集客最適化×UX改善で契約件数が2倍!ペット保険事例

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2020/02/19

成長性が高く、参入プレイヤーも増え競争が激化している「ペット保険」業界。

今回は、その市場において「集客最適化とUX改善」を両軸で実施することで成果を上げている、マーケティング責任者のA様に、契約件数2倍に至ったポイントについてお伺いしました。

※本記事は、弊社コンサルティングサービスを導入いただいている企業様の匿名インタビューとなります。

1.ペット保険市場の特徴

―業界の特徴について教えてください。
ペット保険は現在、二桁成長をしており成長性の高い市場です。

新しい種類の保険ですが、参入障壁が低く多数のプレイヤーが参入しており、競争が激化し既に価格競争が始まっています。

一方で、いまだに保険の浸透率は約10%
ニーズが顕在化した少数の顧客の取り合いになっています。


[出典]東洋経済オンライン、2019/03/07、細川幸一「ペット専用」保険今更聞けない基本中の基本

また、他の保険と異なり想起ブランドもまだありません。
例えば、「生命保険会社と言えば?」と聞かれた場合、みなさん思い出すブランドがあるのではないでしょうか。
保険に加入していなかったとしても、テレビCMや雑誌等をキッカケに認知されています。

しかし「ペット保険」は、実際に加入されている方・加入を検討されている方以外には、ほとんど知られていません。

―なぜ価格競争が始まっているのでしょうか?
他の保険と比べ、お客様が選ぶポイントがわかりにくいためです。

人間の健康保険と損害保険をミックスしたような内容のため差別化のポイントがわかりづらく、「価格」で選ばれる傾向にあります。

市場が小さいのにプレイヤーも多く、価格競争が始まって市場が荒れてしまっている、でも成長性は高い、それがペット保険市場です。

2.月間契約数の伸び悩み、当時抱えていた課題

―改善前に抱えていた課題はなんでしょうか
過去、月間契約数が横ばいになってしまった時期がありました。
当時は、集客とUXそれぞれに課題がありました。

集客の課題

「ペット保険」ビッグワードに依存している

UXの課題

・見積もりフォームの通過率
・サイト更新も年に数回程度で、UI・UXの考えを反映できていない

また、そもそも「(単価が低いため)他の保険商材と同じマーケティング施策では利益がでない」という根本的な課題も抱えています。

事業を伸ばすために、チーム一丸となって「集客とUX改善を同時に改善する」ことに注力しました。

集客は、顕在層向けの既存キーワード、潜在層向けの飼育キーワードを分けて対策。
UXは、課題となっていたお見積もりフォーム改善を中心に取り組みました。

3.【改善事例】集客最適化×UX改善で契約件数2倍

―UX改善で最も効果が出た施策を教えてください。
見積もり結果ページの改善です。

実施した2つのABテストの内容をご紹介します。

一時保存ボタン削除で契約申込が123.5%改善

「見積もり結果」ページには、結果を「一時保存」できる機能がついており、実際に訪問者にも利用されていました。

しかし、保存する際にメールアドレスなどの個人情報入力を必須としているため、保存ボタンクリック後のフォームが離脱要因となり、その後の申し込みへの遷移にも影響が出ていました。
そこで、「一時保存ボタン」を削除するテスト実施しました。

―既に利用されている機能を削除するのは、思い切ったテストですね。
実はそれだけではなく「一時保存」の件数は中間KPIの一つでもあります。
また、広告集客最適化のCVポイントとしても活用していた指標でした。

―中間KPIを捨てる、大きな決断ですね。迷いはありませんでしたか?
正直かなり迷いました。

このアイデアは、「見積もりページ」の改善案をチームで考えていた時に、あるメンバーが「一時保存のボタンを削ってみたい」と出してきました。

事業責任者の立場から、「中間KPIが下がるからやめてほしい」と言いそうになったのですが、もしかしたら突破口になるかもしれない、と思い直して、数値の悪化が見られたらすぐにテストを停止してもらうことを前提に、進めてもらうことにしました。

テスト結果は、
・見積もり結果から次ページへの遷移率156%改善
・契約申込完了が123.5%改善
大きく成果を上げることができました。

補償内容コンテンツで契約申込が150.0%改善

―次に行ったのは、どのようなABテストですか?
一時保存ボタンを削除したことにより、「見積もり結果ページからいかに申込に遷移してもらうか?」がより重要になります。

