【前編】 1年分の事業計画を15分で!Googleキーワードツールを使ったシミュレーション作成方法
SEO対策会社のユナイテッドリバーズ代表の沢辺です。
今回は、キーワードツールを使って簡単に事業計画や目標数値を作る方法を紹介します。
私は以前、3月決算の企業にいましたので、12月~1月あたりはよく事業計画や来期の目標数値を作ったり、会社が新しい事業を検討している時は収益の規模を予測したりといった業務を行っていました。
ただ、通常業務をしながら計画を作るのはなかなか大変でたっぷり時間を取って検討するのは難しいことです。
そこでまずは「ざっくりと」収益の目安数値を作って「新規に参入して魅力的なのか?」確認できるようにするためにキーワードツールを使ってシミュレーションをしていたのです。
このシミュレーションを作成しておけば、社内であれば「そんなに儲からないし、参入はやめよう」となるかもしれませんし、不要な工数消化を防げるのでオススメです。
それではそのシミュレーション方法について紹介します。
▼後編はこちら▼
【後編】3カ年の事業計画を1時間で作成!? Googleキーワードツールを使った事業計画作成方法
目次
キーワードツールのクリック数か検索回数のシミュレーションを使って、月ごとの推移と全体の検索ボリュームなどを把握する
この記事では、検索回数のシミュレーションを使って、私が前職で担当していた引越し見積もりサイトを制作する想定で、調査・検討してみます。
▲上記のような引越し見積もりサイト、HOME’S引越しを担当していました。
SEO対策での集客はもちろん行っていたのですが、アフィリエイターさんにも非常にお世話になりました。見積もり自動計算機をお持ちの方や、元引越し会社社員で非常に詳しい引越しの解説サイトをお持ちの方など、良いサイトでたくさんご紹介いただきました。
自社サイトと並行して、アフィリエイターさんにもたくさんサイトを作ってもらえると何サイトも上位表示できるので、収益アップが見込めます。(最後に事業2年目、3年目用の施策として紹介します。)
本記事では、まず事業計画を作成するにあたり、ターゲットとなる市場においてどのくらいの売上数値を得られるか予測する方法を紹介します。
それではいってみましょう。
キーワードツールを使って、キーワードの検索回数と月ごとの推移を算出する
まずはこちらのキーワードプランナーを開いてください。
上記のように画面のログインボタンをクリックします。
ログイン後、早速キーワードを記入します。
画面下部に「候補を取得」という青いボタンがあるので、クリックしてください。
上記が「引越し」で候補取得した画面です。
ダウンロードボタンをクリックして、キーワードが書かれたエクセルファイルを取得しましょう。
ダウンロードの際、上記の「統計情報を月別に分割表示」にチェックを入れてください。月ごとの検索回数がわかるので、「季節ごとの違い」がわかるようになります。
特に引越しのような極端な繁忙月があるような商材の場合、月ごとの予測を立てる必要が出てくると思いますが、月別に検索数がわかっておけば大体流入する量の予測ができるようになり、事業計画作成に役立ちます。
(特に引越しサイトの3月の流入数はすさまじいです。終わると壊れたかと思うくらいセッションが減ります)
「ファイルを保存」をクリックして、データをダウンロードします。
ダウンロードしたデータを検索回数の降順で並び替えます。
特に検索回数が多いものの中には、引越し以外の目的で探されているワードもありますので、行を選択して削除してください。
キーワードを完全に洗い出したい方は、不要行を削除し終わった状態で一部・または全部のキーワードをコピーして、最初の候補取得と同じ手順を取ると「一回で見つからなかったキーワード」を発見できます。
精度を高めたい時にはやってみると良いです。
検索回数のエクセルデータが整ったら、月ごとの傾向値を出していきます。
「Searches : Dec 2014」などと書かれている列が月別の検索回数の列です。
これらの列をそれぞれ合計して、月ごとの検索ボリュームを計算します。
行を挿入して、合計の式を入れます。
月ごとの検索回数合計がわかったら、基準の月を作り、そこを「1」として、次の月の検索合計を当月の合計で割った値を掛ける式を入れます。(文章にするとわかりにくいので、キャプチャの式を参照してください。)
各月にもコピー&ペーストしていけば、月ごとの変化を係数に出来ます。
12月を1とすると、3月は「2.2」だとわかりました。実感値とも大体近いです。
- 広告予算を作る時は、特に多めに当てられるようにすべき
