競合と差別化するUGCマーケティング 〜ロイヤルカスタマーの創出に向けて〜
現在EC市場はかなりのスピードで成長し、2025年には市場規模約28兆円になると予測されています。市場が成長する分、競合がどんどん参入し、ただECサイトを運営しているだけでは差別化が難しくなってきました。
この状況の中で生き残るために大切なことは、消費者が自然と自社ブランドを選んでくれる仕組みを作ることです。
本記事では、その仕組みについて、2020/6/25インフォーマ マーケッツ ジャパン株式会社様主催「EC/オムニテックカンファレンス2020」での弊社メンバー天木の講演内容をもとにご紹介します。
記事の内容を含む登壇資料全編はこちらのページからダウンロードできます。
登壇者紹介
株式会社ギャプライズ UGC&D2Cテクノロジーグループ カスタマーサクセス担当
天木伸(Amaki Shin)
2011年~2014年食品商社営業、2014年~2016年アメリカに語学留学という経歴を経て、2017年ギャプライズにジョイン。現在は、UGCマーケティングツール・YOTPO、ロイヤリティマーケティングツール・SWELL、画像と動画の管理と配信に特化したクラウドサービス・Cloudinary、インフルエンサーマーケティングツール・Klearを担当。
目次
1.成長し続けるEC市場で生き残るためには?
EC市場と消費者の行動
現在、EC市場は右肩上がりで成長中。今後の動向として、2020年は市場規模約21兆円、2025年は約28兆円にまで成長するといわれています。
加えて、今回の緊急事態宣言の影響から、消費者の行動が変わり始めています。
今回の登壇途中にZoomの投票機能を使い、「オンラインで商品を購入した経験はありますか?」という質問を参加者に投げかけたところ、65%の方が「経験がある」と回答。さらに、25%の方が「経験があり、リピートしているブランドもある」と回答しました。
本セミナー参加者は特に感度が高い可能性はありますが、このタイミングで初めてオンラインで商品購入したという方もいるのではないでしょうか。このような、市場規模の成長や消費者行動の変化から、今後、EC市場での競争は激化していくと予測されます。
自社ECサイトの顧客を2種類に分けて考える
激化が進むEC市場で、どのようにして生き残っていけばいいのでしょうか?EC事業の中でも、独自施策による差別化、高い利益率を確保できる、自社ECサイトの運営に焦点を当てて、考えていきましょう。
まず、ターゲットを決めます。下の顧客階層図にあるように、自社ECサイトには様々な顧客がいるため、全消費者、ブランドを知っている、購入したことがあるの段階の消費者を新規顧客、リピーター、ロイヤルカスタマーを既存顧客と分けて考えます。
▼顧客階層図
新規顧客は、今までオンラインで売っていなかったものや新規サービスの登場、安売りといった他社の誘惑に釣られ、離れてしまう危険が高いです。
一方、既存顧客の維持にかかるコストは、新規顧客獲得にかかるコストの5分の1といわれ、新規顧客獲得ほどパワーを使いません。
とは言っても、競合が増えつつある今、新規顧客離れだけでなく、既存顧客離れも進む恐れがあります。
どのようにして、既存顧客が他社に移らないよう止めることができるでしょうか?
2.ロイヤリティプログラムで愛されるブランドに
ロイヤリティプログラムとは?
ロイヤリティプログラムとは、ブランドに愛着や信頼をもち、競合に流れることなく商品を購入し愛用し続けてくれる、“真のブランドファン”を創出する施策の1つです。
なぜ、ロイヤリティプログラムによって、既存顧客が他社に移らないよう止めることができるのでしょうか?皆さんの消費行動に置き換えて考えてみましょう。
いつもの美容院、行きつけのレストランに何度も足を運んだり、スマートフォンゲームに頻繁に課金してしまったりしませんか?こういったサービスは、自分の欲しいものを満たしてくれているという要素があるため、人々はどんどんはまり、リピーターになります。
さらに、「行きつけのレストランが美味しいから、今度一緒に行こうよ!」というように、友人や同僚に対し、いつもの美容院やレストラン、ゲームを無意識のうちにレコメンドする傾向があります。
こういった消費者の行動を図にしたものが、下のロイヤリティループです。こちらにあるように、初めての購入で期待通り、もしくはそれ以上の体験をすると、リピートにつながります。
▼ロイヤリティループ
その後、ロイヤリティプログラムを実施し、顧客との接点を増やすことで、商品だけでなくブランドを愛してくれるロイヤルカスタマーを増やすことが可能に。彼らの体験をSNSや口コミで広めてもらうことで、他のユーザーの認知につながります。
このように、ロイヤリティプログラムのメリットは、
・リピート客獲得
を実現し、商品だけでなくブランド自体を愛してくれるロイヤルカスタマーを増やすことができ、彼らの影響力で、
・ブランドイメージ形成
・新規顧客獲得
を可能にすることです。
ロイヤリティプログラムの施策は主に4種類に分けられます。
・アフターフォロー(サンクスメール、手紙の同封など)
・メールマガジン(自社ECの存在を喚起、限定のお得な情報を提供)
・ポイント
・VIP待遇(限定の特典→ユーザーの満足度が上がる)
ROIが5.3倍に、メンズスポーツウェアブランド・RHONE
ここからは、ロイヤリティマーケティングツール・SWELLを利用し、導入後3ヶ月でROIが5.3倍になったRHONEの事例を少し紹介します。RHONEはリピート率を課題としていました。
そこで、新規ユーザーの獲得と既存顧客の維持を両方叶えるため、SWELLを活用し、3つの特典を実施。
そのうちの1つが、会員登録後、クイズに答えることで無料配送サービスを獲得できるというプログラムです。クイズの内容は、お客さんが求めているアイテム、普段の着用サイズ、着用するシチュエーションなどで、メルマガをパーソナライズ化するという目的があります。
事例の詳細については、こちらのページから登壇資料をダウンロードしてご確認ください。
ロイヤリティプログラムによって、既存顧客が他社に移らないよう止めることがある程度可能になりますが、今後激化していくEC市場の中で、もっと明確に差別化をする必要があります。そこで、明確な差別化をするために有効な戦略は、UGCマーケティングです。
3.UGCマーケティングで他社と明確な差別化を
UGCマーケティングとは?