そこで、「ユーザーが本当に契約前に知りたい情報はなにか?」を再検討しました。

見積もり結果ページの主な離脱要因は2つ
①他社検討するために離脱
②(他社検討して再訪し)最終確認にきたが決断に至らなかった

①は仕方がない側面がありますが、②は回避したい要因です。

分析した結果、契約の前に確認したい「補償内容」が抜けていることに気づきました。

例えば、
「入院、手術だけでなく、通院も対象」
といった基本的なことであっても、他社と比較するときに確認したいポイントです。

ペット保険TOPページではもちろん説明していますが、見積もり結果ページに情報がないことで不安になり、離脱につながってしまっている可能性が考えられました。

そこで補償内容コンテンツを追加したテストを実施。

テスト結果は、
・見積もり結果から次ページへの遷移率128.3%改善
・契約申込完了が150.0%改善
となりました。

UX改善と連動した集客施策

―集客施策ではどんな改善を行いましたか?
ビッグワードのリスティングや、バナー広告を行っていましたが、一時保存ボタンをCVにしていた時は、CPAが高騰してしまい、手詰まり感を感じていました。もちろん、自動入札で機械学習をかけていたのですが、効果はほとんど出ていませんでした。

UX改善結果で一時保存ボタン削除したことにより、集客最適化の指標となるマイクロCVを「見積もり結果」に変更しました。

その結果、自動入札の最適化のためのデータ量は5倍以上に増加し学習量が格段に変わり、最終的な契約数も伸び始めました。

特にバナー広告は常にCPAが高く、そもそも実施することに疑問を抱いていたのですが、リスティング広告と同水準のCPAまで引き下げることができ、バナー広告をリスティングと並ぶ集客の柱に育てることができました。

この話だけ切り取ると、「集客施策の中でマイクロCVのポイントを検証していればよかったのでは」と思うかもしれません。
ですが、一時保存ボタンを削除するまでは重要な中間KPIの1つでした。

集客とUXを両軸で改善しているからこそ、
・一時保存ボタンの削除
・その結果、マイクロCVのポイント変更
そして、契約数の増加につなげることができたと考えています。

潜在顧客からも契約獲得

集客改善でもう1つ事例をご紹介します。

当社としては、「潜在顧客のリーチ」ができない限り、成長は難しいだろう、という課題意識を持っておりました。

ペットの飼い主のメディア接触状況を見た時に、検索エンジンの活用が活発だということに気づきました。

特に猫の飼い主に顕著なのですが、日々の飼育に関する悩みや、猫の行動の理由を積極的に探しています。
もちろんこういった飼い主の方は保険を探しているわけではなく、あくまで「潜在顧客」です。

しかし、検索ボリュームのサイズを考えると、多くの飼い主にリーチできる、という大きなポテンシャルを感じました。

「飼育系記事」は月数本公開、4年間投資しました。数本ではありますが、一つ一つの記事を丁寧に、独自性と専門性を大事に更新を続けてきました。
その結果、検索結果1位に表示される記事が多くなり、商品ページ流入数の約10倍のトラフィックを生み出す状況になりました。

こうなると、商品ページからのCVRの10分の1でも、それなりの契約数が獲得できるわけです。
もちろん、SEO対策としてコンテンツの増強は一般的ですが、直接、契約に結び付くケースが出てきたのは見積フォームの改善も大きく寄与していると感じています。

ここまで説明してきた施策を組み合わせることで、結果、約半年でペット保険の契約件数を2倍に拡大することができました。

4.まとめ

―今回成果を上げることができたポイントはどういった点でしょうか?
カスタマージャーニーに寄り添って複数の施策をくみ上げる、ということが成功の秘訣だったのではないかと考えています。

特に
・集客とUXを両軸で改善したこと
・顧客のニーズに向き合い「中間KPIを捨てる」という大きな決断をしたこと

は大きな転機でした。

デジタルマーケティングにおいて見えている指標、また既にKPIとして設定されている指標を疑うのは難しいことです。

「KPIは絶対」という先入観をなくし、「本当にお客様が快適と感じるUXとは何か?」という問いに真摯に向き合い、施策につなげていくことがなにより重要です。

ついつい、マーケター側が正しいと「妄想する」UXを押し付けてしまいがちですが、「カスタマージャーニーを発見する」というくらいの謙虚な気持ちで、先入観を取り払うことが大事だと思います。

―Aさん、ありがとうございました。

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勝見 理恵

2012年ギャプライズ入社。 5年間Web集客コンサルタントとしてクライアントワークに携わり、リスティング広告からFacebook・Instagram・TwitterなどのSNS広告まで幅広く活用。 ClicktaleやOptimizelyを活用したサイト改善コンサルタントを経て、現在は自社のマーケティング担当。

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