イギリスで起きたフィンテック革命。”ディスラプターに気づく/成る方法”とは?
DISRUPTOR=ディスラプター
ケンブリッジ英英辞典では、このように翻訳されています。
DISRUPTOR
これまでの業界常識を一変させる破壊的イノベーションを持ち合わせる企業。
今、イギリスの銀行市場ではとある”ディスラプター”が、従来の銀行市場を変革しています。
一体、何が起こっているのか?
本稿は、2018年に開催されたマーケット・インテリジェンス・サミットより、SimilarWeb社の経営幹部が語った基調講演から一部抜粋。
データとは何か?イギリスの銀行市場で何が起こっているのか?そして、マーケットデータを活用した”ディスラプターに気づく/成る”ための手法をご紹介します。
目次
データは、既存概念を破壊する新しい触媒。そして、その裏付けは常にROI。
神は信用の世界。それ以外は全て、データが必要。
昨今、ビジネスインテリジェンス市場は急激に拡大し、2015年に440億米ドルだった市場規模は、2022年に720億米ドルまで達すると予測されています。
ビジネスインテリジェンス
ビジネスの意思決定を下す事を目的としたデータ分析、および有益な情報の提示を行うテクノロジーを主体としたプロセスの事。
引用元: TechTarget
市場規模が示すように、データそのもの、ひいてはその技術に注目が集まっています。
SimilarWeb社経営幹部(以下省略)「アメリカの有名な統計学者W.エドワーズ・デミング博士がこんな言葉を残しています。“神は信用の世界。それ以外は全て、データが必要”。神以外はデータを信じるという事。ゲームチェンジャーになるためには、適切なデータを揃える必要があります。」
データの裏付けとなるのは、 常にROI。
「また、営業も進化してきています。アメリカで有名な作家ダニエル・ピンクは、営業のイロハを書き換えました。重要視すべきは3点。”同調・浮揚力・明確性”です。」
「営業におけるKPI指標の中でも、ROIをとにかく大事にしています。データの裏付けとなるのは、常にROIです。DHL EXPRESSは営業前に必ずSimilarWebで先方のデータを確認します。データを重きとした事で、ROIが向上したわかりやすい事例です。」
ROI 506%を達成
DHL EXPRESSには社内に465人のSimilarWebユーザーがおり、その中の120人以上が毎日SimilarWebを使用。30%の営業案件の増加、91ヶ国のライセンス利用。そして、そのROIは506%を達成。
引用元:【マーケットインテリジェンスサミット2018】完全レポート
SimilarWebの投資領域における利用
SimilarWebは営業やマーケティング分野における利用に留まらず、今では投資領域でも活用されています。
「IACではSimilarWebとApp Storeのデータを掛け合わせて活用し、IACアセットの状況を測定。他の投資企業においても、SimilarWebのデータをトレードに汎用しています。」
営業、投資と、職種問わず重要な”データ”。企業の存続に関わる重要なこの要素を、SimilarWeb社はこのように表現します。
「データは、既存概念を破壊する新しい触媒なのです。散漫する大量のデータから機会を見つけ、意思決定を下す要素となります。」
既存概念を破壊する新しい触媒。
データを味方につければ、それは頼もしい武器となるでしょう。一方、競合ないしは新規参入業者に先を越されて活用されたならば、自社への危機、ひいては市場の存続すら危ぶまれます。
ここからは、この”触媒”が示す、イギリスで起こっている市場破壊の事例を紹介していきます。
ディスラプター:Revolut
イギリスの銀行市場で起こっている変革
従来型モデル
「現在、様々なものがグローバル化してきています。世界のどこにいてもサービスを使えるケースが日々増えている。しかし、以前としてワークしていない市場がある。銀行市場です。」
銀行市場は依然、送金に時間がかかる、お金を使うと手数料がかかる等、ビジネスモデル自体は昔と変わっていません。
とはいえ、時代の流れはその不変を許しません。
現在、下記4つの要因により、従来型のビジネスモデルが崩壊しつつあります。
- グローバリゼーション
- 簡素化されたサービス仕様
- 暗号通貨
- ユビキタス
再創造と脅威
時代は、この銀行市場にどのような変化をもたらしたのか?
