【CPA全公開】2,000万円BtoBのFacebook広告に投資してわかったこと

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こんにちは、MarTechLab編集長の勝見@katsuminr)です。


・イベント/セミナー集客 CPA2,467円
・ホワイトペーパーダウンロード CPA1,411円
・概要資料ダウンロード CPA9,000円

こちらが、BtoBでFacebook広告(※1)を約2年間運用して、最も効率よく獲得できたときのCPA(コンバージョン単価)です。

私は5年以上Web集客コンサルタントとして様々な業界のクライアントワークに携わりました。リスティング広告やFacebook・Instagram・TwitterなどのSNS広告を活用した経験を活かし、現在は自社のBtoBマーケティングに注力しています。
弊社ギャプライズではイスラエル発のマーケティングテクノロジーをはじめ、10種類ものツールを取り扱っており、ツールの特性に合わせて様々なFacebook広告を実施してきました。

始めた当時は、Web上にノウハウが無く苦労したので、今回は(皆さんの参考になればと思い)弊社の結果をまとめました。

(※1)本記事でいう「Facebook広告」はInstagram配信も対象にしています。

1.はじめに:本記事の活用方法

1-1.CPAが低い=効果が高い、ではない

CPAが低いというのは、
・狙ったターゲット層が幅広い
・設定テーマが絞られていない(誰でも興味持てる内容)
という可能性もあります。

実際に、
・CPA3,000円以下
・コンバージョン200件以上
獲得していても、有効率(※2)やアポ率が低く、停止した施策も数多くあります。
逆に、多少CPAが高くても有効率が高ければ全く問題ありません。

ただし、施策に対して「効果がいい・悪い」と判断するためには、母数を集めなければ効果検証できません。
限られた予算の中で適切な検証をするためには、やはりCPA改善は必要になります。

あくまで「CPAはKPIの1つ」、それを念頭に置いて読み進めてください。

(※2)弊社の「有効率」は、獲得リードのうち実際に営業対象になる割合を指します。

1-2.これからFacebook広告実施する方

社内の承認を得たい

BtoBでFacebook広告活用というと、
「BtoBは商材としてFacebookに合わないのではないか?」
「どれくらいの効果が見込めるのか?事例は?」
と社内から質問されます。(私も当時の上司からされました)

その際、説得材料として
・シミュレーション
・他社実績
が必要になります。

参考情報の一つとして是非使ってください。

施策の切り口で悩んでいる

主な施策は今回網羅していますので、
・どの施策が目的に適うか
・自社で取り組みやすい施策はどれか
という視点で見てください。

1-3.既にFacebook広告活用している方

実施されている施策によっては、
「本当にこのCPAが最適なのか?」
「本来、どれくらいのCPAを目指せるのか?」
と悩むことがあると思います。

その際のベンチマークの1つとして使ってください。

1-4.過去Facebook広告で効果が出なかった方

Facebook広告はちょっとしたポイントで効果が大きく変わります。
もし今回ご紹介する事例で、まだ実施されていない切り口があれば、是非試してみてください。

それでは、次の章から具体例をご紹介します。

2.【事例】イベント/セミナー集客のCPA

2-1.イベント集客事例

毎年開催しているMarket Intelligence Summit Japan(旧Digital Vision Japan)2018の事例です。
2018年は虎ノ門ヒルズにて500名規模で開催しました。

Market Intelligence Summit Japan2018

開催直前に急遽5日間のみ出稿した結果です。
日別の結果は下記のとおりです。

開催日10月26日の2週間前を切るとCPAが高騰していくのがわかります。
過去の実績からは、イベント/セミナー集客は4週間前~2週間前の間で広告集客を行うのが効果的でした。
特に3週間前は「まだ予定がない」かつ「意志を確定させてくれる」人が多く、コンバージョン数が多く・CPAも低下しやすいため、心の中でゴールデンタイムと名付けています。

では、直前の集客の場合どの程度CPAが高騰するか?