UGC(User-generated-content)とは、消費者によって作成された、写真や動画、レビュー投稿などあらゆるコンテンツのことです。UGCについての詳しい内容はこちらからご確認ください。
さきほど、行きつけの美容院やレストランなどを、友人や同僚にレコメンドすることがあるという話が出てきました。そのように、消費者の体験は周りのユーザーの認知に影響を及ぼします。
オフラインですと、ちょうどいいタイミングで既存顧客から新規顧客に向けてレコメンドしてもらう必要がありますが、オンラインなら、検討の段階でUGCを提供することで、スムーズにレコメンドすることができます。
例えば、洋服を買う前にレビュー見たり、飲み屋を探すために食べログで調べたり、コスメを買う前に口コミサイトを見たりすることはありませんか?UGCは、検討段階の人々が決断する後押しをしてくれます。
実際、こちらのデータを見ると、UGCは40%以上の消費者の購買行動に影響を与えているとわかります。
UGCマーケティングの苦悩と解決策
そんな、UGCを利用したUGCマーケティングのメリットは、
・自社でしか扱っていないレビューなどのUGCによって他社との差別化
・ユーザーがUGCをすぐ見れるように整えてあげることでCVR改善
・UGCが色々な場所に広がることで新規顧客の獲得
の3つです。
ここで、講演では、「今までレビュー(口コミ)を書いたことありますか?」というアンケートを行いました。すると、42%の方が「書いたことがない」と回答。この結果からもわかるように、レビューをユーザーに書いてもらうことは難しいです。
UGC集める側の苦悩として、以下の3点があげられます。
・レビューが集まらない
・集まっているけど、サイトに出しているだけ
・レビューが果たしてコンバージョンに寄与しているのか見えずらい
レビューを参考する人はたくさんいるにもかかわらず、投稿者数が少ないのはなぜでしょうか?
下の画像にあるように、通常のレビュー投稿までの流れは、メール受信→サイトに飛ぶ→ログイン→商品ページ→投稿と長く、離脱ポイントが多いです。
UGCマーケティングツール・YOTPOでしたら、この流れを、メール受信→投稿のみに。さらに、テキストのみでのレビュー投稿だけでなく、写真投稿、動画投稿、SNSシェアまで実現することができます。
YOTPOを導入し、メールからもサイトからもレビュー投稿してもらえるようにしたブランドの結果を見ると一目瞭然。オレンジ色で示した、サイトからの投稿は89件であるのに対し、青色で示した、メールからの投稿は983件もあります。
レビューがあるだけでは効果を最大化できません。レビューの精度や質、検索性なども売上を左右します。例えば、大量にレビューが存在していても、それが5年前までに投稿されたものだったり、買い物客が求めている内容と全然違うと、サイトから離脱してしまいます。
ユーザーが求めているUGCを提供できるよう環境を整えることが大事です。
CVR改善率150%、ラグジュアリーブランド・RAVIJOUR
ここでは、YOTPOを導入し、4ヶ月でCVR改善率150%を達成した、ラグジュアリーブランド・RAVIJOURの事例を少しご紹介します。
RAVIJOURは、店舗ごとにInstagramアカウントをまとめられていないことを課題としていました。
YOTPOを導入することで、
・Instagramの投稿をサイトに反映
・レビューだけでなく、写真や動画も掲載
→購入者のUGC接触率は90%に
といった結果を実現しました。事例の詳細についてはこちらのページから資料をダウンロードしてご確認ください。
4.まとめ
ここまで紹介したように、ロイヤリティプログラムによって、
・リピート客獲得
を実現し、商品だけでなくブランド自体を愛してくれるロイヤルカスタマーを増やし、彼らの影響力で、
・ブランドイメージ形成
・新規顧客獲得
を可能にします。
また、UGCマーケティングを進めることで、自社でしか集めることができない自社製品に対するレコメンドとなるUGCがどんどん集まり、
・他社との差別化
・CVR改善
・新規顧客の獲得
につながります。
こういった、既存顧客離れを防ぐような、消費者が自然と自社ブランドを選んでくれる仕組みを作ることが、EC市場で生き残るために大切です。
今回紹介した、EC/オムニテックカンファレンス2020登壇資料は、こちらのページからダウンロードしてご確認ください。
UGCマーケティングツール・YOTPOについて問い合わせはこちらから。

梶田真衣
2020年2月入社。マーケティングチームのインターン生。オーストラリアへの留学経験あり。