ライバルを出し抜け!スマートフォンサイト制作でコンバージョン率を上げる7つのポイント

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2014/02/18

LPO研究所所長の鎌田です。

今回は「スマートフォンサイトでコンバージョン率を上げるための重要ポイント」をお伝えします。

レスポンシブデザインだの、HTML5だのといった技術的な話は一切しません。あくまで「コンバージョンに直結するスマートフォンサイト制作の考え方、施策」についてお伝えします。

時代はスマートフォンだ、マルチデバイスだと騒がれてはいるものの、実際のところ、Web上でスマートフォンからのコンバージョン獲得を意識して対策できている会社はまだ多くありません。今のうちにしっかりと対策をすれば、PCでは激戦区のジャンルであっても、スマートフォンサイトで出し抜ける可能性は大いにあります。

それでは早速いってみましょう。

目次

  1. スマホユーザビリティは右手親指を意識しろ
  2. スマホサイトは読み込み速度を重視しろ
  3. リスティングもスマホ向けに最適化しろ
  4. スマホサイトではオファーを下げろ
  5. スマホではスマホで売れやすい商品を売れ
  6. スマホは電話であることを忘れるな
  7. スマホはフォームに気をつけろ

1.スマートフォンサイトのユーザビリティは「右手親指」を意識しろ

まずは以下の事例をご覧ください。

スマートフォンサイト上でのタップを可視化したヒートマップ:タップの大半が、右手親指に近い画面右側に集中

これは、とあるスマートフォンサイトにおける「指でタップされた箇所」を、「クリックテール」という解析ツールで可視化したものです。ご覧のとおり、タップの大半が画面右半分に集中していることが分かります。

あなたがスマートフォンを操作するときの指づかいを思い出してみてください。多くの方が、右手片手でスマートフォンを持ち、右親指でタップ操作をしているはずです。従って、「リンク箇所を右手親指に近い右側エリアに寄せれば、リンクのクリック率が上がる」という仮説が立ちます。

この仮説をもとにA/Bテストを行ったのが、次にご紹介する事例です。

これはあるポータルサイトのスマートフォン版で、商品一覧ページのリンクの見せ方について、下記の3パターンでA/Bテストを行ったものです。

商品一覧ページでのクリック率検証A/Bテスト(オレンジで囲まれているのがクリック可能なエリア):右手親指を意識し、リンク箇所を明確に表示する

結果は、Cの「詳細を見る」ボタンを右側に配置したパターンが、最もクリック率が高くなりました。

スマートフォンサイトにおけるユーザビリティは、このように「右手親指」を意識して設計することで、ユーザーの反応が取りやすくなるのです。もちろんケースによっても様々ですが、基本は「右手片手持ち、右親指操作」で考えましょう。

2.スマートフォンサイトは「読み込み速度」を重視しろ

読み込み速度というと「コンバージョン改善」というより「ユーザビリティ改善」のために必要と考えている方が多いです。しかし、スマートフォンサイトにおいてコンバージョンに最も影響を与える要因は、他でもない「読み込み速度」です。

以下の事例をご覧ください。

PC向けLPをPC・スマホ両方に見せた際の計測結果:スマホユーザーはPCよりも「ファーストビュー離脱」が多い

これはあるブライダル系のPC向け縦長ランディングページを、PCとスマホそれぞれで閲覧したときの「ファーストビュー離脱率」を計測した結果です。ご覧のとおり、スマホでは「ファーストビュー離脱率」がPCの倍以上あることがわかります。

あなたも経験があると思いますが、スマートフォンサイトの読み込み速度が遅いときのストレスは、PCサイトの比ではありません。少しでも「遅い」と思われると本当にすぐにページを閉じられてしまいます。

次にお見せするのは、このPC向け縦長ランディングページを、読み込み速度に配慮しながら「内容はそのままで」スマートフォン向けに最適化を行った事例です。

PC向けLPを「内容はそのままで」表示をスマホに最適化」スマートフォンからのCV 月間0件→3件

結果、スマートフォンからのコンバージョン数が月間0件→3件に増えました。また、この事例では電話コンバージョンも増加しました。

実際にはスマートフォンユーザー向けに表示する要素の精査を行うことが必要ですが、このようにPCと全く同じ内容でも、読み込み速度に配慮するだけで成果は伸びるのです。スマートフォンサイトにおいて、「読み込み速度」はPCサイト以上にコンバージョンに直結する重要な要素であることを肝に銘じてください。