参考に2017(当時イベント名:Digital Vision Japan)の実績もご紹介します。
Digital Vision Japan 2017

2017年11月10日開催に対して、1週間切るとCPAは倍以上に高騰しました。
日程NGなユーザーがクリックしないよう、クリエイティブに開催日時を明記したためクリック率の低下は想定内でしたが、コンバージョン率が予想以上に低下し、最終的にはCPA10,000円に到達したため広告出稿停止しました。

イベント/セミナー集客はタイミングが鍵です。
獲得できる期間の波がありますので、狙いを定めて実施してください。

2-2.セミナー集客事例(単独型:無料)

イベントもそうですが、セミナー集客も企画内容で大きく成果が変わります

2017年、2018年とギャプライズ単独で、Innovative Products of Israel (IPI)セミナーを開催していました。その時点の「イスラエル最新情報と、取り扱いツールを全部まとめてご紹介します!」という内容です。
2017年に比べ2018年はツールが増え、10種類以上のご紹介をすることになり、その結果集客にかなり苦戦しました

■2017年実績

■2018年実績

2018年12月時点では、かなり幅広いツールを扱っていたため、セミナーとしてテーマの一貫性がなく、かなり雑多な企画となってしまっていたのが敗因です。

また、2017年の結果から正直慢心しており、バナーを複数パターン準備することを怠りました。その結果、平均クリック率に関しても集客期間内に改善しきれませんでした。苦い経験です。

2-3.セミナー集客事例(単独型:有料)

次は、2018年9月に開催したBtoBマーケティング有料セミナーの事例です。

5年間で培ったBtoBマーケティングの全ノウハウを大公開- Gaprise BtoB Marketing Seminar-

35名限定のため、集客施策はFacebook投稿とメルマガ配信で十分でしたが、試しにFacebook広告配信した結果がこちらです。

バナーに登壇者写真を入れるのは基本です。
ただし実際自分の写真を載せた時は、「(一般的に見ると)こいつ誰だろう感」に不安はありました(笑)。

結果として平均クリック率が1%超えたため、やはり写真入りは一定の効果が見込めます。

・有料セミナー
・BtoBマーケティング担当者向け
・平日に5時間半拘束(13:00-18:30)

と参加ハードルが高い企画ですが、CPAも予想より低い結果です。

一方で、有料セミナーの最適なCPAは5,000円か?というと違います。
今回の場合、1人49,800円の有料セミナーかつ自社セミナールーム開催でしたので、例えCPA10,000円でも十分価値がある結果です。

参加料と集客人数、開催にかかる経費、セミナーから生み出される効果を想定し、目標CPAを設定してください。

2-4.セミナー集客事例(共催型)

2019年は多くの企業様と共催セミナーを開催させていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

共催型も単独型と同様、テーマによって参加者対象が絞られるため、そのセグメントによってはFacebook広告で効果に差が出ます
下記は異なる共催企業様・テーマでの結果です。


■セミナーA
平均クリック率0.41%、コンバージョン率3.97%、CPA17,458円

■セミナーB
平均クリック率1.25%、コンバージョン率8.47%、CPA1,529円

ここで注意しなければならないのが、CPAが高い=テーマが悪い、わけではないという点です。

・ターゲットを絞り込んだ濃いテーマ設定(例:●●担当者向け)
→Facebook広告の配信ターゲットを誤るとクリック率が低下しやすい
・幅広いターゲットへのテーマ設定(例:最新マーケティング事情)
→対象も多く、訴求によってさまざまな属性を集客できる

そのため、セミナーの開催目的と照らし合わせ、そもそもFacebook広告で集客すべきかどうか?という点を議論するほうが重要です。

弊社ではテーマによって
・メルマガ中心に集客するセミナー
・Facebook広告中心に集客するセミナー
を判断しています。

2-5.Facebook広告経由の出席率は?

テーマや申込後のフォローの仕方でも異なりますが、無料開催の場合50~65%程度です。
この点に関しては改善の余地がかなりあります。

私自身もそうですが、興味があって申し込んだイベント・セミナーであっても、当日「天気が悪くてちょっとめんどうくさいな」「やっぱり今日仕事で行く余裕ないな」というケースはあります。
その時に、やっぱり出席する原動力となるのは「企画内容」です。

