高速回線NURO 光が実践する、”ユーザー体験”の高速改善。データに基づきUI/UXを最大化するContentsquare活用術
Webサイトの顧客体験向上にデータ分析と改善を繰り返す高速回線サービス「NURO 光」。ダイレクトセールス推進部がデジタル体験分析プラットフォーム「Contentsquare」をどのように活用し、サイトのUI/UXを改善しているのか、その具体的な事例に迫ります。パーソナライズ戦略から組織への分析文化浸透まで、同社の最前線の取り組みを紹介します。
【お話を伺った方】
ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社
NURO事業部
ダイレクトセールス推進部 ダイレクトセールス1課
課長
中山 直哉 様

対象サイト:https://www.nuro.jp/

目次
導入の背景:なぜ我々はContentsquareを「選び続ける」のか
中山様の部署の役割と、その中でWebサイトがどのような位置づけにあるのかお聞かせいただけますでしょうか。
私どもダイレクトセールス推進部は、お客様に「NURO 光」という高速インターネットサービスを直接販売することを主眼に置いた部署です。その業務は多岐にわたりますが、中でもWebサイトは、お客様との最初の、そして最も重要な接点であると認識しています。このため、Webサイトを「営業の最前線」と位置づけており、お客様がNURO 光に興味を持ち、そのサービスの特性やメリットを深くご理解いただき、最終的にお申し込みいただくまでの一連のプロセス全体を、いかに円滑で快適な体験としてご提供できるか、という点が我々の部署にとって極めて重要なミッションとなっています。
私たちは、お客様がウェブサイトを訪れた瞬間から、目的の情報がすぐ目に入り、NURO 光の提供する価値を直感的に理解し、迷うことなく申し込み手続きを完了できるよう、UI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)の観点から常に改善を重ねています。私たちは、単に情報を羅列するのではなく、お客様一人ひとりのニーズに合わせたパーソナライズによって、お客様が負担や違和感なくNURO 光に魅力を感じていただける体験の提供を目指し、日々改善に努めています。
最前線であるWebサイトの分析ツールとして、Contentsquareをご活用いただいています。選定の決め手は何だったのでしょうか?
NURO 光では、ユーザー体験の向上を最優先事項として掲げており、その実現のために分析ツールの選定には特に力を入れています。アクセス解析ツールなどで定量的な数値は追えても、「なぜ、このページで離脱が多いのか?」といった、ユーザーの行動の背景にある”Why”の部分までは、なかなか見えてきません。その定性的な分析を強化すべく、様々なツールを検討してきました。
実は、分析ツールは毎年見直しを行っており、その比較検討のプロセスの中でも、常にContentsquareはその機能面で高い評価を得て、採用し続けています。
決め手の一つは、既存のアクセス解析ツールとのシームレスな連携です。私たちが利用しているアクセス解析ツールのセグメントをそのまま活用できるため、複数のツールから得られるデータを統合し、より包括的な視点からスムーズにユーザー行動を深掘りすることが可能です。
また、HTML要素を自動的に認識する機能も非常に優れています。多くのツールでは、正確なデータを取るために複雑なタグ設定が必要になり、分析を始める前の準備段階でつまずいてしまうことも少なくありません。Contentsquareはその手間を大幅に削減してくれるため、日々変化するWebサイトの改善において、迅速なデータ収集を実現できます。
そして何より、ユーザーの実際の動きを動画で確認できる「セッションリプレイ」機能は、私たちにとって課題発見の強力な武器となっています。数値データだけでは見えてこなかった「無意識のつまずき」や、逆に我々の想定を超えたコンテンツへの興味などを視覚的に把握できる。これにより、具体的なUI/UX改善施策へとスピーディに繋げることが可能になっています。
これらの機能を最大限に活用し、データに基づいたユーザー体験の高速改善を実践することが、私たちの方針にマッチしています。
成果:クリック率15%向上も。ユーザーの”無意識のつまずき”を解消した2つの改善事例
Contentsquareを活用して、実際にどのような成果が出ていますか?具体的な改善事例を教えてください。
はい、Contentsquareの分析から大きな成果に繋がった事例がいくつもあります。本日はその中から象徴的なものを2つご紹介します。
1つ目は、スマートフォンサイトのUI改善によるトップページからの送客強化です。
トップページに並んでいる各サービスへの入り口パネルでの行動をセッションリプレイやゾーニングで確認したところ、スマートフォンでは多くの方が、リンクの設定されているテキスト部分ではなく、パネルの余白部分をタップしていることが分かりました。これは、ユーザーが「パネル全体がクリックできる」と無意識に認識していることの表れだと考えました。
そこで、パネル全体をクリックできるようにUIを改修したところ、スマートフォンでの「NURO 光」リンクのクリック率が15%向上しました。他のリンクも同様にクリック率が上昇し、トップページからの送客を大きく強化できました。定量データだけでは気づけなかったであろう課題を、ユーザーのリアルな行動から発見できた事例です。

