広告関係者は要チェック!景表法の要点を抑えて「うっかり不正広告」を防止しよう
サイトやLPのみならず、広告制作に携わる者なら必ず頭に入れておきたい「景品表示法」。
近年、インターネット広告の誇大表現・虚偽表記にまつわるトラブルが急増しており、規制も厳しくなってきています。
消費者を不正広告から守るためのこの法律ですが、「うっかり違反」につながる思わぬ落とし穴もあるのです。
目次
そもそも「景表法」って何?
「景表法(けいひょうほう)」とは、その正式名称を「不当景品類及び不当表示防止法」といい、消費者が良い商品・サービスを選択できる環境を守り、消費者の利益を保護する法律です。
言い換えるなら「良い品質に見せかける表示」や「安くてお得に見せかける表示」、「豪華すぎる景品」につられて、実際には質の良くない商品を購入しないように消費者を守る法律とも言えます。
ちゃんと理解しておきたい違法な広告表示
「どのような表示をしてはいけないのか」については、第四条に3つ記載されています。
- 優良誤認表示(実際より、品質が著しく優良であるとする表示)
- 有利誤認表示(実際より、価格が競合と比べて著しく「お得」であるとする表示)
- その他誤認されるおそれのある表示
これら品質や価格というのは、広告の基本的な訴求軸ですよね。
「いやいやうちはそんなアヤシイ広告はやってないよ。」という方も、しっかりと法律を理解していないと、どこに落とし穴があるかわかりません。ここで、どんな広告表示をすると違反になってしまうのか、具体例を見て理解しましょう。
優良誤認表示の例)商品の品質・性能を高くみせかける
優良誤認表示とは「商品の品質・性能を高く見せかける広告」のことです。
例えば、
- 電球の明るさを実際より明るく偽って表示する
- 実際にはそうでないのに国産ブランド牛であるかのように表示する
といったものがあげられます。
虚偽の記載だけでなく、誤認されるおそれのあるもの、合理的な根拠のない「不実証広告」も規制の対象になります。
優良誤認表示の中でも特に「不実証広告」には注意しましょう。これは「合理的な根拠のない効果・性能の表示」のことを指します。例えば、ダイエット食品や空間除菌グッズなどの「健康アイテム」は要注意ですね。
しかし、不実証広告規制についてなにより気をつけなければならないのは「効果・性能の合理的な根拠を有しないまま、表示をして販売してはならない」という点です。つまり、「広告を出すならあらかじめ裏付けデータを取っておきなさいよ」ということですね。
これは、事業者のほうが消費者よりもその商品の商法へのアクセスが容易であり、知識や判断力において優っていると考えられているからです(参照:消費者庁)。
最近話題の水素水の広告の中には、疑似科学にならないギリギリを攻めて不実証広告規制を避けているようにも見えるものもありますね。
有利誤認表示の例)実際は違うのに「お得!」だとウソをつく
有利誤認表示とは、「とてもお得!と思わせておいて実はそうではない表示」のことです。
例としては、
- 実際には同程度の量しか入っていないのに、『他社製品より2倍でお得!』と表示
- 『平均価格から値引きする』と表示しながら、その平均価格を実際より高く設定
などの広告表示があたります。
セールや割引をアピールするために、「当店通常価格より30%OFF!!」や「セール前価格より2割引」といった二重価格表示をすることがありますよね。このような通常価格やセール前価格といった基準となる過去の価格は、比較対照価格とよばれます。
実は、比較対照価格として参照するためには、その価格が「最近相当期間にわたって販売されていた価格」である必要があるんです。
では「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とはどのくらいのラインのことを言うのでしょうか。
対象となる商品ごとに検討され一概に定義できる価格ではないのですが、消費者庁の資料には「少なくとも、比較参照価格で販売されていた期間が、販売期間全体の半分以上を占めている場合はOK」という趣旨のことが記載されています。
他にもたくさんの細則があるのですが、要は「比較参照価格をでっちあげる(既成事実化する)ために設定したらダメ」ということです。
「その他誤認されるおそれのある表示」の例
その他、景表法では「その他誤認されるおそれのある表示」として、清涼飲料水、商品の原産国、消費者信用の融資費用、不動産、有料老人ホームなどに関するおとり広告・不当な広告を具体的に規制しています。
例えば、無果汁・無果肉又は果汁・果肉の量が5%未満の場合はそれらを明記する必要があるとされています。
ドリンクの表示に、果汁・果肉量を明記せずに果実の画像を使ってはいけないというのは、豆知識として意外とよく知られていますよね。
また、セール対象商品が店頭にそろっていない場合には、それが不本意なアクシデントであったとしてもおとり広告と認定されてしまいます。
まとめ
キャッチコピーやライティングを考えていると、ついついインパクトのある表現を追い求めてしまいます。しかし、根拠のない情報や誤認を招くような表現は、消費者にはもちろんのこと、広告制作側にもメリットをもたらすことはありません。
知らなかったでは済まされない景表法に関する知識を念頭に、商品を正しく効果的にアピールできるものを生み出していきたいですね。
MarTechLab編集部
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