ロイヤリティプログラムとは?導入メリットと海外事例3選
EC市場は、経済産業省の調査によると、2010年から年々1兆円ずつ拡大し、2018年には約18兆円に達し、今後も伸びが期待されます。
徐々に多くの企業が参入し、競合との差別化が難しくなっている今、ロイヤリティプログラムの導入が1つの解決策となっています。
その証拠に、Clarus Commerce調査によると、ブランドのロイヤリティプログラムに満足している顧客の86%は、競合他社がより低い価格を提示している場合でも、そのブランドを選択する可能性が高いという結果も出ています。
本記事では、ロイヤリティプログラムのメリットと、事例についてご紹介します。
目次
1.ロイヤリティプログラム導入4つのメリット
ロイヤリティプログラムとは?
「ロイヤリティプログラム」は、ブランドに愛着や信頼をもち、競合に流れることなく商品を購入し愛用し続けてくれる、“真のブランドファン”を創出する施策の1つです。
よく混同されるのが「ポイントプログラム」ですが、購入頻度や金額によってポイントが付与され値引きに使えるポイント還元施策は、ロイヤリティプログラムの一部でしかありません。
顧客に「ブランドに戻ってきたいな」と思ってもらうは、お得感だけではなく、ステータスに応じて優越感や満足感、特別感を感じてもらうことが重要です。
<ロイヤリティプログラム例>
・購入金額などに応じて、限定サービス・特典の提供
・景品やサンプルのプレゼント
・新商品の先行販売
・自社ECサイトで使えるポイントやクーポンの付与
・配送料、返品無料
・誕生日プレゼント
・会員限定イベントへの招待
・(アパレルの場合)お直し無料
・お友達紹介による特典付与
ロイヤリティプログラム導入のメリット
コストを抑える
1:5の法則によると、新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストと比べて、5倍以上かかると言われています。 既存顧客の維持(リテンション)に焦点を当てLTVを促進することで売上拡大につなげることができます。
リピート率が上がる
ロイヤリティが高まると、顧客は、競合他社を選ぶ必要性を感じなくなる上に、商品などへの満足感が高まります。その結果、ブランドを好きになり、繰り返し利用するようになります。
顧客単価が上がる
ブランドの商品全体への好感度が高まり、探していた商品・リピートしている商品以外でも、購入する可能性があります。
例えば、より性能が高い商品を購入する「アップセル」や、ジャンルが異なる商品にも興味の範囲が広がり購入する「クロスセル」も期待できます。
口コミで新規顧客獲得
ブランドファンは、肯定的な口コミを、家族や友人に直接、またはSNS上で発信してくれます。肯定的な口コミによって、ソーシャルプルーフを形成し、新規顧客獲得につながります。
Emotion Tech社の調査によると、
・ロイヤリティの高い顧客は、他の顧客と比べると、ECサイトの年間平均利用回数が1.9倍。
・あるアパレルブランドでの1回当たりの購入金額は、ロイヤリティの高い顧客の方がその他の顧客より1.3倍が高い。
・あるスポーツメーカーにおいて、ロイヤリティの高い顧客の85%が商品を他者に推奨した経験がある。
ということがわかります。
2.ロイヤリティプログラム導入事例3選
続いて、ロイヤリティプログラムを実際に行った事例を3つ紹介していきます。
(1)階層型ロイヤリティプログラム THIRD LOVE
プロフィールと施策概要
業界:ランジェリー、ファッション&アクセサリー
ブランド特性:平均注文額が高い、顧客獲得単価が高い、激しい競争で混雑した市場で競争する必要がある
プログラムの目標:競合相手からのかく乱を防ぎ、価格を下げずに価値を発揮する
アプローチ:機能面
ThirdLoveは、機能面に焦点を当てることで、混雑したランジェリー市場のなかで他社との差別化を図っていました。リピーターに、割引をはるかに超える利益を与えるため、階層型ロイヤリティプログラムを取り入れました。
ThirdLoveの階層型ロイヤリティプログラムでは、毎回の購入に明確な価値を付加するために、プレゼントや配送料無料などの特典を提供します。レベルが3段階あり、顧客が何度もリピートすることで、レベルが上がるシステムです。
