色の違いだけでブランド認知度が80%アップ⁈広告における色彩心理学

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シグネチャーカラー(テーマカラー)を広告に使うとブランド認知度が80%アップすることや、ユーザーの商品に対する賛否が大きく分かれることはご存知でしょうか?
これは色が広告効果に大きな影響を与えているということです。

なぜ色がこれほどの影響力を持つのでしょうか?
何気なく広告を見た消費者の心理をどのように変えていくのでしょうか?

本記事では、マーケティングにおける色が与える影響についてご紹介いたします。

1.色彩心理学とは何か?

色彩心理学とは、色が人間の行動や感情にどのような影響を与えるかを研究する学問を指します。
色には、人の感情や行動を動かす深い結びつきがあるとされています。

色が感情や意思決定に与える影響

色は人にさまざまな感情を呼び起こす力があります。例えば、世界で最もポピュラーな色である青は、落ち着きと信頼感を与えるため、金融機関に好まれます。一方で、赤は興奮や緊急性を引き起こすため、CTAとしてよく使われます。HubSpotではCTAボタンを緑から赤に変更し、コンバージョンが21%増加したという事例も出ています。

文化的解釈:
色の解釈は文化によって大きく異なります。例えば、西洋文化では白は純潔や結婚式に関連していますが、東洋文化の一部では喪に服すことに関連していることがよくあります。こうした文化的なニュアンスを理解することは、グローバルブランドにとって極めて重要です。

色とブランドの関連性:
ブランディングにおいて特定の色を一貫して使用することは、強力なブランド・アイデンティティの形成に役立ちます。例えば、スターバックスのロゴの緑色は、リラックスや環境への配慮を連想させ、ブランドイメージと一致しています。

購買決定への影響:
色は消費者の購買決定に大きな影響を与える。黄色やオレンジのような明るい色は注目を集め、衝動買いを促し、緑や青のようなクールな色調は品質や信頼性の認識を生み出します。

色のトレンドと関連性:
消費者の嗜好が変化する可能性があるため、色のトレンドを把握することは不可欠です。しかし、単にトレンドを追うのではなく、ブランドの個性や価値観に沿った色を選ぶことも同様に重要です。

2.それぞれの色が表すもの

ソウル国際カラーエキスポの調査によると、調査対象者の約92.6%が購買決定に影響を与える最も重要な要素は色であると答えています。
これは広告出稿で効果を出すためには、色の選択がいかに重要であるかを強調しています。

また、別の調査によると、白黒の広告よりも色のある広告が42%多く見られるという結果が出ています。
この統計は、色を使用し広告の視認性を高めることが、消費者の注目を集めるためにいかに重要かが示されています。

ここからはそれぞれの色が表す影響についてご紹介します。

赤はエネルギーや情熱、緊急性を連想させます。
研究によると、赤に触れると血圧が上昇し、心拍数と呼吸数が増加すると言われています。
赤は以下のような印象や特徴があります。

  • 素早く注意を引くので、セールやCTAボタンに最適。
  • 興奮、愛情、攻撃性などの強い感情を呼び起こし、衝動買いに影響を与える。
  • 食欲を刺激し温かみを伝えるため、食品業界でよく使われる。

青は世界で最も人気のある色です。青は以下のような特徴があるとされています。

  • 一般的に平和、安定、秩序といった感情に関連付けられている。
  • 生理学的には、青色は心拍数を低下させ、心を落ち着かせ、睡眠を誘発するような顕著な効果があるとされている。
  • 青は献身、勇気、忠実さを象徴する。権威を連想させ、特に暗い色調では安全感を与えることから、アメリカの様々な法執行機関の制服にも使われている。

黄色

著名な画家フィンセント・ファン・ゴッホはかつて、「黄色は太陽を象徴する素晴らしい色だ」という言葉を残しています。実際、多くの人々にとって、黄色は喜びと陽気さを体現する色です。活気に満ち、気分を高揚させる色として広く認識されています。

また、マーケティング担当者は注目を集め、消費者にポジティブな気持ちになってもらうために黄色を使うことが多いです。

Verywell Mindによると、黄色は躍動感や活力を連想させます。このエネルギッシュな色は、熱意や活力を生み出すような文脈やアイテムによく使われています。

白はどこにでもありますが、マーケティングの場面ではどのような意味を持つのでしょうか?
調査によると、白の輝きは空間認知を高め、鮮やかなアクセントを加える能力で知られています。

