年末年始に読みたい、おすすめ本11選
こんにちは、MarTechLab編集長の勝見(@katsuminr)です。
2019年ももう終わりですね。
前回に引き続き、ギャプライズ社内メンバーから「年末におすすめしたい1冊の本」を集めました。
まだ読んでいない本との出会いになれば幸いです。
それではさっそくご覧ください!
1.取締役CAO 齋藤信人/「日本の戦後を知るための12人」
個人的に日本史は好きな方ではあるのですが、一般同様に戦国時代や幕末に興味を惹かれてしまう一方、現代史を遠のけてしまう傾向にあります。
その理由として、戦国時代や幕末は「下剋上」という明確なストーリー骨子があるため受け止めやすいのに対して、現代史は政治や経済、国交等の原理が複雑化、深化しているため受け止めづらいことが、遠のく要因になってしまっている気がします。
本著は、2018年から文藝春秋西館地下講堂で行われた「〈夜間授業〉池上彰“戦後”に挑んだ10人の日本人」全10回をもとに構成・編集された著書であり、ジャーナリストの池上彰氏が、戦後日本社会の構造や体制に対して、様々な方法で挑戦をし、多大なる影響を及ぼした12名を取り上げ、ジャーナリストとしての取材活動により接した事実に基づき、人物評を行っています。
歴史考察という点においては内容にやや物足りなく感じる人もいるかもしれませんが、人物評を通して戦後の出来事が語られているので、感情移入することでイメージもしやすく、現代史を学び直す起点においても有用な著書ではないかと感じました。
12名それぞれの毀誉褒貶(きよほうへん)相半ば(あいなかば)する事実が描かれていますが、書いている事実の捉え方や読者の置かれている状況次第で、読者ごとの人物評が確立されるのではと思います。
私自身が、メディアを通じて目にした耳にした情報を持っている方々については、以前とは違った視点で見ることが出来るようになりましたし、存命の方も多数いらっしゃるので、存在をよりリアルに感じられるようになりました。
12名の挑み方が様々であったように、捉え方は読者の数だけあって良いと思います。事実が認識できていれば、それによる過ちも認識出来るので、決して誤った方向にはいかないでしょう。
「歴史は勝者によって作られる」とも言われていますし、その過程において事実の改ざんがあった可能性があることもなんとなく想像ができます。
戦後、民主主義による「知る権利」が促進されて以降、事実にもとづくリアルをより知ることが出来るようになったことが、現代史を学ぶ一番の醍醐味であると知りましたし、それは現世から後世へ語り継ぐ糧にもなり、大人として自分を律する教科書にもなることも確信しました。
令和になった今年だからこそ、改めて昭和と平成を振り返ってみる機会として、お読みください。
「日本の戦後を知るための12人」
池上 彰 (著)
出版社:文藝春秋
発売日:2019/11/13
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2.執行役員CFO 干山峻/「三体」
仕事における基礎力というものは「妄想力」と「好奇心」であり、科学大国となった中国で生まれたSF超大作は、その二つを刺激してやみません。
あれ?SF?
CFOという肩書の自分には、「仕事に役立つビジネス書」みたいなモノを期待されている感はありますが、あまり読まないため弾がなく。
・・いや、一つあった。『左利きのエレン』っていうんですけど。
『左利きのエレン』はマンガですが、『もしドラ』みたいなビジネス書原作モノではありません。
ちょっと紹介すると、広告代理店に勤める『努力をやめない凡人』である主人公が、挫折を繰り返しながら天才アーティストに挑み続けるという、『天才になれなかった』我々にぶっ刺さりまくる物語です。
元広告代理店勤めの経験が詰め込まれたストーリーにはリアリティがあり、SNS投票で作中キャラと実在する制作会社がコンペして勝者の企画が現実に新聞広告を飾るなど、メタ的な展開もされている。
それくらい、リアリティがある。
ただ、これはあくまでフィクションであることに意義がある。
現実を土壌にフィクションを作り上げる行為は、自分と外の世界との間に新たな関係性を見出す創造的な作業で、それは仕事で求められる能力と同じ。ビジネスは常に変化に晒されていて、新しい関係性を妄想し続ける必要がある。そのパターンは常に新しいものだ。
であれば、「どうすればいいか」の「答え」である教本もいいけれど、「作者が、本気で自分と現実との関係性を落とし込みに行」った「過程」の産物から得られる学びも等しく大事。
