DOOH広告徹底ガイド
街を歩いていると、大型ディスプレイが目に入り興味を誘います。
それらの広告が歩行者の興味に合うようにリアルタイムで変更できるとしたらどうでしょうか?
デジタル・アウト・オブ・ホーム(DOOH)広告ではそれが可能となり、企業が公共の場で消費者と接点を持てる場となります。
本記事では、ブランドの認知拡大を目指すマーケティング担当者やポートフォリオの多様化を目指す広告主にうってつけなDOOHの効果や事例をご紹介します。
目次
1.デジタル・アウト・オブ・ホーム(DOOH)広告とは何か?
DOOH広告は、従来のアウト・オブ・ホーム(OOH)広告をより現代的にしたものです。
OOHには、屋外広告や交通広告などの大型広告が挙げられますが、DOOHはこの伝統的な広告媒体にデジタルの要素を加えたものです。
静的な印刷広告の代わりに、電子スクリーンに動的なデジタルコンテンツを表示することを可能にし、多くの場合表示されるコンテンツをリアルタイムで変更することができます。
DOOHは通常、LED屋外広告、デジタルサイネージ、売店、バス停などで配信されます。
DOOH広告の主な特徴
DOOHには主に4つの特徴があります。
■ダイナミックなコンテンツ
静的な屋外広告とは異なり、デジタルスクリーンではビジュアル、ビデオ、さらにはインタラクティブな要素で掲載することができます。
■リアルタイム更新
広告内のメッセージは、時間や天候などの条件に基づいて瞬時に調整することができます。
■ターゲティング
特定のエリアなど広告が最も関連性の高いオーディエンスに広告が届くように設定することが可能です。
■データドリブン
最新のDOOHプラットフォームは、キャンペーンの効果を測定するための指標分析ができます。
従来のOOHからDOOHへの進化
従来のOOHからデジタルへの移行は、単なるテクノロジーのアップグレードではなく、公共スペースにおける広告運用方法の固定概念を破ります。
従来のOOHは何十年も前から存在し、最も古い広告形態の一つです。大型な広告なため視線は集めるものの、柔軟に広告訴求を変えることや、ターゲティングはほとんどできませんでした。
一方DOOHは、リアルタイム入札(RTB)、プログラマティック・バイイング、データドリブン・ターゲティングといったデジタル広告の要素をOOHに導入することで、革命を起こしました。
これにより広告がより効率的になるだけでなく、以前は不可能あるいは現実的でなかった、天気や時間帯、時事問題など臨機応変に広告を変化させ、より適切で魅力的なものを消費者に発信できるようになりました。
2.DOOHの歴史
DOOHの核となる要素
DOOHは、3つの核となる要素で構成されています。
■ハードウェア
大型LED屋外広告、ショッピングモールのデジタルサイネージ、エレベーターやタクシーのスクリーンなど、デジタルスクリーンそのもの。
■ソフトウェア
包括的なソフトウェアプラットフォームが広告の表示や配信、タイミングを制御します。プログラマティック・バイイングやリアルタイム分析も可能です。
■コンテンツ
画像、動画、インタラクティブ要素のあるコンテンツを構成します。質が高く、魅力的なことが不可欠です。また可能であればパーソナライズされた物であるとより効果を発揮します。
3.DOOH広告のメリット
DOOHは印象的なビジュアルで広告を配信ができますが、その魅力はそれだけにとどまりません。DOOHのさらなる魅力をこの章でご紹介します。
ターゲットを絞り込んだ広告
これらの洗練されたターゲティングオプションを組み合わせることで、最も適切なオーディエンスに最も適切なタイミングでメッセージを届けることができます。
■ジオターゲティング
従来の看板広告では、地元の住民か通りすがりの観光客かを区別できませんが、DOOHでは広告主は位置情報に基づいてメッセージを調整することができます。
■オーディエンスのセグメンテーション:
AIと機械学習の進歩により、DOOHは客足を分析し年齢や性別などの人口統計情報を測定し、高度にターゲットを絞ったキャンペーンを可能にします。
