ECサイトにおすすめのレコメンド戦略と効果的な活用方法

この記事のタイトルとURLをコピーする

これまでECサイトで、「商品レコメンドの表示」を一度は目にしたことがあると思います。

機械学習を利用した商品レコメンドは、関連する商品をサイト訪問者に提案するように設計されており、収益化を高め、離脱率を下げる効果があります。

強力なレコメンド機能の背後にあるのは、アルゴリズムによる決定です。

商品レコメンドは、目的に合った適切な戦略を選択することが不可欠で、誤った活用は収益の損失を招くだけでなく、顧客から信用を失う可能性さえあります。

本記事では、ECサイトで活用できるレコメンド戦略の種類とその活用方法についてご紹介します。

1.レコメンド戦略を始めるにあたって

パーソナライズされたレコメンデーションを利用することは、時折、「思い切ってやってみよう」と思われることがありますが、そうではありません。

最も適切な戦略を考えながら、
・どのページに展開するか
・ターゲットとしたいオーディエンス(特定のペルソナやセグメントなど)

を考慮することが重要です。

さらに、データ収集により、異なるユーザーやセグメントに異なるレコメンド戦略を配信することができ、個人レベルで訪問者とつながる絶好の機会を提供することもでき、レコメンデーションがユーザーと適切にマッチしていれば快適な顧客体験を生み出します。

また、十分なユーザーデータや商品データへのアクセスがあれば、簡単に大規模なレコメンドも可能です。

しかし一方で、購入ベースのレコメンデーションのための購入データなど、適切な戦略に適したデータを確保し、消費者との関係を損なう可能性のある境界線を越えないようにしながら、適切なバランスを取る必要があります。

2.主な3つのレコメンド戦略

商品レコメンデーションで注目すべき戦略は、大きく分けて3つのタイプがあります。

グローバルレコメンデーション戦略:ブランドがユーザーデータのプロファイルを持っていない最初のセッションの新規ユーザーに最適で、商品の人気やトレンドに基づいたレコメンデーションを提供します。

例)
・最も人気のある
・現在のトレンド
・新商品

コンテキストに応じたレコメンデーション戦略:商品の属性(色、スタイルなど)、トラフィックソース、デバイス、OS、現地の天気、時間、異なる商品を一緒に購入する頻度などに応じてレコメンデーションを調整します。

例)
・類似した
・一緒に購入した
・一緒に見る

パーソナライズされたレコメンデーション戦略:最も洗練された戦略タイプで、製品データとユーザーデータの両方を活用して、各ユーザーに対して個別のレベルで関連性の高いレコメンデーションを提供します。

例)
・強調フィルタリング
・アフィニティベース
・最近見たもの
・最後に購入したもの/最近購入したもの
・最後に購入したもの/最近購入したものと一緒に購入したもの

3.レコメンド戦略の詳細と活用

本章では、さまざまなレコメンデーション戦略を詳しく見ていき、それらがどのように機能し、いつ使用すべきかを分析します。

トップアイテム・人気商品

人気のあるレコメンド戦略としては、「トップアイテム」、つまり「購入度の高い」「最高」にランク付けされた商品表示が挙げられます。

商品は、購入、カートへの追加、商品閲覧などのすべての行動の加重和に基づいてスコア化されます。
このシステムでは、過去のものよりも最近の行動が優先され、データフィードが同期されるたびにスコアが更新されます。

この戦略は、ユーザーについてほとんど知られていない場合や、ユーザーが単にサイトを閲覧している場合に特に役立ちます。

最も人気のある商品を宣伝するのに最適で、競合他社とのビジネスの差別化となります。
これは、商品の発見を支援および強化し、ブランドおよびそのブランドが提供する人気商品のマーケティングを支援します。

「人気のある」レコメンド戦略を使用することで、ブランドはサイト訪問者に人気商品を紹介することができます。

例えば、ブランドがECサイトで販売している上位20、50、100の商品を特定すると、この戦略を使用して、最も人気のある5つの商品だけを表示するのではなく、その中の5つの商品をホームページのレコメンド機能に表示することができます。