『左利きのエレン』は、そんな妄想を掻き立てる、我々の好奇心を満たしてくれる作品なのです。
そろそろ『三体』の書評について気になりだした方もいると思いますが、こちらを是非ご覧ください。
そんな投げやりな!と思われたかもしれませんが、既にあらゆる人に『三体』を『左利きのエレン』と同じテンションで推しているところ、誰も読んでくれず疲れ切っております。その場はなんか面白そうだな、と聞いてくれていても、その後はなんか面倒くさいし所詮フィクションだし・・と思ってしまうのでしょう。
『三体』は現代中国の発展を土台に、著者の妄想力がいかんなく発揮された作品で、中国の現代史と発展の匂いも感じられる一石二鳥な作品です。
お仕事の合間に、『左利きのエレン』と、ちょっと得体のしれぬ『三体』も是非ご賞味下さい。
「三体」
劉 慈欣 (著), 立原 透耶 (監修), 大森 望 (翻訳), 光吉 さくら (翻訳), ワン チャイ (翻訳)
出版社:早川書房
発売日:2019/7/4
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3.HR推進室室長 長谷川裕/「稼げる人稼げない人の習慣」
本書は松本氏が2015年に明日香出版社から発行した『「稼げる男」と「稼げない男」の習慣』を改題、加筆、修正して文庫化したものです。
新しいリーダー像とは「どんな環境であっても乗り切れる人」で、しかも「眉間にしわを寄せ、我慢を積み重ねたりするのではなく、何があっても涼しい顔をしてスイスイ乗り越えていくような人材」だといいます。
全体で50の習慣が取り上げられていて、分野は大きく分けて6つ。「仕事術」「キャリア意識」「コミュニケーション」「思考法」「生活習慣」「働き方」です。
「仕事ができる人=稼げる人」と定義した際に個人的に納得感が大きかったのはこのあたりで、
・稼げる人は相手の期待を「少しだけ」上回り、稼げない人は「完璧」を目指す。
・稼げる人は期待値が「低く」、稼げない人は期待値が「高い」。
・稼げる人は「期日を守り」、稼げない人は「期日を決めない、守らない」。
・稼げる人は文章が「わかりやすく」、稼げない人は文章が「伝わりにくい」。
逆にそのままの文脈だと意味を捉えづらいのが、
・稼げる人は「たのしい仕事」を目指し、稼げない人は「やりたい仕事」を目指す。
・稼げる人は数値を「目標にせず」、稼げない人は数値を「目標にする」。
でした。
この2つの意味は実際に読んもらえれば「あーなるほど。」感を得られる人も多いのでは。
最後になりますが、この書籍の内容を習慣化すれば「仕事ができる人=稼げる人」になれるわけではなく、「仕事ができる人=稼げる人」は少なからずこの書籍の内容を習慣化しているという前提のもとで読んだ方が腹落ちするかと思います。
「稼げる人稼げない人の習慣」
松本 利明(著)
出版社:日本経済新聞出版社
発売日:2019/10/2
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4.広報 鈴木隆司/「自己紹介2.0」
TokyoWorkDesignWeekを主催されている横石さんの書籍。
tips的な要素も詰まっていますが、それだけでなく要素分解をして自身の自己紹介の見直しが出来る一冊です。
職種上、人前で自己紹介をしたり、新しく会った方に自身や会社の説明をする事が多いのですが、30秒~1分で記憶に残る自己紹介をするのって本当に難しくて、かと言って上手な方の真似をしようとしてもなかなかすごいなぁという人もあまりいない気がしています。
自信をもって得意と言える人って少ないのでは。
でも実際は話が全然うまくなくても、もっと話を聞きたくなる挨拶をする方っていますよね。
多くのビジネスパーソンは記憶に残る自己紹介を意識していると思いますが、この本では「記憶されるより期待されよ」と言っています。
ピータードラッカーも「人は自分自自身が期待する事象しか知覚できない」と言っており、期待値の取り扱いがコミュニケーションの肝である事を示唆しています。
サクサクと読めて自己分析の型も載っているので、皆さんも年末年始を機に自己紹介の見直しをされるのはいかがでしょうか。
「自己紹介2.0」
横石 崇 (著)
出版社:KADOKAWA
発売日:2019/5/24
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5.カスタマーサクセス 原澤陽/「生涯投資家」
上場のメリットとデメリットを、簡潔に言えますでしょうか?