出席率を高めるテクニック、ではなく「ちょっと無理をしてでも行きたくなる企画」を開催できるように努めています。

3.【事例】ホワイトペーパーダウンロードのCPA

3-1.SNS×インフルエンサー、Klear事例

インフルエンサーマーケティングツール「Klear(クリアー)」の事例です。

国内企業のマーケティングにおけるインフルエンサーの活用状況を調査(サイバーエージェント調べ)」によると、
・インフルエンサーを活用した広告マーケティング活動をしたことがある56%
・うち、活用メディアはInstagram64%、Facebook40%

とKlearのターゲットとなる担当者にとって、FacebookやInstagramの重要度が高い傾向にあります。



[引用]国内企業のマーケティングにおけるインフルエンサーの活用状況を調査(サイバーエージェント調べ)

そのため、業界の最新動向がわかる「インフルエンサーマーケティングレポート2018」を作成し、ホワイトペーパーとして無料ダウンロード訴求を行いました。
その結果、平均クリック率は0.67%と高くないものの、コンバージョン率が高くCPA2,932円という結果になりました。

しかし、正直何ヶ月もこの成果は続きません。
「インフルエンサーマーケティング」に関心がある/実施している企業は、国内で限られています。
当初CPA1,500円程度で獲得できた月もありましたが、次第に高騰しCPA5,000~6,000円になった時点で停止しました。

そこで切り口を変えることにしました。
次に行ったのはコスメ業界を狙った「インフルエンサーランキング:コスメ部門TOP5」のホワイトペーパーです。
インフルエンサーマーケティングという施策への関心度が低くても、「自分の業界における影響力のあるインフルエンサーの情報は知りたい」はず、という仮説のもと実施しました。

結果CPA2,650円で、前述の2018レポートと異なるのは、クリック率の高さです。
運用期間全体でみると平均クリック率1.19%ですが、高いときは2%に達していた月もありました。

コスメ業界を狙うにあたり、よりターゲットにとって新鮮なクリエイティブが必要です。

通常私がバナー構成を引きデザイナーに依頼するというフローを取っていましたが、
今回は次のような企画を社内で実施しました。
「デザイナーチームガチンコ対決!!」
・構成フリー
・新人もベテランも関係なく全員からバナー募集
・1本でも、複数制作でも可
・すべてクリエイティブテストで検証するガチンコ対決

その結果集まったのが下記のようなバラエティー溢れるバナーたちです。
※すみません、構成フリーといっておいて、斜め上過ぎてボツにしたバナーは1点だけあります(笑)

▼週次で成果も全公開し、その結果をもとに新バナーを上げてくるデザイナーも

バナー1つで成果は変わります。

バナー一覧上段真ん中のドラァグクイーン(※3)をイメージしたパターンは、当時株式会社アイスタイルが「24時間限定の@cosme公式通販セール『@cosme Beauty Day 2018』」において、ドラァグクイーンを起用したテレビCMが実施されていたことが背景にあります。
面白いのは、誰にアドバイスされるわけでもなく、デザイナー自身が「ターゲット=コスメ業界」と「最新CMのネタ」を結び付けて出してきたという点です。
市場を読むデザイナーは最強だと実感しました。

実際に10点以上検証したバナーの中で、2番目にコンバージョン数・CPAともに良い結果となりました。

(※3)ドラァグクイーン(英: drag queen)は、男性が女性の姿で行うパフォーマンスの一種、またはパフォーマンスを行う人を指します。バナーに使用されている写真が比較的落ち着いた衣装であるのは、有料素材の限界です。

3-2.EC事業者を狙うYOTPO事例

自社ECサイトを強化するUGCマーケティングツール「YOTPO(ヨットポ)」の事例です。

この商材の難しさは、楽天やAmazonのモールではなく「自社のECサイトを強化したい」EC事業者様が対象である点です。

また、Facebook広告ターゲティングでも「Eコマース」などセグメントはありますが母数は限られています。既に運用されている方はご存じかと思いますが、広告配信対象が少なすぎると最適化が困難です。

そこで、まずは
・UGCって何?
・UGCってコンバージョンに影響するの?
という点に関心をもって頂くためのホワイトペーパーを作成し配信しました。

結果はCPA7,900円。
前述の事例と比べると倍以上ですが、実はYOTPOは過去他のテーマでホワイトペーパーを実施した際、CPA10,000円を切ったことがありませんでした。

