【丸紅株式会社:石原 有紗】歴史ある企業がなぜ、SimilarWebを導入したのか?
“デジタル・トランスフォーメーション:DX – Digital Transformation”
DXはテクノロジーを用いた組織全体の変革を意味します。IT化が進む昨今において、企業のDXは急務です。
またこれを行わなければ、DXを備えた新規参入業者によって自社が市場から撤退を余儀無くされることさえもありえます。
創業以来160年もの歴史を持つ丸紅株式会社。この伝統ある企業の変革に尽力しているのが、デジタル・イノベーション部の石原氏です。
一体、どのようにしてこの歴史ある企業の変革に着手しているのか?
2018年に行われたマーケット・インテリジェンス・サミットにおける基調講演を元に、SimilarWebを活用したデジタルシフトの手法をご紹介します。
※本稿は2018年10月
目次
古豪が抱えていた課題
国内最大級の総合商社
丸紅株式会社の事業は多岐に渡ります。
セールス&マーケティング / ファイナンス / 安定収益型事業 / 資源投資。ここからさらに取扱品目によってグループが分かれます。
数字を見れば、その事業規模の大きさは一目瞭然。連結対象会社数は430社、拠点数131拠点、従業員は40,000人以上。丸紅株式会社が国内最大級の規模を誇る商社であることは明確です。
この多角的事業を生業としている企業において、DXを推進しているのがデジタル・イノベーション部です。
デジタル・イノベーション部
「ミッションは、会社全体のデジタル化。SimilarWeb以外にも、AIを使った需給予測等を行なっています。」
100年以上の歴史がある企業のデジタル化。
石原氏が所属しているデジタル・イノベーション部は、社会全体の急進的なIT化に布石を打つべく、企業のデジタルシフトを牽引しています。
※本稿は2018年10月
デジタル戦略推進と、新規ビジネスの創出。これを達成できたならば、企業は飛躍的に成長することでしょう。
しかし、この壮大なビジョン達成に向けて、ある事柄が欠落していました。
なぜ、SimilarWebを導入したのか?
正しい舵取りを行うために。
「オフラインデータは蓄積していたものの、オンラインの取り組みにおいて、客観的なデータが足りていませんでした。」
欠落していたもの。それは、客観的なデータ。
優先度が高い課題は何か?どの施策から取り組むべきか?そもそも設定しているKPIは市場や競合と比較して正しいのか?そもそも自社は今、どの立ち位置にいるのか?
企業の進むべき進路を正しく舵取りするためには、客観的データを取得する必要がありました。
「課題はそもそも何か。施策を選ぶにも、SEOなのか、広告なのか、SNSなのか…こういった、意思決定の優先度をつける判断要素が、SimilarWeb導入以前はありませんでした。」
デジタル化が進む昨今。
リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告、メディアへの出稿…などなど、選択肢はいくらでもあります。
ただ、どれが勝つためのクリティカルな戦略なのか。これを見つけるには、十分なデータの確保が必要です。
決め手は、圧倒的なデータの量と広さ
「ヒントを得たいと、考えていました。」
十分なデータの確保をすべく、石原氏が選んだのは、第二のシリコンバレーイスラエルで生まれたマーケット・インテリジェンス・プラットフォームのSimilarWeb。
なぜか?
「SimilarWebに似ている商材はいくつかありました。その中でなぜSimilarWebにしたのか。それは、国内に止まらず、世界中にデータを展開および収集しているためです。また、モニター数が他社と比較して圧倒的に多い。これが、大きな決め手となりました。」
導入後は施策の制度向上を目的とした業務スキーム内にSimilarWebを組み込みました。
「SimilarWebでは自社のコンテンツ、メタキーワードをキーに似ているサイトを自動で見つけてくれます。これは非常に有効。また、SEOなのか広告なのか、選択肢を絞る上での分析スピード向上。他社はなぜ集客できてるのか?こういった部分が見えてきました。」
施策の精度向上に向けたステップは下記。
- SimilarWebで競合 / トレンドの調査
- 取得したデータを元に分析
- 仮説構築
ステップ自体は非常にシンプル。ただ、このステップを高速で回すかつ、他のデータとノウハウを掛け合わすことで、さらに磨きをかけていきます。
「実際には、他のツールや現場のノウハウと掛け合わせて有機的に戦略構築を行なっています。SimilarWebを使った上で、自社のノウハウとオフラインデータを組み合わせる。このPDCAを高速化しています。」
今後の展望
丸紅グループのCenter of Excellenceと化す
「デジタル・イノベーション部が丸紅グループのCoEとなり、全体を後押ししていきます。」
多角的な事業を抱えている丸紅グループだからこそ、広範囲をカバーしつつも、その核となる存在が必要。
どの組織においても、大きな変化を起こす背景には必ずリーダーシップを発揮する個人、またはチームがあります。
この歴史ある企業において石原氏が所属するデジタル・イノベーション部は、グローバルで急激なIT化が進み、正しい道筋を立てにくい混沌とした時代の中、イニシアチブを発揮しています。
SImilarWebを使った今後の展望
上からの支持でKPI指標が日々増える、または他のものに突如として変わる。こういった現状はどの企業においてもあるかと思います。
また、市場の変化やディスラプターの出現といった、外的要因を元にKPIや目標を変えざるを得ないことは多々あるでしょう。
ただ、どんな事態が起こっても市場で生き抜くためには、まず現象を理解することが重要です。そのためには、常時十分なデータ確保が生き抜くための鍵となるはずです。
まとめ
どの企業も、デジタルトランスフォーメーションを望んでいます。なぜならば、IT化の波を止められるものはこの世におらず、デジタルシフトは全企業の宿命であるためです。
このとき、悩むこと。それは”初めの一歩目に何をすべきか?”ではないでしょうか。
石原氏のように、自社データのみならず客観的なデータを取り入れ、自社の立ち位置、市場と競合の動向をまずは把握すること。
これが時代の変化に対し、まず踏み出すべき第一歩目です。そして、徐々に施策の精度向上を上げていく。これが結果的に、企業、ひいては世に変革をもたらします。
100年の歴史を持つ古豪が、さらなる変革を世にもたらす日はそう遠くないかもしれません。

MarTechLab編集部
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