同様の戦略で、より具体的なのは、「カテゴリで最も人気のある」戦略です。
これは、最も人気のある商品を表示するだけでなく、指定したカテゴリの商品のみを含みまます。

ユーザーとの親和性

アフィニティベースの戦略により、最も重要な時に、最も重要な人に、説得力のある商品をレコメンドすることができます。

ユーザーがサイトを閲覧し、様々な商品を検討する際には、色、ブランド、スタイルなど、多くの商品属性に触れることになります。レコメンダーシステムは、これらの行動を利用して、ユーザーの相性や好みを特定して推測し、サイト訪問者ごとにユーザーの相性プロファイルを作成します。

この戦略を使用すると、レコメンデーションは個々のユーザーにパーソナライズされます。

アフィニティプロファイルは、ユーザーの行動(閲覧数、カートへの追加、購入など)と、ユーザーが閲覧や選択した商品の属性との相関関係に基づいた重み付けされたスコアを特徴としています。

システムはこれらのスコアに基づいてレコメンドを行い、好みの変化をリアルタイムで検知します。多くの場合、「あなたにおすすめ」ウィジェットの形をとっており、この戦略はすべてのページタイプに適しています。

類似性

その名の通り、「類似性」戦略を採用した機能は、現在表示されている商品(または商品カテゴリ)に類似した商品を、そのアイテムの人気度を考慮して表示します。

複雑なアルゴリズムは、データフィードから提供されたカテゴリやキーワードを使って、各アイテムの類似度「スコア」を確認するように設計され、類似度スコアが最も高い商品がユーザーに表示されます。

この戦略には多くのアプリケーションがありますが、最も効率的なのは、類似性戦略を利用したレコメンド機能を商品詳細ページ(PDP)に配置することです。

そうすることで、サイト訪問者に追加の商品を紹介するだけでなく、興味を持つ可能性が高い商品を紹介することができます。
類似した商品を表示することで、ユーザーが何を求めているのかを理解するビジネスの能力を伝えることができ、販売を成功に導く可能性を高めることができます。

一緒に購入した

この戦略では、現在表示されている商品と一緒に頻繁に購入されるアイテムを表示します。

訪問者のカートに商品を追加することが目的の場合、この戦略を使用することで、アップセルやクロスセルの機会を提供します(例えば、新しいスマートフォンと一緒に購入する充電器、ショートパンツと一緒に購入するサンダル、新しいスニーカーと一緒に購入する靴下など)。

このシステムでは、「同一取引での同時購入回数」に基づいて商品を点数化し、他の商品との同時購入が多い商品を減点しています。
レコメンドされるのは、人気商品と恣意的に結びついた商品ではなく、相互に強く結びついた商品です。
通常、これらのレコメンド戦略は過去6ヶ月間のデータに基づいており、12時間ごとにスコアが再計算されます。

この戦略を採用する一般的な方法の1つは、「Complete Your Look」機能で、互いに補完し合う商品のコレクションを表示することです。

さらに、訪問者が商品をカートに追加した際に、「一緒に購入した」戦略を使っておすすめ商品を表示することで、顧客にアップセルを促し、より適切な購入の意思決定を促すことができます。

一緒に見る

このレコメンド戦略は、ユーザーが現在どのような商品を閲覧しているかに依存します。

システムは、1回のセッションでその商品と一緒に閲覧された回数に基づいて他の商品にスコアリングを実施。

もしその商品が多くの異なる商品と一緒に閲覧されている場合は、システムはつながりが弱いと判断しレコメンドされる可能性が低下します。

システムはこれらのスコアを12時間ごとに再計算し、この戦略はあらゆる商品ページに適用可能です。

最近見たもの

この戦略を使用すると、システムは現在のユーザーが最後に閲覧したアイテムをレコメンドし、最近閲覧したアイテムを最初に表示します。
通常、過去30日間のデータに基づいています。