■時間指定ターゲティング
特定の時間帯やイベント時に広告が表示されるように設定し、メッセージの関連性を高めることができます。
リアルタイム分析と洞察
データをリアルタイムで得られることで、実用的な洞察を得ることができ、キャンペーンをより効果的に実施することができます。
■ライブダッシュボード
リアルタイム分析ダッシュボードにより、エンゲージメント指標を即座に追跡できるため、キャンペーンを迅速に調整できます。
■ROIトラッキング
高度なトラッキング機能により、DOOHが売上やウェブトラフィックに与える直接的な影響を測定し、ROIをより明確に把握することができます。
■消費者行動分析
高度な分析ツールは、消費者が広告を見るために一度足を止めるかどうか、インタラクティブな要素に触れるかどうかなど、広告と消費者の関わり方についての洞察を確認することができます。
柔軟性と拡張性
柔軟性はこれまでの広告媒体にはないもので、成長速度の速いデジタル社会に適応する俊敏性を提供します。
■更新が簡単
印刷コストをかけることなく、市場の状況や消費者の声に応じて、リアルタイムでデジタルクリエイティブを差し替えることができます。
■拡張性のあるキャンペーン
1つのキャンペーンを数回クリックするだけで、複数の場所や属性に配信を拡大する事でリーチを最大化することができます
■クリエイティブの自由度
従来の屋外広告とは異なり、DOOHでは動画やインタラクティブな要素、さらにはAR(拡張現実)を活用できるため、クリエイティブの自由度が広がります。
費用対効果
長期的に見ると、DOOHは従来の屋外広告に比べ高い費用対効果を実現できます。
■生産コストの削減
紙や塗料のような物理的材料が不要なため、コストと廃棄物の両方が削減されます。
■プログラマティック・バイイング
自動化された購入オプションにより、広告スペースの入札がより効率的になり、全体的なコストを削減しやすくなります。
■予算の最適化
高度なターゲティングと分析機能により、マーケティング予算を最適化し無駄な広告費を削減します。
エンゲージメントとインタラクティブ性の向上
DOOHのインタラクティブ機能により、広告主は従来の媒体の枠を超え、消費者と良い接点を生み出すことができます。
■インタラクティブな要素
タッチスクリーンやQRコード、AR(拡張現実)機能により、消費者との双方向のコミュニケーションを実現し、エンゲージメント率を高めることができます。
■ソーシャルメディアとの統合
DOOHキャンペーンをソーシャルメディアと統合することで、リアルタイムな共有やインタラクションを促し、メッセージを増幅させることができます。
■視覚的インパクト
デジタルスクリーンの圧倒的なスケールと鮮やかさは視覚的インパクトを与えます。特にモーショングラフィック(※)やインタラクティブな要素を用いる場合、より人目を引き記憶に残るものにすることができます。
※モーショングラフィック:ともと動きのない写真や文字、イラストやロゴなどを加工し、アニメーションにしたもの
4.DOOH広告のフォーマットの種類
DOOHには多くの広告フォーマットがあり、それぞれにユニークなメリットとターゲティング機能があります。
ここでは、主要な広告フォーマットをご紹介します。
看板とストリートファニチャー
■従来の屋外広告
デジタルであっても従来の屋外広告の壮大さを取り入れることができます。
■LEDスクリーン
ダイナミックで躍動感があり、人通りの多い場所で注目を集めるのに理想的です。
■ストリートファニチャー
バス停、売店、ベンチなど。
参照: OAAA’s latest Nielsen studies
DOOHの広告フォーマットの影響について、数字で見てみます。
下の例では、スウェーデンの大手薬局チェーンであるHjärtatが、スウェーデンの喫煙者に直接禁煙広告を打つために煙探知機を利用しました。煙探知機がタバコの煙を感知するたびにディスプレイ内に咳をしている人の映像が作動するという、シンプルかつインパクトのある仕組みでした。
