デジタルマーケティングの舞台裏:高島さんとデータ分析の深層|マーケターさんに聞いてみた。
こんにちは、ギャプライズの今本です。
CXO事業部を支えるメンバーについてご紹介する企画の第2弾はデータ分析、およびABテストのコンサルタントとして活躍するカスタマーサクセスチームの高島さんに、その秘訣と成功事例について伺いました。
目次
プロフィールと現在の役割について
高島さん、現在のお仕事について教えていただけますか?
現在、私はカスタマーサクセスの役割を担っています。
私の主な任務は、顧客のUI・UXの改善に従事することです。
これには、契約していただいたツールを顧客が最大限に活用し、顕著な成果を得られるよう支援することが含まれます。
私のミッションは、単に顧客が成果を上げることを超えています。私たちのカスタマーサクセスサービスを通して、顧客が自身の業務で優れた成果を上げるだけでなく、彼らのキャリアにおいても前進し、”偉くなる”ことを目指しています。つまり、顧客が個人的にも組織的にも成長し、成功することが私の目標です。
顧客サポートとエンゲージメント
カスタマーサクセスチームとして、顧客の成功をどのようにサポートしていますか?
カスタマーサクセスチームとして、私たちは顧客がツールを単に使うのではなく、そのツールを通じて実現したい目標や成果に焦点を当ててサポートしています。このアプローチは、顧客のビジョンや目的がぶれることなく、具体的な成果を達成できるようにするためです。
また、顧客がうまくいっている時もそうでない時も、変わらずサポートし、コンタクトを取り続けることを重視しています。これにより、顧客が直面するあらゆる状況において、適切なサポートを提供できるようにしています。さらに、定期的な振り返りを実施し、顧客とのタッチポイントを常に維持しています。
顧客とのエンゲージメントを高めるためにどのような戦略を採用していますか?
顧客とのエンゲージメントを高めるために、私たちはチームベースのアプローチを取っています。個々の意見やアイデアに頼るのではなく、事前にチームメンバーと情報を共有し、客観的なフィードバックを得ることで、より包括的なサポートを提供しています。
さらに、他の顧客から受け取ったフィードバックをチーム内で共有し、それらの学びを活かしています。これにより、顧客に対する理解を深め、各顧客のニーズに合わせたカスタマイズされたエンゲージメント戦略を展開しています。
データ解析とインサイトの抽出
データ解析のプロセスについて詳しく教えていただけますか?
私たちのプロセスは、まず顧客とそのニーズを深く理解することから始まります。このステップは非常に重要で、ここで得られる知見が後のすべての活動の基盤となります。
次に、データを用いて仮説を立証するアプローチを取ります。ここで重要なのは、データそのものに意味を見出すのではなく、データを通じて仮説を検証し、実証することです。データは単なるツールであり、その背後にある仮説や洞察を理解することが、真の価値を提供する鍵となります。
顧客はこれらのインサイトをどのように利用して、ビジネスの成果を向上させていますか?
顧客は、私たちが提供するインサイトを利用して、より効果的なビジネス戦略を立案し、実行しています。具体的には、ABテストを用いて、仮説に基づいた実験を行います。これにより、顧客は仮説の検証を行いながら、効率的なテストを実施できます。これは、時間やリソースの節約につながるだけでなく、より確実な成果をもたらす施策の実行を可能にします。結果として、顧客はビジネスの成果を最大化し、持続可能な成長を達成することができます。
コンサルティングの実績と成功事例
具体的な成功事例をお聞かせいただけますか?
はい、いくつかの成功事例がありますが、特に印象に残っているのは、Contentsquareを活用したプロジェクトです。
このプロジェクトでは、User Acceptance Testing(UAT)段階で新しい使い方を見出すことができました。このアプローチは初めての試みであり、多くの困難がありましたが、顧客と共に努力し、成果を出すことができました。
特に、プロジェクトの重要な局面で、担当者が出産のために産前有休に入ったという予期せぬ状況にも対応し、23時まで連携を取り続けたことは忘れられません笑
特に印象に残っている施策はありますか?
上記に繋がるのですが、上記のプロジェクトでは、顧客と緊密に協力してサイトの問題点を特定し、実用的な改善策を提案しました。
改修後のサイトは、明確なCVRの向上を示し、顧客のビジネスに大きな価値をもたらしました。この経験は、私にとって非常に満足のいくものであり、顧客にも高い評価をいただきました。実際、このプロジェクトの内容は、後に講演会やセミナーのテーマとして取り上げられるほどでした。
専門知識と経験
ABテストや顧客行動分析における専門知識について教えていただけますか?
私の経験は、コンサルタントとしての多岐にわたるプロジェクトに根ざしています。複数の大手企業を担当し、特に化粧品や通信業界など、様々なセクターでのUI/UX改善に関するコンサルティングを実施してきました。
これには、顧客の行動を分析し、そのデータを基に有効なABテストを設計し実施することが含まれます。忙しい時期には月に10本近くのコンサルティングレポートを作成することもあり、それぞれのクライアントのニーズに合わせたカスタマイズされたアプローチを提供しています。
これらの分野で成功を収めるために重要だと考えるスキルや知識は何ですか?
