【コスメ編】SNSを使い分けるユーザー心理とインフルエンサー
昨今、どの業界・商品においてでも、SNS上でのPR施策を打つケースが多くなってきているのは、皆様も感じられるでしょう。
実際に、マクロミルの18年8月の調査によるとミレニアル世代の51%が買い物時、SNSの情報に影響を受け、とりわけ15~24歳においては、63.6%が「かなり影響をうける」と非常に高い割合になっています。また、15~24歳は「SNS上芸能人や有名人がアップやシェアをした情報を見た時」をきっかけとした購買経験が11.5%と、インフルエンサーの存在が注目されていることがわかります。
このように、ターゲット層に影響を与える情報源としてSNSは重要視されていますが、
SNSの媒体によるユーザー特性の違いを把握し、PR施策に役立てることはできていますか?
実は、一括りにSNSと言っても、媒体によりかなりユーザー特性(利用している層やその媒体にて求めている情報量)は異なります。
今回はコスメ業界をテーマに、情報の取得先としてSNSを使い分けるのユーザー心理と、そのユーザーに刺さる情報発信を行っているインフルエンサーについて、明かしていきます。
1.SNS別のユーザー特性
コスメ商品の購入を検討してから、試しに実店舗に足を運ぶまでの情報収集経路を「Twitte、Instagram、Youtube」の3種類のSNSと「Web検索」で比較し、見てみましょう。
1.コスメマニア女子大生
メイン情報収集媒体:Twitter
サブ情報収集媒体:youtube、Web検索
都内の大学に通う大学4年生のAさん。
アルバイトはホテルのスタッフで収入は8万円/月。
1か月にコスメに使うお金は約3,000円です。
ーTwitterの監視用アカウント(*1)で、専門性の高いアカウントから情報を収集し、最新の情報を発掘。
*1この監視アカウントとは、情報収集アカウントのこと。知り合いや友達をフォローするアカウントではなく、興味のあるアカウント・芸能人のみをフォローし、情報をモニターするためのアカウントです。
Aさんは、より効率的に情報収集するため、ツイッターで監視用の美容アカウントを作成しています。フォローしているアカウントの内訳は、コスメレポートを発信するアカウントや元BAさんのアカウントから、整形アカウント等様々。中には男性のコスメアカウントもフォローしています。
フォローの基準は「紹介されたメイクが綺麗で、効果的な情報を発信しているか」「紹介している人のメイクは自分より上手で、ためになる情報を発信しているか」の2点。
コスメマニアなAさんは、既に王道の商品を知り尽くしているため、Twitterは隠れた目玉商品を発掘するために使っています。気になる商品があれば、「いいね」し、店頭ではTwitterのいいね欄をみながら購入の参考にします。
ーYoutubeは暇つぶしにメイク技術の取得
一方、Youtubeのチェックも怠りません。入浴後に髪の毛を乾かしながらyoutubeを見ることがAさんの日課。
ただし、特に見たい動画があるわけではなく、暇つぶしにyoutubeで美容アカウントを検索し、お気に入りのyoutuber5人の5分程度の動画を満遍なく、視聴します。
隠れた目玉商品を発掘することが目的のツイッターと比較すると、youtubeの利用目的はメイク技術を知ること。
実際に「商品を買いたい、試したい」と思うきっかけはtwitterが8割、youtubeが2割だそうです。
こちらが、フォローしているインフルエンサーの一例です。
コスメ情報をすでに多く取得しているAさんだからこそ、より専門性が高く、本音感の強い情報収集源を重要視しています。そのため、Twitterでは、Instagramでよく見られる雰囲気がおしゃれなインフルエンサーではなく、リアルで本音感が強い情報発信をするマイクロインフルエンサーをフォローしています。
2.トレンド重視ミーハー女子大生
メインの情報収集源:Instagram
サブの情報収集源:口コミ、Web検索
都内の大学に通う大学2年生のBさん。メディア系の会社でインターンをしています。
月給は8万円/月です。1か月にコスメに使うお金は約1,500円です。
ーInstagramのコレクション機能を活用し、雰囲気重視の情報を効率的に収集
Bさんのメインの情報収集源はInstagram。
日常的にInstagramを使い、友人と遊んだことを投稿するだけでなく、コスメやカフェ等気になる情報を収集しています。
