LIFULL HOME’S導入事例|Dynamic Yieldによるパーソナライゼーション戦略の展開
※2024年11月20日、LIFULL HOME’S本社にて撮影
不動産情報サービス業界をリードするLIFULL HOME’S(ライフルホームズ)様は、中古物件市場におけるユーザー体験の向上とコンバージョン率の改善を目指し、Dynamic Yieldを導入。2021年2月の導入以降、パーソナライゼーションの実現とABテスト基盤の構築により、顕著な成果を上げています。
目次
導入事例の概要
担当者プロフィール
-
- 太田 知世 様(写真一番右)
LIFULL HOME’S事業本部 プロダクトプランニング部
流通・売却プロダクトユニット プランニング1グループ
グループリーダー - 石川 瑛一朗 様(写真右から2人目)
LIFULL HOME’S事業本部 プロダクトプランニング部
流通・売却プロダクトユニット プランニング1グループ
サービス企画をご担当
- 太田 知世 様(写真一番右)
導入企業の基本情報(業種、規模、所在地など)
株式会社LIFULL
不動産情報サービス事業(日本最大級の不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S(ライフル ホームズ)」 の運営)、不動産事業者向け事業、海外事業など
所在地:東京都千代田区
URL:https://www.homes.co.jp/
導入ソリューション
導入の背景
事業における中古物件マーケットの重要性
LIFULL HOME’S様では、中古物件マーケットを主力事業の一つとして位置づけています。近年の新築住宅着工数の減少傾向もあり、中古物件取引の市場規模は拡大傾向にあり、今後さらなる成長が期待される分野となっています。
抱えていた課題
導入以前、以下のような課題を抱えていました。
- パーソナライゼーションへの強いニーズ
- 個々のユーザーに寄り添った情報提供の必要性
- セグメント分けに基づいた効果的なコミュニケーションの実現
- 技術基盤の不足
- ABテスト基盤の未整備
- 新サイト構築に伴う開発リソースの制約
パーソナライゼーションを実現する基盤づくり
「当初は様々なツールの検討を行いました」と、導入当時を振り返ります。
「特に重視したのは、パーソナライゼーションの実現可能性と、実装/運用の容易さのバランスでした。結果的にDynamic Yieldを選定したのは、パーソナライゼーションに特化した機能の充実度はもちろん、ローコードで開発できる点が決め手になりました」
導入プロジェクトは、エンジニア5名、企画担当3名という体制でスタート。
「最初は小規模な施策から始めて、徐々に規模を拡大していきました。特に良かったのは、エンジニアと企画部門の協働が自然と進んだこと。企画側でもある程度の実装ができるため、エンジニアはより複雑な開発に注力でき、チーム全体の生産性が向上しました」
ツールの選定から実際の運用まで、試行錯誤の連続だったといいます。
「実は、最初からすべてがうまくいったわけではありません。複数の施策を同時に走らせる中で、相互の影響を考慮する必要性に気づいたり、本番実装の工数が想定以上にかかるケースもありました。しかし、そういった経験を通じて、チームの運用ノウハウが着実に蓄積されていきました」
特に意識したのは、既存システムとの融合です。
「すでに自社開発のレコメンドロジックが存在する中で、新しいツールをどう組み込んでいくか。これは大きな課題でした。そこで、新規に追加する領域にはDynamic Yieldを優先的に活用し、既存システムとは相互に補完し合う形を目指しました」
この段階的なアプローチが、その後の成功につながったと語ります。
「小さな成功体験を積み重ねることで、チーム全体の自信にもつながりました。最初は簡単な ABテストから始めて、今では高度なパーソナライゼーション施策まで手がけられるようになっています」
具体的な成果
ソーシャルプルーフ機能を活用した「何人見ています」バナー
Dynamic Yieldのソーシャルプルーフ機能を活用し、物件詳細ページに「何人見ています」バナーを実装。ソーシャルプルーフとは、人々が他者の行動を参考に意思決定を行う心理的現象で、特に不動産購入のような重要な意思決定において大きな影響力を持ちます。
施策の詳細
- 物件への関心度を「閲覧者数」として可視化
- ユーザーの購買検討を後押しする社会的証明の提供
- 物件の人気度や需要の高さをリアルタイムで表示
実装と効果
- PC版でのコンバージョン(問い合わせ)率:13%向上
- 実装期間:約1週間(デザインチェック含む)
- 低コストかつ高効果な施策として評価
成功のポイント
- 不動産という商材特性(一点もの)との相性の良さ
- 購入検討者の不安軽減
- 需要の可視化による意思決定の促進
AIが導く、一人ひとりに最適な物件との出会い
物件探しほど、個人差の大きい行動はないかもしれません。例えば、最寄り駅からの距離を重視する人もいれば、日当たりを重視する人もいる。同じ『3LDK』を探している人でも、リビングの広さを重視する人もいれば、収納力を重視する人もいます。しかも、物件を見ていく中で、そのこだわりポイントが変化していくケースも少なくありません。
このような多様なニーズに応えるため、LIFULL HOME’S様ではDynamic YieldのAdaptML(自己学習型ディープラーニングAI)を活用したレコメンドシステムを導入しています。
「当初は自社開発のレコメンドシステムとの競合を懸念する声もありました。しかし、実際に運用してみると、それぞれのシステムの特性を活かした相乗効果が生まれてきています。特に、物件一覧ページでの『閲覧履歴に基づくおすすめ物件』の表示では、ユーザーの探索行動の変化に応じて推薦内容が動的に更新される仕組みが、高い効果を示しています」
