ロッテ免税店が実践した「カートに追加ボタン」改修 ~ カート追加率45.70%アップの裏側~

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2026/08/28

「商品詳細ページの直帰率は高いのに、なぜかランキングページ経由の回遊率は伸びない」

アクセス解析を日々見ているサイト運営担当者なら、こうした数字に心当たりがあるのではないでしょうか。

ユーザー行動を分析していると、一覧ページと詳細ページを行ったり来たりするうちに離脱してしまうケースは決して珍しくありません。とはいえ「このボタンをここに置けば改善する」という仮説を、実際のトラフィックで検証するとなると、二の足を踏んでしまう方も多いはずです。

今回ご紹介するのは、韓国の大手免税店チェーン・ロッテ免税店の事例です。

人気商品ランキングページに「カートに追加」ボタンを直接置くというシンプルな仮説を、A/BテストツールVWOを使って実トラフィックで検証したところ、カート追加率が45.70%向上するという結果を得ました。

仮説の立て方からテスト設計、意思決定までの流れを、運用担当者目線で追っていきます。

 

ロッテ免税店について

ロッテ免税店は、アジアおよびグローバルを代表するトラベルリテール企業のひとつです。

化粧品、ファッション、酒類など幅広い商品を取り扱い、国内外の数百万人の旅行者を顧客に持ちます。

主要な販売チャネルはモバイルアプリとWeb(オンライン免税店)で、出発前に商品を購入できるこの2チャネルが、同社の収益を大きく支えています。

 

サイトの大きなビジョン― 「勘」から、数字で確認する文化へ

ロッテ免税店はデジタルトランスフォーメーション(DX)を経営の重点領域と位置づけ、データ分析とUI/UX改善への投資を継続的に行っています。

この取り組みを支えるパートナーとして選ばれたのが、GoogleおよびSalesforceの公式パートナーであり、データドリブンなマーケティングとAIを組み合わせたコンサルティングを提供するゴールデンプラネットです。

ゴールデンプラネットは、トラフィックの多い複雑なECサイトほど「リスクを抑えながら素早く確実に検証すること」が重要だと考え、マーケター以外の部門も含めたチームが自律的にテストを回せる基盤としてA/BテストツールのVWOを採用。

両社は、勘や経験則に頼らずデータに基づいて購買体験を改善し続ける体制づくりを進めてきました。

 

課題

改修前のベストセラー(人気商品ランキング)ページには、次のような課題がありました。

 

ナビゲーションの手間

商品をカートに入れるには商品詳細ページへ移動する必要があり、1品追加するたびに「戻る」をタップしてランキングページに戻らなければならなかった

閲覧の中断・離脱

詳細ページに移動した顧客の多くが、そのままランキングページに戻らずサイトを離脱してしまっていた

 

免税店の買い物には「複数の商品を比較しながらまとめて選ぶ」という特性があります。

それにもかかわらず、サイトの導線がその行動にブレーキをかけてしまっている、という仮説が浮かび上がってきました

 

取り組んだ施策

仮説

「ランキングページから商品詳細に移動しなくてもカートに追加できるようにすれば、購入までの導線が短くなり、まとめ買いも促進されるのではないか」というものでした。

 

検証したテスト

この仮説を確かめるため、社内開発チームがランキングページの各商品カードに「カートに追加」と「入荷通知」のボタンを直接組み込んだ新しいバージョンを開発しました。

VWOのSplit URLテスト機能(※)を使い、既存ページと新バージョンにアクセスを50:50で振り分け、比較可能な訪問者に対するインターフェース変更の効果を測定できるようにしました。

※…デザインや構成が異なる複数のページをそれぞれ別々のURLで用意し、アクセスを自動で振り分けて効果を比較・測定する機能

 

比較の軸はシンプルです。

既存ページは、これまで通り商品画像と情報のみを表示し、カートに入れるには商品詳細ページへの移動が必要なまま。

一方の新バージョンは、ランキングページ上でボタンをタップするだけでカート追加も入荷通知の登録も完結する設計にしました。

この2つを同じ条件・同じ期間で走らせ、どちらが実際の行動データで優位に立つかを見極めています。

 

結果

約2週間、モバイルユーザー17,440人を対象にテストを実施した結果は次の通りです。

指標 結果
テスト期間 約2週間
対象ユーザー数 17,440人(モバイル)
カート追加率 45.70%向上
カートに追加された商品総数 1,403件

 

この「45.70%」という数字を読むときは、注意しておきたい点があります。

カート追加は購買体験の一過程であり、購入完了そのものではないということです。

そのため今回の結果は、最終的なコンバージョンや売上高そのものというより、「購入意欲の高まり」を示す数字として捉えるのが正確です。

 

まとめ

今回の事例からわかるのは、「商品詳細ページに行かなくてもカートに入れられるようにする」という一見小さな改修が、購買行動に大きなインパクトを与えることがある、ということです。

特に、複数の商品を比較しながら選ぶタイプのサイトを運用している方であれば、「一覧と詳細の往復で離脱が起きていないか」を一度見直してみる価値があるのではないでしょうか。

ただし、ロッテ免税店から学ぶべき本質は、45.70%という数字そのものではありません。

重要なのは、勘や思い込みに頼るのではなく、実際のトラフィックを使ったSplit URLテストによって、改修の効果をデータで確かめられたという成功体験そのものです。

この「小さく試し、数字で確認してから広げる」という経験を積んだことで、ロッテ免税店は今後、他の顧客体験の場にもこの実験の仕組みを広げていく方針だといいます。 

 

自社のアクセス解析を見返してみて、「このページとこのページの間で離脱が多いかもしれない」と感じる箇所があれば、まずはVWO AB Tasty(Wingify)日本代理店の弊社までお気軽にご相談をいただければと思います。

▼VWO AB Tasty(Wingify)やサイト改善のご相談はこちら

https://vwo.gaprise.jp/contact

 

 

※この記事はWingify社の「How Lotte Duty Free Encouraged Multi-Item Purchases and Increased Add-to-Cart Conversions」を加筆修正したものです。

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大久保純加

2019年ギャプライズ入社。SalesとAM経て2023年からマーケティング業務を担当。

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