2019年、ライドシェアサービスのUberはニューヨーク証券取引所に上場しました。世界注目の上場初日、期待とは裏腹に株価は低調な滑り出し。ドライバーの賃金やグローバル展開等、様々な課題を抱え続ける世界注目の1社に、投資家達の注目が集まっています。
日本では、ヤフーがZOZOを買収するビッグニュースが日本、そして世界に伝播されました。さらに、ヤフーはLINEとの経営統合も発表。これらの重大発表に、各メディアはその背後にある本当の狙いを推測し、多岐にわたる情報を元に、投資家達はヤフーの今後に関心を覚えています。
2019年、マーケットは荒れに荒れたまま、2020年に突入。
日本では来年、何とも言えない期待感と共に、東京五輪を迎えます。
オリンピックの終焉と共にマーケットはどうなるのか?今、企業は上場すべきなのかそうではないのか?何に投資すれば生き残れるのか?日本経済の実態はどうなっているのか?
そんな複雑な経済の実態をどのように捉えるべきか、ひいては、最適な意思決定をいかにして下すべきかのヒントをくれるのが、私が紹介する「生涯投資家」。
上場、ひいては企業を支え続ける株式というものの本質とは何か。そして、個々人が投資家として未来にどのような意思決定をすべきかを、村上世彰さんの実体験と共に教えてくれる一冊です。
ぜひ、読んでみてください。
「生涯投資家」
村上 世彰(著)
出版社:文藝春秋
発売日:2017/6/21
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6.カスタマーサクセス 恒石陣汰/「21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考」
著者のベストセラー作である「サピエンス全史」「ホモ・デウス」が非常に面白かった為、今作も読みました。
「AIとバイオテクノロジーの進歩という破壊的技術革新が今後人類をどのように変化させるのか」を21個の視点から丁寧に説明しています。
特に「第二章 雇用」が興味深いです。元々「AIは人間の仕事を奪うのではなく、人間の生産活動を補助するもの」という認識でいました。
ただ今日のAIとバイオテクノロジーの進歩は今までの技術革新とは大きく異なり、本当に多くの人間の仕事を奪う可能性を秘めていることをリアリティを持って説明しています。
読んでいてゾクゾクする良書です。
「21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考」
ユヴァル・ノア・ハラリ(著)
出版社:河出書房新社
発売日:2019/11/19
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7.デジタル広告事業部マネージャー 岡安太朗/ 「「ついやってしまう」体験のつくりかた――人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ」
企画に携わる全ての方におすすめしたいです。人の心を動かし、人に行動させてしまう仕組みとその仕掛けを、元任天堂の「Wii」の企画担当者がわかりやすく解説した本です。
ゲームを例に体験設計の構成要素が書かれており、例に出しているゲームにだけでなく、ウェブサイトやLP上でどのような体験をしてもらうかを考える際にも非常に参考になりました。
つい読んでしまう本のつくりになっているのも、さすがでした。
「「ついやってしまう」体験のつくりかた――人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ」
玉樹 真一郎 (著)
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2019/8/7
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8.YOTPOチームマネージャー 黄天龍/「嫌われる勇気」
こんにちは、ギャプライズ外国人労働者代表の黄です。
この本は、言葉の壁によって文化の違いという深いハンディキャップを乗り越えて、日本で生きていく為に私が手に取った本の中の一冊です。
アドラー心理学をベースとして分かりやすく対話形式で書かれているので、日本語が苦手な方でも読みやすい本になっていると思います!