この分野で成功を収めるためには、特に二つの要素が重要だと考えています。
一つ目は「仮説を立てる力」です。
これは、顧客データを解析し、適切なABテストを設計するうえで不可欠です。
二つ目は「常に学び続ける力」です。
この業界は日々進化しており、新しい技術や手法が常に登場しています。私の経験では、10年以上この分野で活動している先輩でさえ、新しい知識や技術に対して積極的に学ぶ姿勢を持ち続けています。私自身も、新しいツールや方法論が出るたびに、実際に自分の手で試し、その効果を理解するよう努めています。
ツールの利用と実装
ABテストツールや顧客行動分析ツールを選ぶ上でのポイントはありますか?
ABテストツールや顧客行動分析ツールを選ぶ上で、いくつか重要なポイントがあります。まず、施策を打ちたいユーザーを的確にセグメントできるかどうかが重要です。
これにより、特定のユーザーグループに対して最も効果的な施策を打つことが可能になります。
次に、ABテストツールと顧客行動分析ツールの連携が可能かどうかが重要です。
これらが連携できる場合、単なるテストを超えて、なぜ施策が成功したのか、または失敗したのかを詳しく分析することができます。これは、次の仮説を立てる際に非常に有用です。
これらのツールを効果的に実装し、運用する際の主な課題と解決策は何ですか?
UI/UX改善の取り組みは、多くの場合、兼任で行われることが多いですが、これは片手間でできるものではありません。効果的な実装と運用のためには、この分野に特化した専任の担当者を置くことが重要です。
また、ABテストや顧客行動分析では、すぐに結果が出ることは稀です。テストと効果検証を繰り返し行い、真のユーザー行動が明らかになるまで根気よく取り組む必要があります。最終的には、この継続的な取り組みを通じて、真に効果的な施策を打ち出すことが可能になります。
トレンドと将来の展望
ABテストや顧客行動分析の領域で注目すべき最新のトレンドは何ですか?
最近のトレンドとして、AIの活用が非常に注目されています。
特に、エモーショナルAIの出現は画期的で、これにより人間の感情を基にしたより精緻な顧客セグメントとABテストが可能になりました。
この技術は、従来の行動データに加えて、ユーザーの感情的な反応を分析し、より深い洞察を提供します。これにより、顧客の真のニーズや動機を理解し、より効果的なカスタマイズされた体験を提供することができるようになります。
この分野での将来の展望や技術の進歩についてどのように考えていますか?
この分野の未来は、さらなる技術革新によって大きく変化すると考えています。
特に、ChatGPTのような先進的な言語モデルの活用は、ABテストや顧客行動分析の方法論を根本から変える可能性があります。
また、自前のABテストツールの開発や、ABテストの結果から顧客行動分析までを一貫して行える包括的なツールの出現も予想されます。
これらの進歩は、より迅速かつ正確な分析を可能にし、マーケティングやプロダクト開発の効率と効果を大幅に向上させるのではないかなと考えます。
そして、コンサルティングはどんどんいらなくなると自分自身にも言い聞かせながら、トレンドに合わせていく努力が必要だなと感じています。
連携と協力
他の部門や外部のパートナーとどのように連携して、プロジェクトを進めていますか?
私たちのプロジェクトでは、他部門や外部パートナーとの連携が非常に重要です。
そのため、キーパーソンを設けており、この人が他部門との架け橋となっています。
彼らを通じて、顧客満足度を最大化するための提案をプロジェクト内で進めています。
また、定期的なコミュニケーションを重視しており、プロジェクトの進行状況や課題を共有し、迅速に解決策を見つけるよう努めています。
有効なチームワークや協力関係の構築にはどのような要素が重要だと考えていますか?
有効なチームワークを実現するためには、いくつかの重要な要素があります。
まず、チーム内でのオープンなコミュニケーションが不可欠です。適切な時に適切なことを話すことで、誤解を避け、効率的な協力関係を築けます。
また、可能性を探求し続けることも重要です。これは、「できそうなこと」をただ列挙するのではなく、「どのようにして目標を達成できるか」を常に考える姿勢を意味します。
そして何より、チームメンバー間の信頼の構築が必要です。これは、陰口や悪口を避けることによっても強化されます。互いに尊重し、信頼し合うことで、より強固な協力関係が築けるのです。
ありがとうございました
編集後記
高島さんらしい謙虚なインタビューになりました。特に重要視しているスキルとして「常に学び続ける力」を上げている点には共感しますね。新しい技術に触れるのは単純に面白いですしね。今後の活躍にも期待しています。
聞き手、執筆、編集:今本
今本 たかひろ/MarTechLab編集長
料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。