AIが広告を作る?広告クリエイティブのAI化による3つのメリット
広告業界で働く方ならクリエイティブ制作で一度は苦戦したことがあるのではないでしょうか?
もっと手軽に訴求力のある広告クリエイティブが作りたい、、、
こんなことを考えたことはないでしょうか。
そんな方に朗報です。実は今、クリエイティブ制作のAI化が話題になっています。
昨今の広告業界にとってAIの存在は必要不可欠になりつつあります。
今、一体何が起こっているのか、本記事で追及していきます。
1.広告クリエイティブ制作とは?
まず簡単に広告クリエイティブについておさらいします。
‘‘クリエイティブとは、一般的には「創造的である」という意味の英語であるが、特に広告業界においては、広告として掲載するために制作された広告素材などを指す語である。インターネット広告においては、バナー広告に使用する画像などを指すことが多い。‘‘
引用元Weblio辞書
広告業界にとって最も重要だといえる物はクリエイティブです。
下記のようなバナーや街中にある看板なども広告クリエイティブです。
本記事ではWeb広告についてフォーカスしていきます。
従来の広告クリエイティブ制作の悩み
従来、webでの広告クリエイティブを制作する時は、クライアントと広告したい商品と目標の設計について会議するとこから始まります。
内容がまとまったら
①マーケターがターゲットついて調査、ペルソナ設計とアイデアを出し
②デザイナーが広告を設計し
③コピー作成からデザイン作成
④出稿
⑤ABテストで効果分析
という流れで行います。
このように様々な工程が存在し、かなりの時間と手間がかかっていました。クライアントの想像通りのクリエイティブでなかったら作り直しを繰り返すことも少なくはなく、ネット上で見る何気ない広告一つでもかなりの労力を消費していることがわかります。
またWeb広告においてABテストは最大の成果を出すために必須条件です。繰り返し行うことによって成果が表れるため、常日頃から忙しいマーケターにとってかなり時間の取られる作業でした。
さらに近年はTwitter、Instagram、Facebook、Amazonなどデジタル広告での媒体の種類も増え、それぞれに最適な広告の形ができました。
デジタル広告はターゲットのペルソナを以前より細かく分けることができ、これからさらにパーソナライズな広告手法が増えていく傾向にあります。そのためそれぞれの媒体を閲覧しているユーザーに響くようなクリエイティブを複数用意しなければならなくなりました。ネットユーザーの訴求対象は十人十色、千差万別で従来のターゲティングだけでは効果はでにくくなって来ています。これからの広告業界の大きな課題と言えます。
広告クリエイティブのAI化でマーケターの悩み解消?
技術の進歩により、夢のようなことが可能になりました。
それが広告クリエイティブ制作のAI化です。
今までマーケター達を悩ませていた広告クリエイティブ制作の一連のプロセスをAIを使い自動化ができるようになってきているのです。
ここで注目してほしいのが、ただの自動化だけではないという点です。
具体的にどんなメリット、デメリットがあるか、次項で紹介していきます。
2.広告クリエイティブAI化のメリットとは?