例えば、レベル1,2は誕生日プレゼントをもらえる一方で、レベル3だけが商品の景品と限定製品へのアクセスを得ることができます。
ThirdLoveのようなブランドでは、高品質の製品は買い替えが少なくて済むため、顧客はより多くの商品を先に購入する傾向があります。(その後、時間の経過とともに徐々に購入量を減らす傾向も。)
このような理由から、彼らのロイヤリティプログラムは、一年でリセットされることなく、生涯にわたって積み重ねていくものになっています。
(2)Give X, Get Xプログラム Thrive
プロフィールと施策概要
業界:健康と美容
ブランドの特徴:平均注文額が低い、リピート購入率が高い
プログラムの目標:同じ志を持つ顧客を増やし、ブランドの参入障壁を下げる
アプローチ:感情面
Thrive は、商品を1つ購入すると、同じ(もしくは類似)商品を1つ寄付するというビジネスモデル:ワン・フォー・ワンモデルで運営されている化粧品ブランドで、がん患者から家庭内暴力の被害者まで、高級品を必要としている女性たちに寄付しています。
こういった活動は、社会意識の高い美容客の心を掴んでおり、約9秒に1本の割合で人気の高いマスカラを販売し、寄付する活動を実現。
Thriveのように、共通の慈善活動という使命に基づいて顧客が自然な感情的な絆を感じているブランドにとっての課題は、顧客を維持することではなく、彼らのような買い物客を増やすことです。
この目標を達成し、志を同じくする買い物客の参加障壁を下げるために、Thrive は「Give $10, Get $10」という紹介プログラムを実施しています。このGiveX,GetXというプログラムは、顧客が友人にブランドを紹介すると、顧客自身も友人も特典を受け取ることができるというものです。
この割引と、友人からの紹介というソーシャルプルーフがあれば、新しい買い物客は最初の購入をする可能性が高くなり、ブランドとすぐに感情的なつながりを持つように。さらに、顧客はThriveとより密接な関係を維持し、次の購入や使用した金額に対するポイント獲得することを奨励されます。
(3)顧客とのタッチポイントを増やす Best Choice Products
プロフィールと施策概要
業種:ホーム&ガーデン
ブランド特性:平均注文額が高い、顧客獲得単価が高い、2回目の購入までの時間が短い、ソーシャルエンゲージメントが低い
プログラムの目標:エンゲージメントを促進し、顧客との関係を構築する
アプローチ:感情面
Best Choice Productsは、楽器からペット用品、テラスの家具まで、あらゆるものを販売しています。家庭や庭のニーズに対応するワンストップショップですが、製品の品揃えだけでは、強力なブランドにはなりませんし、顧客の信頼度も高くありません。
ブランドのファンによる再販の課題を認識したBest Choice Productsは、顧客とのタッチポイントを増やす報酬プログラムを開始しました。
Facebook、Instagram、Twitterでブランドをフォローしたり、シェアしたりした顧客は、今後の購入で利用可能なポイントを獲得できます。これにより、お得な情報やその他のお知らせがSNS上に表示され、顧客との新たなつながりの機会が生まれます。
また、顧客はレビューを書いたり、Q&Aに答えたり、コンテンツを読んだりすることでポイントを獲得。これらの活動により、顧客はBest Choice Productsとより頻繁に交流し、自然な繋がりが生まれ、今後の購入を促進します。
3.まとめ
ロイヤリティプログラムを実施することで、コスト削減、リピート率向上、顧客単価上昇、口コミによる新規獲得の4つを実現することができます。
ECサイトの売上向上するUGCマーケティングツールYOTPOでも、ロイヤリティプログラムを提供しています。
詳しくはこちらからお問い合わせください。
※本記事は、「Loyalty Program Examples:THIRD LOVE、Loyalty Program Examples:thrive、Loyalty Program Examples:bcp」を翻訳・加筆修正したものです。
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MarTechLab編集部
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