以下の文章のどれかにビビっときた方も是非手に取ってみて下さい。
◯問題は「何があったか」ではなく「どう解釈したか」である。
◯今のあなたが不幸なのは、自らの手で「不幸であること」を選んだから。
◯あなたが変われないのは、自らに対して「変わらない」という決心をしているから。
◯あなたの「目的」は、「他者との関係の中で傷つかないこと」
◯もしも自慢する人がいれば、それは劣等感を感じているからに過ぎない。
◯われわれは他者の期待を満たすために生きているのではない。
◯馬を水辺に連れていくことはできるが、水を呑ませることはできない。
◯「自由とは、他者から嫌われることである」
◯対人関係のカードは常に「わたし」が握っている。
◯「人はいまのこの瞬間から変われるし、幸福になることができる」
賛否両論は当然あるでしょうが、人とどう接するかに一つの答えを示してくれる本です。
全ては自分の捉え方次第であるという考え方は、何でも人のせいにしてしまいがちな今の世の中や日常だからこそ立ち返る原点なのかもしれません。
「嫌われる勇気」
岸見 一郎 (著), 古賀 史健 (著)
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2013/12/12
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9.カスタマーサクセス 青山桂/「真実の瞬間 MOMENTS OF TRUTH」
ヨーロッパの3国共同経営「スカンジナビア航空」が市場の低迷と共に赤字から建直しをした際の話。
大企業において、大勢の社員の意識を集中させる方法がとても勉強になりました。
社長のセンス、特に社員の不満の捉え方と、その改善方法が良いものばかりで、これが経営なのか!と思わされた一冊。
30年くらい前の本ですが、現代の目標設定やマーケティングを考える上で参考になることが多いので、是非ご覧ください。
「真実の瞬間 MOMENTS OF TRUTH」
ヤン カールソン (著), 堤 猶二 (翻訳)
出版社:ダイヤモンド社
発売日:1990/3/1
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10.SEMプランナー 原田真幸/「マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法」
やりたいことが次々と出てくる、でも世間体も悪いし中々実行できない
日々こんな風に感じている人は、この本を読めば勇気が出るかもしれません。
TEDでこの言葉が知られてから、少しずつ名前が広まってきた印象ですね。
・ 色んな分野に目移りしてもいい
・ スペシャリストにならなくてもいい
・ 異なる分野を組み合わせれば自分の強みになる
・ 本心を隠したまま生きなくていい
飽き性や、器用貧乏な人ってマイナスイメージで語られることも多いです。
何か1点強烈な強みがある人は、市場価値が高いのも事実だと思います。
でも、別にそれに従う必要は一切ありませんし、自由に生きる方が人間的な魅力も深まるはず。
マルチ → 沢山の
ポテンシャル→ 潜在能力を
ライト → 持つ人
合わせてマルチポテンシャライト、つまり「自分の好きな複数の分野で活躍する人」です。
「個」が重視され始めた今の時代、マイナスに捉えられがちだったものが、プラスの資質と捉えられるといいですね。
「マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法」
エミリー・ワプニック (著), 長澤 あかね (翻訳)
出版社:PHP研究所
発売日:2018/8/24
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11.MarTechLab編集長 勝見理恵/「世界基準の経営理論」
この本は約800ページ。
正直、一つ一つを咀嚼し自分の血肉にはできていない、到底無理!という段階です。
ではなぜ今回おすすめするのか?
それは、この本が全てのビジネスパーソンにとって思考の幅を広げてくれる「手引書・ガイドブック」であり、早めに触れたほうがよいと考えたためです。
私は仕事をする中で
・複数要因がいりまじった課題に対し
・正解がない中で
・意思決定を下さなければならない
難しさを痛感しました。
その際、必要になるのが「どれだけパターンを想定し、その中で一番(課題を解決できる)確率が高い判断をするか」。
著者のメッセージでは「思考の軸」というキーワードで書かれています。
ビジネスパーソンが経営理論を「思考の軸」とすることが、これからの時代に重要な武器となり得るというのが本書を貫く主張だ。
これからのビジネス環境は不確実性がさらに高くなり、さらに複雑になり、状況は刻々と変わる。
すなわち「正解のない時代」になる。この環境下で「これは正解だ」と安易に思考を止めることほど、恐ろしいものはない。
したがって、「正解のない世界」で意思決定をして前進をするには、誰もが考え続けなければならない。[引用]世界基準の経営理論 入山章栄
主要理論30を網羅しているため、自分の関心のあるテーマから入ることもできます。
例えば「ソーシャルネットワーク」
近年のFacebookやTwitterの台頭で新しいものとされますが、その本質は「エンベデッドネス理論(埋め込み理論)」で理解することができる、など。
特定の理論を当てはめること=正解、ではありませんが1つの考える材料になります。
思考の幅は「経験」と「知識」の組み合わせ。
是非一緒に読んでみませんか。
「世界基準の経営理論」
入山 章栄 (著)
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2019/12/12
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12.まとめ
いかがでしたでしょうか?
このように様々な職種・メンバーからおすすめ本を集めると、自分とは異なる視点があって面白いですね。
年末年始、是非楽しんでください!
勝見 理恵
2012年ギャプライズ入社。 5年間Web集客コンサルタントとしてクライアントワークに携わり、リスティング広告からFacebook・Instagram・TwitterなどのSNS広告まで幅広く活用。 ClicktaleやOptimizelyを活用したサイト改善コンサルタントを経て、現在は自社のマーケティング担当。