デザインの専門家は、インテリアデザインにおいて、より広々とした開放的な空間を印象づけるために白を活用し、シンプルでミニマルなデザインで表現することが多いです。
ある人にとっては静けさと清潔感をもたらしますが、ある人にとっては地味すぎたり、飾り気がないように感じられるかもしれません。

緑が象徴するものは以下のようなものが上がられます。

  • 緑は認知機能、対人関係、身体的な幸福感を高めることに繋がっていると言われている。ストレスを軽減し癒しを促進すると信じられており、医療施設の内装等でよく使われている。
  • ある研究によると、異なるトーンの緑を使用することは、不慣れな環境で落ち着いた雰囲気を作り出すのに効果的だとされている。
    そのため、レストランやホテルなどの共同スペースに緑色の要素を取り入れることが多い。
  • また、緑は活力と健康に広く関連しており、この概念は様々な科学的研究によって裏付けられている。
    例えば、日本では緑豊かな自然の中に身を置く「森林浴」という習慣があるが、これをしない人に比べて血圧が低下することが示されている。
  • 緑は静謐な色と思われがちだが、特定の人に活力を与え、やる気を起こさせる力もある。研究によると、野心の高い人は赤よりも緑を好むという。さらに研究対象者は赤を失敗と結びつけ、緑を成功と結びつけている。
  • 緑色に触れると創造的思考が刺激されるという研究結果もある。ある研究では、被験者に様々な色の感情的な言葉を見せ、後で特定の言葉を思い出してもらった。その結果、緑色で書かれた肯定的な言葉の想起率が高いことが示され、緑色がより肯定的な感情反応を呼び起こす可能性が示唆された。

高級感と神秘の色である紫は排他性と高級感を表現します。革新性や独自性を強調するブランドに最適で、ウェルネスやスピリチュアルに関連する商品やサービスによく使われています。

  • 紫が威厳と華麗さの象徴として認識されるのは、その歴史的な君主制との関連に由来します。これは、古代においてこの染料が希少で高価であったため、富とステータスの象徴であったためです。
  • 自然の希少性と生産に必要な高価な資源のため、富裕層と貴族だけがこの色を手に入れることができました。このような贅沢と高貴の意味合いは、今日でもその認識に影響を与え続けているのかもしれません。
  • 神秘性、精神性、創造性と結びついていることに加え、知恵と精神性の象徴でもあります。その希少性と謎めいた特質が神秘的、別世界的、神聖な領域との結びつきの一因かもしれません。

オレンジ

赤のエネルギーと黄色の陽気さを混ぜた色であるオレンジは、楽しさと活気を表現します。
調査によると、オレンジの色相と活気や楽しさの感覚との間に関連性があることが示されています。

また、オレンジは消費者の間でも様々な反応を示しており、広告や商品では受け入れられやすい色として見られることが多く、消費者はより手頃な価格の商品だと結びつけて考えます。

オレンジといえばファンタ、ファンタといえばオレンジというようにファンタのEskimi広告は飲料のブランドアイデンティティを利用し、楽しく、エキサイティングで、遊び心のある広告に仕上げています。

黒はデザイン・アート・ファッションの基盤で、この色には様々な意味合いが込められています。力強くエレガントなイメージを与え、ティファニーやシャネルのような高級ブランドもロゴに黒を使用しています。

3.ブランドロゴにおける色彩心理学の考察

ロゴデザインにおける色の選択の非常に重要です。トップブランドがブランド・アイデンティティ、理念、価値観を伝えるために、どのような色合いを活用しているのかを見ていきましょう。

赤:コカ・コーラ

赤は興奮、情熱、エネルギーを呼び起こす力強い色です。注目を集め、強い感情を連想させる赤は、コカ・コーラが飲料業界で際立つ印象的なブランドイメージを生み出すのに役立っています。

