ペルソナってマーケティングにどう活かすの?~戦略的なペルソナの使い方~
「マーケティングにペルソナは重要です、ペルソナから始めましょう。」
マーケティング戦略を考える上でよく聞く言葉です。
反対に「ペルソナマーケティングはもう古い、使いにくい。」という話も聞きます。
様々な意見がある中で、結論として「マーケティングにおいてペルソナが重要であり、人の想像力を活かし関与できる可能性がある」と考えています。
この記事ではあらためてマーケティングにおけるペルソナのおさらいから始め、戦略的にペルソナを使う3つのポイントを解説します。
目次
■マーケティングにおけるペルソナとは
マーケティングにおける「ペルソナ」とは、自社の製品やサービスのターゲットに含まれる架空の人物を具体化したものをいいます。
ユーザーによって興味を持つ情報やよく使うメディアは異なるため、効果的なマーケティング施策を考える場合に製品やサービスのターゲットに合ったコミュニケーション設計が必要です。
■ペルソナとターゲットとの違い
ペルソナの定義に含まれているターゲットとの違いを説明します。
ターゲットはペルソナと同様マーケティングでよく用いられる言葉ですが、ここでは年代や性別といった属性で区切った集団をいいます。
それに対してペルソナは、その集団に含まれる一人を具体的にイメージしたものと指します。
ターゲット | 年代や性別といった属性で区切った集団 |
ペルソナ | その集団に含まれる一人を具体的にイメージしたもの |
■ペルソナを用いたコミュニケーション設計の重要性
上記で整理したようにペルソナはターゲットの中の1人にフォーカスした人物像ということです。では、なぜペルソナを作る必要があるのかというと、顧客目線でのマーケティング施策を行えるようにするためです。
コミュニケーション設計には「誰に」「何を」「どのような場面で」「どのように」伝えることが効果的なのかを考え、具体的な施策に落とし込んでいくことが必要です。
ペルソナはコミュニケーション設計を考える上で不可欠であり、十分に考察しないまま進むと施策ありきでマーケティングが決まってしまうことがあります。
例えば、「SNS投稿でフォロワーを増やすのが大事だから自社でも挑戦しよう」「既存顧客へのエンゲージメントを上げるDMを送付しよう」などです。フォロワーを増やすことやエンゲージメントを強めるなどの施策は、マーケティングのよくある成功例で紹介されているため、実施したら効果が上がるかもしれません。
ただ、顧客(誰に)がどのような課題状況を持っている時(どのような場面で)に、どのような情報(何を)を提供するかを決めないまま進めているため、成功確率はあまり高いとはいえないでしょう。
ペルソナを立てることによって、「誰に」「何を」「どのような場面で」「どのように」伝えるかを可視化しやすくなります。
ペルソナに基づいたコミュニケーション設計を行うことで施策の解像度を上げ、成功確率を高めます。
もし失敗したとしても、施策の解像度が高いため課題を見つけやすく改善につなげることができます。
■ペルソナマーケティングはもう古いのか
ここまでペルソナマーケティングの重要性を説明してきましたが、
マーケティング内で重要な位置を占めていたペルソナマーケティングも時代が変わってきて、古いものだとか使い勝手が悪いという声も聞きます。
その理由として、「AI技術の発展」と「製品・サービスとユーザーとの接点の多様化・複線化」が挙げられます。
・AI技術の発展
デジタルマーケティングにおいてもAIの進化が著しく、生活者・消費者一人一人に合わせたコンテンツが出てきたり広告が出し分けられてきたりしているのだから、わざわざペルソナ設定する必要がないのではという話もあるのも事実です。
・製品・サービスとユーザーとの接点の多様化・複線化
昨今ではデジタル媒体の進化により広告メディアが多様化してきており、ユーザーにどう情報を受け取ってもらって気持ちが変化するか、多種多様なケースを想定しきれなくなっています。
たしかに様々なメディアに複数接触する中で気持ちが変容して行動に移すのは自らがユーザーの場合もそうなので納得できます。
全部の場合を想定することは困難ということで、ペルソナを作って検証しても仮説として見落とすチャネルが出てくる可能性もあります。
・ペルソナマーケティングの現在の利用価値
ただ、どんなに発達が目覚ましくとも、AIだけでは商品の開発や企画段階の時点で顧客ニーズに応えることはまだ難しいと考えています。
