リスティング広告の費用対効果を最大化するPDCA
リスティング広告で費用対効果を考えるなら、
PDCAをぐるぐる回すべき
広告を出すのなら、やっぱり気になるのはその費用対効果ですよね。
今回、リスティング広告で費用対効果を高めるには、PDCAが大切であるという記事を書きました。
リスティング広告を運用しているけど成果があまりよくない。
業者に代行してもらっていて、改善されているらしいけど売り上げに結びつかない。
こんな方々がおりましたら、PDCAを忠実に実践していただくことをおすすめさせていただきます。
【当ブログでお話する内容】
- リスティング広告のメリット・デメリット
- リスティング広告のアルゴリズムの仕組み
- リスティング広告におけるPDCAの回しかた
【こんな方におすすめの記事です】
- リスティング広告について体系的に知りたい方
- リスティング広告の仕組みを改めて知りたい方
- リスティング広告の成果の上げ方を知りたい方
目次
リスティング広告とは
GoogleとかYahoo!で検索すると、上の方にも下の方にも「広告」って書かれたものありまよね(↓画像)
リスティング広告とはそれのことで、GoogleやYahoo!において検索結果の最上部と最下部に表示される広告です。
(Googleのリスティング広告の例)
リスティング広告のここを活かしたい
リスティング広告には素晴らしいところがたくさんあります。
改めて長所を確認して、余すところなく施策に利用していきましょう!
訪問ユーザーのモチベーションが高い
まずはユーザーのモチベーションの高さが魅力です。
リスティング広告をクリックするユーザーは、抱えるニーズの充足や課題の解決のために検索エンジンを使ってやってきます。
つまり、課題解決へのモチベーションが高いユーザーがやって来るので、
強い関心を引くことができ、コンバージョンを誘うのに効率が良いです。
リアルタイム性
リスティング広告は、出稿・中止・条件変更・再開といった操作を任意のタイミングで行うことができます。
また、各広告のクリック率やコンバージョン率などもリアルタイムで分析できるため、PDCAサイクルを素早く回すことができます。
キーワード単位で効果を分析できる
リスティング広告はキーワード単位で出稿できるため、どのキーワードに対してどのページをランディングさせるのが最も効率が良いのか、などのノウハウを社内あるいは個人で蓄積できます。
例えば、いちごを販売するある会社が、「いちご農家の方の紹介」と「いちごにまつわる豆知識の紹介」、「他のいちごとの比較」という三つの要素を設計したランディングページを持っているとします。
そこで、三つの要素それぞれにまつわるキーワードに対してリスティング広告を出稿します。
その後の効果測定によって、どの要素が最も訴求力があるのか、最もコンバージョン効率がよいのかなどを一目瞭然にできます。
最も効率の良いキーワードに競合がいれば、入札価格を上げてより上位に表示させることでコンバージョンを高める戦略も立てられます。
逆に効率の悪いキーワードでは入札価格を下げたり、出稿をストップすることで全体の効率を改善できます。
ミドルワード、スモールワードを狙う効率が良い
今の話と関連して、リスティング広告ではミドルワード、スモールワードでも効率よく狙えることもリスティング広告の特徴です。
ビッグワードで出稿するとクリック数は稼げますが、それだけ広告費もかかるうえにもちろんコンバージョンまでいかないユーザーの存在もあります。
このようなユーザーのクリックにも広告費はかかりますので、無駄クリックとなる可能性があります。
そこで、ビッグワードにキーワードを足して複合キーワードで出稿すれば、より具体的なキーワードで検索してくるユーザーに流入を絞ることができます。
一方で、同じ複合キーワードで狙う競合がいなければ単価も下げられますし、クリック数もビッグワードほど多くないので、少ない広告予算で高いコンバージョン率を達成できます。
リスティング広告のここを補いたい
とはいえ、リスティング広告も万能ではないので、役割を明確にして割り切る必要が出てくることもあります。
潜在顧客へのアプローチ手段がない
まずリスティング広告は、どうしても検索でしか集客できないので、潜在顧客へのアプローチ方法がありません。
つまり、ニーズの顕在化したユーザーには強いが潜在的にニーズを持っているユーザーへの認知や集客には向かないということです。
そこは、ディスプレイ広告など他の広告媒体で接点を補いましょう。
効果があまり得られない可能性
