最先端イスラエルテックで学ぶWebマーケティング
スタートアップネイションとして脚光を浴びているイスラエル発のマーケティングテクノロジー(マーテック)ですが、日本企業はどのように活用していくべきでしょうか?
今注目すべきマーテックや、具体的な導入事例についてご紹介します。
※本記事は、2019/5/22FREE WEB HOPE主催「Growth UP!マーケティングスタジオ」での弊社代表甲斐の講演内容をまとめたものです。
登壇者紹介
代表取締役CEO 甲斐 亮之(Kai Ryoji)。2005年、ギャプライズへ参画。ECサイト設計・構築・運用・プロモーションを中心に、プロデュースからディレクション、広告選定、ランディングページ構築までマーケティングを包括的に担当。2010年より執行役員Webマーケティング責任者としてギャプライズのマーケティグサービスを統括。2013年より現職。
1.弊社ギャプライズご紹介
ROI最大化のためのあらゆるノウハウをご提供
ギャプライズは創業以来、さまざまなマーケティング手法を実践・検証し、ノウハウを蓄積してきました。
そのノウハウは、サイト制作や広告運用などのWebマーケティングサービスだけでなく、テクノロジーツールのご提供においても大いに活かされています。
現在の事業は主に2つあります。
■テクノロジーソリューション事業
世界中から画期的なテクノロジーソリューションを見い出し、日本・アジアにローカライズ。
導入支援だけでなく、価値を最大限に高めるための運用ノウハウをご提供します。
■Webマーケティング事業
Web戦略の全体設計から各フェーズのマーケティング施策までを一気通貫でご提供。
マーケティングオートメーションの企画・導入支援も行っております。
今回の講演テーマは「テクノロジーソリューション事業」に深く関わっているのですが、そもそもこの事業を立ち上げたキッカケについて、まずご説明させて頂きます。
日本一のLPO(ランディングページ最適化)時代
元々ECサイト支援を行っていましたが、その施策の一環でランディングページ制作も行っていました。
重要なタッチポイントであるにも関わらず、当時専門的に制作している企業がいなかったので、ノウハウを活かしたLPO支援サービスを立ち上げました。
ユーザー心理を深く追求し仮説をもとに制作したLPは、実際多くのクライアント様でコンバージョン率が上がり評判になりました。
一方で、「なぜ上がったか?」「どうユーザー行動が変化したのか?」を可視化することは、この時点ではできていませんでした。
そこで実は、一度サイト内分析ツールの自社開発に着手しました。
しかし開発途中で、当時のクライアント様からClicktale(クリックテール)を紹介され、同じ目的でもっと高度な分析ツールが既に存在したことを知り、衝撃を受けました。
自社でやるより、海外から持ってきて日本市場に展開した方が早いと判断し、2012年からテクノロジーソリューション事業を開始しました。
実はこのClicktaleが、イスラエルのスタートアップ企業だったのです。
事業拡大のキッカケとなったSimilarWeb(シミラーウェブ)
ご存知頂いている方も多いのは、市場分析・競合分析ツールのSimilarWeb(シミラーウェブ)ではないでしょうか。
現在3,000社以上導入頂いており、こちらもイスラエル発のテクノロジーです。
ベンチマークしている企業のサイトが、「どんなキーワード、チャネルから流入しているのか?」「人気ページは何か?」を知ることは、事業戦略を立てる際に大変重要なデータになります。
SimilarWebを使えば、デスクトップもモバイルもURL1つで簡単に分析することができます。
Webマーケティングに留まらず、日々の営業活動や、経営層の意思決定、新規事業開発、広報活動などの様々な領域で活用されています。
弊社としては有料版をおススメしていますが(笑)、無料版もございますので是非こちらからご登録ください。
2.なぜイスラエルなのか?
先ほどご紹介したClicktaleとの出会いも一つの理由ですが、やはりイスラエルのすごさが一番の理由です。
ハングリーさが、すごい!
イスラエルは、人口900万人弱、面積はほぼ日本の四国と同じで60%が砂漠、かつ周囲は敵国に囲まれている国です。
内需が少なく、生きていくことへのハングリーさはかなり強烈です。
デジタルマーケティングの最先端である北米が主戦場で、「アメリカでどう勝つか?」がテーマになっています。
高度教育、産官学&軍隊の連携が、すごい!