そのため、AIが発達している現代であっても、ペルソナの設定は企画・開発などの上流フェーズにおけるマーケティング戦略において不可欠なものです。
また、ユーザーとの接点が多様化複線化してきているのは確かなのですが、最終的な行動(コンバージョン)に影響を与えた間接効果を分析する技術も向上して、最終的な行動(コンバージョン)に寄与する広告やメディアを評価することができるようにもなってきました。
技術革新によって間接的数値が見えることで、その数値を用いてさらに効果的な施策につなげることが重要になっています。
間接的な効果の文脈を考える上でペルソナを活用できる場面は十分にありますし、間接的な効果を理解することでよりペルソナの解像度も上げていくことができます。
■戦略的にペルソナを使う3つのポイント
ペルソナを実際に作ったけれど、施策につなげていくイメージが湧かないと質問を受ける場合があります。
そこで、ペルソナから戦略的に施策につなげていくポイントを3つにまとめました。
【1】一人の人間としてペルソナを尊重する
ペルソナで具体化された架空の人物も人間として尊重することが重要です。
よくある失敗例としてターゲットから思いつく施策に当てはまるようにペルソナの課題を整理していく場合があります。
アプローチとしてありえますが、ここで陥りやすいのが施策に当てはまるかを考えているうちに、現実に存在しなさそうな表面的な人物をペルソナとして立ててしまうことです。
人間はやりたいことはあるけど、実際にはできていないなど理想と現実に多かれ少なかれ矛盾を抱えています。入力した情報からまっすぐに出力するほど単純にはできていません。
施策から入ることでこの要素が抜け落ちやすく、単純なロジックで納得するようなペルソナを立ててしまうことになりがちです。
その意味で、複雑な状況、心理にいるような一人の人間として動きだしそうなイメージをペルソナで持てることが重要です。
【2】初めからペルソナと商品・サービスに紐づけない
上記と似ているものになりますが、ペルソナを作ったあとすぐに商品・サービスへの課題に至った直接的な状況を考えてしまうことに注意が必要です。企業は商品やサービスの知識・理解度が深いことから、シンプルなロジックを生む要因となります。
もちろん商品サービス理解があることは重要ですが、作ったロジックを見直してみてその商品サービスに一直線に向かうペルソナになっている場合には、商品サービスに当てはまる人物を仕立てていたかもしれないと立ち止まって考え直してみましょう。
【3】商品・サービスの周辺領域への接点の持ち方を複数ストックする
では、どのようにしてペルソナからマーケティングにつなげていくかというと、まずは商品・サービスの周辺領域へつながる状況を考えていきます。
世の中にある既存の商品やカテゴリーにどのように接点を持つ人なのか、または持ちえない人なのかを考え、その既存の商品やカテゴリーへの不満や不満になった状況につなげます。
接点をもつ場面を思いつく限り想像します。これが、そのままコミュニケーション設計の基礎になります。
そのような数ある場面から、商品サービスの特徴をもっとも効果的に解決できる場面を想像し施策に落とし込んでいくことでペルソナ起点のマーケティング施策になっていきます。
■まとめ
ペルソナは企業がサービスや商品起点で施策を考えないために必要なものです。
今回ご説明した3つのポイントはペルソナを用いて戦略的に施策を考えていくために気をつけるべきポイントです。
ペルソナから導かれたコミュニケーション設計により顧客目線での施策が可能になり、効果的な訴求も見つかりやすくなります。
その次には、その効果的な訴求が市場として勝てるものなのかというのは別観点での分析は必要となります。
強固なロジックを立てていくために、ペルソナが基礎になりますので今回の記事がご参考になれば幸いです。
ギャプライズではペルソナに基づいた戦略的なマーケティングを立て施策実行し、数値分析、改善施策までを一挙にご支援することができます。
ペルソナの重要性はわかるけれど、ペルソナから施策につなげて考えるのには時間を割けない方も多いかもしれません。
もし、今回の記事にご興味があればお気軽にご相談ください。
岡安 太朗 MDA事業部/シニアアカウントマネージャー
クライアントの掲げるゴールに対して、WEBでどのように達成をするか設計業務に行う。 ターゲットの行動心理を分析し、心理状態に合わせた集客方法を設計。 多業種のクライアントの目標達成と事業拡大に寄与している。