離脱ユーザーをコンバージョンへ! リマーケティング広告運用手順まとめ
コンバージョン(CV)を上げたい!
コンバージョン向上は売上、そして利益の向上にも直結するビジネス上重要な項目の一つです。
しかし、そう簡単に取れないのがコンバージョン。ユーザーはサイト上で製品を他社と比較し、「買うのはまた今度でいいや」と離脱してしまうことは少なくありません
ただ、問題はその後です!
ユーザーが再び製品を欲しいと感じたとき、もしかしたらまた違う他社製品を閲覧し、そのまま自社製品と比較せずに購入してしまうかもしれません。もし自社の製品と比較していれば購入していた可能性は高いのに……と後から思っても遅いのです。ではなぜユーザーは自社サイトを見なかったのでしょうか?
原因はシンプル。ユーザーが自社製品の存在を忘れていたから。「欲しい」と感じた瞬間に画面上に示されている製品が、ユーザーの希望にそっていれば比較する必要はありません。そしてこの、「欲しいと思った瞬間」に広告を表示できるメリットを持つ広告がいわゆる「リマーケティング広告」です。このリマーケティング広告を使えば、離脱したユーザーに対して、再度サイトへの訪問をアプローチすることができるのです。
今回はこのリマーケティング広告とはどんなものか、どうやって設定を行って使えばいいのかまで、リマーケティング広告の概観をご紹介します。
目次
リマーケティング広告とは?
だれもが一度は見たことのある、あの広告です
リマーケティング広告とは、「あるサイトに訪れたユーザーに、再び広告でアプローチする手法」のことです。
例えば、あなたは旅行の宿泊先をサイト上で探しているとします。そして、今回はいい宿が見つからず、「また今度探そう」と一度サイト離脱してしまいました。その後、宿泊先サイト以外のサイトを見ている時に、画面の隅っこに、ちょうど良く関心ごとであった「宿」に関する広告が表示されていました。
実は、これがリマーケティング広告です。
実際のリマーケティング広告の一例がこちら。
みなさんも一度はこのような広告が表示されたことがあるのではないでしょうか。
リマーケティング広告はどのような仕組みなのか?
ではリマーケティング広告は一体「どのような仕組み」で表示されるようになっているのでしょうか。そもそもなぜ追いかけられるかのように広告が表示されるのかについて説明していきます。
まず、あなたのサイトに訪れたユーザーには「クッキー」が付与され、そのデータがリマーケティングのリストに記録されます。クッキー(cookie)とは、簡単に言うとWebブラウザ内に蓄積される一種の来歴情報のことで、これにより来訪ユーザーのブラウザには「あなたのサイトに訪れました」という情報が蓄積されることになります。
付与されたユーザーは、サイト運営側が設定した期間、他のサイトを閲覧している間にあなたのサイトの広告を表示することが可能になります。
その広告をユーザーがクリックすると、あなたのサイトのあるページに飛び、そこからCV(コンバージョン)を狙える、という仕組みになっているのです。
リマーケティング広告がもたらす3つメリットとは?
1)CVRの大幅増加が可能に
さて、突然ですがみなさんのサイトのCVRは何%でしょうか?
ほとんどの方がCVRが10%以下だと思われます。これはつまり、9割のユーザーはみなさんのサイトで購入まで至っていないのがリマーケティング広告の現状ということを意味しています。そのため、10%以下でもそこまで気にする必要はありません。
それだけCVに至るのは難しく、そもそもCVRが簡単に上がるならばマーケティングする必要性はなくなります。
このCVRの向上にリマーケティング広告は適しています。なぜならユーザーが「ほしい!」と思った瞬間に広告を表示できるからです。
例えば、「セーターがほしい」と考えているユーザーがいるとします。このユーザーはあなたの通販サイトに来てセーターがないかと調査しています。
おしゃれなセーターが2つほど見つかり、購入…!の前に、他の通販サイトとの比較を行ったり、さらには近隣の洋服屋も見てみよう、とサイトから離脱してしまいました。結局購入には至りません。
そして2日後、TVでユーザーの好きなモデルさんがおしゃれなセーターを着ていて、やっぱり「セーターが今ほしい!」と思いもう一度セーターを検索しました。そして・・・・・・
このタイミングです。このユーザーのニーズがはっきりした瞬間にあなたのサイトの広告を出すことが、リマーケティングでは可能であり、CVに至る確率を一気に上げることができるのです。
2)CVR向上に一番重要な「見込み客の獲得」につながる
さきほどは「セーター」がほしい人を想定しましたが、インターネットユーザーはここまで明確な動機を持っていない人もたくさんいます。
例えば「セーター」ではなく、もうじき寒くなるし「上着」がそろそろほしいなと思うユーザーがいたとします。なので、セーターでもパーカでも、はたまたコートも買おうかなと考えている状態です。しかしまだ寒くはない、けれどちょっとだけ見てみようとあなたのサイトで「上着」をある程度調査。
1ヶ月が経ち、気温も下がった。さすがに上着がほしいなとパソコン開いて調査…
このタイミングですね。以前「上着」に対して興味を示しているユーザーを認知しておき、このタイミングで「上着セール!」などの広告をユーザーに示すことができれば、これもまたCVの確率が上がる可能性があります。
3)新規顧客の獲得も可能!?
