ChatGPTを活用した記事リライトの高速化|マーケターさんに聞いてみた。
今回お話を聞けた人:
jinjer株式会社
マーケティング部
オーガニックグループ
古屋 匠憲 様
こんにちは、ギャプライズの今本です。
マーケターさんに聞いてみた。第2回のゲスト(社内はカウントしません)は・・・またもやjinjer様より古屋様にお話を伺えました。
ありがたい限りです。
古屋さん、よろしくお願いします!
jinjer古屋様:
よろしくお願いします。
jinjer様はオウンドメディアにとても力を入れていらっしゃいますよね。実はギャプライズでもバックオフィスのメンバーからjinjerさんのブログが参考記事として回覧されてたりするんですよ。
ありがとうございます。それは嬉しいですね。
古屋様はそんなjinjer様のオウンドメディアをご担当されているんですよね?
はい。マーケティング部の中でオーガニックグループに所属しておりまして、オウンドメディアであるjinjer Blogの運営を通じてオーガニック経由の流入数増加を目的に活動をしております。
jinjer Blogの記事数が増加し、記事更新(メンテナンス)に手間取る課題が発生
今回のテーマであるChatGPTを活用した業務の効率化という部分に関しては、どのような背景から開始したのでしょうか?
jinjerが運営するjinjer Blogの記事数は1,800記事を超えています。その中でも、公開してから時間が経った記事については、情報を最新化するといった記事更新(メンテナンス)に人的リソースを割けていませんでした。このような背景から、記事の質を担保することに対して課題を感じていました。
1,800記事となると、確かにどこから手をつけていいかも含めて大仕事ですね。
この課題を解決するために、ChatGPTを活用して記事のリライトを実施しました。これにより、ChatGPTでリライトを行った記事の8割において、セッション数が上昇するという効果がありました。また、1記事のリライトにかかる時間はもともと1時間ほどかかっていましたが、15〜30分に短縮することができました。
運用にあたってセキュリティ面の懸念などもあったかとは思いますが、社内でのルールなどはどのように整理されたのですか?
2023年7月からChatGPTを活用した記事のリライトを始めたのですが、ChatGPTが話題になり始めたタイミングから、すでにjinjerの管理部側でガイドラインを作成していました。用途によっては、情報漏洩の懸念も考えられるので、社内でルール整備をした上で、ChatGPTを使用できるようになっていました。
結果
実際の取り組み内容についてお伺いしてもいいですか?
取り組んだこととしては、ChatGPTを活用して記事更新などの簡易的なリライトを行いました。その結果、リライトした8割以上の記事においてセッション数の増加がみられました。さらに工数削減の面でも大きなメリットがありました。具体的には通常であればメンテナンスとしてのリライトに1時間ほどかかっていたものが、約15~30分と半分以下に短縮できたことから、業務工数削減にもつながりました。
WebPilotを導入し、情報のリアルタイム性を高める改善も実施
具体的にはどのようにChatGPTを活用されたのでしょうか?
まずはプロンプト(指示文)のカスタマイズです。タイトル、メタディスクリプション、見出しといった記事の項目ごとに「より読者が興味を引くタイトルは?」、「記事の内容をわかりやすく表現した見出しは?」など、記事構成の改善・提案を、指示したプロンプト通りにアウトプットしてもらえるように、プロンプト文を細かく調整していきました。
また、別軸ではChatGPTから得られる情報のリアルタイム性を向上させるために、プラグインを導入しました。
以前はChatGPTが保有するデータが2022年1月までの情報であったため、アウトプットに最新の情報が反映されておらず、その情報の正確性を見直さなければならないことが課題でした。
jinjer Blogはバックオフィスのご担当者様向けの専門的な情報を扱うメディアであり、士業の方に監修いただきながら法改正の情報を掲載することもあります。
初稿としてアウトプットされる内容に、たとえば、最新の情報ではない旧改正内容が反映されてしまうことは、のちの対応工数を考えてもできる限り避けたい事象でした。
実際、どのようなプラグインを導入されているのですか?
例えば厚生労働省のホワイトペーパーなどの情報をもとにした記事作成に便利なのが「ChatWithPDF」というプラグインです。このプラグインを利用することで、該当のPDFを読み取った上で質問に答えてくれたり、要約したアウトプットをChatGPTが反映したりしてくれます。
また、「WebPilot」というプラグインであればアウトプットした情報元に関して、参考にしたリンクも一緒にアウトプットしてくれるため、情報が正しいか否かという確認もでき、かつリアルタイム性においても改善に寄与できていると感じます。
実際に活用した例としては、2023年4月の法改正に対する解説において、プラグインを入れた場合となしの場合で下記のスライドのような違いがありました。
ChatGPTで実際に指示したプロンプト文は次のようなイメージになります。
こうして並べてみるとだいぶ違いますね。
そうですね。他にも、ブログだけに留まらない文章の推敲、添削、校正といった活用にも応用が効くと思っています。また、分量の調整、特にSEO向上の文脈でいうタイトルやメタディスクリプションの作成など、文字数が限られている部分において文章量の調整にも応用可能です。
そして、文章構造の理解や整理をするという意味でもChatGPTは便利だなと感じます。
今後は社内の他部署でもChatGPTの活用を広げていく予定
記事のリライトという部分では素晴らしい成果を上げられたと思うのですが、他に展開していく予定はあるのですか?
現在は記事のリライトが主な用途ですが、例えば、広告やウェビナーのキャッチコピーなど様々な用途が考えられるので、今後は社内の他の部署(マーケティング、営業など)でもChatGPTの活用を広げていくことも考えています。また弊社では、「人事業務に役立つ情報メディアHRNOTE」と「クラウドサービス比較サイトDXログ」の2つのメディアも運営しており、それらのメディアでもChatGPTを活用して工数削減に取り組みたいと考えております。
ありがとうございます。また、おもしろい取り組みがあれば教えてください!
編集後記
今回の取り組みのスタートが7月ということでしたので、前回お話を伺った裏ではすでに動き出していたということなので、改めてチャレンジングな企業風土なのだなと感心しました。私自身もWebPilotなどプラグインは使っていますが、今回のインタビューでは、まだまだ活用の量も質も足りていないなと反省しています。(前回も別の意味で反省していた気がしますが・・・)
聞き手:ギャプライズ今本
今本 たかひろ/MarTechLab編集長
料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。