【全日本SEO協会代表】大手サイトを攻略し、独自ドメインで勝つ方法。
「手応えを感じるのが1年。儲かるのが2年。」
ホームページ制作業界のパイオニアの一人である、一般社団法人 全日本SEO協会代表理事の鈴木将司氏によるインタビュー第二弾。(第一弾はこちら)
前回は、SEOに取り組む上で重要な2つの基準についてご紹介頂きました。
今回は、異様なまでに市場占有率の高い大手ショッピングモールサイト、そしてポータルサイトに対し、各企業はどのように取り組めばいいのか──この命題に対する見解、及び攻略法をSEOスペシャリストである鈴木氏に語っていただきました。
目次
大手サイトとどのように向きあうべきか。
──今の時代、大手サイトを利用しなければ商品を買ってもらえないのでしょうか?
あくまで個人的な見解ですが、ポータルサイトもモールも、そこで稼ぐものではなく、あくまでブランド名を売る場と捉えた方が良いと考えます。
認知を拡大し、指名検索を誘発する場であると考えてほしい。
モールやポータルサイトでは各社の世界観を見せることはできません。定型フォーマットがあるために、他社と同じ形でプレゼンテーションする形となります。
そのため、各社の世界観を伝えるには独自ドメインが必要と考えます。
──独自ドメインにおいてよく見かけるのが、購入のみ他の巨大ECに遷移させる場合があります。これは、戦略として良いのでしょうか?
良いとは言えないでしょう。
しかし、ユーザーに選択肢を与えることは大事です。ここでまた重要となるのが「エンドユーザー」を見ることの重要性です。
【全日本SEO協会代表】SEOで大事な2つの基準とは。
エンドユーザーにとってプラスなのか、それともマイナスなのか。立派なサイトほど、ユーザーにオプションを与えます。だが、与えすぎは良くない。
多くても、選択肢は3つ。
──なぜ独自ドメインだと、コンバージョンしないのでしょうか?
単純に、メリットがないからです。
他の巨大ECで買うよりもお得な状況にしなければならない。例えば、独自ドメインで購入すれば他のアイテムがつく、データがもらえる、など。メリットを訴求しなければならないんです。
実際、一流のサイトはマイページが充実しています。
──独自ドメインのEC運営をしている中小企業のお客様から、会社や上司から程なく売上を求められるがなかなかコンバージョンせず焦ってしまう、という話をよく聞きます。
収益をあげるには、ローンチから2年単位で見ないといけません。中小規模だと、2年やって初めて結果が出る。
まずは2年以内に、ビジビリティ(可視性)をあげる。検索におけるビジビリティをあげることで、サイトを好きになってもらう。
大成功している企業ほど、最初は貧乏なものです。
──とは言え、2年は長く感じますし、上司や会社に対しどのように説明したら良いでしょうか?
「2年かかる」というのでは、さすがに引かれます。「手応えを感じるのが1年、儲かるのが2年。」と考えてほしい。
そして、最速で結果を出すためには、最初からオーガニック流入の強化を図るような戦略を構築しなければならない。農作物を育てるためには、まずは種まきが必要でしょう?
はじめは儲からないかもしれない。しかし、中長期的なスパンで考える必要があります。オーガニックでファンを獲得し、土台を作りあげることが最終的には収益へ寄与するんです。
GAFAだってそうです。
Amazonは先日、年会費の値上げを発表しました。YouTubeも通常のプラットフォームは広告を増やし、プレミアム用のアプリを準備しています。
儲けるには時間がかかる。どうしても、オンライン上で戦略を立てるときに、人は短期で収益をあげようと考えがちだけれども、それではダメなんです。中長期的な眼をもたなければならない。
短期的な売上重視ならばモールやポータルに頼るほうがいいかもしれない。でも、プロフィット重視ならばオーガニックを利用し、2年スパンで見ることが重要です。
大手サイトの”隙”をつく。
──オーガニックの重要性について理解しました。しかし、モールやポータルサイトはそのオーガニックでも流入が強いです。どのように向き合うべきでしょうか?
選り好みキーワードが重要となってきます。
「ホテル 予約」といった購買に繋がりそうなビッグキーワードは巨大サイトが強いだけでなく、広告出稿費も高いためなかなか流入が見込めません。
しかし、そこには隙間があるんです。
トラベル業界で例を挙げましょう。「ホテル」という言葉を含んだ検索キーワードの多くは、大手サイトに流れがちです。
そこで必要なのが選り好みキーワード。例えば、お金系キーワード。「ホテル 10万円台」「ホテル 10万円台 彼女とのデート」「ホテル 20代向け」など。
「ホテル+地名」では、なかなか巨大サイトや広告出稿に勝てません。だから、選り好みキーワードを仕掛けることで、検索量は少なくとも濃度の濃いコアなユーザーを狙って集客すべきなのです。
記事には記載されていな非公開ノウハウ付き
SimilarWebを使ったSEO調査手法レポート
独自ドメインでは選り好みキーワードで流入を図りつつ、自身の世界観を創ります。これは、独自ドメインだからこそ出来ること。
──つまり、SimilarWebでサイトを調査し、流入キーワードに選り好みキーワードが見受けられるサイトは良質なサイトと判断して良いのでしょうか?
良いと思います。そしてそのようなサイトの裏にはSEOマーケターや、賢いアフィリエイターがいる可能性が高いでしょう。
彼らは、特殊なニーズを狙ってコンテンツを作ります。これら1つ1つの検索量は少ないです。しかし、全部足すと十分な量があるだけでなく、特殊な検索を行うユーザーは非常に濃い。つまり、エンゲージメントが高いです。
私のセミナーでも常々言っています「月間検索数で少ないものから制覇せよ」と。すると、勝ち戦に挑めるのです。そして、ここでの成功体験は、施策運用の自信にも繋がります。
大きな魚を釣る前に、小さな魚を釣って練習する。そして、鯛を狙い、最後はマグロを狙う。いきなりビッグキーワードで攻めてはいけません。
また、トレンドを継続的に見ることも非常に重要です。
流入キーワードのトレンドは時代に合わせ、刻々と変化します。スナップショットで見ても意味がありません。過去の推移を見ることが大事なのです。
──ありがとうござました。
まとめ
本稿では、SEOスペシャリストである鈴木氏に「大手ショッピングモールサイトやポータルサイトとの向き合い方」について語っていただきました。
- 独自ドメインのECでは「手応えを感じるまでに1年、結果を出すまでに2年」
- 中長期的に収益を上げるために、「最初から」オーガニックの強化を図る
- 独自ドメインのサイトは「選り好みキーワード」を仕掛け、濃いユーザーを狙うべき
GAFAや大手ポータルサイト等の巨大プラットフォームの異様な市場占有率──この状況下において、独自ドメインの運営は難題です。
大切なのは、「焦ってはいけない」ということ。中長期的な眼をもって戦略を練ることが、最終的には成功に繋がるのです。
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SimilarWebを使ったSEO調査手法レポート
(インタビュー:Yo Harasawa / Jinta Tsuneishi 写真:Nao Shibata)

MarTechLab編集部
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