機械学習 × インサイドセールスで受注率が従来の約2倍に!|マーケターさんに聞いてみた。(前半)

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jinjer様

今回お話を聞けた人:

jinjer株式会社
事業開発本部
マーケティング部
部長
藤本 真央 様

事業開発本部
マーケティング部
池谷 祐亮 様
久保田 裕也 様

こんにちは、ギャプライズの今本です。

残暑お見舞い申し上げます。
気づけばお盆が過ぎ、蝉の声もツクツクボウシが主役になってきましたね。まだまだ蒸し暑い日々は続きますが、夏の終わりも意識せざるを得なく、少し寂しい気持ちもします。

さて本日は、編集長(仮)としてMarTechLabの編集を任された初期のタイミングで、やりたいなと思って温めていた(おざなりになっていただけかもですが)マーケターインタビュー企画。

※実際にインタビューにお伺いしたのは7月末でした(遅筆で申し訳ない。。)

第一回ということで、少し経緯について触れておきたいと思います。

普段、ギャプライズのマーケティング活動をしていて、ユーザー視点に立つとか俯瞰してみる、あるいは社内で壁打ち(ディスカッション)してみるといった視点を変えるということはもちろん意識しているのですが、実際にどこまで視野を広げられているのかって言われると…それを図るモノサシというのは、自分の中にしかないなと感じます。

そして、自分の視野が広がったなと実感できる瞬間というのは、外部の人とのコミュニケーションや読書などを通じて、他者の考え方に触れた時だよなとしみじみ思うわけです。

手っ取り早く、他社マーケターさんと交流できる機会って何かないかな?と思い、今年のGW頃から約12年ぶりに始めたのがTwitter(現X)でして、UIやアルゴリズム、トレンド、お作法の様変わりに戸惑いつつも、流れてくる情報や気軽なコミュニケーションには刺激を受けておりました。

とはいえ、他社のBtoBマーケターさんがどんなふうに施策を回してるのか聞いてみたいな。

という深掘りした会話というのは、やはり限界があるなと感じ、ディスカッションできるようなマーケター間・企業間の交流をしていけたらなと画策しておりました。

そんな折に、TwitterのDMを通じて、お声掛けいただいたのがjinjer様でした。

一度、Zoomを通じてディスカッションをさせていただき、ぜひ交流しましょう!ということで、漠然としていた本企画が加速度的に始動した次第です。

要約すると、ノリと勢いですね!

ということで、「マーケターさんに聞いてみた」第一回のゲストは、だれでも使いやすいクラウド型人事労務システムを展開するjinjerのマーケティング部の皆様です!

今回は西新宿にあるjinjerさんのオフィスにお邪魔してきました。

まず驚いたのが、WeWorkなのにワンフロアまるまる専有オフィス!!

専用のコーヒーサーバーが羨ましい(そこかよ)

そして、案内されて会議室に通されるとズラーっと4名でお出迎えいただきました。

単身乗り込んできてしまったので、私もアシスタントとか連れてきたらよかったかなと反省(いないけど)しつつ、お話を伺うことに・・・

〜〜 ここからがインタビュー本編です 〜〜

ーーまず、jinjerさんについて読者さん向けにご紹介いただければと思います。

jinjer株式会社と申します。2021年10月に創業し、現在は「ジンジャー」という、人事労務・勤怠管理・給与計算・ワークフロー・経費精算など、人事労務の効率化を支援するクラウドシステムの開発・販売を行っています。

人事に関わるデータを「ジンジャー」に集約し、「1つのデータベース」で管理することで、各システムにおける情報登録や変更の手間の削減を目指しております。

▶「ジンジャー」サービスサイト:https://hcm-jinjer.com

ーーマーケティング部の役割と活動についてお伺いできますか?