Instagramでコスメ情報をまとめたアカウント・美容系インフルエンサーをフォローし、気になった投稿は、コレクション機能で「コスメ」と分類し保存。保存する基準は「一目見て、商品の色見・質感が分かる投稿」と「発信者自身の雰囲気も伝わるような投稿」です。
「いいね」せずに「保存」のみするのですが、それは投稿へのいいねが、フォロワーの友人にばれず、かつ効率的に見返すことができるため。Bさんにとって、Instagramは「おしゃれな自分」を周囲に見せる場のため、「いいね」した投稿から、素の自分がばれてしまうことを恐れているのです。
気になった商品があれば、Instagramでハッシュタグ検索。商品のカラーや商品番号ごとに投稿を見て、気になる商品の質感や色を確認しています。ここでも、参考になる投稿はコレクション機能で保存。
Instagramは、画像情報がメインのため、商品自体の具体的なレビューから使用イメージまで、様々な情報を収集でき、視覚的に比較し整理しやすいことが特徴です。
投稿には、コスメ商品以外の発信者の情報(雰囲気、服装、年齢、アクセサリー等)も映りこむため、使用シーンがイメージしやすい特徴もあります。また、全体的に新発売商品等、流行をとらえた投稿も多く、トレンドを追い続けるためにも、Instagramは適していると言えます。
Instagramは、おすすめ表示機能が優れているため、フォローしていなくても、自分に関連性の高いコスメの投稿や、人気のあるコスメ投稿を、発見しやすいSNSです。そのため、効率的に、広く浅く、トレンドを追いかけたいBさんのような女子大生、情報収集にInstagramを活用しているのです。
3.品質重視 敏感肌の20代女性
メイン情報収集源:Web検索
サブ情報収集源:Instagram
Cさんは都内で働く20代の女性。
敏感肌のため、自分にあったコスメ商品を探す苦労が絶えません。
ーWeb検索で成分情報を比較
通勤中に、Google等の検索サイトで「コスメブランド名 商品名 評判」と検索。
個人のブログ記事を参考に情報収集をします。この時重要なことは、その商品自体のレビューではなく、ブログのユーザーの過去の他のコスメ投稿。
過去にCさんが合わなかった商品を、ブログのユーザーが使っていた場合、必然的に、気になっていた商品が肌に合わないことになります。逆に、Cさん自身と同じようなコスメ商品使用歴のあるユーザーのレビューは効果抜群。
過去の使用歴から、問題のない商品と分かれば、コスメの口コミサイトで検索し、より詳細に成分チェック。成分的な問題を解決すると、店頭での試用に向かいます。
ーInstagramはトレンドチェックのために流し見
一方、Instagramは流行を知るためにさらっとチェック。
季節ごとに変化するリップのカラー等を知るために、Instagramのおすすめ投稿をチェックします。
ここまでの3人のパターンをもとに、SNSの特徴とそこで求められる情報を図式にまとめました。
1業界だけでも、発信されている情報と、求められる情報が、SNSの種類により全く異なることがわかります。
SNSの特徴に合わせた情報発信に成功しているインフルエンサー
では、各媒体の適性に合わせて情報発信をするには、どのような方法があるのでしょうか?
各SNSの特徴に合わせた情報発信方法に成功しているインフルエンサーを見ていきましょう。
Twitterで本音発信「すみれさん」
Twitterでコスメ情報を発信するすみれさんは、フォロワー2万人のマイクロインフルエンサー。投稿内容はすみれさんが本音で発信した情報が多いです。
特に人気を集めた投稿「すみれの上半期ベストコスメ」では、「代わりのものなんてないくらい好き!」等の文章からも、すみれさんの本気が伝わる投稿になっており、その熱量に惹かれたユーザーがファンとなっているのではないでしょうか。
Instagramとyoutubeの使い分け「るーさん」
雑誌「GINZA」でコラムを担当し、コスメ情報を発信する「るーさん」
InstagramとYoutubeアカウントを持ち、巧みに情報発信を行っています。
こちらは、Instagramとyoutubeの人気投稿4つを比較したものです。
Instagramでは、コスメの商品情報や、その使用イメージを「るーさん」の雰囲気とともに発信した投稿が人気を集めています。一方、youtubeではメイクの方法をわかりやすく解説する投稿がメイン。このようにSNSの種類によって発信情報を変えることで、各SNSでファンを獲得することができているのではないでしょうか。
MarTechLab編集部
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