「ページ滞在時間」が高いほど、よく見られているは間違い!? 「Engagement Time」という新しい指標とは?
今までアクセス解析の分野で、一般的に「ページ滞在時間」は、そのページのコンテンツに対してユーザーがどれだけ関心を持っているかを測る指標として使われてきました。
ユーザーがそのページを長く見ているほど、それだけコンテンツの質が高いという考えです。
しかし、ここに実は落とし穴があります。
それは「ページの滞在時間」という指標が、どれだけ長くユーザーがウェブページを開いているかということしか語っていないからです。
「ページ滞在時間」という指標の問題点
これの何が問題かと言うと、ユーザーの中には次の2パターンの行動が予測されるからです。
1つ目が関心のありそうなページを開き、短い時間コンテンツを閲覧し、すぐにまた違うページに移ってしまうパターン。
2つ目がコンテンツを閲覧した後、ブラウザを開いたまま何か他のことをしてしまうパターン。
この2つ目のパターンでは、開っきぱなしのブラウザが「ページの滞在時間」を無駄に延ばしてしまうのです。
つまり重要なのは「ページ滞在時間」という指標では、ユーザーが実際どれだけコンテンツを見ているか、ということは正確にはわからないのです。
「Engagement Time(エンゲージメント時間)」という新指標
では、この問題をどうすれば解消できるのでしょうか?
ここで新たに考えられた指標が「Engagement Time(エンゲージメント時間)」という新たな指標です。
Engagement Timeはヒートマップ解析ツールのClickTale(現:Contentsquare)の特別な機能です。この指標は文字通りユーザーの実際のエンゲージメントの時間を測定します。ここでのエンゲージメントとはコンテンツを読む、写真・動画を見る、製品を見るということを示しています。
具体的な定義としては「カーソルがある場所の平行帯で、訪問者がエンゲージメントした平均時間」を示しています。よって、ページの中でよく見られている(カーソルが置かれている)場所を特定することもできるのです。
「ページ滞在時間」vs「Enagagement Time(エンゲージメント時間)」
Engagement Timeは、ページがブラウザで開かれている時間ではなく、実際にどれだけの時間ページに注目しているかを示しています。
上のグラフを見てもらうと、「Time on Page(ページ滞在時間)」は、ウェブサイトを訪れている人によって時間の振れ幅が大きいことがわかります。
この原因はWebsite Visitorの2人目、3人目、8人目の人がブラウザでページを開っきぱなしであるから、と推測されます。対して、「Engagement(エンゲージメント時間)」はそれほど振れ幅が少ないことから、この指標を信頼できるユーザーの行動統計データとして考えることが十分に可能でしょう。
ユーザーのエンゲージメントが低くなる3つの理由
以上より、Engagement Timeが、ページ滞在時間よりも重要な指標として考えられることがわかりました。ただ、指標よりも大切なものは、実際のユーザーの考えていることを理解することです。
「エンゲージメントが低かった場合、その原因は何なのか?」を仮説として考えることが、次の施策につながるからです。そこで最後に、エンゲージメントが低くなる代表的な3つの要因を挙げたいと思います。
1,提供コンテンツが、訪問者の求めているものとマッチしていない
サイトへの訪問者が開いたサイトに関心を持てなければ、そのサイトは高い直帰率になってしまいます。
ここからわかることはそもそもサイトに導くターゲット設定が間違っているか、もしくはサイト自体が設定したターゲットに対して関心を持てるコンテンツを提供していないことが考えられます。
2,ページが記事や写真、見せたい商品へとうまく誘導できていない
もしサイトの中に訪問者にとって有益なコンテンツが含まれていても、そのコンテンツを見つけられるような誘導ができなければ、そのコンテンツが見られることもありません。
この場合、サイトの導線や配列を見直すことが必要です。
3,ページの読み込み時間が長く、その間に他のページに移ってしまう
ページの読み込み時間が長いと、それだけで訪問者がそのページから去っていく可能性があります。ユーザーに関心を持たせるその他のページはインターネットには無数に存在しているからです。
コンテンツ自体に問題がなければ、この「読み込み時間」に着目する必要があるでしょう。
以上の3つがユーザーのエンゲージメントが低くなる代表的な要因です。エンゲージメントに問題が合った場合は、この3つをヒントにサイト改善を行なってみましょう。
Engagement Timeを指標として導入しよう!
一般のアクセス解析では主に「何回コンテンツが見られているか」という数に対する分析が主ですが、良質なコンテンツがシェアされるソーシャルな時代ではコンテンツの質という視点がますます重要になってきます。
これからEngagement Timeという指標を導入し、コンテンツの質にこだわったマーケティング施策を行なってみてはいかがでしょうか。
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この記事は、以下の記事を翻訳・加筆修正したものです。
–Time on Page vs Visitor Engagement Time