AdaptMLの特徴は、ユーザーの閲覧履歴から物件間の関連性を自動的に学習していく点です。従来の単純な「この物件を見た人は、こんな物件も見ています」という関連付けを超えて、より複雑なパターンを見出すことができます。
継続的な改善にも力を入れています。「システムの性能を示す指標は定期的にモニタリングしていますが、数値だけでなく、実際のユーザーの行動パターンの変化にも注目しています。例えば、レコメンド表示後の滞在時間が伸びているケースや、問い合わせまでの導線がスムーズになっているケースなど、様々な角度から効果を検証しています」
このように、LIFULL HOME’S様ではAdaptMLの活用を通じて、不動産領域特有の課題に対するソリューションを着実に構築しています。ユーザーの物件探索行動の多様性に応える柔軟なレコメンデーション機能は、同社のパーソナライゼーション戦略における重要な施策の一つとして、今後もさらなる進化が期待されます。
現場の工夫から生まれた効果的な運用体制
「最初は手探りでした」と、担当者は運用初期を振り返ります。「ツールの機能は理解していても、それを実際のサービスでどう活用していくべきか。特に、既存の機能と新しい施策をどうバランスさせるかは、大きな課題でした」
その課題を解決するために採用したのが、「段階的な施策展開」というアプローチです。
「新しいものを一気に導入するのではなく、まずは小さな範囲で効果を検証し、成功事例を積み重ねていく。具体的には、新規に追加する機能領域にDynamic Yieldを優先的に活用し、既存機能はしばらく並行して運用するというやり方を取りました」
このアプローチは、予想以上の効果をもたらしたといいます。
「段階的な展開にしたことで、各施策の効果測定がより正確にできるようになりました。また、複数の施策が同じページ内で競合した場合の影響も把握できるようになり、結果として全体最適な施策展開ができるようになっていきました」
特に注力したのが、エンジニアと企画担当者の協働体制の構築です。
「従来だと企画側が考えた施策をエンジニアに依頼して実装する、という流れでした。しかしDynamic Yieldの導入後は、企画担当者自身である程度の実装ができるようになり、エンジニアはより複雑な開発に集中できるようになりました。この”役割分担の最適化”が、施策展開のスピードアップにつながっています」
また、マルチプラットフォームへの対応も重要な課題でした。現在、サービス全体の約95%をネイティブアプリが占める中、Webブラウザとの使い分けは慎重に検討する必要がありました。
「不動産という商材の特性上、ユーザーは長期間かけて情報収集を行います。その過程で、電車でスマートフォンを使って物件を探したり、家でPCを使って詳細を確認したり、様々な使い方をされます。そのため、デバイスごとの特性を活かしながら、一貫性のある体験を提供することを意識しています」
さらに、レコメンド機能の運用でも工夫を重ねています。
「自社開発のレコメンドシステムも持っているので、Dynamic Yieldのレコメンド機能との使い分けは最初悩みました。しかし、新規施策ではDynamic Yieldを積極的に活用し、効果検証を行いながら徐々に最適な組み合わせを見出していくというアプローチを取ることで、両者の良いところを活かせるようになってきています」
運用を通じて得られた知見は、チーム内で共有し、次の施策に活かされています。
まとめ
Dynamic Yieldの導入により、LIFULL HOME’S様は以下の成果を実現しています。
- ソーシャルプルーフなどの心理的要素を活用した効果的なユーザー体験の提供
- 迅速な施策展開によるコンバージョン率の改善
- エンジニアと企画部門の効果的な協働体制の構築
- データに基づくパーソナライゼーション施策の実現
特に、不動産という商材特性を活かしたソーシャルプルーフの活用は、ユーザーの意思決定プロセスに寄り添った施策として高い効果を発揮しています。今後も不動産情報サービスにおけるパーソナライゼーションのリーディングケースとして、さらなる進化が期待されています。
ギャプライズ担当者の声
Dynamic Yieldが提供するパーソナライゼーション技術を活用して、ユーザー体験の向上やコンバージョン率改善に繋がり、非常に嬉しく思うと同時に、今後もLIFULL HOME’S様と連携し、さらなる価値創出をサポートしてまいります。
Dynamic Yieldならではの豊富なテンプレート、レコメンドを上手く活用した先端的で高度な取り組みをされておりお役に立てていることを嬉しく思います。今後ご一緒にお取り組みできることが楽しみです。
パーソナライゼーション戦略に関心をお持ちの方へ
LIFULL HOME’Sの事例にあるように、Dynamic Yieldを活用することで、ユーザー体験の向上とビジネス成果の改善を実現することができます。
- ソーシャルプルーフ機能による購買意欲の促進
- AIを活用したパーソナライズドレコメンデーション
- ローコード開発による迅速な施策展開
- ABテストによる継続的な改善
こうした先進的なパーソナライゼーション施策にご興味をお持ちの方は、ぜひお問い合わせください。
私たちが提供するサポート
- 貴社の課題に応じたパーソナライゼーション戦略のご相談
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- 導入から運用までの包括的なサポート
- 効果測定と継続的な改善施策のご提案
パーソナライゼーションによるユーザー体験の向上は、あらゆる業界で重要性を増しています。貴社のビジネスに最適なソリューションを一緒に見つけ、実装していきましょう。
MarTechLab編集部
このブログでは、ABテスト、サイト改善、UI/UXデザイン、広告最適化、インフルエンサーマーケティングなど、多岐にわたるトピックを取り扱っています。また、業界の専門家にインタビューを行い、実際の事例や成功事例を紹介することで、読者に有益なインサイトとアイデアを提供しています。