これはリスティング広告に限ったことではありませんが、うまく運用できなければ費用対効果は望めません。
つまり、必勝法はないということです。
長期的に成果を上げるためには、努力することが一番の近道です。
努力のヒントとして、後ほどPDCAサイクルの回し方をご紹介します。
定期的にメンテナンスが必要
「努力なしに効果は出ない」重ねて申し上げますが、その「努力」の一部に定期的な効果測定・分析とそれに基づく改善やメンテナンスが必要であることを補足します。
マーケティング施策上最も無駄なことは効果測定を十分に行わず、どの施策がどの程度の効果を生んだのかを正確に把握できないことです。
デジタルマーケティングが一般化し、低コストなマーケティング施策の裾野は大きく拡がりました。
多くの企業がデジタルの手法を駆使する中で、どの施策によってどれだけの効果が得られたのかを把握するメリット、逆に言えば把握できないデメリットが顕在化しています。
なぜなら、効果の高い施策に資本等を集中する、費用対効果の低い施策の中止や縮小といった戦略が立てられないからです。
また、効果が得られなかった場合の原因も特定できないので、戦略の改善もとても困難です。
一方で施策の効果が把握できれば、高効率で、データに裏付けられた、比較的不確実性の小さいマーケティング戦略が構築できます。
その点で、リスティング広告は効果の測定や評価が比較的容易なため、業界やプロダクト・サービスの性質にも依りますが、戦略のポートフォリオに入れる意義は大きいと言えましょう。
オーガニック検索と何が違うの?
ここまでリスティング広告の長所と短所をざっと見てきましたが、
結局オーガニック検索と何が違うの?
広告費がかかることは分かるけど、
SEOを頑張っても結局お金かかるし、どっちの方が効率良いの?
と思われた方がおられるのではないでしょうか。
そんな鋭い方のためにまず、オーガニック検索との違いについて少し言及できればと思います。
色々とコントロールできる
オーガニック検索では、検索エンジンのAIがチームの一員にでもならない限り自由に上位表示することはできません。
一方、リスティング広告ではお金を積めば上位表示することができるので、ある程度表示順位をコントロールできると言えます。
また、オーガニック検索ではランディングするページを自由に設定できないですが、リスティング広告ではキーワード毎に任意のランディングページを設定できます。
お金がかかる
先に触れていますが、オーガニック検索とリスティング広告の対比では、意味的にも最も異なるポイントが表示にお金がかかるかかからないかです。
オーガニック検索で表示するコンテンツにも、人件費やその他見えないお金がかかっていると考えられますが、リスティング広告ではそもそもお金を払わなければ表示ができません。
SEOとリスティング広告
今、オーガニックのコンテンツにもお金がかかると言いましたが、本格的にSEOをすれば、当然お金以外にも時間や労力などのコストがかかってきます。
ただ、SEOを巧みに行ってビッグワードでの上位表示などを実現すれば、それ以降はコストゼロでコンバージョンを生み続けるドル箱へと生まれ変わります。
その実現は難しいわけなんですが、、、
それでは改めて、疑問を呈しましょう、
「長期的観点から見て、SEOとリスティング広告運用はどちらの方が費用対効果がいいのでしょうか?」
以下、リスティング広告の仕組みを解き明かし、費用対効果に迫っていきたいと思います!
リスティング広告SEOって何?
このブログでは、「リスティング広告の表示順位を決めるアルゴリズムを理解し、施策を考える」ことを「リスティング広告SEO」と銘打たせていただきます。
SEOといえば
しかし、やはりSEOといえばオーガニック検索の方の「検索エンジン最適化」ですよね。
究極的にいえば「ユーザーのためになるコンテンツを作って、アルゴリズムがその良さに気づけば順位は自然と上がるよ」みたいな漠然としたあれです。
同じアルゴリズムが司っているのなら、リスティング広告のSEOもさぞファンシーなのでしょうか。
リスティング広告のSEO
結論から言うと、リスティング広告のSEOはオーガニック検索のそれよりも結果が見えやすく、上限単価(入札価格)と品質スコアによって掲載順位が決定されます。
上限単価(入札価格) × 品質スコア = 表示順位
つまり、表示順位を上げるのなら上限単価(入札価格)を吊り上げるか品質スコアを向上する、あるいは両方を高くすればいいということです。
それぞれ個別に見ていきましょう。
上限単価(入札価格)って?