ここでバンッ!っとスライドがモニターに映されます(音はなってません)

事前に聞いてみたいことはやりとりしていたとはいえ、準備が良すぎて恐縮してしまいました。

ちなみに事前に聞いていたこととしては、部署ごとでデータが散在していて非効率だったナーチャリング活動をインサイドセールスチームと協力してデータ整備をしながら最適解を見つけていったとのことでした。

言うは易しですが、この再構築作業の労力はなかなか骨が折れます。どんなストーリーがあるのか楽しみです。

 
jinjer久保田様:

はじめに全体感からお話できればと思います。まず「ナーチャリングプロジェクト」という形でプロジェクトが発足した背景が大きく二つありまして、『機会損失の最小化』と『営業効率の向上』を大きなテーマとしております。

『機会損失の最小化』については、「ジンジャー」を含む業務効率化SaaSを検討するお客様の状態・状況をしっかりキャッチし、サービス情報やお役立ちコンテンツを届けるべきタイミングを見極めること、つまりお客様が組織の課題解決の手段としてシステムを検討いただくタイミングを逃さないという意味で考えています。

『営業生産性の向上』に関しては、当社にもインサイドセールス組織があり、何十人単位でいるのですが…

ーー多いですね(うちはまだ数名規模なので・・・)

とはいえ、マーケティングチームが常にチャレンジしている以上アプローチできるお客様リードは相当数あります。

その中でもお問合せをいただく時点で、お客様がシステム検討フェーズでいくとどのような状態であるかがわかった方が、インサイドセールスチームとしてもより効率的で適切なアプローチができます。

結果1人あたりのアポイント獲得数も伸びてくることを狙っており、これによる営業生産性の向上を大きなテーマとしています。

ーーありがとうございます。分かりやすいです。どんな時系列で取り組まれてきたんでしょうか?

プロジェクトの変遷に関しては、ナーチャリングプロジェクトを主体とするチームを発足したのが昨年の9月ぐらいです。そこから試験的にやってみようと、まずは過去データを分析する部分を池谷さんにお願いする形で、スタートしました。

過去データの分析では、受注実績を基点として、初回お問合せ時点まで遡って検証しています。

機械学習を用いて、たとえばebookをダウンロードした後にウェビナーに参加しているなどの特定行動があるとか、特定のハード情報を持っているなどの共通項を探し出し、その信憑性を高めることを進めました。

一次的に算出した共通項をもとに、元のリードソースに突合してリストアップを実施、インサイドセールスチームに電話アプローチしてもらって結果検証とフィードバックをもらうことをネクストアクションとして実施しました。

この取り組みでは、11月頃からスモールスタートをして一定の成果が得られたので、全組織に対して展開できると判断し、12月からモニタリングしながら横展開していきました。

インサイドセールス内でも、インバンド対応、過去商談して失注したお客様に対する後追い、あとはアウトバウンドと目的によって組織が分かれていたので、組織別にフィードバックをもらい商談化できるパターンを増やしていきました。

ある程度成果が見られたところで、受注に近い”比較検討層”お客様に対してアプローチし、営業生産性の向上することができたので、今年の3月頃から潜在層に対しても長期的にアプローチできるように”ナーチャリング”の領域に注力して参りました。

現在ではナーチャリングの仕組みがある程度出来上がったので、運用定着に向けて試行錯誤しているといった変遷になっております。

ーー1年経ってないのに激動ですね。。特にデータ整備にかけている時間が短く感じるのですが、何か秘密があるのでしょうか?

それらのリードの「ハード情報と商談化する前に行っている行動」をPythonを使って分析処理した結果、”受注に近いリードの共通項”として上記のスライドの4つが明らかになりました。

1〜3が、いわゆる顧客のハード情報で、4つ目の共通項として特定のWeb問い合わせ行動をしていることが判明したため、この4つを満たしたリードを「Hot Lead」と定義し、優先的にインサイドセールスで架電してもらうフローを整えました。

ーースコアリングは使ってないんですか?

点数はつけておらず、このような形で条件分岐をしてます。

ハード情報がシステム選定者かどうかとか、特定のWeb問い合わせ行動があるかどうかで架電ランク分けしてます。池谷さん補足ありますか。


jinjer池谷様:

そうですね。まず機械学習を利用した分析を進めていった理由としては、やはりWebトラッキングにより計測できている行動データから、コンバージョンの情報やMAを活用したメール配信に対して反応がよいところは、セールスステージの昇格に寄与しているんじゃないか?という感覚的な仮説を明らかにすることが一番の理由でした。

ただその中で、弊社は競合他社と比べると強力な営業組織を持ってるところが特徴としてあると思っているのですが、例えばアポイントメントの獲得率であるとか、営業力が強いがゆえにセールスステージの昇格と顧客のWeb行動が想定よりも相関していない可能性があるのではないかと考えました。

