VBS Hobby、ECサイトの表示を67%高速化。PoCでCVR+2.59%を実現した「次ページ先読み」とは?
欧州最大級のクラフト・ホビー用品の通販企業 VBS Hobby(ドイツ)は、色違いなどのバリエーションが数十種ある商品ページの重さに悩んでいました。Speed Kit を既存ショップに追加したところ、PoC(概念実証)で主要コンテンツの表示が67%速くなり、コンバージョン率(CVR)は対照群より2.59%高くなりました。本記事では、課題から導入アプローチ、成果までを整理し、日本のEC担当者への示唆をお伝えします。

本記事は、Speed Kit社が2026年9月25日に公開した導入事例「How VBS Hobby made its online shop 67% faster with Speed Kit」を、MarTechLab編集部が日本の読者向けに翻訳・再構成したものです。
目次
VBS Hobbyとは?
VBS Hobby は、ドイツ・フェルデンに拠点を置くクラフト・ホビー用品の通販企業です。1964年から続く老舗で、欧州最大級の専門通販事業者です。取扱商品は約1万6,000点、定期顧客は75万人以上。ドイツ語圏を含む9か国でショップを運営しています。繁忙期は秋からクリスマスにかけてです。
商品ページが重いのはなぜか? 導入前の課題
VBS Hobby の課題は、バリエーションの多い商品ページの表示速度でした。フロントエンドの改善は済んでいたものの、Google Search Console の Core Web Vitals(Googleが定めるページ体験の指標群)は不良のままで、基盤側の制約から抜本的な改善が難しい状況でした。
1商品に数十種のバリエーション
アクリル絵の具1種類だけでも、黄色系だけで約50色が展開されています。商品ページはこれらすべてを読み込む必要があり、表示が遅くなっていました。
フロント改善だけでは解決しなかったCore Web Vitals
過去に行ったフロントエンドの整理で最も深刻な問題は解消済みでした。それでも Search Console 上の Core Web Vitals は改善しませんでした。
CDNなし・ライセンス型システム・6〜8週間サイクル
9か国のショップは、CDN(コンテンツ配信ネットワーク)を持たないライセンス型のショップシステム上で動いています。システムの更新は6〜8週間ごとのため、サイト基盤を大きく変える改善は取りにくい状況でした。
Speed Kitはどう解決したか?
Speed Kit は、既存ショップの上に重ねて動作するため、ショップのアーキテクチャを変更する必要がありませんでした。訪問者が次に開きそうなページを予測し、バックグラウンドで準備します。顧客がクリックする頃には、そのページがすでにブラウザ内で完成していることも多くなります。
既存ショップに追加するだけの導入
基盤の改修や移行を伴わないため、更新サイクルが長いシステムでも導入できます。
次ページを予測して先読みする仕組み
– 先読み(プリロード): 次に開かれそうなページのデータを、クリック前に取得して手元に置いておくこと
– プリレンダリング: 取得したページを、画面に表示できる状態までバックグラウンドで組み立てておくこと
導入の効果は? PoCの結果
PoCでは、訪問者の半数に Speed Kit を適用し、残り半数を対照群としました。表示速度と事業成果の両方で改善が確認されています。

|
指標 |
結果 |
| コンバージョン率 | Speed Kit群が対照群より2.59%高い |
| カート追加 | 2.89%上昇 |
| LCP(中央値):全対象ページ | 67%高速化 |
| LCP(中央値):商品ページ | 72%高速化 |
| 次ページがクリック前にキャッシュ済みだった割合 | 81% |
| バックグラウンドでプリレンダリングされたページを受け取ったユーザー | 53% |
| TTFB(サーバー応答の速さ) | 93%高速化 |
| FCP(最初の描画までの時間) | 73%高速化 |
※LCP(Largest Contentful Paint)は、画面内で最も大きな要素が表示されるまでの時間です。Googleは2.5秒以内を「良好」の目安としています。
※PoCの期間や、対象となった訪問者数は原文に記載がありません。
同社は現在、Speed Kit を本番環境で稼働させています。
多くの商品に数十色のバリエーションがあり、そのページはこれまで表示にとても時間がかかっていました。Speed Kit を入れてからは、単純に速く感じられます
VBS Hobby事例、原文より
日本のEC担当者への示唆
CDNを持たない基盤や、更新サイクルが長い基盤でも、既存サイトに追加する形で表示速度を改善できる可能性があります。日本でも次のようなサイトでは、同様の課題を抱えている可能性があります。
– 色・サイズ・仕様違いのバリエーションが多い商材を扱うEC(アパレル、画材、部品、日用品など)
– パッケージ型やライセンス型のカートシステムで、改修に時間がかかるサイト
– Core Web Vitals が改善しきらず、フロント側の対応が限界に近いサイト
なお、本事例は欧州の1社によるPoCの結果です。同じ改善率が他のサイトで再現するとは限らないため、自社サイトの現状を数値で把握することが第一歩になります。
まとめ
– VBS Hobby は、バリエーション過多の商品ページの遅さを、Speed Kit の次ページ先読みで改善しました。
– PoCでは、LCP(中央値)が67%、商品ページでは72%高速化しました。CVRは対照群より2.59%高くなりました。
– 既存ショップに追加する形で導入でき、基盤の変更は不要でした。
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出典: Speed Kit「How VBS Hobby made its online shop 67% faster with Speed Kit」(2026年9月25日公開)https://www.speedkit.com/customers/vbs-hobby
今本 たかひろ/MarTechLab編集長
料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。