さらに、同様のアプローチは「最近表示されたビュー」戦略です。

これは、現在のユーザーが最後に表示した商品と同じセッションで表示されたアイテムを表示します。

協調フィルタリング

最も人気のあるレコメンド戦略の一つである「コラボレーション・フィルタリング」は、異なるユーザー間の類似性に基づいてレコメンドを行います。

このシステムは、現在のユーザーに似たユーザーの行動(ユーザーが閲覧した商品、購入した商品、カートに追加した商品など)を分析し、どのようなページタイプでも、似たような嗜好や行動を示す他のユーザーにこれらの商品をレコメンドします。

購入ベースのレコメンド戦略

ユーザーが過去に購入した商品に応じて、購入に基づく独自のレコメンド戦略がいくつかあります。

システムはトランザクションデータを使用して、ユーザーが購入行動を通じて表示した設定に基づいて、ユーザーが購入する可能性が高い商品を識別します。

・一緒にオフラインで購入
小売業者がオフラインの取引データをオンボーディングしている場合、彼らはそれを活用してよりスマートな推奨を強化できます。

「オフラインで一緒に購入」戦略では、システムはECサイトで現在表示されているアイテムと一緒にオフラインで購入された商品をレコメンドします。

これらの機能に表示される商品は、同じトランザクションで一緒に購入された回数に基づいてスコアリングされ、相互に強くリンクしている製品を推奨し、他の多くのアイテムと共に通常購入される商品を降格します。

・オンラインまたはオフラインで一緒に購入
オフラインのレコメンド戦略と同様に、この戦略(オフライントランザクションデータを使用)は、アイテムが現在表示されているオフラインまたはオンラインで一緒に購入された商品をレコメンドします。

オフライン戦略と同じスコアリングメカニズムを使用して、スコアは12時間ごとに再計算されます。

この戦略は商品ページに最適です。

・最近購入
この戦略を使用する場合、レコメンダーシステムは、現在のユーザーが最後に購入した商品を調べ、これらの最近の購入と一緒に通常購入されるアイテムを提案します。

例えば、この戦略をTOPページに展開すると、過去1週間に商品を購入したすべての訪問者に、関連性のある補足アイテムを表示できます。

「最近購入したものを購入」戦略と同様に、このアプローチは、すべての商品レコメンドがユーザーの最新購入データのみに基づいていることを保証します。

・最終購入
シンプルで簡単な戦略で、ユーザーが最近購入した商品がレコメンド表示されます。

4.レコメンド戦略の適用

特定のキャンペーンに使用するレコメンド戦略を選択した後、設定段階ではさらにいくつかのステップがあります。

以下は、キャンペーンを本番設定する前にカバーすべき設定、ルール、およびステップのリストです。

名前:キャンペーン間の違いを区別するために、テストプラットフォーム内の各戦略に名前を設定

戦略:推奨テストごとに目的の戦略を選択

結果のシャッフル:表示されるアイテムをページの更新ごとに変更できるオプション

フィルター:任意のキャンペーンで設定できる除外ルールと包含ルール

カスタムルール:商品プロパティに基づいて、カスタムの除外ルールと包含ルールを設定できます。いくつかの例は次のとおりです。
-のみを含める:特定のプロパティを持つ商品のみをレコメンド(例:30ドル以上の商品)
-除外する:特定のプロパティを持つ商品をレコメンドしない(例:セール中のアイテムは推奨しない)
-ピン:アルゴリズムに関係なく、常に特定の商品を最初に推奨

事前定義されたフィルターを使用すると、カスタムの「含める」または「除外する」ターゲティングルールを適用する必要がなくなります。

これらのやり方は、プロパティ値を明示的に指定する必要がないため、より柔軟です。
代わりに、ビュー内のアイテムの現在のプロパティ値と一致する/一致しない必要があります。

これらの戦略の適用方法の内訳は次のとおりです。

-同じプロパティを使用:レコメンドに、表示されているアイテムと共通の特定のプロパティがあることを確認
-さまざまなプロパティを使用:表示されるアイテムとして、レコメンドに特定の指定されたプロパティがないことを保証
-同じカテゴリの場合:レコメンド商品が、表示されているアイテムの同じカテゴリ/親カテゴリと一致することを確認