消費者の行動と広告訴求がリアルタイムに連動する事で、多くの関心を得ることができました。
交通広告
交通広告は静止画像だけに限らず、 短いビデオやアニメーションも含まれています。 リアルタイムで広告メッセージを変更できる機能は、特に通勤のピーク時間帯に大きなインパクトをもたらします。
■バスや電車内のディスプレイ:公共交通機関に設置されることが多く、視聴者を魅了します。
■タクシー内のディスプレイ: タクシー内のディスプレイは、地域をターゲットにしリーチするのに適しています。
■駅の広告塔: 駅やバス停のような人通りの多い場所に戦略的に設置します。
小売・POS
小売店やPOSの広告フォーマットは、即座の行動を促すのに特に効果的で、モバイルの機能とも統合できます。
例えば、QRコードを表示することで、買い物客に限定オンラインクーポンを提示することも可能です。
■店内スクリーン: レジ付近や店内各所に設置し、衝動買いを促進します。
■インタラクティブな売店: 広告商品に関連した情報を顧客に提供します。
■デジタル値札: リアルタイムの価格変更が可能です。新機能ですが人気が高まっています。
イベントやスタジアムにおけるデジタルサイネージ
DOOHはスタジアムやイベントで重要な役割を果たし、ユーザー体験を高めると同時に、ブランドの露出を増やします。
ここで重要になるのは、イベント参加者の体験に付加価値を与え、魅力的で面白いコンテンツを作ることです。
■ジャンボトロン:大型スクリーンで、一般的に大きなイベント時に注目度の高い広告を流すために使用されます。
■LEDリボン:アリーナを360度取り囲むように設置されます。
■インタラクティブ・ディスプレイ:トレードショーや展示会でよく使用され、参加者がブランドと直接関わることができます。
5.有名なDOOH広告の例
DOOHは、長年にわたって象徴的で記憶に残るキャンペーンを生み出してきました。
本章では、DOOHの事例をご紹介します。
タイムズ・スクエア・テイクオーバー
ブランド:コカ・コーラ
実施時期:継続中
効果: ニューヨークのタイムズスクエアで最も象徴的なデジタル広告のひとつが、コカ・コーラのものである。曲線のスクリーンは、リアルタイムなコンテンツとインタラクティブな要素で視覚的なインパクトを生み、祝日や大きなイベントなどを盛り上げています。
リアクティブ・ウェザー広告
ブランド:ブリティッシュ・エアウェイズ
実施時期: 2015年
効果:クリエイティブなマーケティング活動として、ブリティッシュ・エアウェイズはロンドンのピカデリーサーカスとチズウィックにインタラクティブなDOOHを設置しました。これらのスクリーンには、ブリティッシュ・エアウェイズの飛行機が頭上を通過するたびに、便名や目的地などの詳細とともに、上空を指さす子どもが表示されました。リアルタイムデータと視聴者のエンゲージメントの独創的な組み合わせにより、このキャンペーンは多くの称賛の声を得ることができました。
「ルック・アット・ミー」キャンペーン
ブランド:ウィメンズ・エイド
実施時期: 2015年
効果:この感情的に衝撃を感じるキャンペーンは、虐待を受けた女性の画像を取り扱ったもので、人々がその広告を見ることで広告内の女性の傷がリアルタイムで治癒していきます。顔認識技術を活用したこのキャンペーンは、家庭内虐待についての対話に一般の人々を巻き込むことを目指し、DOOHが社会変革のプラットフォームとしても機能することを証明しました。
6.リアルタイム入札が可能なプログラマティックDOOH
プログラマティックDOOHの革新的なテクノロジーは広告配信の手順を簡単に、そしてデータドリブンで測定可能なものにしました。
これまでの手動入札や画一的な広告キャンペーンとは対照的に、プログラマティックDOOHでは、リアルタイムの入札やターゲットを絞った配信ができるようになりました。
プログラマティックDOOHとは何か?