まず上限単価とは、ワンクリックあたりの単価であるクリック単価をどの程度まで払うかという金額です。
つまり、広告主が広告枠をいくらで買うかという入札価格のことです。
先に触れましたが、上限単価(入札価格)を吊り上げると掲載順位の上昇を期待できますので、予算に余裕があるのであれば積んで、手っ取り早く順位を上げることも選択肢としてありです。
品質スコアって?
一方の品質スコアはもう少し複雑で、
という三つの基準をもとに算出されています。
(※クリックするとGoogleの公式ページに遷移します)
また、自社の広告がどれだけこの基準に合っているかというステータスは「平均より上」、「平均値」、「平均より下」という3段階で評価され、自社のAdwordsアカウントで確認できます。
三つとも大概文字通りなんですが、それぞれの基準をもう少しかみ砕いていきましょう。
1番目の「推定クリック率」は、特定のキーワードに対して広告がクリックされる可能性を見定めたものです
指定したキーワードで広告がクリックされるかどうかについて、キーワードの過去の掲載結果を考慮して予測されます。
抽象化すると、歴史をたずね求め、ある広告の将来のクリック数を導いたものです。
先ほど申しましたようにAdwordsのアカウントで評価を確認できるのですが、評価が「平均より上」か「平均」であれば大きな問題はなく、「平均より下」の場合は主要キーワードと広告文の関連性を高めるべきであるとアルゴリズム様が判断されている状態です。
ですので、「平均より下」と評価された場合は、広告文などを練り直す必要があるでしょう。
続いて「広告の関連性」は、検索されるキーワードと広告内のメッセージにどれだけ整合性があるかを表します。
簡単に言うと、表示させる広告とユーザーの求める内容が本当に関係しているかを評価されたステータスです。
広告あるいはキーワードが具体的でない、またはトピックを詰め込みすぎている場合は「平均より下」と判断される可能性があります。
広告とキーワードの関連を強くする、テーマを絞り込んでキーワードも少数精鋭にするなどの施策が推奨されます。
そして最後の「ランディングページの利便性」もその言葉通りで、広告を訪問してきたユーザーにとって自社のランディングページがどれだけ有益であるかという視点です。
さらにかみ砕いて言うと、ユーザーの意図した情報がランディングページ内に存在し、また見つけやすいかということです。
評価の高いランディングページの特徴としては、
- 情報が整理されている
- 検索語句と親密に関係のあるコンテンツが準備されている
- 操作しやすい
といったものが挙げられます。
この辺りは、オーガニックのSEOにも関連してきそうですよね。
リスティング広告のPCDA虎の巻
PDCAはあらゆるマーケティング施策を持続的に改善する業務管理手法の一つです。
要は、PDCAを制すものはマーケティングを制すということです。
PDCA自体は、ある施策を計画して(Plan)実行し(Do)、結果やパフォーマンスを評価して(Check)改善する(Act)という一連のプロセスを意味します。
それでは、このPDCAをリスティング広告に当てはめて考えてみます。
Plan(計画)
Planの最初に
リスティング広告出稿の目的やKPIを明確にします。
目的は企業によりけりで、自社コンテンツの認知かもしれませんし、コンバージョン率の改善かもしれません。
目的を設定したら、続いてそれを果たすために達成されるべき売上額や獲得件数、獲得単価などの指標を導き、予算を決めます。
また、どの程度の期間で回収していくか、どのくらいの期間で評価を行うかという時間軸での視点も重要です。
次に現状分析をします。
具体的には、
- 現状競合サイトがどの程度いるか
- シェアはどうなっているか
- 上位競合サイトが「どのような広告を」「どのキーワードで」「いくらで」出稿していて、「どのようなページにランディングさせているか」
といった分析です。
これらを踏まえて、目標売上額や獲得件数、獲得単価を達成するための
- ターゲットとするペルソナ
- 狙うキーワード
- 入札価格
