世界をリードする顧客体験分析プラットフォームの誕生 -Contentsquare×Clicktale- ~統合がもたらす効果と展望~

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顧客体験ソリューションと言えばイスラエル発のClicktaleですが、この度フランス企業Contentsquare社との経営統合により、Contentsquareとして生まれ変わりました。

グローバル大手2社の統合により、他の追随を許さない業界リーダーとなったContentsquare
2019年11月7日にお披露目イベントを開催しました。

Contentsquare本社のスピーチに加え、導入企業のパーソルキャリア株式会社様株式会社ミュゼプラチナム様にご登壇頂き、プラットフォームの紹介やご登壇企業様によるサイト改善事例等が発表されました。講演後にはご参加者様同士が交流できるレセプションパーティーが行われ盛況のうちに終幕しました。

今回は、イベント内容の一部をレポートします。

1.Contentsquare統合の先に

Contentsquareは、2012年に設立されたフランス発のスタートアップ企業で、25ヵ国・600社以上に導入されています。グローバルの従業員数は600人。調達金額は1億2000万ドルに到達。

フランス本社から来日したCEOジョナサン・チェルキより、顧客体験分析の重要性や2社の統合がもたらす価値について紹介しました。

顧客体験分析の重要性

今までオンライン上の売り上げを上げる方法は、新規顧客獲得のみでした。
しかし、その獲得コストは高く、モバイルトラフィックの場合、コンバージョン率は非常に低い現状です。また、オンライン上の売り上げの50%をAmazonが占めています。

だからこそ今、顧客体験分析に注目が集まっています。
もちろん、AdobeやGoogleアナリティクスのように、段階別に顧客の離脱・行動を分析するツールはあります。

しかし、それだけでは、どこで、なぜ、潜在的なお客様が離脱したのかを正確に理解することはできません。

そこで私たちは、マウス1つ1つの動きから、顧客体験を分析する技術を生み出しました。
これは、誰もがワンクリックで簡単に分析でき、全てのチームで活用でき、デスクトップ、モバイル、アプリの全チャネルで使用できるのです。

2社の統合がもたらす相乗効果

ContentsquareとClicktaleを統合した理由は、相乗効果を生むためです。

Clicktaleはアメリカ・アジア、Contentsquareはヨーロッパにシェアをもっています。
また、Clicktaleは小売り・IT・金融、Contentsquareは高級ブランド・自動車業界のお客様が多いです。
これらにより、グローバルシェア拡大と業界シェアの補完ができると考えています。

そして、両社の技術を活かして革新的な顧客体験分析プラットフォームができました。

Contentsquare社は、ゾーン別分析、ジャーニー分析、コンテンツパフォーマンス分析、簡単な設定でデータを可視化できる点を強みとしている一方で、Clicktaleは、セッション再生、ヒートマップ、他ツールとの連携に関して高い技術を持っています。(*1)

(*1)機能の詳細はこちらをご確認下さい。https://martechlab.gaprise.jp/archives/interview/20524/?preview=true
ゾーン別分析:ヒートマップを数値化し分かりやすく表示する機能
ジャーニー分析:ページごとの遷移率、離脱率を円グラフ式で表示する機能
コンテンツパフォーマンス分析:サイト上の各コンテンツのコンバージョンへの貢献率を金額として可視化する機能
セッション再生:具体的なマウスの動きの録画からリアルなユーザー行動を分析する機能

Contentsquareが提供する4つの価値

Contentsquareがもたらす4つの価値について事例を踏まえながら、簡単にご説明します。

1つ目は、UXを最適化し、デジタルコンバージョンを上げることです。
イギリスの百貨店「ハーヴェイ・ニコルズ」のECサイトの事例をご紹介します。
ECサイトでは、下部までスクロールされず、ファーストビュー以降ほとんどクリックされていなく、CVRが低いことが課題でした。

そこで、ファーストビュー内に、より多くのコンテンツをチラ見せするデザインに変更したところ、コンテンツが50%見られるようになっただけでなく、111%のクリック率の増加40%のCVR率の増加と、両方を改善することができました。