具体的には、大きく5つのポイントにおいて徐々に変化がみられています。
- 無料の送金サービス
- 暗号取引とキャッシュバック
- 保険
- マイクロペイメント
- 通貨換算
しかし、これは銀行自体が変わってきている、というよりも、ITを使った新規参入業者が市場破壊をもたらしていると言う方が正しいかもしれません。
「非常に珍しいケースをご紹介します。イギリスのフィンテック企業Revolut。創立から3年ほどですが、ウェブサイト訪問者数は過去2年間で+595%、直帰率も-20%とユーザーに好まれています。」
「SimilarWebでグローバルのデータを見てみると、サービスを開始していない国からもトラフィックを集めている事がわかる。これは間違いなく市場を変革しているディスラプターです。」
突如現れたディスラプター。
これまで当たり前だった送金手数料等は無料となり、また、ユーザーは暗号通貨や保険にも興味を示しています。
変革の現状をデータで具現化したからこそ、その脅威がわかる一例です。
では、自社の市場は大丈夫なのか?ディスラプターは現れていないのか?そもそも、何のデータを見れば市場変革しているか否かわかるのか?
次は、マーケットデータのどこをどのように見るべきか。具体的な例と共に綴っていきます。
ディスラプターに気づく/成る方法
マーケットデータ4つの区分
Revolutが今後、市場を変革していくことは間違いないでしょう。
このような突然のディスラプターを事前に察知する事は、非常に難しいです。ただ、マーケットデータを常に把握する事で、予兆に気づく”可能性を上げる”事はできます。
上記はマーケットデータを4つにカテゴライズし、各項目のどのようなデータを集めるべきかを集約したものです。
これら全てを完璧にSimilarWebのみで把握する事は難しいです。必ず、他のデータとの併用がキーとなってきます。
【パナソニック株式会社:岸原 直人】既に起きている未来に気づく方法
パナソニック株式会社の岸原氏はアナログデータとSimilarWebのデータを掛け合わせ、“既知の未来”を予測しています。
できる限りのマーケットデータを集め、解析し、ディスラプターから自社を防ぐ。ないしは、自社がディスラプターになるための手法が公開されています。
SimilarWebでマーケットデータを収集、解析、そして意思決定を下す。
マーケットデータを取得した後、職種や目的によって具体的なSimilarWebの使い方は変わってきます。
マーケット・インテリジェンス・サミットでは、大きく4つの職種ベースで、各項目が注目すべき視点を紹介しました。
マーケティング
マーケティング領域で重要となってくる視点の一つは”マーケットシェア”でしょう。
【化粧業界 世界編】2つのデータから見る世界市場解析レポート
こちらでは化粧業界の世界トレンドを解析。ここから、インド、アメリカ、タイ、そして日本の化粧業界を解析していき、市場動向を調査しています。
投資
投資対象を決める際に気をつけなければいけないのが、リストの漏れを防ぐ事。
数学的フレームワークを使った「足して100になる」競合抽出法
日本を代表するマーケター/戦略家の数学的思考を取り入れた、競合抽出法。漏れを防ぎ、的確にデューデリジェンスを実行できます。
リサーチ&分析
リサーチ&分析で抽出すべき点のひとつは、消費者インサイト。ひいては、消費者の”嗜好”を見つける事です。
【YAMAHA:濱崎 司】SimilarWebで”嗜好”を見つけ、理解し、最速で意思決定を下す。
ヤマハ株式会社の濱崎氏はSimilarWebとBIツールを使い、世界のどこに”嗜好”があるのかを調査。情報を集め、繋げ、共有し、そして最速で意思決定を下しています。
データ活用のノウハウが詰まった1本です。
営業
課題の共感。
これは、Webマーケティングを一気通貫して事業改善を行うサービスベンダー企業、株式会社Kaizen Platformの鬼石氏がお客様とお話する際に重要視している点です。
【Kaizen Platform:鬼石 真裕】最先端B2Bマーケティング&セールスの全て。そして、人材派遣業界で起こっている変革とは。
SimilarWebを用いてお客様の課題を把握。取得した情報を駆使して仮説を組み立て、お客様との信頼関係を構築していきます。
まとめ
アメリカのGAFA、中国の紅いシリコンバレー、イスラエルのスタートアップ。
市場の常識を覆すであろう者たちは日々、世界の至るところから突如として現れます。瞬く間に市場構造を変革し、マーケットシェアを席巻。
いつの時代も、突然にディスラプターは出てきます。これは致し方ない事です。
ただ、それを”仕方ない”と割り切って市場を渡すか。それとも、立ち向かい、市場を取り返す。はたまた、自身がディスラプターとなって新たな市場を開拓するか。
何にせよ、これは市場を知り尽くしているからこそなし得る技。
SimilarWeb然り、今、幅広いマーケットデータという名の、”既存概念を破壊する新しい触媒“を常に把握する事が求められる時代なのかもしれません。
MarTechLab編集部
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