- 1~3月のピークの時期までに、施策をやりきってしっかり回収できるようにすべき
などと、開発・企画のロードマップや戦略を考えるときにも役立ちます。慣れると大体ここまでで、5分くらいで出来るようになります。
●年計画作成の前に、あげられそうな売上を算出してみる。
次にこの表を元にして、事業計画作成に入ります。大体、計画をたてる際は3~5年程度を求められることが多いと思いますので、今回は3年分作る想定で書きます。
ただ、全部作った後で「あまり儲からないからやらないことになった」という結論を出されたりすると工数が無駄になってしまうので、まずは、「検索である程度上位表示された時にどのくらい売上が上がるのか」を算出して取り組むかどうか決める、という方法を紹介します。
10位以内に入った際の%を掛けて、クリック数を計算。CVRを掛けてCVを算出し、単価を掛けて売上を割り出す。
一旦数値を固めに読むやり方を紹介します。少なく見積もっているので、最後に紹介する方法でも検証し、どれを選ぶか検討すると尚良いです。
先ほどの各月の検索数値のうち、先頭列のみを残します。
この検索数値に、以下の数値をかけます。キャプチャにも記載されています。
- 10位以内に入った場合のクリック率(大体3%と言われています。鈴木 謙一さんのブログでもっと詳しく紹介されています)
- Yahoo!分も加味する(ここでは2倍と置いています。)
- (固めに読む場合は)●%程度上位表示した場合の値を掛ける。※ただし、ここに出ているキーワードがそもそも少ないので、ここまでしなくても確からしい値が出ることが多いです。
ちなみに表の中で「検索で10位に入った際は3%のクリック率」などと数値に文字が入るようにしていますが、上記のように「ユーザー定義」の機能を使って数値や%に補足テキストが入るようにしています。
各係数をかけると、上記のような値が出てきます。これらに加えて、CVRの数値とCVの単価を入れれば、上位表示後の一ヶ月の収益がわかります。
- 今回は、一括見積もり・比較系のサイトなので、CVR2%を採用(1%だとやや低い。一括資料請求系は2%を超えるものが多い。求人・不動産など検索系は1%を切ることもある。)
- 単価は仮で3,000円と仮定
して、算出してみました。一月の値がわかったら、先ほどの手順で算出した月ごとの係数を掛けて一年分の数値を算出します。
かなり固めに予測して、SEO対策の売上だけで、一年でおよそ1,000万円とわかりました。
「●%程度上位表示した場合の値を掛ける。」という数値の調整をなくすと、大体3,000万円程度の売上とわかりました。
難易度にもよりますが、主要なキーワードを上げるまでには大体一年程度はかかりますので、一年後にこの値が出せたとして取り組むのかどうかをまずは検討しましょう。
この時点で「あまり魅力的でない」と感じる場合はこの先の作業はせずに見送ってしまうことをオススメします。
補足:キーワードツールの予測クリックを算出する場合のやり方
冒頭で紹介したキーワードツールの予測クリックを使う方法は、以下の手順で利用できます。
元々は主にリスティングのシミュレーションをするための機能なので、リスティング分の収益予測にも活用できます。
キーワードツール内の「予算の計画と予測データの取得」の欄に検索キーワードの候補をすべてコピー&ペーストで記入する。
入札単価の画面は、クリックがちょうど最大になる場所を選択する。
データをダウンロードする。
ダウンロードしたデータの予測クリック列の合計が一日のクリック数です。30日分をかけて、一月の検索回数としてください。(今回は、1,100クリック程度なので、一ヶ月33,000セッション見込み。)
この値は平均検索回数を元に算出されているため、検索ボリュームの月ごとの推移の値をかけて一年分の予測ができます。
前編まとめ
ここまでが一年分の数値予測です。慣れてくれば15分もあればエクセルの見た目まで整え終わるようになります。
検索ユーザーがいる前提の事業であれば、このようにキーワードツールを活用すればコストをかけて調査をしたり、データをあちこち探しまわったりしなくても、ざっくりと「上げられそうな収益」を計算することができます。
一年分の数値を社内で検討して、本格的に事業検討することになったらSEO対策以外の数値も入れてアクセス・売上を伸ばす絵を描き、事業計画作成しましょう。
▼後編はこちら▼
【後編】3カ年の事業計画を1時間で作成!? Googleキーワードツールを使った事業計画作成方法
最終更新日:2020/9/16
MarTechLab編集部
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