続いて2つ目は、コンテンツのパフォーマンス改善です。

みなさん、ECサイトのコンテンツのうち、ユーザーに見られていない割合は何割だと思いますか?
正解は70%です。*Contentsquare社調べ

コンテンツ制作にはかなりのコストがかけられていますが、実は7割のコンテンツは人の目に触れられていないため、コスト削減を図ることができます。
加えて、重要なことは、どのコンテンツがコンバージョンに繋がっているのかです。ユーザーの興味が高い内容を知ることで、何を改善すべきかが明確になります。

3つ目は、働き方の生産性を改善すること。
テクノロジーは重要ですが、それ以上に大切なのは「人」です。

顧客体験分析においてよくある悩みとして、データをアナリストしか理解できない、分析に膨大な時間がかかる、作業実行に専門知識を必要とする等の点があります。
これらの課題をContentsquareのGoogleChromeの拡張機能とAIによるレコメンド機能、簡単なアクセス・実装方法が解決します。

最後に、顧客体験のパーソナライズ化です。
実は、国によってカスタマージャーニーは異なり、マーケット特性を理解する必要があります。
例えば、アメリカと日本では下図のようにページ内のユーザー行動が異なります。

また下図のようにクリック率や滞在時間においても国によって違いが生まれています。
今後はこのようにユーザーセグメントごとの特徴をとらえてパーソナライズしていくことがより求められます。

今後の展望

全方位のデータを活用しながら、シグナル(AI活用)を進めて行きたいと考えています。Contentsquareはインターフェース分析が強みですが、それ以外にも価格分析技術を持つ企業の買収や、今回のClicktaleとの統合により、ITの側面での最適化を図っています。そして、全データを活用し、シグナルを提供することで、高度なパーソナル化が可能になると考えています。

今までは、欧米でのシェアを獲得してきましたが、今後はアジアにも力を入れていきたいと考えています。そして、日本ではアジア初のパートナー「ギャプライズ」を起点とし、コンサルティング・サポートを進めていきます。日本市場は、対前年比100%で成長しており、来年度、日本初の「カスタマーアドバイザリーボード」の開催を計画しているので、楽しみにしていてください。

3.パーソルキャリア株式会社様 ご講演

古賀様ご紹介


国内外に70社以上のグループ会社、約600拠点を有する総合人材グループ「パーソル(PERSOL)」において、会員登録数約480万人の転職サイト「doda(デューダ)」を担当する古賀香里様。グロースハック組織を立ち上げ、現在UXデザイン部にて、Webディレクターとクリエイティブ組織を担当する古賀様にClicktaleの活用方法をお話頂きました。

会員登録フローで発生した全エラーをダッシュボードで定量化

Clicktaleのダッシュボード機能・動画機能を活用し、dodaの新規会員登録フォームを改善した事例をご紹介します。

現状のフォームは、下図のように一画面一項目で遷移する形となっています。

私たちのチームでは、ダッシュボードを活用し、会員登録フローの該当ページ全てのエラーを可視化しています。これにより、どのページでエラーが発生し、コンバージョンがどのように変化しているのか、全体を俯瞰し一目で把握することができます。

ここで発見した課題は、パスワードの文字数入力エラーです。定量的にエラーが一覧表示されるため、課題が一目瞭然。他のエラー値は約0.1%であるにも関わらず、パスワードの文字数入力に関しては、1.8%と驚異的な数字でした。

そこで、この課題を深堀するため、実際に対象のエラーが発生した動画を見て、ユーザー行動を具体的に分析していきました。
当時パスワード入力の仕様は、英数半角6~12文字以下としていましたが、動画分析から、下記3つのユーザー行動が判明しました。

・大半のユーザーが12文字数以上のパスワードを入力し、エラーが発生
・より強固なパスワードを設定したいユーザーが大半
・6文字未満のパスワード入力でエラーが発生したケースはない

なお、入力フォームの動画分析は個人情報を事前に秘匿処理できるため、安心して活用しています。

以前は「ユーザーの入力の手間を最小化する」ことに着目していましたが、この動画分析から、実はセキュリティを強化した情報で登録したいニーズがあることに気づきました。
現在はパスワードの文字数・上限12文字数を増やし、記号も設定可能にする等の改善を進めています。