これらの指標が不足している場合は、カスタムフィルタールールを作成し、レコメンデーション機能に含める項目、除外する項目、またはピン留めする項目を選択します。

さらに、レコメンド機能ごとに単一の戦略に制限されることなく、1つのウィジェットで複数の戦略を使用してパフォーマンスを向上させることができます。

例えば、商品詳細ページでは、レコメンド機能の半分を人気戦略に、残りの半分を類似戦略に設定することが可能です。

これらの戦略を組み合わせることで、コンバージョン率を大幅に向上させ、各商品カテゴリに固有の最高の歩留まりを特定し、収益を最大化することができます。

5.問題発生時に制限を緩める「フォールバック」

特定の戦略が、与えられた機能で利用可能な表示数より、該当アイテムが少ない場合(例えば、サイト上のスニーカーがユーザーのアフィニティプロファイルにマッチするのは3足だけ)、システムはアルゴリズムまたはフィルタによって課せられる制約を「緩める」ことができます。

それでも問題が解決しない場合は、レコメンデーションはそれぞれのフォールバック・アルゴリズムを配置します。

例えば、
・「類似性」戦略では「人気度」をフォールバックとする
・「最後に購入した商品と一緒に購入した商品」戦略では「一緒に購入した商品」を最初のフォールバックとし、「類似性」を2番目のフォールバックとする

ことができます。

フォールバックは、設置されたフィルタリングルールを尊重します。

例えば、「25ドル未満の商品は除外」ルールを設定した場合、表示するレコメンド商品が十分でない場合でも、システムはこの制約を尊重します。

6.オーディエンスに合わせて戦略を選ぶ

すべての戦略がすべてのサイト訪問者に効果があるわけではありません。

ユーザーのセグメント間の違いを見極め、彼らの行動や表現された興味に応じて体験を調整することが重要です。

例えば、小売サイトで毎週5つ以上の商品を閲覧するサイト訪問者は、初めてSEM広告をクリックするサイト訪問者とは異なる扱いを受けるべきです。

特定のサイト訪問者に使用するレコメンド戦略を選択する際には、
・顧客データ
・コンテキスト(文脈)
・行動
などを使用して、彼らのニーズに最も適した戦略を特定します。

「最も人気のある」のようなグローバル戦略は、匿名または初めての訪問者に適していますが、パーソナライズされた戦略は、利用可能なデータプロファイルを持つ顧客に合わせたレコメンドを行うのに役立ちます。

この表では、それぞれのタイプのショッパーやシナリオに適したレコメンド戦略の例をいくつか紹介しています。

7.まとめ

商品レコメンドにはさまざまな戦略があります。

適切なものを選択するには、利用可能なすべてのオプションを検討することが重要です。

購入ベースの戦略からグローバルな人気ベースの戦略に至るまで、レコメンドは、顧客が探している商品を案内、場合によっては、潜在ニーズを持った商品の発見にもつながります。

顧客体験をパーソナライズ化できるAIプラットフォームDynamic Yield概要資料はこちらからダウンロードしてください。

※本記事は、「The essentials for choosing the right product recommendation strategy」を翻訳・加筆修正したものです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

勝見 理恵

2012年ギャプライズ入社。 5年間Web集客コンサルタントとしてクライアントワークに携わり、リスティング広告からFacebook・Instagram・TwitterなどのSNS広告まで幅広く活用。 ClicktaleやOptimizelyを活用したサイト改善コンサルタントを経て、現在は自社のマーケティング担当。

関連記事一覧

タグから探す
Web接客
DX(デジタルトランスフォーメーション)
SMSマーケティング
マーケティング全般
市場・競合分析
AR(拡張現実)
画像認識AI
VOC(voice of customer)
BI(ビジネスインテリジェンス)
D2C
EC
ロイヤリティマーケティング
リードジェネレーション
インサイドセールス
インフルエンサーマーケティング
UGCマーケティング
SNSマーケティング
コンテンツマーケティング
メールマーケティング
ソーシャルリスニング
サイト改善
レコメンド
パーソナライズ
ABテスト
UI/UX
ヒートマップ
LPO
アクセス解析
サイト集客
SEO
Googleショッピング
アドフラウド(不正広告)
広告最適化
リスティング広告
SNS広告
Amazon広告
営業・顧客管理
プロジェクト管理