プログラマティックDOOHは、デジタル屋外広告の自動売買を意味します。
プラットフォームを活用することで広告主はオンラインのプログラマティック広告同様に、リアルタイムで入札することができます。
主な特徴は以下です。
<プログラマティックDOOHの特徴>
■リアルタイム入札(RTB)
広告主は、特定のオーディエンス基準に基づいて、利用可能なデジタル広告枠にリアルタイムで入札することができます。
■オーディエンス・ターゲティング
データ分析を活用し、特定の人口統計グループ、場所、天候をターゲットにします。
■柔軟なスケジューリング
特定の時間帯にキャンペーンを実施することで、予算を最適に活用し、ROIを最大化します。
■パフォーマンス指標
広告主にリアルタイムのデータ分析を提供し、キャンペーンの効果を測定します。
プログラマティックDOOHのメリット
プログラマティックDOOHのメリットは多岐に渡ります。
従来のDOOHと比較した場合、以下のようなメリットがあります。
■効率性
プログラマティックDOOHは、広告枠の売買のやり取りを不要にし、プロセスを効率化します。
■費用対効果
リアルタイム入札は価格の最適化につながります。必要なものに対して的確に予算を投下できます。
■高度なターゲティング
人口統計、場所、時間、天候など、さまざまな要因に基づいて特定のオーディエンスをターゲットにキャンペーンを微調整できます。
■エンゲージメントの向上
インパクトのあるコンテンツやリアルタイムでコンテンツを調整できることにより、より魅力的で視聴者に関連した広告を配信できるため、エンゲージメントの向上に繋がります。
■測定可能性
従来のOOHとは異なり、プログラマティックDOOHはキャンペーンの効果を測定するのに役立つ分析機能があります。
課題と解決方法
プログラマティックDOOHは革命的ですが、課題がないわけではありません。
ここでは、よくある課題と解決方法をご紹介します。
■データプライバシーに関する懸念
キャンペーンが GDPR や CCPA などのローカルおよびグローバルのデータプライバシー規制に準拠していることを確認してください。 これらの法律に準拠するプラットフォームのみを使用してください。
■広告在庫の品質
プログラマティックDOOHは斬新であるため、高品質な広告在庫が限られているケースもあります。信頼できるプラットフォームと、質の高い広告在庫を持つ販売元を選びましょう。
■コストの壁
プログラマティックDOOHは長期的には費用対効果が高くなりますが、初期設定費用が高額になる可能性があるため、しっかりと予算計画を立てましょう。
プログラマティックDOOHを広告戦略に取り入れることで、業界の進歩に遅れを取らないだけでなく、メッセージを届けたいユーザーにターゲットを絞り、尚且つ測定可能なメディアを活用してアプローチする事ができます。
プログラマティックDOOHの事例
<課題>
オンラインフード注文サービスのfoodoraはデリバリーサービスで人気を集めていましたが、テイクアウトサービスは過小評価されていました。
そのため、チームはそれを改善したいと考えていました。
〇キャンペーンの目的:foodoraのピックアップサービスの認知度と利用率を高める。
〇ターゲット層:既存顧客と潜在顧客の両方で、ドイツで時間に追われているビジネスマン
オンラインとモバイルのプログラマティックディスプレイに焦点を当て、従来のデジタル広告手法で成功していましたが、今回の取り組みでは、よりクリエイティブで、ターゲットを絞った広告戦略を採用したいという考えから施策を実施しました。
<手段>
同社はDSPを採用し、デジタル屋外ディスプレイをキャンペーンに統合することで、よりターゲットを絞った露出を実現しました。
〇配信場所:ECNが運営するオフィス複合施設に設置された50のデジタル・スクリーン。
〇対象都市 :フランクフルト、デュッセルドルフ、ハンブルク。
キャンペーンのメッセージは、DSPを通じて提供されるさまざまな動的データに基づいて調整されました。
〇天候:雨天時には配達のプロモーションが、晴天時にはテイクアウトサービスのメッセージが表示されました。
〇時間帯別:時間帯によって手軽なランチや午後の軽食、便利な夕食を強調し時間帯によってメッセージを変更しました。
〇近くのレストラン: 一部の広告では近隣の飲食店を紹介するようにローカライズをしました。
また、ジオロケーションデータを活用してデジタル・スクリーンの近くにいる人にモバイル広告を配信し、キャンペーンのリーチを高めました。
結果として、107,000以上の広告が表示され、100万インプレッションを達成したfoodoraの統合プログラマティック広告キャンペーンは、効率的に目標を達成することができました。
7.DOOHキャンペーンのROI測定
