BtoB拡散の新しいカタチ。「タイトル&URL一括コピー」ボタンを実験してみた。

この記事のタイトルとURLをコピーする

こんにちは、MarTechLab(マーテックラボ)編集長の勝見@katsuminr)です。

前回の記事「Googleアナリティクスでは見えない、メディア記事のユーザー行動分析」で、記事タイトルをコピーするユーザーが一定層いることがわかりました。
(実際のユーザー動画はこちらからご覧ください)

そこで今回、記事内に「この記事のタイトルとURLをコピーする」というコピーボタンを追加実装しました。

検証結果は下記の通りです。
・訪問者の約1%がコピーボタンをクリック
・ソーシャルボタンよりクリックされる
・ファーストビュー離脱率は1.6%増加、読了率は2.8%低下

機能追加により、ユーザー行動はどのように変化したのでしょうか?
サイト内行動分析ツールClicktale(現:Contentsquare)のヒートマップや動画を使って分析しました。

<2019.9.13追記>
「どうやって実装するの?」というお声があったので、サンプルページを作成しました!
下記を参考にしてください。
コピーボタンのサンプルはこちら>>

<2019.12.12追記>
本番実装後のサイト分析結果も公開しました!ゼヒ合わせてご覧ください。
5番目に多い流入チャネルに!「タイトル&URL一括コピー」実装後のサイト分析結果

1.ソーシャルボタンでは不足?ユーザーがやりたいこと

記事タイトルがコピーされる理由

本メディアMarTechLab立ち上げ時から、下記のソーシャルボタンは実装していました。

クリックするだけで、FacebookやTwitter、LINEなどで簡単に記事をシェアできる機能です。

便利な機能があるのにも関わらず、なぜタイトルがコピーされているのでしょうか?

理由1:社内で情報を共有する

みなさんも役に立つ記事を見つけた時、一度はやっているのではないでしょうか?
チャットワークやトークノート、slack、monday.comなどツールを活用して社内コミュニケーションしている場合、自分で記事のタイトルとURLをコピーする必要があります。

理由2:ログインが面倒

使う際に、SNSログインを求められたことはありませんか?
「ログイン情報すぐわからない」「面倒くさい」と諦め、記事のタイトルとURLをコピーして直接アプリを起動してシェアするケースがあります。

また、上記以外でソーシャルボタンも直接コピーも使わず、ブックマークレット(※1)を活用する方もいます。

このように、「記事をシェアする」という行動にも様々なパターンがあり、利便性という点においてはソーシャルボタンでは不十分です。

(※1)ブックマークを起動し簡単な処理を行うプログラム

検証のためABテストを実施

ユーザーにとって便利な機能でも、実装することでネガティブな影響がでる可能性も0ではありません

例えば今回の場合、
・そもそも使われない可能性もあるのでは?
・ファーストビューでの離脱率が増えるのでは?

と影響範囲を想定した上で、ABテストを実施しました。

■テスト対象:「https://martechlab.gaprise.jp/archives/」配下の記事
■テスト期間:2019/8/26-9/3の9日間

2.ABテスト結果からユーザー行動を分析

訪問者の約1%がコピーボタンをクリック

9日間ABテストを回した結果、
・訪問者の約1%がコピーボタン(上部・下部合わせて)をクリック
・コピーボタン追加によるソーシャルボタンクリック低下は見られない

という傾向が出ました。

では当初懸念していた、ファーストビューの離脱率への影響はあるのでしょうか?

ヒートマップで分析します。

テストパターンで離脱率は1.6%増加

下記ヒートマップがオリジナルとテストパターンを比較した結果(※2)です。
テストパターンの方が、ファーストビューでの離脱率が1.6%高い結果となりました。

Clicktale ヒートマップ分析 オリジナルvsテスト

各ボタンのクリック率とヒートマップ分析だけ見ると、
「コピーボタン・ソーシャルボタンからシェアする人が増え、離脱が増加したのでは?」
という仮説が考えられます。

しかし、本当にそうなのでしょうか?

(※2)ヒートマップ背景は特定の記事が表示されていますが、ABテスト対象「https://martechlab.gaprise.jp/archives/」配下にある記事全体の結果が反映されています。

シェアしたいと思うユーザー心理

次はClicktaleの動画機能を使って、ユーザー行動分析を行いました。

下記動画では、
・記事A:コピーボタンクリック

・記事A:スクロールして最後まで読む

・記事B:スクロールして最後まで読む

・記事B:先頭に戻ってコピーボタンクリック
という行動をとっています。

Clicktale 動画による行動分析(コピーボタンクリック&記事読んでいる[2倍速])

基本的に「シェアしたい」と思うユーザー心理には、
・記事に興味を持った
・内容が(自分もしくは周囲の)役に立つ内容である
という前提があります。

そのため、コピーボタン追加により離脱につながった可能性は多少ありますが、
記事を読んでほしいターゲットにきちんと刺さる内容である限り、「記事を読まなくなるのではないか?」といった機能追加によるネガティブな影響はありません。

読了率への影響

記事を最後まで読んだ指標「読了率」は、テストパターンで-2.8%という結果です。(ファーストビューの1.6%の差を含む)
また、記事全体を通して「エンゲージメントタイム」はオリジナルとテストで比較しても差はありませんでした。

そのため、最後まで読んでいるコアユーザーに対しても、ネガティブな影響は大きく見られません。

3.まとめ

今回の実験結果のまとめです。

<背景>
・ユーザー行動分析によると、「記事タイトルをコピー」するユーザーが一定層いた。

<ABテスト内容>
・記事内に「この記事のタイトルとURLをコピーする」ボタンを実装。1クリックでコピー完了できるようにする。

<懸念に対する検証結果>
■そもそも使われない可能性もあるのでは?
→ソーシャルボタン以上に使われる
・訪問者の約1%がコピーボタンをクリック
・ソーシャルボタンのクリックも低下しない

■ファーストビューでの離脱率が増えるのでは?
→離脱は多少増える

・ファーストビュー離脱率は1.6%増加
・読了率は2.8%低下

私自身、勉強になる記事はFacebookやTwitter以上に社内で共有する回数が多く、個人的に「この記事のタイトルとURLをコピーする」機能が大好きです。

「便利な機能はすぐ本番化しよう!」となりがちですが、
・本当にネガティブな影響はないのか?
・設置した結果、本当に使われているのか?
といった検証は重要です。

手法の1つとして、本番化前に簡単に検証できるABテストはオススメですので、「ABテストの効果を高めるデータ分析術」も是非ご覧ください。

<今回の結論>
「この記事のタイトルとURLをコピーする」
メディアのみなさん是非つけてほしいです。(個人的希望含む)

この記事のタイトルとURLをコピーする

勝見 理恵

2012年ギャプライズ入社。 5年間Web集客コンサルタントとしてクライアントワークに携わり、リスティング広告からFacebook・Instagram・TwitterなどのSNS広告まで幅広く活用。 ClicktaleやOptimizelyを活用したサイト改善コンサルタントを経て、現在は自社のマーケティング担当。

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