訴求軸とは何か?訴求の優先度の決め方【3C分析によるアプローチ】
マーケティングに携わる上で、「訴求は何にする?訴求軸はどうする?」
「この商品は20~30歳の仕事に忙しい女性向けの商品ですので〇〇訴求がいいと思います。根拠は〇〇で…」といった会話は、日常的に行われています。
商品やサービスの販売促進するための仕掛けやデザインを考える上で、消費者が何に興味を持ちどんな言葉やクリエイティブに反応してくれるかを検討する上で訴求または訴求軸といった言葉がよく用いられます。
今回は訴求をテーマにどのようにアプローチしていくのかを整理をしていきます。
目次
■訴求とは?
あらためて広告の訴求を考えていく上で、意味を確認しておきます。
訴求は以下のとおり定義されます。
「宣伝・広告などで、消費者が買う気を起こすよう訴えかけること。」
キャッチコピーやボディーコピーなど広告のクリエイティブによって消費を促進させるように訴えかけるものですから、広告クリエイティブのほとんどは、訴求に含まれるものです。
■訴求は盛り込めばいいのか?
販売する側は商品やサービスの良さを知っているため、いざ商品の良さを伝えたいと思った時に、「あれも言いたい、これも言いたい」と状態に陥る場合があります。
良いことは全て言えた方がいいのですが、伝える相手の事情を考えると伝えたいことは絞った上で伝わりやすい内容で興味を持ってもらうことが重要だと考えてます。
広告を見る側の広告との接触を簡単なモデル化すると以下のようになります。
①他のことをしている。広告を見る目的で広告を見ていない。 |
②普段課題に思っていることを解決する何かの広告を見て興味を持つ。 |
③広告内容を見る。興味を深める。 |
上記の中で①の広告を見る目的ではないことが前提なのがポイントです。その前提で、興味を持ってくれた人に初めて広告内容を見てもらうことができます。広告の内容を見てもらうためには最初に持った興味を持続させることが重要です。
その中で商品の良いところを全部言い切るというのは売る側の視点で、あくまで中心は広告を見て興味を持ってくれた人です。その人に伝わる内容は何かを吟味した上で、ポイントを絞って伝える必要が出てきます。
■訴求軸について
訴求を検討する上で様々なセールスポイントがある中で絞って伝えていくために、軸を決めて訴求の濃淡を付けていきます。様々な訴求のパターンについては過去にまとめてある記事がありますので、ご参考にください。
検索連動型広告のクリック率を高める訴求軸17パターン【保存版】
https://martechlab.gaprise.jp/archives/mtl/31649/?utm_source=martechlabshare
上記の表現方法に対して、どのように濃淡を付けていくべきかを以下より述べていきます。
■ターゲットから考える
商品を購入していただきたいお客様にどう伝えた方がより響くかは大きく悩むところです。広告を見てほしいユーザー(ターゲット)を中心に捉えるべきで広告の訴求の表現方法だけで決めるべきではないです。
前述したように訴求軸となる表現方法は、ネット上でも多くまとめられているところですが、何をどのように使うかを言及しているものをあまり見たことがないです。
「〇〇の場合に効果的」と一般的な記事はあるものの、いつでも当てはまるものとは限らないため個別具体的に考えていく必要があるため、正解があるかのような記述はないのだと考えています。
また、一般的な使い道に沿って訴求を考えることは、アイデア段階のときにはいいことですが、実際に何を一番強く言うべきかという点について各訴求間での優劣はないため何かしらの価値判断を行い優劣を決めなくてはいけません。そこでは、やはりターゲットを中心にして仮説判断をしていくことがより成功への可能性を高めるものだと考えています。
■3C分析によるアプローチ
訴求の優劣を考える上で参考にしているのは3C分析です。
3C分析は以下のように定義されています。
3Cとは、Customer(市場・顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)の3つの言葉の頭文字であり
自社や事業部等がどのような経営環境に置かれているのか現状を状況を分析し経営課題発見、戦略代替案の発想などに活用するフレームワークである。
また、一般的な3Cは以下のように整理されます。
顧客(Customer):市場と顧客のニーズはどのように変化しているのか
競合(Competitor):競合は環境の変化に対して、どのように応じているのか
自社(Company):顧客と競合の動きを踏まえ、自社が成功できる要因はどこにあるか
https://www.salesforce.com/jp/resources/articles/marketing/3c-analysis/
上記をマーケティング用にターゲットと提供サービス商品の関係を中心に問いを再構築して整理していきます。
3C | 問い |
顧客 | サービス商品のターゲットになる顧客はどのような人か?
※顧客に対するアプローチは以下も参考 「ペルソナってマーケティングにどう活かすの?~戦略的なペルソナの使い方~」 https://martechlab.gaprise.jp/archives/lpolab/31363/?utm_source=martechlabshare |
自社 | サービスの強みは何か?
ターゲットや社会に与える価値・メリットは何か? サービスをターゲットが受け取った後にどうなるのか? |
競合 | 与える価値が同じまたは似ているものはあるか?
目に見える競合サービスの提供価値に違いはあるか? 価値が同じだとして差異は何か? |
再構築された問いはターゲットを中心に捉えたもので、ターゲットとの関係を再構築した3C分析により整理することができます。
この問いを使って、自社商品サービスの中で、顧客が困っていることをどう解決し、どのような未来になるのか、その未来において競合との差異を見つけるまで分析をしていきます。
それにより、最終的にターゲットとのコミュニケーションで何を重視するべきか仮説を立てます。
■コミュニケーションコンセプト
ターゲットを中心とした3C分析を通して、何を伝えるべきかを整理できるとコミュニケーションコンセプトとして概念化できます。コミュニケーションコンセプトとは、ターゲットに対して広告を通して、何を伝えるのかをまとめたものです。つまり、誰に対して、何を伝えて、どうなって欲しいかをまとめたものです。
どうなって欲しいかの部分については、最終的には購入や導入といったことになるかもしれませんが、施策によっては購入に至るまでの行動変容を促すこともあり得ます。たとえば、資料請求をしてもらう、会社名とサービス名を好意的に知ってもらう、セミナーに参加したいと思わせるなどです。
広告を目にしてすぐ購入するかしないかを決定できる商品の場合は購入を目的としてもいいですが、購入までのプロセスが長いまたは段階的なものに関してはどの部分の行動変容を起こす目的なのかを分解して目標立てた方がメッセージがぶれないためおすすめです。
コミュニケーションコンセプトによりメッセージの軸が決まることで優先度の高い訴求について整理してコピー化していくことができます。
■まとめ
訴求を考えるのはマーケティングの施策をぶれずに進めるために有用なものです。
ターゲットを考えることから始まり、自社の価値を見つめ直し競合との違いを見つけるいい機会にもなります。広く考えたうえで凝縮した訴求を考え、マーケティングのゴールを決めることで成功する可能性も高くなりますので、ぜひこの方法でチャレンジしてみていただけるとうれしいです。
訴求について詳しく聞きたい、相談したい場合にはお気軽にお問合せください。
岡安 太朗 MDA事業部/シニアアカウントマネージャー
クライアントの掲げるゴールに対して、WEBでどのように達成をするか設計業務に行う。 ターゲットの行動心理を分析し、心理状態に合わせた集客方法を設計。 多業種のクライアントの目標達成と事業拡大に寄与している。