以下の図のようにExcelか、スプレットシートで最低でも直近半年間の数値を月単位で入力します。

現状把握

 

その後、以下の図のようにポジショニングマップを作成しましょう。これで、自社の立ち位置を把握するのです。

 

現状把握2

 

ここでのポイントは時系列でシートを作成することにあります。

半年間や一年間といった長い期間ではなく、数値を月単位で別のシートで作成し、並べてみてください。そうすることで連続性の中に競合がどのポジションに進もうとしているのかが浮き彫りになってきます。

 

ステップ2.ベンチマーク設定

次にベンチマークする企業を設定します。ベンチマークをする企業を設定するのは、あなたのサイトの全ての競合を常に把握し続けることは成果につながらない無駄なコストが発生してしまうからです。そのため、ベンチマークする企業を選ぶ際のポイントは「代表特性を持つ企業を選択する」ことです。

これはつまり、近しいカテゴリーの中で代表的な特性を持つ企業を選択し、その企業に絞って調査を進める事で効率的に競合分析が行うのです。

 

昨今の既存の業界から他業界への新規参入(例えば、セブンイレブンがセブンコーヒーを売り始めるなど)を考えるとできるだけ多角的に競合分析を行う必要がありますが、限られたリソースで成果を出そうをするならどのレベルまで調査を行うかがが重要になってきます。全て完璧に行うことは難しいので「選択と集中」が重要になります。

そこで以下の図のように企業規模や成長性、コスト面などの事業全体での代表特性とカテゴリー内でのトラフィックソース別での代表特性に分けて、今ベンチマークするべき企業を設定します

ベンチマーク設定

ここまでが中長期的な成果を出すための競合分析における下準備になります。ここから具体的な分析に進んでいきましょう。

 

ステップ3.バリューチェーン分析

この分析手法は先日もblogでご紹介しましたので以下URLをご確認頂ければと思います。

⇒「バリュー・チェーン分析」の4つのステップ!事業のムダをなくして圧倒的な成長スピードを実現するフレームワーク

 

このバリュー・チェーン分析を端的に説明すると「事業を主活動と支援活動に分類し、どの工程で付加価値(バリュー)を出しているかという分析するためのフレームワーク」です。

またこの分析手法は一つの事業を様々な活動に細分化し、そこから事業の競合優位となる源泉(=強み)を把握することで、事業戦略を考えるさいに強力な武器となるのです。

 

ステップ4.SWOT分析

外部環境や内部環境を強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) の4つのカテゴリーで要因分析しどのように事業を進めるべきかを明らかにします。

VRIO分析よりは製品に特化した分析手法なのですぐに活用できるかと思います。

ここでのポイントは「できるだけ少人数で行わないこと」です。

担当者毎に情報源(Newsサイトなど)が違うため、強みや弱みに関してはできるだけ多くの人から情報を集めて、それらを集約した一つのシートを作成してください。

ここまでくれば自社の立ち位置や、競合優位性の明確化などだけではなく具体的にどのような施策を行うべきか判断できるようになってきます。

 

SWOT分析

画像:http://www.epsilon.jp/uriagekoujoiinkai/sellfield/swot.html

 

ステップ5・6.目標の設定と競争戦略・施策の実施

1から4までのステップで自社と競合のポジショニングや収益性も把握でき、それぞれの強みと弱みも把握できればあとは以下の3つを決めて実施しましょう。

 

1.KGI(重要目標達成指標)

2.KPI(重要業績評価指標)

3.具体的なアクションプラン

 

KGIはプロジェクトのゴールの事です。例えば「3年後に売上高を10億円以上にする」や「業界内での自社のシェアを70%まで拡大する」などです。

そのKGIに紐づいて具体的な業務プロセスをモニタリングするために設定される指標がKPIです。成約率や解約件数などがこれにあたります。このKGIとKPIの設定を行った上で月一回程度のモニタリングは必要ですが、プロジェクトを進める上で具体的なアクションプランが履行されているのかをチェックする仕組みも必要です。

このアクションプランのモニタリングは週に1回程度メンバーで集まり「きちんと履行されているのかどうか」「期日までに行えていない場合はなぜできていないのか」ということを話し合い、新しい期日設定を行ってKGI(ゴール)を達成するためにKPI(プロセス)を考えていきましょう。

 

プロジェクトメンバーの選出

ここまでの流れを全て一人や二人で行うのは難しいでしょう。そのため、プロジェクトメンバーの選出も非常に重要になってきます。以下は理想的なメンバーの配置です。

プロジェクトメンバーの選出

 

役割は以下のようになっています。

スポンサー

最終意思決定者なので執行力のある役員か部門長が適任です。

ファシリテーター

スキル面だけではなくスポンサーやサポーターとのコミュニケーションも必要になり、会議を行う上で重要な進行役です。この役割の中では一番知識やノウハウが必要になります。

サポーター

スポンサーの支援だけではなく、プロジェクトリーダーに情報を共有する事も重要になる為、部内でも情報がよく集まる方が適任です。

プロジェクトリーダー

競合分析を会社として取り組む上で非常に重要になるポジションです。競合分析のノウハウは新規事業でも役立つ事から、このポジションの方は将来的に事業の柱になって欲しい方が適任です。

プロジェクトメンバー

一つの部署から選抜するのではなく、社歴が3年以上ある今後リーダーになって欲しい方を各部門から選抜してください。

 

比較的大きなプロジェクトの場合は上記のような配置になりますが、もう少し少人数で行う場合はスポンサーをプロジェクトリーダーが兼任しサポーターの部分を無くせば事業部内で5名程度で進める事も可能です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

短期的に「広告費を下げて売上(利益)を増やす」「WEB担当者の業務効率化」なども重要ですが中長期的に見て自社のブランディングをどうするのか、や事業戦略を考える上で競合分析は必須です。

その為のフレームワークを体系化し社内にチームを作る事で、現状よりも強い組織(変化に臨機応変に対応できる)を作る事も可能です。日々の業務の中でいきなり全てを行う事は難しくても少しづつでも取り組んでみましょう。

最終更新日:2020/9/16

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奥原 雅也 マーケットインテリジェンス事業部 部長

国内の各業界にて最大手のクライアントを多数経験(人材、不動産ポータル、保険、総合代理店など)。SimilarWeb提供開始からわずか半年間で100社以上に導入し業界No.1まで押し上げる。現在はマーケットインテリジェンスを軸にSimilarWebやSisense等のイスラエル発ツールを国内に展開している。

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