従来のOOH(Out Of Home)広告では、測定基準がインプレッションや推定来訪者数に限定されがちですが、DOOHではより精緻なデータ主導の測定ができます。
DOOHを成功させる鍵は、人目を引くビジュアルをデザインすることだけではなく、オーディエンスを理解し適切なKPIを設定した上で、適切なツールとプラットフォームを使って測定することです。
ここでは、これらの側面についてご紹介します。
KPI設定
DOOHキャンペーンのROIを評価する場合、正しくKPIを設定する必要があります。
以下は検討すべきKPIです。
・インプレッション
広告が閲覧された回数を測定します。これによりキャンペーンのリーチ数を知ることができます。
・エンゲージメント
インプレッション以外にも、滞在時間やインタラクション率などのエンゲージメント指標により、クリエイティブ コンテンツの有効性についてより深い洞察が得られます。
・コンバージョン率
DOOH広告に掲載したQRコードやターゲットURLから、コンバージョン率を追跡が可能です。
・エンゲージメントあたりのコスト (CPE)
この指標は、各エンゲージメントに関連するキャンペーンの効率をコストの観点から理解するのに役立ちます。
・オーディエンスデータ
最新のDOOHプラットフォームは位置情報、WiFi分析、さらには顔認識などと統合し、詳細なオーディエンス統計を提供することができます。
ROIにおけるDOOHの事例
実際の事例を用いて、DOOHの可能性を理解しましょう。
スプライト、シーグラム、フレスカの3商品の冬の売上を伸ばすために、コカ・コーラはVolta Mediaと共同でDOOH(Digital Out of Home)広告キャンペーンを実施しました。キャンペーンの有効性は、全米の地域固有の小売データを使用して評価されました。より正確な売上の帰属を調べるために、Volta Media はマーケティング サービス会社 Quotient と提携しました。
キャンペーンは経済的にも成功し、広告に起因する売上は251万ドルに到達。さらに、コカ・コーラのすべての食品・飲料のDOOHキャンペーンの平均ROASを56%上回るROAS(Return On Ad Spend)を達成しました。
また、この広告により8.2%はスプライト、シーグラム、フレスカを初めて購入して、7.6%がその製品群を初めて知りました。
8.DOOHの今後の動向
テクノロジーの進歩やモバイル・エンゲージメントの増加、そして持続可能性への注目が、DOOHへのアプローチを再定義しようとしています。
ここでは、この広告分野の未来を形作る4つの重要なトレンドについて説明します。
モバイルおよびウェブとの統合
モバイルやウェブ・プラットフォームとの統合はDOOHのトレンドのひとつです。
<今後の展開予想>
■ジオターゲティング
ユーザーのモバイル端末の位置情報を使用する事で、関連性の高い広告を表示する事で可能になるでしょう。
■インタラクティブQRコード
DOOHディスプレイ上のQRコードはより洗練され、携帯電話で即座に利用できるプロモーションを提供できるようになるでしょう。
■データドリブンなパーソナライゼーション
ウェブ分析との統合により、広告主はユーザーの閲覧履歴や嗜好に基づいてパーソナライズされたコンテンツを表示できるようになるでしょう。
■クロスプラットフォームキャンペーン
DOOHからモバイル、ウェブへとシームレスに移行し統一されたブランド体験を生み出す、より総合的なキャンペーンを実施するようになるでしょう。
人工知能とDOOH
人工知能(AI)は、DOOHの自動化とパーソナライゼーションを推進します。
この分野の主なトレンドは以下の通りです。
■動的コンテンツ適応:
AIアルゴリズムは、天候や時間帯、あるいは時事問題など、リアルタイムの要因に基づいてコンテンツを動的に変更可能になるでしょう。
■オーディエンス測定:
AIは、デモグラフィックや行動など、広告を閲覧している人についてより正確な分析を提供し、より優れたROI計算を可能にするでしょう。
■プログラマティック・バイイング:
機械学習アルゴリズムは、DOOH広告枠のリアルタイム・オークションを支援し、購入プロセスをより効率的でカスタマイズされるでしょう。
仮想現実と拡張現実
仮想現実(VR)と拡張現実(AR)は、DOOHで消費者と新しい交流を可能にするでしょう。
■没入型体験
VRを利用して、公共スペースで完全没入型の360度広告体験を提供できるようになるでしょう。
■拡張現実フィルター
消費者がスマートフォンを使って現実世界の環境で製品を視覚化できるARフィルターが搭載されるかもしれません。
■インタラクティブなデモ
VRもARも、その場でのインタラクティブな製品デモに活用でき、消費者のエンゲージメントとリテンションを高められるでしょう。
