神は細部に宿る!「たった1つのリンクの改善が、100万ドルを生み出した」事例から学ぶデジタルマーケティングの教訓
近年ネットの通販需要は、ここ数年で急激に上昇し、それにつれて日本のEC市場は右肩上がりに急成長しています。経済産業省が去年の8月に発表した『電子商取引に関する市場調査』によると、2020年にはEC市場規模が20兆円台になると予測し、これからも伸びていく市場であることは確かでしょう。
そうなると重要なのは、ますますWEBサイトを最適化することでしょう。商品を探すのがわかりづらいサイト、フォームに長々と情報を記入しなければいけないサイトなどは、それだけで売上が落ちてしまいます。そして、サイトの売上が大きくなればなるほど、そのような些細な点がテコとなり、何百・何千・何億円もの売上に影響します。
今回は、そのような小さな点が大きな売上に影響した1つの事例を紹介しましょう。
旅行予約サイトがぶつかったある問題点とは?
Clicktale社では、質が高く定評のある旅行予約サイトのコンサルテーションを行っていました。この旅行予約サイトは、もう何年も運営されており、300万ドル(約300億円)の年間売上を記録するほどの大きなサイトです。その検索回数は1日に100万回を超えるほど。
このサイトを利用する顧客は、通常以下のような購買プロセスを経ています。
サイトの訪問者はまず目的地への便を決め、それから、次のページでホテル選ぶ。ホテルを予約したら、予約の内容確認ページに飛び、それから支払いと予約完了となります。旅行予約サイトとしてはスタンダードなプロセスと言えます。
サイトを運営するチームはClicktale(現:Contentsquare)のコンバージョンファネル機能を使い、たくさんの顧客があるページで購買プロセスから外れてしまっているのを見つけました。そのページとは、予約概要ページです。
ただ、この問題を見つけられたまでは良かったのですが、問題は「なぜこのページで多くの顧客がページを離れてしまうか?」を理解することができなかったという点です。結局、効果的な改善のアイデアがわからないままA/Bテストを行なっても、決定的な改善には至りませんでした。
問題の原因はどこにあるのか?Adobe AnalyticsとClicktaleを活用する!
それから、サイトの運営チームはA/Bテストとは異なる施策を考え始めました。Adobe社のアクセス解析ツールである「Adobe Analytics」を使用し、コンバージョンユーザーと、非コンバージョンユーザーが予約概要ページでどのような異なる動きをするのかを調査したのです。また、Adobe AnalyticsをヒートマップツールであるClicktaleと連携しながら、コンバージョンと非コンバージョンのセグメント分けでのヒートマップ分析も行いました。
(Adobe AnalyticsとClicktaleの連携については以下の記事参照
『Adobe Analytics(旧SiteCatalyst)』と『ClickTale』を連携するべき3つのメリット)
異なるヒートマップを横並びに表示する機能(以下はイメージ図)を使い、運営チームはユーザーが支払いページに進む前にどのようなところに注目しているのかを確認しました。
1つのリンクが根本の原因 !?
ヒートマップを分析し、そこから個々のマウスの動きを動画で見ることができる機能を使用してユーザーの実際の動きをいくつか見ることで、運営チームはようやく「なぜユーザーが予約概要ページでページを離れてしまうのか」を発見したのです。
その原因は、離脱ユーザーは、ページを進みコンバージョンしたユーザーに比べある部分に大きな注目をしていたことにありました。その部分とは、ページトップに表示されている「Special Offers(特別セール)」と記されたリンクです。予約確認ページに進んだユーザーはこのリンクに注目してしまい、それをクリックすることでページを離脱してしまっていたのです。
つまり、予約概要ページまで進んできたユーザーに対して「Special Offers(特別セール)」という新たな選択肢を与えてしまうことで、そこに一部のユーザーが流れ、結局コンバージョンをしてくれたであろうユーザーを取り逃していたのでした。
(イメージ)
問題を解決!コンバージョン率が見事7%上昇!
ただ、問題が明確になればその改善するべきことも明確になります。運営チームはすぐさま「Special Offers(特別セール)」のリンクのある・なしでA/Bテストを行いました。結果はというと、リンクなしの場合、コンバージョン率が見事7%も増加したのです。
100万ドル以上の新たな売上!そこから学ぶべき教訓とは?
さて、この旅行予約サイトを運営していた会社はこの結果どのくらいの売上を増やしたのでしょうか?
この会社は、すでに売上が年間2億ドルとなっており、もしサイトの売上がその50%と推測すると約1億ドル。この7%が増えるとなると、単純に700万ドルの新たな収入をこの会社は得ることになります。たった1つのリンクを外しただけで。
ここで教訓にすべきことは、ECサイトが大きくなればなるほど、本当に些細なことが大きなビジネスにつながるということでしょう。まさに、「神は細部に宿る」です。
これからEC市場が伸び続けていくことで、このような些細な改善にこだわるデジタルマーケティングが大きな役割を担っていくことでしょう。
★ヒートマップ解析ツール「Clicktale(現:Contentsquare)」のお問合せはこちらから
本記事は以下の記事を翻訳・加筆修正しました
–How One Misplaced Link Can Cost Your Website Millions