CVR向上の話をしてきましたが、これに付け加えて「集客」という目的でもリマーケティング広告は効果を発揮します。
ユーザーがあなたのサイトで「セーター」や「上着」を購入したとします。一時的にCVRは上がりましたが、このユーザーが近いうちに自社サイトを含めて、服を購入する可能性は高くないでしょう。
しかし、ここでこのユーザーに「お友達紹介でクーポンプレゼント!」などの広告を表示すれば、このユーザーの再購入の可能性だけでなく、新規ユーザーの獲得の可能性向上も計れます。
このようにリマーケティング広告にはCVR向上の可能性を高くし、戦略次第で集客にもつなげられるサイト運営ではかかすことのできないマーケティング戦略のひとつなのです。
リマーケティング広告を使用するため2つのポイント
リストわけ
リマーケティング広告においてユーザーのリストわけは非常に重要です。どのようにリストわけを行うのか、またリストごとにどのような広告を見せるのかなど、リストわけによって多くの戦略が立てられます。
しかし、はじめは以下の2つのリストわけだけを考えてみましょう。
- CVに至ったユーザー
- CVには至っていないユーザー
この2種類のユーザーのアクセス動向を探っていくことで、後々CVに至ったユーザーの中でも買った製品によって広告を変えてみようとか、CVに至らなくてもCV一歩手前までいったユーザーには違うアプローチをしようなどの具体策がでてきます。
そのためまずはCVに至ったか至らなかったかでリストわけし、その動向を観察していきましょう。
しつこく追うのはCVR低下の原因に
何回も広告を出すのはCVの可能性を下げるだけではなく、ブランドのイメージ低下にまで繋がります。要はタイミング次第でCVの可能性の向上も低下もありえるわけです。
例えば、1日1回、30日間で飲みきるタイプの青汁をユーザーに買ってもらったとします。このユーザーに対して、まだ飲み切ってもないのに購入翌日に広告を出す必要性はないですよね。そんなしつこい広告を見たら途中で飲むのをやめてしまうかもしれません。
では、いつ広告をだせばいいのでしょうか?
それは、おそらく飲みきるであろう25日〜30日後に広告が表示されるように設定するのがベストです。ユーザーがそろそろ買い足したいなと思う時期にリマーケティングすることで、再購入の可能性は上昇します。
このようにしつこくではなく、ユーザーのほしいと思われるタイミングで出せるように設定していきましょう。
実際にリマーケティング広告を設定する方法
では、実際の設定方法をご説明していきます。
基本設定
- Google AdWordsにログイン後
- キャンペーンページを開く
- 共有ライブラリを選択
ここまでいきますと、以下のページに飛びます。
リマーケティングリストからリマーケティング広告の元となるタグの作成を行います。手順に従って作成していくと「すべての訪問者」というリストが作成されます。
作成後、リマーケティング広告タグをコピーし、自社サイトに貼り付けます。
タグの詳しい貼り付け方法はこちらのGoogle AdWordsヘルプでご確認ください。
細かいリストの作成
次に具体的なリスト作成方法に入ります。
今回は「CVに至ったユーザーのみにリマーケティングが行える」という設定でリスト作成例を作成していきます。
まずはリマーケティングリストを開きましょう。
手順は以下の通りです。
- リストの名前を記入
- どのページを訪れたユーザーに表示するのかを選択
- ページのURL情報を記入
- 有効期間の設定
- このリストがどのような内容なのか、わかるように説明を記入
- 保存して完了
実際の運用方法
リストの作成方法がわかりましたら、実際に運用していく上でどのように設定していくかの一例をご紹介していきます。
これまで話に出てきた、「上着」を探していた例で設定していきましょう。
まずどのユーザーに出すのか、条件をひとつずつ書き出していきます。
- 1〜40日以内にサイトにアクセスしたユーザーに表示
- 1〜20日以内にサイトにアクセスしたユーザーには表示しない
- CVに至っていないユーザー
この3つのリストを組み合わせることで、ターゲットとしている「約1ヶ月後に上着がほしくなる可能性のあるユーザー」にリマーケティング広告を表示します。
これで設定は完了です。
このように、リストの組み合わせによってターゲットに適したリマーケティング広告が可能となります。ターゲットを決め、そのターゲットに対する条件を書き出し、実際に表示期間などの細かい設定を行ったリストを組み合わせていきましょう。
組み合わせは無限大なだけに、CVR向上の可能性は戦術次第で大幅増加を狙えます。
まとめ
リマーケティング広告はCVR向上の可能性を秘めていますが、使い方を間違えるとCVR低下につながる可能性もある難しい広告です。
広く認知してもらうために始めは多くのユーザーに広告を見せることは間違っていませんが、効率的な広告運用をするためにも得られたデータを分析し、ターゲットユーザーを明確にしていくことが大事です。
一度サイトに訪れたということは、少なからずあなたのサイトに興味があったはずです。なぜ離脱したのか、離脱したユーザーは何を求めているのかを分析することで、効率的な広告運用が可能になります。
徹底したリスト作成を行い、ユーザーを狙い撃ちしていきましょう。
Yo Harasawa
エンタープライズ企業へのWeb/SNSディレクション、SimilarWeb専属コンサルタント、インサイドマーケティングプランナーを経た後に、現在はSimilarWeb カスタマーサクセスに従事。