「既存CDNとSpeed Kitの併用で読み込み速度が劇的に改善、コンバージョン率も6.26%向上」〜デイトナ・インターナショナル様のサイト高速化の取り組み〜

この記事のタイトルとURLをコピーする

Webサイトの読み込み速度は、顧客体験とビジネス成果に直結する重要な要素です。特にEコマースサイトにおいては、表示速度の遅延がコンバージョン率低下に直結するため、様々な速度改善アプローチが取られています。

Webサイト速度改善の主なアプローチ

    • CDN導入: コンテンツ配信ネットワークを使用して、地理的に近いサーバーからコンテンツを配信
    • 画像最適化: 画像サイズの縮小やフォーマット最適化、遅延読み込みの実装
    • コード最適化: JavaScriptやCSSの圧縮、不要なコードの削除、バンドル化
    • キャッシング: ブラウザやCDNでのキャッシュ活用による再読み込み時間の短縮
    • サーバー側の最適化: データベースクエリの効率化、サーバーレスポンス時間の改善

しかし、多くの企業では既存のシステム構成やパッケージの制約、開発リソースの問題から、これらのアプローチを全面的に実施することが難しいケースも少なくありません。

株式会社デイトナ・インターナショナル様は、既存のCDNに加えSpeed Kitを導入した結果、商品詳細ページの読み込み速度が2.7秒から0.7秒へと大幅に改善されました。この高速化により、テスト導入期間において、コンバージョン率6%以上向上が認められました

本インタビューでは、同社DX本部プロダクトデザイン部の大和田様に、サイト速度改善の取り組みとその効果について詳しくお話を伺いました。実店舗とECの連携を重視する同社が、どのように技術的課題を解決し、顧客体験を向上させたのか。その成功事例から学ぶべきポイントをご紹介します。

デイトナ・インターナショナルが直面したサイトパフォーマンスの課題


株式会社デイトナ・インターナショナル
DX本部 プロダクトデザイン部 部長 大和田様

まずは御社の事業内容と、ご担当者様の役割についてお聞かせください。

当社のDX本部は全体で約100名の組織で、自社ECサイトのDaytona Parkの運営やzozotown、RakutenFashionなどのモール出店を含めたEC全般を担当しています。私はプロダクトデザイン部に所属しており、部門としては自社ECサイトのUXデザインやDX文脈のサービス設計・企画・構築、特集記事やFREAKMAG.などオウンドメディアの読み物コンテンツの制作を担当しています

自社サイト運営において特にこだわっているポイントはありますか?

部門として最もこだわっているのは実店舗とのOMOの推進です。当社は全国に約60店舗のストアを持っていますので、ECサイトと実店舗を連携させる「ユニファイドコマース」や循環型コマースである「サーキュラーコマース」を実現するためのロードマップを引いて進めています。

また、ECサイトと実店舗連携の中では、子会社の()Innovation Studioが提供するインタラクティブミラー「+PLUS MIRROR」を独自展開しております。このミラーは、顧客体験向上とEC連携を強化するユニファイドコマース戦略の重要な要素となっています。他社への販売も好評で、ショッピングモールでは行列ができるほどの人気となっています。

サイトの読み込み速度改善の必要性はいつ頃から感じ始めましたか?

明確に意識し始めたのは、2023年11月頃のECサイトリニューアル時からです。カートシステムの変更に伴うリニューアルだったのですが、思ったほど速度が改善されませんでした。

当社はUXにこだわりカスタマイズも多く行ったため、その影響もあったと思います。リリース後は、取締役や社内関係者からも「サイトが遅い」という指摘があり、また社内のEC業務に精通したメンバーからも速度に関する課題が上がっていました。ただ、リリース直後はシステム不具合への対応が優先され、速度改善に十分な時間を割けない状況でした。

御社では以前からCDNを導入されていたとお聞きしました。その状況について教えてください。

はい、私が入社後すぐの約2年半前にCDNを導入しました。カートシステムにはデフォルトで速度改善オプションがありましたが、それに加えてCDNを重ねる形で実装していました。速度改善においては一定の効果がありましたが、それだけではカバーしきれない課題がありました。

具体的には、フロントエンド側の最適化が十分にできませんでした。特にHTML構造やJavaScript・CSSの最適化、画像の読み込みなど、サイト全体の設計に関わる部分での課題が残っていました。

内製でも速度改善の取り組みはされていたのでしょうか?

もちろん内製でも取り組みはしていました。例えばPage Speed Insightsを使った最適化などを試みましたが、カートシステムの中で触れる部分が限られていたこと、またカートシステムに関わる開発を外部会社に依頼していたこともあり、根本的な改善が難しい状況でした。個別のページ(商品詳細ページなど)の改善はできても、サイト全体の共通部分の最適化は影響範囲が大きすぎて手が出せなかったというのが実状です。

注釈:既存のCDNは静的コンテンツの配信を高速化しますが、Speed KitはECサイトなどの動的コンテンツを含むページの表示速度向上や、ブラウザでのレンダリング最適化に寄与します。これらは作用するレイヤーが異なるため、併用することで相乗効果が期待できます。

解決策の導入:既存CDNとSpeed Kitの連携によるアプローチ

Speed Kitの導入を検討されたきっかけは何だったのでしょうか?