2000年近く流浪していた歴史的背景があります。
「カネは奪われるが知識は奪われない」「知識より知恵を重視せよ」の教えを元に、幼少時からの英語&プログラミング教育が進んでいます。
それ以外にも、軍事技術の民間転用も盛んで、大学教授陣に実業家や起業家も多数存在します。
教授も、単に知識を教えるのではなく、この知識を「いかにマネタイズするか」をセットで教えている文化です。
エコシステム、高い投資リターンが、すごい!
2017年の投資金額約5800億円EXIT金額2兆5000億円、投資リターン16%は世界最高率(日本市場のVC投資金額は約2000億円、人口比で約35倍)で、結果高い起業率(1844人に1人が起業)を誇ります。
大きくニュースになった代表例としては、モービルアイというスタートアップが約150億ドル(約1兆7,000億円)で買収されました事例もあります。(※)
[参照]techcrunch2017/3/14: Intel、Mobileyeを153億ドルで買収―自動運転テクノロジーの拠点をイスラエルに移す
その他のすごい技術たち
みなさんの身近にある技術も実はイスラエル発です。
・Zip圧縮技術
・インテルCPU
・CT診断装置
・USBメモリ
・カプセル内視鏡
・Googleサジェスト機能
・金属探知機
・Wiiなどの3D感知技術
・チャットアプリ
・3Dプリンタ
など。
他にも無人戦闘機、VR、通話モニタ、自動運転車画像認識チップ、リアルタイムソーシャルカーナビアプリ、チェリートマト、種無しぶどう、点滴灌漑、ポータブル心臓超音波診断装置、、、、、数えきれない多くの技術が挙げられます。
すごいユダヤ人たち
全ての方がイスラエル生まれではありませんが、ゲームチェンジャーとなっている有名なユダヤ人が多数存在します。
Googleセルゲイ・ブリン&ラリー・ペイジ、Facebookマーク・ザッカーバーグ、投資家ジョージ・ソロス、Intelアンドリュー・グローブ、DELLマイケル・デル、Oracleラリー・エリソン、 Goldman Sachsマーカス・ゴールドマン、ロスチャイルド家、Starbucksハワード・シュルツ、LEVISリーヴァイ・ストラウス、アルベルト・アインシュタイン、スティーブン・スピルバーグ、カール・マルクス、ジョン・フォン・ノイマン、、、、誰もが知る方々ですね。
3.直近での驚くべき変化
1年でのできることの変化が、2倍とまではいきませんが140~150%で進行します。
100点の状態でローンチするのではなく、70点で公開し顧客と一緒にプロダクトを成長させていくモデルであるためです。
冒頭でご紹介したサイト分析ツールClicktaleも、直近で大きな変化がありました。
こちらの画像をご覧ください。
まず、ログイン後の管理画面が違います(笑)
安心してください、もちろん機能も進化しています。
ワークスペースで重要指標をKPIとして管理し、「どこが目標に対してビハインドしているのか」分析すべき指標がすぐわかります。
多くの業務を抱えるマーケティング担当者が、問題点を洗い出すために時間を使う必要はありません。
「なぜ問題が起こっているのか」課題解決のための分析に投資できるようになりました。
見たい箇所をクリックするだけで、その指標に影響を与えているセグメントがすぐわかります。
サイト内分析画面にもすぐ飛べるため、課題発見→原因特定まで今まで以上に効率化できるようになりました。
進化したClicktaleについて詳細ご希望の方はこちらからお問い合わせください。
4.いま注目すべきマーテック
2019イスラエルスタートアップTOP50
最新版については、「Calcalist’s Complete 2019 Top 50 Startups List」をご覧ください。
掲載されている50社のうち、弊社と関係値のある企業は7社ランクインしています。
次に特に注目してほしいテクノロジーを3つご紹介します。
Browsi(ブラウジー)
マネタイズ目的のメディアをお持ちの企業様にオススメです。
Browsiは、広告ビューアビリティを自動で最適化し、メディア価値を高めるテクノロジーです。
■できること
・コンテンツや広告のレイアウトを自動で最適化
・広告サーバーとの連携で最適な広告を表示
・ユーザーのエンゲージメント分析
レイアウトや広告表示の最適化などはAIにまかせ、人間はコンテンツの質に対して時間を使えるようになります。
■1分16秒でわかる説明動画
Optimove(オプティムーブ)
2009年イスラエル創業の、カスターマージャーニーの学習・創造テクノロジーです。
どのユーザー行動がどのくらい収益を上げるかまで算出できるので、予算をどこに投資すべきか判断をすることができます。
■できること
・顧客行動の理解・分析を通じた顧客ニーズの発見
・複数のチャネルを通じた顧客コミュニケーション
・カスタマージャーニーの最適化による収益向上
詳しくはこちらをご覧ください。
Kenshoo(ケンシュー)
2006年創業、AIによる広告自動化では圧倒的に世界1位のテクノロジーです。
■できること
・独自AIテクノロジーの未来予測
・複数チャネルを一括管理/運用
・コンバージョンパス
そもそもAIとは?