課題特定の工数が劇的に削減

Clicktaleを活用し、良かったと思うことは、課題を洗い出す工数が削減されたことです。
定量的にデータ集約されたダッシュボードから、一目で課題の要因が分かるので、施策の検討に繋げやすくなりました。
また、動画分析からユーザーのリアルな動きをより深く考察できるため、施策のアウトプット精度を向上させることができたと思います。

ユーザー体験の追体験「UXX」の重要性

サイト改善では、完全なカスタマージャーニーを把握することが重要です。どのようにサイトが利用されているのか? そのユーザー行動から、改善ポイントの原因究明を行うことで、ユーザーの利用体験を向上させることができると考えています。そして、課題を把握し、仮説を確かなものにするためには、ユーザー体験の追体験「UXX」が重要だと思います。

3.株式企業 ミュゼプラチナム様 ご講演

川端様 ご紹介


会員数367万人を誇り、全国に190店以上の美容脱毛サロンを展開するミュゼプラチナム様。
川端様はマーケティング部グロースハックチーム所属されており、Webサイトの運用・改善を務められています。
今まではClicktaleをお使い頂いていましたが、今回日本で初めてContentsquareを使った事例や新ソリューションへの感触を発表頂きました。

ドーナツが教えてくれた遷移率の変化

Contentsquareを使ったLPの改善事例をご説明します。
まず、「ジャーニーアナリシス機能」を使い、ページ遷移分析を行いました。
この機能は、Googleアナリティクスの行動機能で横展開になっているものを一画面にドーナツ型に表示したものです。
(左:Googleアナリティクス「行動機能」、右:Contentsquare「ジャーニーアナリシス機能」)

この機能を使い、対象LPを分析したところ、どちらのLPも直帰率が高い状況であることがわかりました。
*内側(Google経由が青色、LINE経由が緑色)から外側(黒)に向けて遷移しており、グラフの色が各遷移先を表しています。

続いて、「ページコンパラター機能」でセグメント別のページ内指標を比較すると、LINE経由のLPがGoogle経由のLPより、スクロール率、滞在時間、アクティブ率が低いことが判明。

そして、読了率を表す「ゾーニングヒートマップ機能」を使い分析した結果、2人に1人がファーストビュー以下を見ずに離脱。さらに、CTAボタンがファーストビューより下にあることがわかりました。

そこで、改善案としてCTAボタンの設置場所を上部に移動。その結果、CTAボタンのクリック率が、Google経由LPは2.38%→5.00%に、LINE経由LPは2.03%→2.95%に改善することができました。

たったの10分で新たな気づきを得られる

実際にContentsquareを活用して、感じたメリットは3つあります。

1つ目は、短時間で新たな気づきを得られることです。
今までGoogleアナリティクスを使い時間をかけて分析していたことが、Contentsquareの「ジャーニーアナリシス機能」によって、たった10分で新たな切り口を得ることができました。

2つ目は、デザイナーの利用しやすさ
GoogleChromeの拡張機能で簡単にクリック率が確認できるため、バナー売り上げ等、制作したクリエイティブへの貢献度を意識化しやすくなると考えています。また、各要素のCVR貢献度も確認できるため、メンバー自身が数字に意識的になれる機会が生まれると思います。

3つ目は、改善サイクルの短縮化です
従来と違い、イベントの作成が自動化されただけでなく、過去のデータに遡り適用できるため、
よりPDCAサイクルを短期間で回すことができるようになります。

 

まとめ

本記事では、盛り沢山だったイベントの一部をご紹介しました。参加者の皆様には、
久しぶりに大きな可能性を感じた」「組織体制と運用面に踏み込んだ参考になる事例だった」といった、
今後に期待いただけるような嬉しいご感想を多く頂きました。

顧客体験分析プラットフォームContentsquareに興味を持たれた方は、是非こちらの動画を見てツールの斬新さを感じて下さい。

詳細希望・ご相談などはこちらからお問い合わせをお願いします。

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阿多 佑梨花

2018年秋にギャプライズに入社。前職で2年半、総合通販業界にてアパレルの店舗運営に従事。ギャプライズ入社後、インサイドセールスの経験を経て、現在は自社マーケティングを担当。

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