Hot Leadの仕組みを整えて架電を行っていく仕組みを整えたはいいけれど、Hot Leadとそうでないリードの差が出ないとなると、この先のフェーズに進めていくのが難しくなってしまう可能性があるなと思い、できる限り正確な傾向値を出すべく、機械学習分析を取り入れて検証を進めました。


jinjer久保田様:

こうして得たコンバージョン情報と、MAから得られる情報を組み合わせてランク付けをしてみて、相対的に比較すると、受注実績のあるお客様が行っている特定の行動が見えてきました。

さらに、システム選定者であるかどうかなどのハード情報を満たしている方が、受注に近いお客様であるという結果もあわせて検証し、相関関係を見出せたことが大きな成果だったと思います。

ーー実際にアプローチしてみて、全然的外れだったみたいなことは減ってきますか?

お客様の企業規模により、変数が出ることはありますね。システム選定者であるような役職が部長以上とすれば、スタートアップや規模の小さい企業であれば実際に導入決定権を持っている可能性がありますが、大きな企業ではそうとは限りません。

それこそ企業規模が大きくなればなるほど職務は細分化されるので、気になってWeb問い合わせ行動をしてくれてはいるものの、よくよく聞いたらシステム選定するわけではないみたいなことはありました。

ーーなるほど。とはいえ、ある程度の発言権を持ってる人とかだと、アプローチする意味はありそうですね。

ですね。やはりハード情報を掛け合わせることで的外れ度合いを一定減らせたことが、Hot Leadの精度強化に繋がったと思っています。

リード獲得にあたっては、マーケティングチームがかなり手広く施策を展開しているため、どうしても勉強目的や情報収集目的が強いリードは一定数あります。

この時、Hot LeadをWeb問い合わせ行動だけで判断すると、システム検討を考えていないお客様に対してもシステム導入のアプローチを高い熱量で行うことになり、こうした場合は得てして案件化はしません。

インサイドセールスが注力アプローチをするべき、「今システム検討を考えているお客様」をHot Leadとして特定できたことは、非常に有用性が高いと考えています。

ーーありがとうございます。

加えて、これまでに獲得してきたリードでも、インサイドセールスが初回対応してから商談化されずに、一定期間あいてしまって未アプローチとなっているリードがたくさんあります。

これらは量が多く、再アプローチするべきタイミングや優先度、お客様のシステム導入検討フェーズが測りきれずに手付かずになっていると考えています。

そうしたリードが何万件という単位であったりします。

そこにさっきの条件分岐を当てはめ、優先順位をつけて、未アプローチのリードを分類し、Hot Leadとしてインサイドセールスへ渡します。

これによって、新しく流入するリードだけではなく、プラスのアプローチ先として毎月インサイドセールス側に定期的にリードを供給する仕組みを作ることができました。

こんな感じですね。

弊社のインサイドセールスには、新規流入を対応するチームと、商談後に何かしらの理由で案件化しなかったリードを追いかけるチームがいますが、両者ともに何万件という単位で未商談化・未案件化のリードプールが存在します(スライドの濃いグレー部分)。

そのリード群からHot Leadとして優先順位をつけて、インサイドセールスが対応するきっかけを作ったという点で、最初の命題にあった営業生産性の向上が果たせたと思います。

実際の成果で言うと、全商談の平均受注率に比べて大体2倍くらいの数字に貢献できたというところが、このプロジェクトの着地となってます。

ーー2倍は素晴らしい成果ですね。

後半へ続く・・・

編集後記

実は私、当日直前に別件の打ち合わせがありまして、現地であるWeWorkの西新宿でWEB会議をしてました。次の予定があると事前に言っていたにも関わらず会議が押してしまい…後ろでjinjer様待ってるなーと思いつつ、遅刻してしまい反省です。

それなのに嫌な顔ひとつせずご対応いただき、ありがとうございました!!!

しかし、マーケターさんとの会話で、Pythonで分析しているなんて話が出てくるとは驚きでしたね。ここまででもかなり濃い話が聞けている気がするのですが、後半では更に筋肉質かつ繊細でロジカルなお話が聞けましたので、楽しみにお待ちください。

聞き手、執筆、編集:保護猫2匹の里親になった今本

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今本 たかひろ/MarTechLab編集長(仮)

料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。

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