3つのメリット
2-1 大量生産が可能
具体的な事例記事を紹介します。
電通、広告バナーをAIで自動作成 1枚当たり5秒以内
(引用元:ITmedia inc,)
電通グループがAIを活用したバナーの自動生成ツールを開発したという記事です。このツールは、一枚あたり約5秒でクリエイティブの作成が可能です。いままでの広告業界にとってバナーの大量生産は不可欠なことで、ABテストやシミュレーションを複数回繰り返したその先に本当にいい広告クリエイティブが生まれる、それが定石でした。しかし一度に大量のクリエイティブが作れるなら話は変わってきます。大量に作られたクリエイティブのクリック率を一度にシミュレーションし、一番効果がいい数枚を摘出するという非常に効率性の高い事が可能になりました。従来の時間もかかる上に、ユーザー全員に響くようなクリエイティブとは限らないというマーケター達の悩みを一発で解決してくれます。
2-2 工数の大幅削減
従来のクリエイティブ制作で人が行っていたターゲット分析、クリエイティブ制作、ABテストの業務を全てAIが自動で行うことにより大幅な時間削減につながります。そのためマーケターはクリエイティブのマーケティング、配信戦略に力を注力することが可能になります。配信タイミングもビッグデータから最適な時間を分析し、クリエイティブ完成後すぐに出稿することができます。
2-3 データドリブンな広告
マーケティング担当者の主観だけでなく、AIの機械学習からなる膨大なデータに元づいた質の高いクリエイティブの制作が可能になります。つまりデータの中で一番良い物を選べるようになります。
①過去のクリエイティブデータを機械学習で分析
②一番効果のあったデータを摘出
③関連度の高い単語をもとに広告クリエイティブを作成
3.マーケターの悩みは完全に解消できたのか?
こちらも面白い事例記事を紹介します。
バーガーキングがAIにCMを作らせたらとんでもない出来になった
https://gigazine.net/news/20180930-burger-king-agency-of-robots/
(引用元:GIGAZINE)
題名の通り、バーガーキング社のマーケティングチームがAIにCMのスクリプトを全て自動で作らせる「Agency of Robot」という実験的プロジェクトを実施した結果、とても変な広告になってしまったという内容です。より精度の高い広告を作るために、数千ものファストフードのCMと広告のレポートを読み込ませました。彼らのプロジェクトに対する本気度が伝わってきます。しかし、出来上がったCMはなんとも不気味な仕上がりらしく、中には意味がよくわからない物もありました。まさにAIの暴走と言えます。バーガーキング社は実際にこのCMを公開しました。
AIの機械学習は完璧な物ではない
これまでAIのデータ活用の話などで機械学習というワードをよく使っていました。機械学習とは大規模なデータの統計とアルゴリズムを駆使して、自動的な予測や法則化を可能にすることです。しかしあくまでこれは機械の統計からなる分析です。データ上の数値や文字列、画像の統計を分析するだけでは、意味を見出し、それぞれの関係性に気づくことや対象の物事について理解するということはできません。このようにAIは広告の意味、方向性、問題点やその雰囲気をくみ取ることなどはできないです。またユーザーの意向の変化は熟練のマーケターが顧客の雰囲気から察することも多く、例えば声のイントネーション、表情などを読み取るなど、データからでは把握できない事象は必ず存在するということです。
まとめると、AIのデータと自動化だけに頼っても本当いい広告物はできないという事です。
さらにこの自動化には膨大なデータや複雑な制作プロセスが必要です。2018年の段階では知られるようにはなって来ましたが、実用レベルのハイクオリティなクリエイティブ作成の自動化までは到達していません。まだ発展途上の段階ですが、実用レベルへの到達はあともう少しです。
では今、最大の成果を生みだすためにはなにをしたらよいのか。
AIと人の分業でシナジーを生み出す
今後、最大の成果を生み出すために必要なことはAIと人との分業です。
洗練されたマーケターがクリエイティブの方向性、ターゲティング、ゴールの決定をし、それをAIがデータを用い昇華させ、最高の広告を自動で創り出す。このように人とAIの役割分担を明確にし、その掛け合わせでシナジーを生むことが大切です。
マーケター達はニッチなターゲットやロングテールワード、市場の潜在性に気付ける長年の経験と鋭い勘を持ち合わせています。
0からなにかを生み出す能力を持っている、物事の些細な変化に気付くことができる人。
人の域を超えた処理能力と膨大なデータを持つことができるAI。
人とAIの役割はそれぞれ違い、それぞれで最高の力を発揮することができます。それを組み合わせた時とてつもないシナジーが生まれるということです。
これからは人の業務を完全にAIに代替するというより、AIをどう使いこなしていくかが重要になっていきます。
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MarTechLab編集部
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