3.リスティング広告もスマートフォン向けに最適化しろ

スマートフォン向けに最適化しなければいけないのは、ページだけではありません。流入経路もスマートフォン向けに最適化する必要があります。

なかでも特に重要度が高いのは「リスティング広告」のスマートフォン最適化です。

以下の画像をご覧ください。

キーワード「転職」におけるリスティング広告の出方の比較1

キーワード「転職」におけるリスティング広告の出方の比較2

これは「転職」というキーワードで検索したときの、リスティング広告の出方の違いを表したものです。ご覧のとおり、スマートフォン版の検索結果ページでは、ファーストビューで視界に入ってくる広告枠が上位2つしかありません。

実際に運用してみると分かりますが、スマートフォン向けリスティング広告ではこの上位2枠に入るように単価調整することで、成果が伸びるケースが多いです。

もちろん、3位以降でも十分なアクセス数/コンバージョン数に達することもあるため、一概には言えません。しかし私の経験上、スマホリスティングで3位以降の掲載を目指す運用は費用対効果が安定せず、成果が出ないまま途中でやめてしまうケースが多いです。

ここで私がお伝えしたいのは、このようなスマートフォンならではの特性を考慮せず「とりあえずPCもスマホも同じリスティング広告を出してます」という会社がまだまだ多いということです。スマホ向けリスティング広告の最適化をしっかりと行えば、それだけでも十分差別化になり得ます。

※2/19 追記:本項に関しまして、公開後、 @debutete 様よりご指摘いただきまして、誤解を与えかねない表現を含む箇所について一部修正をさせていただきました。誤解を与えてしまった読者の皆様には深くお詫び申し上げます。

4.スマートフォンサイトではオファーを下げろ

「PCではよく売れるのに、スマホで全然売れないんですが…」

このような場合にまず考えるべきなのは、ページの見せ方ではなく「商品の作り方」です。なぜならスマートフォンユーザーの場合、そもそも「購入や問い合わせを具体的に検討しているユーザー」の割合がPCに比べてかなり少ないからです。

海外のある調査によると、スマートフォンからの訪問の99.5%は「購入しない」と出ています。(参照:海外SEO情報ブログ

あなた自身、スマートフォンでインターネットを使っているシーンを振り返ってみてください。休憩中や移動中(いわゆるスキマ時間)に、ボーッと、ただなんとなく見ているというケースがほとんどではないでしょうか?

このような行動特性を持つユーザーに対して、PCユーザーと同じ方法で売り込みをしても売れにくいのは当然です。

よって、スマートフォンユーザーが手を出しやすい形にオファーを下げる(=商品の購入または問い合わせのハードルを低くする)ことが、スマートフォンサイトで成果を出すための近道になることが多いのです。

では、「オファーを下げる」とは具体的にどのようにすれば良いのでしょうか。以下に、よくあるスマートフォン向けオファーを挙げてみましたので、参考にしてみてください。

スマートフォン向けオファーの具体例:PC向けオファーを、スマホユーザー向けに軽くする

このように、スマートフォンユーザーでも苦なくアクションができるレベルまで商品を加工し直してあげるのです。

もちろん、オファーを下げることで「獲得1件あたりの質」も下がることになるのですが、逆に「コンバージョン率」は上がりますので、LTV(顧客生涯価値)ベースで見ると、結果的にスマートフォンサイトがPCサイトを上回ることもあります。

アクセス解析をやっていると、どうしても「集客」や「ページ内改善」のほうに目が行ってしまいがちです。しかしその前に、いまスマートフォンサイトで実施している売り方が、集めたユーザーに対してそもそもマッチしたものなのかどうかを一度振り返りましょう。

5.スマホではスマホで売れやすい商品を売れ

実は、PCサイトよりもスマートフォンサイトで特に売れやすい商品・サービスのタイプというのが存在します。ここでは代表的なものを4つご紹介しますので、あなたの会社の商品やサービスのなかに当てはまるものがないか一度チェックしてみてください。

【1】 緊急性が高いサービス

水まわりトラブル、鍵トラブルなど、「早く解決したい」サービスはスマートフォンに向いています。あなたも、急いで何とかしたいときは悠長にパソコンを開いたりせずにスマートフォンで何とかしようとしますよね。電話コンバージョンが多くなることも特徴です。

【2】 内緒にしたい商品・サービス

浮気調査、アダルト系など、人に言えない商品・サービスはスマートフォンに向いています。PCだとまわりの目が気になって調べにくいことでも、スマートフォンなら見られる心配が少ないので調べやすいですよね。

【3】 購入までの検討期間が長い商品・サービス

不動産、ブライダル系など「スキマ時間も使ってしっかり調べたい」「慎重に決めたい」サービスは、スマートフォンでのコンバージョン獲得が向いています。

【4】 店舗型ビジネス

飲食店に代表される店舗型ビジネスは、電話コンバージョンが最も取りやすいサービスの一つです。また、スマートフォンで店舗までのアクセスマップを見ながら移動するのは、今や当たり前の行為になりました。

.