他のツールとの違いは?
下記ホワイトペーパー「AI広告自動最適化ツール徹底活用2019」を是非ご覧ください。
5.導入事例
いくらテクノロジーがすごいと言っても、「本当に成果につながるのか?」という点がみなさん気になると思います。
実際のクライアント様の導入事例をご紹介します。
SimilarWeb導入事例:パナソニック株式会社様
【パナソニック株式会社:岸原 直人】既に起きている未来に気づく方法
記事はこちら
Clicktale導入事例:株式会社ミュゼプラチナム様
【株式会社ミュゼプラチナム】A/B テスト結果検証の質を上げる
記事はこちら
monday.com導入事例:株式会社POL様
「monday.com」は今までご紹介したマーケティングテクノロジーとは少し異なり、領域を横断して活用するプロジェクト管理ツールです。
外部ツール連携も豊富ですので「社内で複数管理ツールが使われていて混乱している」といった企業様から、誰でも簡単に使えるツールを求めている非IT企業様まで多くの方にご利用頂いています。
【株式会社POL】monday.comとSlackの連携でタスク漏れを防ぐ!
6.最先端マーテックを活用するために必要な3つのこと
弊社の経験上、下記3つの要素が必要です。
1.知識および経験化
2.変化の覚悟
3.体制、予算(未来への投資)の整備
知って・驚いて・徹底的に使ってみる、これが絶対必要です。
知識を得ただけでは何も始りません。
スタートアップのテクノロジーは、無償版が用意されているケースも多いので「まずはやってみよう」という姿勢で是非チャレンジしてみてください。
我々がテクノロジーソリューション事業部を始めた時も、この3つにコミットすることで、それまでの制作事業を土台とし、大きくビジネスとして成長することができました。
言ってしまえば代理店モデルですので正直最初の2年間は厳しい時期もありました。それでも未来を描き、やり続けることができるか?がポイントになると思います。
7.まとめ
社名ギャプライズ(GAPRISE)の由来は、
Gap(ギャップ)+Suprise(驚き・気づき)+Rise(成長・革新)
からきています。
当然だと思われている常識に、新しい「ギャップ」を生み出し、人々に「驚き」をもたらす。
驚きは人々の感性を刺激し、今までになかった気づきを生み出す。
そしてそれが、新しい「成長・革新」につながります。
僕らは社名の通り、ありたい理想と現実とのギャップを埋めることを大事にしています。
ギャップを埋める過程で、自分達自身も、パートナー企業も、お客様も成長できると考えているからです。
事業でいうと、日本のデジタルマーケティング市場と北米デジタルマーケティング市場のギャップを埋めていくイメージです。
今後は、お客様の求める理想の状態と現実とのギャップを埋めるため、日本のデジタルマーケティング活動のスピードと質を上げていきたいです。
海外の最先端テクノロジーが普及するのに普通は3年近くかかるところを、僕たちが橋渡しをして1年や半年に短縮したいと考えています。
もしお困りのことがございましたら、是非お気軽にこちらからご相談ください。

勝見 理恵
2012年ギャプライズ入社。リスティング広告/SNS広告など活用したWeb集客支援、自社マーケティングを経て、現在はContentsquareやABテストツールのカスタマーサクセス担当。