持続可能性と環境に優しいディスプレイ
多くの業界と同様に、DOOHでも持続可能性が重要な焦点になりつつあります。
■低エネルギー ディスプレイ
おそらくは太陽光発電を使用するディスプレイの開発と導入により、電気代と二酸化炭素排出量が削減されます。
■リサイクル可能な材料
リサイクル可能な素材や生分解性素材からディスプレイを製造するベンダーが増えるでしょう。
■持続可能性の指標
プラットフォームはROIだけでなく、キャンペーンの環境への影響についても分析を提供し、ブランドが環境に優しい目標を達成できるように支援されるでしょう。
9.DOOHを成功させるためのポイント
DOOHキャンペーンを成功させるには、オーディエンスの理解からクリエイティブ戦略、予算、継続的な最適化まで、複数の要素が複雑に絡み合っています。
最後の章では、各分野における成功のポイントをご紹介します。
観客を理解する
DOOHキャンペーンの立ち上げを考える前に、どのような人をターゲットにしているかを明確にする必要があります。オーディエンスを理解することは、キャンペーンを構築する基礎となります。
■デモグラフィックとサイコグラフィック
ターゲットオーディエンスの年齢、性別、居住地、興味などのデータを集めましょう。
■消費者行動
既存のデータやアンケートを活用し、オーディエンスの行動を把握しましょう。
■背景
ターゲットの背景を理解すると、よりインパクトのあるメッセージを作成するのに役立ちます。
DOOHはリアルタイムのデータに基づいてメッセージを変更することができるため、オーディエンスペルソナを継続的に更新するようにしましょう。
クリエイティブ戦略とベストプラクティス
オーディエンスを把握したら、次のステップは魅力的なコンテンツを作成することです。クリエイティブ戦略は、目を引くだけでなく、ターゲットオーディエンスに価値を提供するものでなければなりません。
■シンプルに
DOOHのメッセージは通りすがりに見られることが多いので、要点を端的に伝えましょう。
■高解像度の画像と動画
画面が大きければ大きいほど、画像のクオリティは重要です。
■インタラクティブなコンテンツ
可能であれば、タッチスクリーン機能やQRコードを活用し、オーディエンスの興味をさらに引きましょう。
■ダイナミックなクリエイティブ
リアルタイムのデータを活用してクリエイティブを改善しましょう。
これは、現在の気温を表示するような単純なものから、在庫のリアルタイム更新のような複雑なものまで可能です。
予算と計画
DOOHキャンペーンを成功させるには、単に予算を投下するだけではなく、きちんと予算配分を考えることが重要です。
■チャネルの選択
チャネルによってコストやリーチが異なるため、目的やオーディエンスに合ったものを選びましょう。
■頻度とタイミング
最初の1週間で予算をすべて使い切ってしまわないようにしましょう。オーディエンスにとって最適な時間帯にキャンペーンを実施するよう計画しましょう。
■ROI指標
キャンペーンの成功を判断するKPIを明確に定義し、必要に応じて予算を調整しましょう。
テストと最適化
DOOHキャンペーンは、一度設定したらすぐに忘れてしまうような取り組みではありません。 継続的なテストと最適化が重要です。
■A/Bテスト
広告のバリエーションを作成して、視聴者の心に最も響くものを理解します。
■リアルタイム分析
多くのDOOH プラットフォームはリアルタイム分析が可能です。このデータを使用しキャンペーンの実行中に調整しましょう。
■消費者のフィードバック
消費者のフィードバックは、キャンペーンを最適化するための情報の宝庫です。 より定性的なデータを得るために、アンケートやフォーカス グループの実施を検討してみましょう。
10.まとめ
DOOHのメリットは、従来の屋外戦略とデジタル広告の高度なターゲティングや分析が融合していることにあります。 これはリアルな世界とデジタル世界で広告主と消費者とつながるチャンスです。
ブランドや商材を認知させる施策の1つとして、DOOHの活用を視野に入れていてください。
ギャプライズでは「Eskimi」という媒体を取り扱っており、ユニークなクリエイティブやターゲティング設定、分析が可能でDOOHへの配信が可能です。
詳細を知りたい方はこちらからお気軽にお問合せください。
※記事はEskimi社の「The Expert Guide to Digital Out Of Home (DOOH) Advertising」を翻訳・加筆したものです。
阿多 佑梨花
2018年秋にギャプライズに入社。前職で2年半、総合通販業界にてアパレルの店舗運営に従事。ギャプライズ入社後、インサイドセールスの経験を経て、現在は自社マーケティングを担当。