Facebook広告ホワイトペーパー施策といっても、狙うターゲットや扱うテーマによってかなり差がでます

では、もっと効率的にターゲットに刺さるテーマはないか?
今回の結果を受けて新しく設定したテーマが「D2C(direct-to-consumer)」です。

直近でこのキーワードが話題になっており、別ツールKlearで業界の最新動向をまとめたレポートの反響が高かった点から、海外のD2Cマーケティング実態をまとめた「D2Cレポート2019」を作成し配信しました。

【最新レポート2019】D2C(Direct to Customer)マーケティングの実態

結果は、CPA4,500円・平均クリック率0.37%
ちなみにUCGマーケティングホワイトペーパーの時と、Facebook広告のターゲティング設定は一切変えていません。
こちらは現在進行中の施策であるため、バナー検証により平均クリック率がどう改善していくのか、別の機会にご報告します。

3-3.サイト改善の悩みにあてるClicktale事例

サイト内分析ツール「Clicktale(クリックテール)」事例です。
本来のマーケティングメッセージとしては「顧客体験」というキーワードを使っていますが、正直まだ広告クリエイティブレベルでは刺さる方が少ない状態です。

そこで、
・Webサイトを強化したい担当者
・ECサイトでも会員登録サイトでも関心度が高いポイント
として「フォーム改善」にフォーカスしたホワイトペーパーを作成しました。

平均クリック率も1.18%と高く、CPA3,000円台という結果です。

逆に、完全に「ABテストでサイト改善をかなり行っている方」向けのホワイトペーパーも作成し配信したこともあります、その際はCPA8,000~9,000円でした。
有効率は上がりますので、施策効果としては期待通りでした。

このように、
・誰に対して配信するのか
・どういった結果があれば効果が高いといえるのか
を整理した上で施策を実施することが重要です。

3-4.イベント/セミナーの後こそ重要!公開レポート事例

「2.【事例】イベント/セミナー集客のCPA」でご紹介したInnovative Products of Israel (IPI)セミナーで実は開催後、セミナーの内容をまとめた公開レポートを作成し、100名限定で配布しました。
メルマガ経由も含むので、Facebook広告では約半数の52件となりましたが、驚くのは
CPA1,411円という結果です。過去実施したホワイトペーパーの中で最も低いCPAです。

目標CPA3,000円で運用していたため、嬉しい驚きです。みなさんも是非、試してみてください。

4.【事例】問い合わせ/概要資料ダウンロードのCPA

4-1.概要資料ダウンロードのCPA

「概要資料」は、サービスを明記し詳細機能などの情報を記載した資料を指します。

今回は、他社サイトに導入されているツールを検出できるSimilarTech(シミラーテック)の事例です。

ターゲットは「BtoBで質の高い営業リストを作成したい」という課題を抱えた担当者です。ただし「担当者」は、企業によって営業部やマーケティング部、どちらのケースもあります。
そのため、各部に向けて全く別の切り口で配信してみました。

■営業部向け

■マーケティング部向け

CPAは僅差でしたが、有効率やアポ率を考えると、「営業部向け」の方が最終的に効果が高い結果でした。

4-2.問い合わせのCPA

この施策に関しては、公開すべき成功事例がまだありません。
予算をかければ獲得はできますが、CPA10,000円以上のケースが多く要改善点となっています。

5.CPAだけを見てはいけない

最初にお伝えした通り、CPAはあくまでKPIの1つでしかありません。

Facebook広告に投資して分かったことは、お伝えした施策別CPA基準とCPA改善は運用テクニックだけではないということです。

・いかにお客様の悩みに寄り添えるか
・つい参加したくなる(読みたくなる)企画が立てられるか
が重要です。

自社で、今回ご紹介したような企画から運用まですべて実施されるのは体制上困難なケースもあります。
弊社では、最新テクノロジーとマーケティングノウハウでお客様の集客支援もさせていただいておりますので、是非お気軽にご相談ください!

▼こちらのホワイトペーパーもおススメです▼

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勝見 理恵

2012年ギャプライズ入社。 5年間Web集客コンサルタントとしてクライアントワークに携わり、リスティング広告からFacebook・Instagram・TwitterなどのSNS広告まで幅広く活用。 ClicktaleやOptimizelyを活用したサイト改善コンサルタントを経て、現在は自社のマーケティング担当。

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