2つ目は、「NURO 光 for マンション」の申込完了画面の改善による問い合わせ削減です。
申込完了後のユーザー行動をセッションリプレイで確認していると、完了画面から「ご利用までの流れ」のページに戻ったり、工事関連の情報を探してサイト内を回遊したりする行動が散見されました。また、チャットログを見ても工事に関する質問が多く、お客様が「申し込み後の次のアクション」に不安や疑問を抱えていることが分かりました。
そこで、申込完了画面に「工事の予約や詳細について」の案内を追加するというシンプルな改修を行いました。お客様が次に知りたいであろう情報を先回りして提示した形です。

その結果、申込完了後の入会チャット利用率が38%も大幅に低下しました。新たに追加した案内リンクのクリック率は24%にもなり、多くのお客様の不安を解消できただけでなく、問い合わせ対応の工数削減にも繋がりました。まさにお客様にとっても、我々にとっても良い改善になったと考えています。
今後の展望:”分析の民主化”と、A/Bテストの先にある”パーソナライズ戦略”へ
今後の展望として、ツール活用や組織のあり方について、どのような未来を描いているかお聞かせいただけますでしょうか。
これまでは分析作業が特定の人間に集中しがちでしたが、今後はContentsquareを部署横断で活用し、「分析の民主化」を進めていきたいと考えています。各担当者が自身のミッションに基づき、データを使って迅速に意思決定できる状態が理想です。そのための勉強会を始めとした推進活動を実行中です。
顧客とのコミュニケーションは、今後どのように進化していくとお考えですか?
A/Bテストは有効な手段ではありますが、多数派の意見が採用されがちなため、少数派の顧客を取りこぼす可能性があります。今後は、マーケティングオートメーション(MA)なども視野に入れ、Webサイトだけでなく、メールやLINEといった多様なチャネルを横断し、顧客一人ひとりに最適な情報を提供する「パーソナライズ戦略」を強化していく方針です。Contentsquareから得られるインサイトは、この戦略を策定する上で重要な基盤となると期待しています。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
【編集後記】
今回お話を伺い、NURO 光様の「高速」という強みが、単なる通信速度だけでなく、顧客体験の改善サイクルそのものにも体現されていることに感銘を受けました。
中山様がおっしゃっていた「分析の民主化」は、多くの企業が目指しながらも、その実現には高い壁があります。データに基づき、部署の垣根を越えてスピーディにPDCAを回し続けるその姿勢こそが、NURO 光様がユーザーから選ばれ続ける理由なのだと確信しました。
私たちギャプライズも、パートナーとして、NURO 光様の挑戦をこれからも全力でサポートさせていただきます。
今本 たかひろ/MarTechLab編集長
料理人→旅人→店舗ビジネスオーナー→BPO企業にてBtoBマーケティング支援チームのPLを4年半経験し、2023年2月よりギャプライズへジョイン。フグを捌くのもBtoBマーケティングを整えるのも根本は同じだという思考回路のため、根っこは料理人のままです。家では猫2匹の下僕。虎党でビール党。