青: LinkedIn‍

青は信頼やプロフェッショナルを表現します。青は多くの企業やビジネス環境に関連しており、良い人間関係を築くのに欠かせない、安心感と信頼感を与えます。

緑:Whole Foods

ホールフーズの緑は、自然・健康・ウェルネスを象徴しています。緑は一般的にオーガニック、自然製品、持続可能性を連想させ、自然食品とオーガニック食品の小売業者としてのホールフーズのブランド・アイデンティティに完璧に合致しています。

黄色:Caterpillar‍

キャタピラーは、楽観主義、エネルギー、視認性を連想させる黄色を戦略的に活用しています。
遠くからでも視認性の高い黄色は、キャタピラーの重機や建設機械と完璧に調和し、注意と警告を示します。
さらに、黄色は自信と信頼性を連想させ、安全性と信頼性が最優先される建設業界では不可欠な存在です。

オレンジ:Easyjet‍


イージージェットのロゴには、冒険、手頃な価格、アクセスのしやすさを連想させるオレンジが使われています。
フレンドリーで親しみやすいブランドを示唆する魅力的な色であり、航空旅行を誰にとってもより身近なものにするという格安航空が目指すものと合致しています。
さらに、オレンジは混雑した空港でも目立つため、ブランドを容易に認識することができます。

紫:Cadbury’s‍


キャドバリーのロゴに紫色が使われているのは、この色が歴史的に持つ高級感や排他性との結びつきを利用しているためです。
王族や洗練と結びつけられることの多い紫は、キャドバリーの製品を特別なお菓子や贅沢品として位置づけさせます。
この選択は、競争の激しい市場で同社のチョコレートを差別化し、ブランドを品質と贅沢さと一致させ、贅沢な体験を求める消費者のニーズに答えます。

4.ブランド構築のための色彩チャートの作り方

色彩心理チャートはブランドを構築していくために重要な要素の一つです。ここからはチャートを作成するための基本的なステップをご紹介いたします。

(1)ブランド・アイデンティティの評価

最初のステップは、ブランド・アイデンティティを徹底的に深堀りすることです。ブランドが消費者にどのような感情を喚起させたいのか?例えば、情熱的なブランドを目指しているのか、それとも信頼や信用を重視しているのか、これらを定めることが色選択の指針になります。例えば、持続可能性を重視するブランドは、自然や成長を象徴する緑やアースカラーが向いているかもしれません。

(2)消費者のリサーチ

ターゲット層を理解することは非常に重要です。ターゲット層によって色に対する反応はさまざまです。文化の違い、年齢層、性別は、色がどのように知覚され、処理されるかに影響します。読者層をリサーチすることで、ターゲット市場に最も響く色を選択することができます。

(3)色彩心理チャートの作成

チャート作成では、ブランドの価値観やオーディエンスの嗜好に沿ったプライマリーカラーとセカンダリーカラーを定めます。

プライマリーカラー: ブランドを象徴する主要な色です。ブランドのコア・バリューやメッセージと密接に一致させる必要があります。
セカンダリーカラー: ブランドのパレットにさらなるニュアンスと深みを与える色です。アクセントや背景に使ったり、重要な情報を強調したりします。

(4)テストと反復

色彩心理チャートを作成したら、次のステップはテストです。マーケティングキャンペーンやWebサイト、広告等に決めた色を使用します。エンゲージメントの指標、顧客からのフィードバック、全体的なパフォーマンスをモニターし、繰り返し調整していきましょう。

まとめ

広告等のマーケティング施策において、使用する色は消費者の感情や行動に大きく影響します。

そのため、消費者にどのような印象や行動を取ってもらいたいのかを整理した上で、施策に移すことはビジネスを伸ばしていくためのヒントになるのではないでしょうか。今回の記事の内容が施策の参考になれば幸いです。

ギャプライズでは、広告運用代行を始めとするデジタルマーケティング支援を行っており、広告バナー作成やLP改善等についてもペルソナやユーザー心理を深堀りした上で、施策立案から実行、仮説検証まで行っています。Webマーケティングにお困りの方はお気軽にこちらからご相談ください。

※記事はEskimi社の「Colour Psychology in Advertising: Crafting the Perfect Visual」を翻訳・加筆したものです。

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阿多 佑梨花

2018年秋にギャプライズに入社。前職で2年半、総合通販業界にてアパレルの店舗運営に従事。ギャプライズ入社後、インサイドセールスの経験を経て、現在は自社マーケティングを担当。

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