もともとギャプライズ社からの提案がきっかけでした。社内での速度改善施策では思うような効果が出ず、「スピードがなかなか上がらない」という課題感を持っていたところでした。また、取締役からも「何とかならないか」と言われ続けていたこともあり、提案を受けたタイミングで検討を開始しました。

基本的に当社では投資判断などは慎重に進めていますが、導入を進めるにあたってはSpeed Kitの独自性や他社製品との差別化ポイントがわかりやすく整理された資料をギャプライズさんの方で準備していただき、社内での説得材料として活用しました。そのおかげで比較的スムーズに導入の承認を得ることができました。

導入前にPoC(実証実験)を実施されていますが、その内容と結果についてお聞かせください。

Speed Kitをそのまま導入するのではなく、まずはPoCを実施して効果を確認しました。どれくらい速度が上がるのか、そしてビジネスへのインパクトがどの程度あるのかを検証するためでした。

PoCの結果、商品詳細ページのLCP(Largest Contentful Paint:ページの主要コンテンツが表示されるまでの時間)が2.7秒から0.7秒に改善するなど、目に見える効果がありました。特に当社が重視している商品一覧ページや商品詳細ページで大幅な改善が見られたことは、大きな成果でした。体感速度の向上も明らかで、これは実際に試さないとわからなかったことだと思います。

導入にあたって懸念点はありましたか?

最も懸念していたのは「ダイナミック・キャッシング」の仕組みです。キャッシュの影響による表示崩れなどが起きないか心配でした

注釈:ダイナミック・キャッシングとは、動的に生成されるページでも安全にキャッシュから高速配信する技術で、Speed Kitの独自機能です。通常のキャッシングでは静的なコンテンツのみを対象としますが、ダイナミック・キャッシングでは更新頻度の高いコンテンツも特殊な仕組みで安全にキャッシュすることが可能です。

この懸念については、ギャプライズさんに段階的なリリースと丁寧な動作確認サポートをしていただき解消できました。

成果とインパクト:劇的な速度改善とCVR 6.26%向上の実現

Speed Kit導入後の効果はいかがでしたか?特に注目された指標はありますか?

主に注目していたのはLCPの値と、ビジネス指標としてのCVR(コンバージョン率)、そしてカート投入率です。

LCPについては、商品一覧ページと商品詳細ページで2秒以上の改善が見られました。特に商品詳細ページでは2.7秒から0.7秒へと劇的に向上し、「Good」の割合も大幅に増加しました。

ビジネス指標においても明確な効果が現れました。テスト導入期間において、コンバージョン率は6.26%の上昇が認められ、カート投入率も同様に高い向上率を見込めました。私たちはUX改善の施策を様々行っていますが、このツール一つでこれだけの効果が出たことは非常に驚きでした。

ユーザー %(Speed Kit) ユーザー %(オリジナル)購入完了率

また、再訪率も向上することがわかりました。当社ではアプリのリテンションも重要視していますので、サイトへの再訪率が向上することは大変価値があると感じています。

ユーザー %(Speed Kit) ユーザー %(オリジナル)再訪率

CDNとSpeed Kitを併用することでの相乗効果はありましたか?

はい、非常に大きな相乗効果がありました。CDNによるコンテンツ配信の高速化と、Speed Kitのフロントエンド最適化技術を組み合わせることで、どちらか一方だけでは得られない総合的な速度改善を実現できました。

特にCDNだけでは対応しきれなかった動的要素の最適化、レンダリングの高速化などの課題を、Speed Kitで補完できたことが大きいと思います。両者の強みを活かし、弱点を補い合う形で運用できています。

Speed Kit活用の鍵と今後の展望

他社にSpeed Kitを推奨するとしたら、どのような点をアピールポイントとしてお伝えになりますか?

まずひとつ目のポイントは「低リスクで導入できる」という点です。当社も含め、多くの企業ではフロントエンド側でJSやCSSの最適化などの対策を行っていますが、Speed Kitはタグ一つで簡単に導入でき、効果も即座に現れます。

また内製による改善では実現できない「ダイナミック・キャッシング」などのSpeed Kit特有の高速化機能があるのもポイントです。そもそも内製での速度改善は時間もリソースも多く必要となりますが、Speed Kitはそのハードルを大幅に下げてくれるだけでなく内製では実現できない効果が得られます。通常、サイト速度の大幅な改善にはコードレベルでの改修が必要ですが、Speed Kitは既存システムに手を加えることなく導入できる点が魅力です。当然有料のサービスではありますが、得られる効果を考えれば十分な投資対効果があると思います。

また、PoCを実施して効果を確認してから導入を決めることができるので、自社の環境での効果を事前に把握できる点も大きなメリットです。Speed Kitの検討開始から約1ヶ月でPoCを実施し、その結果を見て本番環境への導入が完了しました。比較的短期間で成果が出せる点も魅力的です。

まとめ:サイトパフォーマンス改善がもたらすビジネス価値

ギャプライズ担当者の声

デイトナ・インターナショナルさんのECサイトはユーザー体験を突き詰めているからこそ、様々な施策やツールを利用しており、速度に影響が出ていたのかと思います。

そうすると改修においても手を加えられない部分が出てくるため、マッチしたサービスのご提供ができ、お役に立てて嬉しいです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

今本 たかひろ/MarTechLab編集長

料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。

その他のインタビュー一覧

タグから探す
AI活用
デジタル屋外広告
パフォーマンス
バックオフィス
Web接客
DX(デジタルトランスフォーメーション)
SMSマーケティング
マーケティング全般
市場・競合分析
AR(拡張現実)
画像認識AI
VOC(voice of customer)
BI(ビジネスインテリジェンス)
D2C
EC
ロイヤリティマーケティング
リードジェネレーション
インサイドセールス
インフルエンサーマーケティング
UGCマーケティング
SNSマーケティング
コンテンツマーケティング
メールマーケティング
ソーシャルリスニング
サイト改善
レコメンド
パーソナライズ
ABテスト
UI/UX
ヒートマップ
LPO
アクセス解析
EFO
サイト集客
SEO
Googleショッピング
アドフラウド(不正広告)
広告最適化
リスティング広告
SNS広告
Amazon広告
営業・顧客管理
プロジェクト管理
SFA(営業支援)