以上4つのパターンに当てはまるものが自社サービスのなかにある場合は、スマートフォンサイトでその商品の訴求を強めれば、成果が伸びる可能性が高いです。

逆に、上記のパターンに当てはまらず、かつスマートフォンで売れるイメージがほとんど沸かないものは、掲載するだけ無駄です。前項でご説明したようにオファーを下げるか、取り除いてしまいましょう。

6.スマートフォンは「電話」であることを忘れるな

スマートフォンは「電話」です。
従って、PCよりも電話コンバージョンがかなり多くなります。

「何をいまさら・・・」

と思うかもしれませんが、この当たり前の事実を忘れて対策を怠っている方が本当に多いのです。

下記の事例をご覧ください。

他社事例:電話コンバージョンを意識したスマホLP:電話番号は目立たせ、更にボタンとして認識させる

これは電話問い合わせが多い「鍵トラブル」「水まわりトラブル」での他社事例ですが、電話コンバージョンを意識してしっかりページが作りこまれています。おそらくコンバージョン率もかなり高いでしょう。

特筆すべき点は下記の2点です。

  • 電話番号を、クリック可能な「ボタン」として認識させている
  • 「今すぐお電話!」など、電話を促す文言を付け加えている

地味な対策ですが、電話コンバージョンを意識しなければ出てこないアイデアです。

もともと電話問い合わせが多い業種は、特にスマートフォンに向いています。スマートフォンサイト側でもなるべく電話コンバージョンを取りやすい形にするべきです。忘れずに対策を行いましょう。

7.スマートフォンサイトはフォームに気をつけろ

本ブログでは以前、EFO(エントリーフォーム最適化)についての記事を書きましたが、同様のことがスマートフォンサイトでも言えます。

下記の事例をご覧ください。

PC向けの問い合わせフォームをスマホに最適化:スマートフォンからのCV月間3件→10件

これは、PC向けにしか作っていなかった問い合わせフォームをスマートフォン向けに最適化したところ、スマートフォンからのコンバージョン率が3倍になった事例です。

スマートフォンサイトはPCと比べて「入力」という行為にかかるストレスが大きいため、スマートフォンユーザーを意識してEFO対策を行うことで、このようにコンバージョンが大きく伸びることがあります。

まだPC向けのフォームしか持っていない方は、カンタンでもいいのでまずはスマートフォンでも見やすいフォームを作ってA/Bテストをするところから始めましょう。

スマートフォンEFOの具体的な手法に関しては、「スマホサイトのEFO(フォーム最適化)で爆発的成果を出すための5原則」という記事で別途詳しくご紹介していますので、ご確認ください。

まとめ

スマートフォンサイト制作というのは、はっきり言ってPCサイトよりもシビアです。

ユーザーはPCにも増して浮気性ですし、回線速度は遅い、表示スペースは狭い、AndroidのバグはIE6並にひどい。おまけに、まだまだ進化の過程で「セオリー」というものがほとんど存在しません。

しかし、スマートフォンサイトを制作するからには、前よりも成果=コンバージョンが上がらなければ無意味です。ライバルサイトが小手先の技術にうつつを抜かしている間に、スマホコンバージョンを最適化するノウハウを独自に貯めて出し抜いてやりましょう。

なお前提として、ページ制作前にターゲットの深堀りをすることや、マーケティング全体の最適化を行っておくこと、ページ公開後の運用で改善を重ねていくことは言うまでもなく重要ですので、忘れないようにしましょう。

  • スマホならではの利用シーンを意識する
  • スマホ=電話であることを忘れない
  • 読み込みや入力のストレスを極力減らす

以上の点を特に意識して対策を行って下さい。

スマートフォン活用や、マルチデバイス解析といったテーマは今後も間違いなくホットなトピックですので、研究成果が貯まりしだい記事にしていく予定です。

それではまた次回。

※ 私、Twitter もやっておりますので、よろしければフォローよろしくお願い致します。
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鎌田 洋介 CXO事業部/CSM

2009年ギャプライズ入社。当初は主にランディングページ構築の企画に携わる。LP制作本数は延200本超。 その後はUX再現ツール(Contentsquare)やABテストを活用し、グロースハックの仕組みをチーム内に根付かせるコンサルタントとして、多くのチームビルディングに携わる。 ABテスト実績は累計7,500回以上。

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