- ランディングページ
- 広告文
を設定ないしは、決定していきます。
つまり「どのようなキーワード検索でやってくる」「どのような人たちに向けて」「どのような広告文を」「いくらで出稿して」「どのページで訴求するか」を決めるのです。
スケジュールを立てる
こうして施策が定まってきたら、改めて目的達成のための指標をどのくらいの期間でクリアしていくかという観点から検討しておきます。
こうすることで、後のCheck(評価)やAct(改善)のスケジュールを立てやすくなります。
全てのフローは同じように大事ですが、ここでの練りこみ度合いが今後のフローに関わってくることから、Planは特に大事であろうというのが私見です。
Do(実行)
計画した施策を自信をもって実行します。
現状分析の結果次第では、ランディングページの作成からのスタートかもしれませんし、
既存コンテンツをペルソナに訴える効果的な広告文の作成かもしれません。
Check(検証・評価)
あらかじめ決めておいた期間が経過したら、データに基づいて結果を検証・評価します。
注目すべき値は目標の達成率や予算の消化率です。
また、複数キーワードで出稿している場合はどのキーワードが最も効率が良いか、
複数広告文で出稿している場合はどの広告文が最も刺さっているか、
などのデータにも注目したいです。
ここでの分析は、Google Analyticsとの連携が前提となっています。
広告媒体がGoogle AdWordsであってもYahoo!プロモーション広告であってもGoogle Analyticsとの連携ができます。
実際の連携手順を知りたい方はこちら(ferret「Googleアナリティクスとリスティング広告の連携」)をご参照ください。
特別なツールを使わずとも無料の範囲で基本的な分析は十分です。
Act(改善)
さて、Check(検証・評価)で得た知見をもとに改善していきます。
例えば、品質スコアが良くないことに着目すると、
原因として「クリック率が悪い」「キーワードと広告の関連性が弱い」「ランディングページが使いにくい」と判断されている可能性が考えられます。
そこから「クリック率の改善」「キーワードの再選定 or 広告文の見直し」「ランディングページの改善」というベクトルを基に掘り下げ、具体的な改善案に落とし込んでいきます。
まとめ
リスティング広告運用におけるPDCAの回しかたを簡単に見てきました。
PDCAにおいては最初のPlan(計画)が最も大切であるという私見を述べましたが、
Do(実行)しなければもちろん結果は得られませんし、Check(検証・評価)するからこそ改善のインサイトが得られることは明白です。また、Act(改善)がなければ次のPDCAサイクル全体の価値は低くなってしまいます。
つまり、どのフローも等しく大切であるということが改めて実感されました。
是非、リスティング広告は特にPDCAを意識して回してみて下さい。
ただ、、、
競合や業界をとことん分析した深いインサイトがあれば、Plan(計画)の段階で成功確率の高い施策だけをデータから抽出できるのため、試行回数を減らすことが可能です。
あくまで仮定の話ですが、一般的にコンバージョン率を5%上げるには少なくともPDCAを3回回す必要がある商材があるとします。
そこで、Planの段階で最善策を選べるだけのデータがあるとすれば、2回目のサイクルで目標を達成できるかもしれませんし、1回目で成功する可能性すらあります。
この、Planの時点で成功確率をできる限り上げておき、PDCAの試行回数を少なくすることは、競合性が高い広告の場合重要なポイントです。
このブログが読者さんに何らかの形でお役に立てましたら光栄でございます。
ありがとうございます。
最終更新日:2020/9/16
MarTechLab編集部
このブログでは、ABテスト、サイト改善、UI/UXデザイン、広告最適化、インフルエンサーマーケティングなど、多岐にわたるトピックを取り扱っています。また、業界の専門家にインタビューを行い、実際の事例や成功事例を紹介することで、読者に有益なインサイトとアイデアを提供しています。